第05話・・



・・静かな波の音しか聞こえてこない、穏やかな午後・・


「俺はティータイムにはダージリンと決めてんでね♪」


・・聞いてないぞ。


「・・っせぇよ」

ここは事務所の屋上・・洗濯の物干し竿の隣にある小さなティーテーブル

ちなみに普段は設置されておらず、ロディが上着から出してこのようにセットする


・・ティーポットから熱いお湯まで完備という、便利だがどうやっているのか意味不明な代物だ。


この熱血暴走バカに不釣り合いな「紅茶好き」という趣味は、母譲りのものらしい

・・というワケで今回は特別に、この熱血バカの過去を探ってみよう。

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ローディス=スタンフォード・・・本名:カイゼル=スタンフォード。


・・後に母代わりとなる少女「フィア=ゼフィオ」に双子の妹と共に拾われる

拾われた時の名札によると名前は「カイゼル」・・妹は不明であったが、共にフィアが名付けた名で呼ばれる事になる


「あなたは「ローディス」、著名な学者さんのお名前よ・・お利口さんになってね♪・・お嬢ちゃん、あなたは「セリア」・・う~ん・・「レム」も捨てがたいんだけど・・・」


フィアは孤児院で育った身であった

しかし周りの人々の手により、慈愛の心に満ちた・・まるで聖母のような少女でもあった・・

そんな彼女は一人で働いて、暮らし始めた最中に・・この兄妹と出会った


「そうね・・「セリア」がお名前で、「レム」はミドルでどうかしら?・・どっちも可愛い妖精さんのお名前よ♪」


・・まだ口もきけない幼い双子は、それぞれの名を付けられ・・フィアの手により大きく成長していく

フィアもまた、名字を双子と同じスタンフォードに改名し、兄妹の成長を見守ることにした

兄は創意工夫し、常に物事の先を行き・・イタズラ熱心で妙な信念を持ち(汗)

妹は常に丁寧実直に、そして兄を見て真面目な生き方を学んだ(笑)


「フィアさんは、俺たちのホントの母さん知ってるの?」

「お兄ちゃん、フィアさんは私たちのホントのお母さんだよ~」

「・・だってよ、俺の名前・・ホントは「カイゼル」って言うんだろ?」

「そうよ・・だけど、君は 「王者」 って風格ないじゃない?(笑)」

「なっ・・・(汗)」


フィア、ロディ、セラ・・それぞれが一緒の毎日を送り・・・楽しい日々は、過ぎていく

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そんな中、フィアは夢であった遺跡研究家への道を志し・・何度かの調査団への参加を経て、ついに 「旧文明」 の調査に参加する

目的地は火星・・

ロディとセラはいつものように大人しく、彼女の帰りを待つ・・

・・しかし、彼女の参加した調査団は、残念ながらある事件により宇宙に異変を巻き起こす事になってしまう

・・ 「空白の10日間」事件 ・・それはフィア達が火星の77号遺跡最深部で、「何か」を発見したという報告の後に発生した


・・次の瞬間、世界は10日間の記憶の一切を失った

・・10日間・・

しかし、世界は何の変化もなく・・人々は普通に生活を送る


ただ、とにかく10日間の記憶・・10日間の記録も、その間の映像も資料も・・何も残っていないのだ。

失われたものも増えたものもなく、ただただ10日間の・・・


・・その間に変化したのは、ただ一つの事だけ


無名の遺跡研究家、フィア=スタンフォードが行方不明になった事だ


世界から見ればその現象は不可解であったが、一人の人間がいなくなった事など微々たる情報であり・・彼女がドコへ行ったのか、それは関係者が唯一模索するのみとなった

「・・母さんがいなくなった・・」

「そんな・・」


このときロディ10才、セラ7才・・・


悪い事は重なり、直後に近くで起きたロスト・テクノロジィの暴走事故によりセラは「冬眠」と呼ばれる状態に陥ってしまう

意識混濁の状態が続き・・全ての成長が止まる・・実質、死にも似た状態になってしまった


・・少年、ロディは眠り続ける妹と、いなくなった母を想う・・

普通はちょっとくらいうじうじと悩んで、それから行動するかを決めるハズだが・・


少年は、完全に自分の道を見定めていた


「俺は男の子なんだぜ・・やることやらんでどーするってんだ!!」


11才で元S.Gの戦略研究家「ロン=マテリア」に弟子入り

戦術とカンを鍛え・・日々自分の体力の限界に挑戦、その上限を上げ・・


17の時には、ついに一人でトラブルコンサルタントを開業する

母の故郷、セルムラント共和国という地にこの仕事のため根を張った


小さな仕事をこなし、母の残したわずかの財を元手に「ギア」・・「相棒」を得た


「G-H/77」


廃棄寸前で引き取った機体、そして一緒に引き取った旧式のIFR・・


「私はネス、IFGR-NEXTと申します。・・以後よろしくお願いします、マスター」


再び「家族」が増え、さらに彼は仕事をこなしていく


・・ある時は遺産問題で命を狙われた少女を救い・・

・・「リィオン」家の遺産と共に、少女・・「メイナード」が社員となった。


「ボクはロディが好きだから♪」


・・ある時は日本で有名な怪盗と追いかけっこをして・・

・・実は発明の実験をしたかっただけのその怪盗・・「滝村修」、そして相棒の「シード」が社員となった


「興味はありますし、ドロボウなんてホントは柄じゃないですから」

「ワイらでお役に立てまっか?」


・・そしてその姉も共に・・


「たま~に行けばいいんでしょぉ?」


・・彼女の力で、ついに妹は「冬眠」状態から目覚める


「私たち・・双子なのにこんなに差がついちゃったんだね・・・」


・・「遺跡」ではまたしても、一悶着あった後で・・

・・時を越えてよみがえった、一人の侍が仲間になった


「過去は過去、今すべきは何か、お分かりでしょう?」


・・仕事をこなすうちに、社員というより、家族のような存在として絆は深まり・・

現在、彼らユニオンリバー社は立派にトラブルコンサルタントとしての本業に務めている


もっとも、ロディ自身は少々暴走しているようにも思えるが・・

心の中にしまってある最高の「誓い」は、一つだけだ。


第05話「空白の10日間」


仕事内容(メニュー):フィア=スタンフォードの行方、そして10日間の謎を解く事

目的地・標的(ターゲット):宇宙全域


依頼人(クライアント):なし

注意事項(ワーニング):やると決めたらやるしかねぇ!絶対フィアさんを見つけるんだよっ!!



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NEXT-EPISORD・・

第06話「」




ロディ「しみじみ」

ネス「・・そんなことがあったんですか、マスター」

メイ「みんな仲間になるまで、寂しかったんでしょ?」

ロディ「・・うるせぇ、ガキが生言うんじゃねーよ(照)」

シード「ちゅーより!あんたら双子だったん!?」

セラ「う・・うん・・まぁ(汗)」







・・第05話・・・終・・・・・


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