漫望のなんでもかんでも

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まろ0301

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2005.09.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 本屋に行って、岩波新書を三冊買った。『いまどきの「常識」』『多神教と一神教』『ジャンヌ・ダルク』。


 『いまどきの「常識」』を、取りだめした番組をDVDにダビングする作業を行いながら読み進む。著者は、香山リカさん。たしか神戸芸工だと思っていたら、帝塚山の教授になっておられる。

 彼女の元には、彼女が新聞や雑誌に書いた文章に対する抗議と批判の手紙がドサドサ来ているようだ。
 「『平和』『平等』などきれいごとを言うな」
 「この厳しい世界の現実が目に入らないのか」
 「自虐的なことを言って国を売るのがそんなに楽しいか」
 「日本人を侮辱するつもりなら、さっさとこの国から出て行け」

 こんな手紙がドサドサ来たら、やってられないだろうな。ご飯が美味しくなくなるだろうな。しかし、彼女の文章を読んで、抗議や批判の手紙をしたためて、封筒に入れて、切手を貼って、郵便局まで出しに行く・・それですっきりするのかね。

 小人閑居して不善を為す。



 ベストセラーになった本とか、話題になったフレーズ、社会現象を取り上げて、「どっか、おかしくなってませんか?」と、疑問を呈するこの本が、「常識」とするのは、「マスコミなどで多数派と見えている見方、考え方」という意味だろうと思う。決して、いわゆる「常識」ではない。カッコつきであることに留意されたい。

 ビックリするようなことが書いてある。

 あるとき、侮蔑的な表現を使って私の批判を雑誌に書いた評論家と、実際に顔を合わせなければならない用事が生じた。私は間に立っている人に断りを伝えた。当然、相手も、「バカ」だと思っている人には会いたくないだろう、とも考えた。
 しかしその評論家は「そんなにお怒りとは思っていなかった」と驚き、「ここはどうか一つお出でいただけませんか」と鄭重な依頼をしてきた。「それほど真剣に言ったつもりじゃないんだから、あまりマジに受け取らないでくれよ。お互い様じゃないか」ということなのだろうか。


 テレビでは、「怒ること」「罵倒すること」「キレること」が、「芸」となっている。バラエティ番組で政治が語られる時、出席者は一斉に自分の「芸」を披露する。終わったら、一緒に焼肉でも食いに行って、談笑するんだろうな。

 プロレスでも、「真剣にやっているように見せる」のも「芸」だろう。

 しかし、香山さんが書き付けているこの例は、私にとったら、「異常」としか思えない。侮蔑的な表現を使って相手を貶めておきながら、なおかつ相手にそれを受け入れる「寛容さ」を期待する。名前が書いてないのは、「武士の情け」なのだろうが、なんという甘ったれた精神か。
 この項は、「自分の周りはバカばかり」。

 自分のことばかり語りたがる学生、自分に関係ないと判断すると何も受け付けなくなる若者、日本と北朝鮮の関係を「拉致事件の家族の悲しみ」という窓からしか見ようとしない人たち。

 とにかく「泣ける話」を求める、それを売り物とする風潮。被害者への同情を語りながら、加害者にも人権があること、なぜそのような凶行に及ぶに至ったかを考えようともしない、無視しようとする風潮。「市中引き回し」ですからね。

 以下、「お金は万能」では、臆面もなく、金儲け万歳!が語られる世相が、ベストセラー本や、竹中平蔵といった人の言葉を紹介するかたちで紹介されていくが、「タガが急速にゆるんだ」という著者の言葉は、実に適切である。



 はいはい。

 「男女平等は国を滅ぼす」「痛い目にあうのは『自己責任』」「テレビで言っていたから正しい」「国を愛さなければ国民にあらず」と続く。

 読んでいて、空恐ろしい気持ちになる。ぼーっとしている間に、こんなことが進行している。以前だったら到底恥ずかしくて言えなかったことが堂々と語られている。それも、「脳科学の研究の成果」などというハッタリつきで。
 人を騙すんだから、「忍者ハッタリ君」?・・失礼しました。

 少年犯罪多発の原因は、母親が愛情のこもった手料理を作らなくなったことにあるそうです。自分磨きなんかしていると結婚への意欲が薄れるから百害あって一利なしですって。


 なにが、「脳科学」だよ、変換したら「NO科学」じゃねーか。あー、ばかばかしい。

 という風に、根が上品な私が思わず悪態をつきたくなるという「えっ!」という発言がてんこ盛りになっております。

 長くなったので最後に一つだけ。それは、九条を現実に合わせて変えろ!という意見について。
 著者は、以下のように指摘する。

 そもそも「現実」とはそれほど絶対的な価値を持ち、何よりも優先すべきものなのだろうか。出現してしまった「現実」の前には、、あらゆるものが声を失い、考えもルールもその現実に合わせるように変え続けなければならないとしたら、たとえもし、近い将来に憲法が改正されたとしても、また数年後には、新たな現実に合わせてそれを変えなければならなくなるのではないだろうか。

 私も一言。「人を殺しちゃいかん」と刑法には書いてある。それでも、殺す奴がいる。これが現実なんだから、刑法なくせば、って言うか?

 九条第二項で交戦権(戦場で人を殺してもお構いなし)を否認してきたから、殺さず、殺されずでこれたんじゃないのか。

 「理想」を語ろうとする人間によく投げつけられる言葉。
 「お前の家には便所はないのか!」
 言い返し。
 「てめえの家には便所しかないのか!一生しゃがんでろ!」

※便所のことを語るときについ思い出してしまうこと。
『タイタニック』の、ケイト・ウィンスレットという名前は、「ウォシュレット」に似ているということ。頭から離れないんですよ。





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Last updated  2005.09.27 00:11:47
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まろ0301 @ Re:立花孝志という男(11/07) 尼崎の前市長が優勢のようですが,斎藤元…
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