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虫の音と叢 (1)
夏の終わり頃から最近まで、定例散歩コースを夕方歩いていて、何か物足りなさを覚えた。 秋の虫の声がコオロギのみ。
ここら辺り、横浜の郊外の丘陵地帯は、1960年代に次から次へと造成され、建売住宅、団地、分譲地が作られたエリアで、我家も私が中学生の時、親父の転勤にともない、戸建を建てて名古屋から移り住んできた。
当時はあの丘この丘、次々と造成されつつある段階だったが、まだまだ針葉樹の林が少なからずあり、また、造成後も住宅建築前のエリアはススキの原で、名古屋のど真ん中で育った私にとって天国の様に楽しかった。
1970年代には大枠、開発は完了したが、それでも水道局の水路の周りなどに針葉樹林が点々と残り、林の縁にはススキや笹の藪が多くあった。
そんな藪に行くと、クツワムシの大音量での大合唱をはじめ、ウマオイ、ツユムシ、マツムシ・・・と、唱歌の"虫の声"の出演者は挙って鳴きまくっていた。
高校の文化祭で売ってやろうとクツワムシを50匹ほど捕獲し、自室の手製の大型飼育箱に保管したところ、夜中に一斉に鳴き始め、家族全員、何事かと私の部屋を覗きに来たが、当の私は熟睡事件も。
文化祭まで数週間飼育していたが、その頃には虫口密度過多による共喰いなどでみんなボロボロ。 結局売り物にはならなかった。
(続く)


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