超攻合神サーディオン(SFC)-熱血決戦・前編

超攻合神サーディオン
-熱血決戦編-(ストーリー+ネタバレ要素色々)


※管理人らが当時考えていたストーリーを拡大したもので小説の8000年後&サントラ記載のストーリーとは異なります。
・・というかこうでもしないとワケわからなかったので。


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ストーリーログ(独自解釈ストーリー)
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・・音の響かないはずの宇宙に、静かに聞こえてくる声があった・・

「あなたはどこにいるのですか?・・・たった一人の私に、あなたは気が付いてくれますか・・」

少女のようなかぼそい声、誰が気が付くともしれない声・・・
・・だが、もしその「声」が聞こえたとして・・今それに耳を傾けられる者は、この星系には存在しないのだろう
・・「声」は誰に呼びかけているのだろうか?・・?

ここは三つの星「火球」「空球」「海球」が回る星系・・
科学・自然・精神文明という独立した文明を持ち、それぞれの星が互いに争いを続けていた

・・三つ巴の戦いだった様相は、今は一変・・3対1、しかし「多勢」が苦戦を強いられるという、思いも寄らない状況だった
突如襲来したのは、かつて8000年前に現れ、星系を未曾有の危機に追い込んだ機械化惑星・・
何処の何者が、何の目的で、何を考えて作ったのか・・・
・・誰もその答えを探す余裕などない
すさまじき破壊の限りを尽くすその星と、その戦力の前に・・3つの星は疲弊する一方だった

・・・提案は、どこから来たのだろう
・・「8000年前に星系を救った伝説の兵器をもう一度」・・
即ち、かつて決戦兵器として開発した「超攻アーマー」を再度完成させたのだ

超攻アーマーを形成する「デバイス」は3機、それぞれにパイロットが割り振られた
持てる限りの技術をつぎ込んだ3機合体の超攻アーマー・・
・・「サラマンダー・アルセイデス・レオパルド」
彼らは孤独な戦いに挑む、後先に待ち受ける激戦に、生死を賭けた戦いに・・・・


・・この宙域に「声」は、やはり届かない

それはおそらく、戦地に臨む三人にも・・・
・・「声」は誰に呼びかけているのだろうか?

その答えも・・・答える者も今はない・・


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・・-OCEAN SPHERE- 海球 編
・始まりの海

一面が大海原に囲まれた星、「海球」・・
名の通りの「海」がこの星を形作っていた

・・すでにいくつの基地が、いくつの兵器が、いくつの命が失われたのだろうか?
善戦する兵士達をよそに、敵・機械生命体の猛攻は続く・・

そして「超攻アーマー」がロールアウトしたばかりのこの基地でもそれは同じ・・
意図せずに彼らは初陣を「自分たちの基地脱出」という重大なミッションで飾る事になった

・・サラマンダー・アルセイデスはデバイスに分離して基地内部を駆け抜ける・・
彼らの目前では先行したレオパルドが、巨大な腕を持った敵に捕らえられている
アルセイデスが舌打ちをする
・・レオパルドは追いついた二人に呼びかける・・
これが、彼らと「敵」の初遭遇となるのだった

「高度機械生命体反応!ヤツらです!」
「ターゲット・ロック!ぶっ壊せ!!」

サラマンダーとアルセイデスの放った攻撃が、機械生命体をひるませる・・流石に機銃程度では破壊には至らない
解放されたレオパルドのデバイスが、即座にサラマンダ達とフォーメーションを組む

「エネルギーコネクタ接続、合体だ!」


三機のデバイスは人型に合体し、地面に落着する
サラマンダーのデバイスを中心にして、ロールアウトしたての機体で初めて実際に合体を試す
シミュレーション通り、上手くいった、及第点だ・・とアルセイデス

・・敵・・高度機械生命体・・「クワガタ」あるいは「アリジゴク」のような巨大な腕を持つ敵は通路の向こうへ逃げていった

・・あるいは、ヤツがこちらをその方向へ誘い込んでいるのかもしれないが・・・

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・超攻アーマーの胎動

「・・基地、か・・とりあえず脱出しよう」
「まだヤツの息の根を止めてないぞ!」
「殺されたかったら、また現れるさ」

三人は基地内の敵と戦闘しつつ、出口へと向かっていく
・・基地内には思ったより敵の数が多く、やや苦戦しつつも三人は出口まであと一歩の所に来た

・・ここは兵器格納庫だったろうか・・かなり広い。
超攻アーマーに乗っている状態でも、高さには有り余る程余裕がある

「さっきのヤツだ!」

サラマンダーが叫ぶ声に呼応するように、広い格納庫の奥からあの「クワガタ」が現れる
巨大な腕を振り回し攻撃してくる敵に、アルセイデスがいきりたって叫ぶ

「今度こそ息の根を止めてやるぜ!!」

一般兵器が何体、この強力な敵の犠牲になったのだろうか?
周囲に散乱する残骸は、大半が味方のもので構成されていた
・・しかし、彼らの乗るそれは「希望」なのだ

機動力をもって攻撃を回避し、多用な兵器で攻撃を行い、三人分の戦略・腕前で敵に攻撃を加える
・・予想以上の性能だ、超攻アーマーは!
不謹慎なのかもしれないが、三人の誰もがそう思った事だろう
敵の巨大な腕も決して、次々に変形を繰り返す超攻アーマーを捉える事はできない

サラマンダーが光学兵器を放ち、アルセイデスが打撃戦を行い、レオパルドが機動力で攻撃をかわす・・
・・「ヒット、アンド、アウェイ」・・基本にのっとった単純明快な戦法だ

やがて、クワガタの身体が異変を起こした
爆発に包まれ、ロボットのそれと同じ・・粉微塵に、崩壊していく

彼らの初陣は、「完全勝利」をもって決着した


幸先の良いスタートだとレオパルドが言い、サラマンダーも、アルセイデスも笑う
・・彼らは長い戦いを案じるようなことはしない代わりに、いつでも「勝利の希望」を持って進もうと誓うのだった
・・どれだけ、絶望的な戦いであろうと、どれだけの苦難にぶつかろうと・・

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・大海を越えて

・・青き水をたたえる海、それが海球の姿である・・
マシン・マーシャンと呼ばれるアルセイデスの故郷でもあった

基地を脱出し、海球の「大海」へとやってきた三人
しかしこの大海原の中にも、敵の戦艦・水中用機械生命体が蠢いていた
進路を塞ぐ彼らを撃破していく三人、戦闘にはもう慣れたようだと互いに感じていた

「反重力ユニットに武装してやがる!?」

敵の機体は驚くべきもので、空飛ぶ砲台・・今までに彼らが見たこともない、突拍子もない兵器が現れていた

「砲を狙え!ヤツらの残骸は足場として使えるハズだ!」

水中での戦いと、足場を利用した敵戦艦への攻撃・・
二つの戦いを繰り広げる三人

やがて彼らは隣の星「空球」へとつながる、巨大な「水柱」の前に立った

「・・このエネルギー波は強力だな」

ぼやくレオパルド。三人の目指す「水柱」の前にはもう一本の水柱・・いや、膨大なエネルギーの壁が存在していた
・・これではもちろん、通行などできようハズもない

「コントロールユニットを破壊すれば・・」
「とりあえず、戻るしかないって事だ」


サラマンダーは冷静にその場をおさめると、コントロールユニットへと向かった

「これだ、こいつを踏みつぶせば・・」

・・アルセイデスの誘導の元ユニットを破壊し・・速やかに元来た道を引き返す
こんな所で遠回りしている間に、空球や火球がどうなっている事かと気持ちが焦る

しかし、急ぎ足で空球へと向かう彼らの進路を、またしても高度生命体・・強力な「刺客」が遮った

「水の妖精にしちゃ、グロテスクだな・・」

水柱から突如として現れた、液状化生命体・・
侵入者を待ちかまえていたように現れたそれが、超攻アーマーに襲いかかる!

・・「水」をどうやって攻撃せよというのか?
サラマンダー・レオパルドが困惑するが、アルセイデスはいつもの調子で舌打ちをすると、機体を自機にチェンジさせて叫んだ

「とっとと先へ行こうぜ!!」

・・「勝機あり」それもそのはず、水の星で育った彼なのだ
常日頃親しんだものに対し、対抗策も何もあったものではない

水を前に「火を見るより明らか」とは、少々滑稽な言い方かもしれないが・・
アルセイデスは巨大液状化生命体を手玉にとるように誘導し、水柱から完全におびき出した!
・・この時点で彼の勝利は確実なものとなったのだ

・・アルセイデスの周囲の空間が、停止する
・・いや、アルセイデスの攻撃範囲に入った者が、彼の文明の攻撃を受けたのだ
精神エネルギーによる、いわば「術」のようなもの・・
とらえどころのない液体も、その「意志」を破壊されればただの液体にすぎない・・

ざばぁっ!!と飛沫を上げて、液状化生命体は水柱の前に、ただの水たまりに姿を変えて倒れた

・・一丁上がり、と。
アルセイデスは他の二人に自慢するように叫び、大見得を切った


敵を片づけた所で、超攻アーマーは水柱に飛び込んだ
勢いよく噴射される水の流れが、彼らを次なる戦地「空球」へと運んでいく

・・その途中、彼らは眼下で戦いを繰り広げる友軍の姿を見ていた
勝利に沸いていたアルセイデスも、押し黙ってその様子を見守る
・・早急に、この戦いを終わらせなくては・・


・・サラマンダー・アルセイデス・レオパルドは決意を新たにするのだった

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・・-HOLLOW SPHERE- 空球 編
・森林戦

空球、凍り付いた惑星表面と、空洞の中に存在する灼熱のジャングル
・・野生の魂を持つレオパルドの故郷だった

水柱を降りると、そこは一面氷の世界。
サラマンダー・アルセイデスは初めて見るその光景に唖然とする

レオパルドはある地点まで来ると、目の前に広がる大穴を指さした
氷に大きく穿たれたそれを前にして、レオパルド以外の二人は流石に躊躇する
・・しかし、レオパルドはさっさと超攻アーマーをそこへ飛び込ませた

「この下には何があるんだ?」

真っ暗で何も見えない地の底を案じて、サラマンダーがつぶやいた

「ジャングル、だよ」

レオパルドはその質問をただの一言・・常識では計り知れない事で返した

「ジャングル!?星の中にか!?」


鬱蒼と繁ったジャングル
・・とても表面が氷に覆われた惑星には見えない・・

「人工太陽に育まれた地下世界、か・・」
「見ろよ、空の上にも地面があるぜ?」

だが平和に見えたここにも、すでに敵の姿があった

サラマンダー達にとっては不慣れな足場を渡り、敵を倒しつつ進む三人
敵の群れを押しのけた先には・・一つの巨大な「花」の密集地帯があった
・・その花の美しさに見とれている二人をよそに、レオパルドはある事を思い出してつぶやいた

「この花の伝説を知ってるか?・・・白き鉄の巨人が世界によみがえる時、ラフレシアは喜びの花を咲かせる・・」

一瞬「バラ」のように見えていた花が「ラフレシア」という植物である事を知り、一瞬困惑する二人
しかし、それよりもレオパルドの語った「伝説」が気になる

「ラフレシアか・・・一体?」


・・「白き鉄の巨人」・・・
そのワードが引っかかるサラマンダーだったが、敵を倒す事が今は優先、心に止めて先を急ぐのだった
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・天を貫く氷柱

ジャングルを抜けると・・地表からそのまま、地下まで貫通したとてつもなく巨大な氷柱が現れた

「巨大地底柱か」

・・氷柱を目の前にして、アルセイデスが何度目かの驚きの声を上げた

「これを登って上に行くぞ」
「何ィ!?冗談きついぜ!!」

あからさまにイヤそうな顔をするアルセイデスだが、もちろんわがままを言っている暇も、余裕もない
超攻アーマーはゆっくりと、壁の段を踏みしめるようにしながら氷柱を登っていく

・・進路にはもちろん、びっしりと張り付いた敵の群れが・・
時に変形し、時に落下しそうになり、時に強行突破を計り・・・

なんとか三人は氷柱の「空球側の天井」まで登りつめた

待ち受けていたのは・・巨大な「カニ」
氷柱に大きく張り付いた、氷と機械の融合した「カニ」のような生命体だった

・・苦労して登ってきたここまでの進路を、こんなヤツに塞がれてたまるか
カニは小型の生命体を幾度も幾度も放出し、無尽蔵に現れるその小型生命体は超攻アーマーに対して高速で突撃してくる!
レオパルドは口部からの火炎放射、トーチによる攻撃で巧みに敵の特攻をかわす

敵を炎で焼き切り、吼える超攻アーマー
・・そこへ、衝撃で崩れてきた氷の破片が、上から降り注いでくる!

・・レオパルドは大きく「跳躍」した!

一番素早く、一番高く跳べるように設計された四足歩行の機体は、氷の破片の一つに着地し・・
そのまま、「カニ」と小型生命体の死角になる上空へ再び、跳んだ

真上から、全身に炎を纏い・・「カニ」に直接攻撃、わかりやすい話が「体当たり」だ
断末魔の声を上げて・・・「カニ」はそのまま、氷柱の一部と共に、遙かに下の空球の地表へ崩れ落ちていった

・・レオパルドはアルセイデスのように見得を切る事はしなかったが・・
代わりに超攻アーマーが大きく、獲物を仕留めた百獣の王のごとく、吼えた

・・サラマンダーに交代した後も、その後も順調に氷柱を登り続けた
しかし、ある点に来た時、超攻アーマーが突然、足を踏み外してしまった
慌てて足場を探すサラマンダーだが、さっきまで「あった」足場が・・「ない!?」

それは足場がなくなったのではなく・・さっきまでとは見ている方向が違うのだと、真っ先に気が付いたのはレオパルドだった

「なんだ!?重力方向が・・!!」

重力の向きが変わった、それはつまり・・「火球側の重力圏に入った」のだろうと理解できた

海球の時は水流に揉みくちゃに振り回される形だったので実感が沸かなかったが、今はそれが理解できる
自分たちは今、星から星へ移動しているのだと。

・・自分たちの住んでいる星系なのに、こんなに知らない事があるんだな・・
サラマンダーは「もっとこの星系の事を知りたい」と、何となく思った
・・「戦争で倒すべき相手の星」の事を知りたいのではなく
・・「一緒に過ごす友の星」の事を、呑気な笑い話でもしながら、ゆっくり見て行きたい・・

そう思ったのは、彼の星が最も激戦区になった事が上げられるのだろう
海球は、豊かな海を
空球は、広々としたジャングルを
火球は・・・?

科学文明によって作られた「未来都市」は、今どうなっているのだろう?
火球へ降下する途中にも、サラマンダーは不安をぬぐえなかった

なぜなら・・当の「機械化惑星」は、火球のすぐ側にあるのだから・・

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・・-FIERA- 火球 編
・地獄に最も近い星

赤き星、火球。乾ききった砂漠と極限の科学文明が同居する惑星である
ここがサラマンダーの故郷でもあった

地表・・砂漠に降りたってみて、アルセイデスとレオパルドは言葉に詰まった
今まで数々の戦闘を繰り広げてきたが、ここまでの惨状があっただろうか?・・

砂漠の中の都市は破壊され、廃墟と化し、所々で敵の小型ロボットが生き残りの者になお攻撃を加えている

都市の上空には「超巨大要塞」が浮かび、その周囲を無数の戦闘機が飛び交い・・地表は全く理にかなわないような、大砲ばかりつけた戦車や歩行兵器が我が物顔で行進している

戦争中も、そのような光景は見たハズだ、廃墟と化した都市・・
だが、ここまで凄惨なものは今までに見た事もない
・・生きる者の気配も、全て絶たれている・・実際、センサーには「人」の反応は一切無かったのだ。

サラマンダーは歯ぎしりをして、ヤツらに向かって怒り叫ぼうとする自分をいさめ・・
代わりに、超攻アーマーが放つ兵器、その全てで自分の心を表現した
マシンガンが空中の敵をなぎ払い、グレネードが地下に潜む敵を焼き、プラズマの青い白い光が小型兵器も、戦車も、彼の前に立つ全てを焦がした

これまで冷静に、三人の中でもリーダー然として行動してきたサラマンダー
その彼の怒りを、アルセイデス・レオパルドも痛い程に受け止めていた
だからこそ彼に合わせ、直接敵に突っ込む危険な戦法もいとわなかった

・・前方が開けると・・焼け野原の真ん中に、あの要塞がゆっくりと降りてきた
鬼神と化したサラマンダーは鋭い視線でそれを睨みつけ、ありったけのグレネード弾を要塞の下腹部に見舞った

爆炎の中バーニアを噴射し、グレネード弾で開いた穴から内部へ突入する
・・敵だ、と二人が叫ぶより速くマシンガンが火を噴く
リフレクス・レーザーが隠れた敵を撃ち、拾った敵の得物を使い、なおも爆発の炎を要塞内部に撒き散らすサラマンダー
・・まさに「火食い竜」炎を纏う、怒れる竜そのものの戦い・・
爆発の中へ突っ込んで、サラマンダーは最後の一撃を要塞の心臓部に見舞った

敵を量産し、ばらまいていた要塞の最後・・・
街にはしばしの平穏が訪れるが・・・

勝利を喜ぶべき状況で、サラマンダーは笑う事が出来なかった


・・故郷の姿は、もう見る影もない
砂漠の過酷な環境の中でも、普通以上の暮らしが出来た未来都市・・
彼の故郷は、彼の知る人々の大半は、すでに「無くなってしまった」

泣いている暇はない、まだ生きている者はいる、自分たちの勝利を信じている者はいる!
・・壊れた基地から超攻アーマーの弾薬・エネルギーを補給する
機械化惑星までの移動手段を求めて、三人は手近な施設の跡地を調べに向かった

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・宇宙に届く橋

・・「施設」に辿り着いた三人は、すでにヤツらの巣窟と化した巨大なタワーを見上げていた
元々何に使われていたのかは、恐らくサラマンダーにしかわからないのだろう
怪訝な顔をして見上げるアルセイデス・レオパルド・・彼らの星にも、水と氷という材質の、同じ物があったハズなのだが・・
笑い話をしている暇もないので、早急に内部へ突入する

・・上を見上げれば浮遊するアメーバ型生物、今にも飛びかかってきそうな掘削兵器・・
邪魔者は数あれど、ココは上れないワケではなさそうだ
幸い、まだ生きている反重力ユニットがあった
・・コレに乗っていけば上まで行けそうだ

「どこまで上っていくんだ、こいつ?」

これまでの戦いから見ても、高い所が怖いワケではないのだろうが・・不安そうにアルセイデスが聞いた

「軌道エレベーター・・まさか?」

レオパルドはこのタワーの存在意義、正体に感づいたようだ

「そう、まだ動くヤツが残ってたんだ」

ビンゴ、とでも言いたげにサラマンダーは答えた
言っている間にも、ユニットの進路を阻む敵、浮遊生物が迫ってくる
・・取り憑かれでもしたら、何をされるか知れたものじゃないな・・

ようやくそんな事を考える余裕が出てきたのか、彼の戦いはいつものような冷静に狙って攻める攻撃方法に戻っていた

軌道エレベーター、最上階に待ち受けるのは分厚い扉・・
そしてその先には?

「この上がリニア・ドライバールームと、宇宙船係留用のエアロックになって・・」

ゲートを開きながら、サラマンダーは説明する
その説明の途中でゲートは開いて・・超攻アーマーは開ききった扉にさっと滑り込んだ

体勢を素早く整え、周囲を瞬時に索敵する

・・背筋が寒くなる思い、というのはこの瞬間の事を言うのか?
ぞく、というその寒い感覚に従って真上を見上げると・・エアロック一杯に広がった移動砲台が、彼らを捉えていた

・・まずい!?殺られる・・!?

口径はかなりデカイ、直撃すれば、幾度もの激戦に耐えた超攻アーマーといえども・・!!
サラマンダーはとっさにマシンガンを乱射した
しかし、跳弾するばかりで効果は全く見られない

「こいつっ!・・鬼の装甲か!?」
「ヤバイ!後ろは塞がれてる!!」

いつの間にか、ゲートは閉じてしまっている・・
別な手段を探しに戻るのも、ゲートを開けるため無防備にならなくてはならない

「ヤバイ・・・・・死ぬぞ、俺たち」

いつもなんだかんだでプラス思考だったアルセイデスのセリフも、絶望的なものになっていた

・・ロックオンされた
刹那、砲弾ではなく、銃弾が超攻アーマーを狙い来る!

とっさにレオパルドに交代し、弾をかわす事に成功する
・・外れた弾丸はゲートを直撃し・・
一瞬、エレベータ全体が揺れるような衝撃が走った

ぐら、とバランスを崩す超攻アーマー
しかしそれは敵も同じ事で・・
不安定な壁にくっついていた歩行砲台は、彼らの目の前に降ってきた

大きな音がして、地面がバラけていく
ゲートの付近が崩壊する!
レオパルドは超攻アーマーを高く跳躍させ、作業用通路に引っかかる形で難を逃れる事に成功した

「助かった・・と言っていいのかな?」

サラマンダーが切り出した

「なんだか、素直に喜べる気分じゃないな・・・」

レオパルドもほっとため息をつきながら、冗談のように笑った

作業用通路を伝って行く事で、エアロック最上部の「リフト」に到着できた
作動したリフトは勢いよく三人を宇宙の暗闇へと押し上げていく

「この先にクルーザーがあるハズだ」
「クルーザー?」

海育ちのアルセイデスには、間違いなく個人の所有する高級ボートの形が浮かんだだろう

「宇宙戦艦だよ」

サラマンダーが説明する頃には、もうその「クルーザー」が視界一杯に広がっていた



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