「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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EMBRACE OF LIGHT
刻翔る依頼 (合同企画)
??? 「・・・・・・さい」
ゼロ 「・・・・何だ?」
??? 「・・・・してください。」
ゼロ 「・・・お前は誰だ?」
??? 「・・・殺してください。」
ゼロ 「何?」
突如自らを覆う光。そこでゼロの夢は覚めた。
麻都 「何?それ。」
ゼロの夢の話を聞いて、パンにかじりついていた麻都は困った顔をする。
ゼロ 「いや・・・俺自身も良く分からない。ただ、殺してくださいと言われた。」
麻都 「名前は?」
ゼロ 「知らん」
麻都 「顔は?」
ゼロ 「見てない」
麻都 「声の感じは?」
ゼロ 「はっきり覚えてない」
麻都 「・・・・やっぱただの夢じゃない?」
ゼロ 「だろうな・・・・・どうしたリーベル?」
ゼロはリーベルが先程から黙っている事に気づく。
リーベル 「・・・・ゼロ君。その夢・・・・僕も見たッス。」
ゼロ 「何?」 麻都 「は?」
二人は同時に疑問の言葉を発した。
リーベル 「その夢、僕も見たンスよ。名前も顔も分からないけど、確かに殺してくださいと頼まれたッス。」
ゼロ 「・・・・・・・」
麻都 「・・・・ま、まぁ!同じ夢を見るときだってあるわよ!!さぁ、ご飯ご飯・・・・」
急に麻都の動きが止まった。ゼロとリーベルは何が起こったのかが分からず、ただ黙って見ていた。
麻都の目の色が変わっていく。少しずつ、赤に侵食されるかの様だった。完全に赤色の瞳に変わり、話し出す。
麻都? 「・・・・殺してください。」
ゼロ・リーベル 「!?」
麻都? 「お願いです。あなた方しか頼る方がいません。」
ゼロ 「おい、お前は誰だ?俺たちの夢に出てきたのはお前だろう?」
麻都? 「・・・私の名前はフィア。貴方たちのいる世界とは別の世界のリミットブレーカーと呼ばれる存在。」
リーベル 「リミット・・・ブレーカー?」
ゼロ 「知ってるのか?」
リーベル 「いや、聞いた事ないッス。」
フィア 「今、こちらの世界では私の存在が原因で争いが生まれようとしています。」
ゼロ 「争い?一体何が」
フィア 「時間がありません。とにかくこちらに来て下さい。」
突如ゼロとリーベルの目前に光の渦が生まれた。二人はそれを見て驚愕した。似ていたのだ。二人がこの時代に来たとされる「ゲート」に
リーベル 「ぜ、ゼロ君!」
ゼロ 「似ているな・・・ゲートに。若干雰囲気が違うがな。」
フィア 「お願いです。すぐにこちらに来て下さい。」
ゼロ 「断る。俺たちがそっちへ行く理由などない。」
フィア 「・・・・・ならば仕方ありません。来てくれないと言うなら、この体の持ち主の魂を・・・殺します。」
ゼロ 「!?」
リーベル 「きょ、脅迫ッスか!?」
二人は行かざるを得なくなった。ただでさえ自分たちのせいで危険にさらしている麻都を殺すとまで言われたのだ。二人は躊躇する事なく渦へと飛び込んだ。
光の渦を抜けた世界は、先程まで自分たちがいた世界と変わらなかった。住んでいる人間を除いて。
ゼロ 「・・・リーベル。」
リーベル 「・・・何?ゼロ君」
ゼロ 「この世界では耳を頭に付けるのが主流なのか?」
リーベル 「・・・僕に聞かないでよ。」
行き交う人々は、もちろん普通の容姿もいるが、中には頭の上に動物の耳を付けている姿もあった。
リーベル 「・・・・ネコ耳ってヤツッスよね?」
ゼロ 「・・・・そうなのか?」
リーベル 「確か・・・。飾りなのかなぁ?」
??? 「違いますよ。」
不意に後ろから聞こえた声に驚き振り返る二人。そこには、綺麗な緑色の目をした女性が立っていた。
リーベル 「・・・えっと、フィアさんッスか?」
??? 「?誰ですか?それ。」
ゼロ 「違うのか。ならお前は誰だ?」
??? 「初対面の人に話しかける時は、まず自分から名乗るのが礼儀じゃないんですか?」
リーベル 「・・・むこうから話しかけてきたッスよねぇ?」
相手に聞こえないようにゼロに話しかけたつもりが、女性には聞こえていたらしくリーベルを睨みつける。
ゼロ 「すまなかった。俺はゼロ、こいつはリーベル。2人とも傭兵だ。」
リーベル 「よ、よろしくッス。」
??? 「私は綾。島田綾・・・まぁ会社員とでも言っておきましょうか。」
リーベル 「ぜ、ゼロくぅん。僕この人怖いッス・・・」
綾 「私、アナタ嫌い」
またもやリーベルの言葉が聞こえたらしく、リーベルを指差し指摘する。
ゼロ 「ふぅ、やれやれ。ところで綾さん。俺たちはフィアという人を探してるんだが、知ってるか?」
綾 「さっき誰ですかって言いませんでしたか?」
ゼロ 「む?・・・そうだったな。」
リーベル 「いきなり壁に当たったッスね・・・・って、なんすかアレ?」
リーベルが示した方向に居たのは、何やら怪獣らしき姿だった。背は小さく絵的に手抜きされた感が溢れている姿だった。
綾 「あれはヤジラ・・・一応龍人です。」
ゼロ 「敵なのか?」
綾 「どちらともいえませんね。喋ってみればわかります。」
リーベル 「話できるンスか!?」
ヤジラと呼ばれた生物は、リーベルの前で止まった。リーベルは恐る恐る話しかけてみた。
リーベル 「ど、どうも。僕はリーベル。君はヤジラって言うんだね?」
ヤジラ 「プリンくれ」
リーベル 「・・・は?何を言ってr」 ヤジラ 「プリン」
リーベル 「どういう意m」 ヤジラ 「くれ」
リーベル 「何でプr」 ヤジラ 「何でも」
リーベル 「ワケがわかr」 ヤジラ 「さっさと出せ」
リーベル 「持ってないッスよ?」
ヤジラ 「・・・・チッ、使えねぇなぁ。」
ヤジラの最後の一言にリーベルの顔色が変わった。
ゼロ 「お、おいリーベル?」
リーベル 「・・・・こんのクソ生意気な生物には世間の厳しさを教えた方がいいッスね。」
ヤジラ 「そうだぞ?」
リーベル 「お前の事を言ったンスよぉ!!!」
リーベルは手から炎を出した。得意の魔科学だ。
綾 「!!!」
出した炎をヤジラに向けて放つ。ヤジラは何も言わず、向かってきた炎を口へと招き入れた。食べたのだ。
ゼロ 「な!?」 リーベル 「嘘!?」
ヤジラ 「マズイ、お前失格だね」
そういうとリーベルの前で飛び、顎に向けて強烈なアッパーをお見舞いした。リーベルはゼロと綾の頭上を越えて地面に叩きつけられた。
ゼロ 「・・・・・おい」
綾 「KO~」
ゼロ 「敵と見ていいんだな?」
リーベルをのめしたヤジラは、今度は狙いをゼロに定める。
ヤジラ 「お前は?持ってる?」
ゼロ 「あいにくと・・・」 ゼロは[ポケット]からファントムを出す。
ゼロ 「甘い物は嫌いなんでな!!」 ゼロはファントムのトリガーを引き、銃口から「赤い犬の精霊」を呼び出す。
ゼロ 「・・・・行け!」
ファントム 「・・・・・・・・・」
ゼロ 「・・・・・?どうしたファントム?」
ファントムはその場に座ったまま動こうとしなかった。それだけではなく、その場でブルブルと震えていたのだ。
ゼロ 「・・・・・お前まさか」
綾 「怯えてますね、その子」
ヤジラ 「可愛いなぁ」
ヤジラの一言に、精霊にもかかわらず滝のような汗が流れ始めるファントム。ヤジラはソレを素通りしてゼロの目前で止まった。
ヤジラ 「・・・・HEAVENorHELL!!」
ゼロ 「何?」
ヤジラはゼロの顔面まで飛び上がり、強烈な右ストレートをお見舞いしてねじ伏せた。
綾 「またまたKO~」
ヤジラ 「オレ強ッ!!」
完全に意識を失ったゼロとリーベル。綾はそれを見てつぶやく。
綾 「このままにしとくのも酷よね。それに・・・・・あの人が必要とするかも知れないし。」
綾はヤジラを見た。
綾 「後でプリンあげるから、この人たち運んでくれない?」
ヤジラ 「マジで!?」
綾 「マジで。行きましょう」
ヤジラはゼロを抱え上げ、リーベルを口に咥えて綾についていく。
フィア 「・・・・さん」
ゼロ 「・・・・・」
フィア 「ゼロさん・・・・ゼロさん」
ゼロは目を覚ました。見たことの無い景色。どこかの神殿のように見えた。
ゼロ 「・・・・ここはどこだ?」
フィア 「ここは私の夢の中・・・と言った方がいいですね。」
ゼロ 「どういうことだ?何故俺がここにいる?」
フィア 「・・・・・・・」
フィアは何も言わない。ゼロもそれ以上何も言おうとしなかった。
フィア 「・・・・時間がありません。早く私を殺してください。」
ゼロ 「待て。俺たちはお前がどこにいるのかが分からない。」
フィア 「それは・・・私にも分かりません。」
ゼロには意味が分からなかった。自分のことなのにわからないという彼女の言葉を理解できなかった。
フィア 「!!いけない、気づかれます。」
ゼロ 「・・・・何?」
フィア 「お願いです。早く私を見つけて・・・・」
フィアはそう言い残すと、光となって消えていった。
ゼロは、ベッドで目を覚ました。隣のベッドでは、リーベルが眠っている。
??? 「おう、気がついたのか?」
足元から声が聞こえる。目を凝らしてみると、そこには赤い瞳の少年が立っていた。
ゼロ 「・・・・誰だ?」
??? 「まぁまぁ、そう不審がるな。俺は影司。綾の・・・・まぁ上司だな。」
ゼロ 「綾・・・・」
綾。ゼロとリーベルがこちらの世界に来た時、初めて言葉を交わした女性。彼は、その上司だという。
ゼロ 「・・・・彼女は?」
影司 「うん?ちょっくら調べ事をな。」
ゼロ 「・・・調べ事?」
影司 「お前が寝言で言っていた[フィア]という人間を調べている。」
ゼロ 「・・・・分かるのか?」
影司 「う~ん・・・どうだろうね?俺でも検討が付かないや。」
ゼロ 「・・・そうか。」
ゼロは天井を見つめて考える。自分を殺してくれと以来したフィア。この世界。そして・・・・
ゼロ 「!!!!」
ゼロは急に起き上がった。
影司 「な、なんだぁ!?」
ゼロ 「アレは何処だ!?」
影司 「アレ?」
ゼロ 「えっと・・・アレだ!!怪獣だ!!」
影司 「怪獣・・・・あぁ、ヤジラね。アレならプリン食ってさっさと帰ったぞ?」
ゼロ 「・・・・・・・・・・。」 ゼロは困惑した表情を作る。
影司 「・・・どうした?」
ゼロ 「・・・・あれは、何者だ?」
影司 「いや、何者だと聞かれても・・・・。ちょっと変わった奴さ。」
ゼロ 「・・・ちょっと?」
ゼロは再び困惑した顔になった。その顔を見て影司はくすくすと笑う。
影司 「まぁ、君たち[別次元]の人間にはちょっとの領域じゃないんだろうけど。」
ゼロ 「!!・・・知ってるのか?俺たちの素性。」
影司 「・・・綾から聞いたよ、君たちの事。」
影司が言うには、この世界では、ゼロたちのような[魔術]に似た能力を持つ人間が多数いるそうだ。ただ、そのほとんどが遺伝子の操作による物で、ゼロたちの様に自然体での行使は認められていないそうだ。
影司 「結論。君たちはこの世界の人間じゃない。そして・・・・」
影司は笑みを失くして話す。
影司 「鍵を握るのは[フィア]という女性だ・・・違うかい?」
ゼロは言い返せなかった。むしろ彼になら今のこの状況の打開策を考えてくれそうな気さえしていた。
影司 「・・・まぁ、全ては綾の情報収集次第・・・なんだけどね。」
綾 「グッドタイミングです社長。」
綾が部屋に入ってくる。影司は再び笑みを浮かべる。
ゼロ 「・・・社長・・・だと?」
影司 「あぁ・・・俺は会社経営者なんだよ。そこら辺は気にしないで。」
影司は綾が渡した書類に目を通す。そして一呼吸置いてゼロに話しかける。
影司 「・・・・君の探してる人、そう遠くない所にいるね。」
ゼロ 「何?」
影司はゼロに書類を見せた。それには地図が載っていて、現在地から、数キロ離れた所に赤く丸が付いていた。ここにフィアがいるのだという。
ゼロ 「・・・・・世話になった。」
影司 「えぇ?もう行くの?」
ゼロ 「・・・・以来だからな。リーベルはこのまま連れていって問題はないな?」
綾 「えぇ、気絶してるだけですから。」
ゼロ 「そうか・・・なら担いでいくか。」
ゼロはリーベルを背中に負ぶって部屋を後にする。2人が去った後、影司は綾に話しかけた。
影司 「・・・・綾、あの2人の後をつけろ。」
綾 「・・・・ではやはり。」
影司 「あぁ・・・・とうとう見つけた。究極のプレーンズウォーカーを・・・。」
影司の笑みは徐々に不敵な物へと変わっていった。
ゼロは丸の付いていた場所に到着するとリーベルを叩きおこした。
リーベル 「いったぁい!!!な、なんなんスかゼロ君!!」
ゼロ 「・・・・ここに居るらしいぞ、フィアが。」
リーベル 「・・・・え?」
リーベルが顔を上げると、そこには大きな洞窟があった。先が見えなく、不気味な雰囲気を漂わせていた。
洞窟から何かが出てきた。
リーベル 「・・・か、感動のご対面ッスか?」
リーベルの発言に、ゼロは、ファントムとゴーストを構える動作で応えた。だが、そこから出てきたのは・・・
ヤジラ 「おっすボンクラ。」
リーベル 「・・・・・・・・・・・・・・・」
ゼロ 「・・・・・お前がフィアだったのか。」 リーベル 「んな訳ないッス!!」
ゼロの発言を即座にリーベルは否定した。二人のやり取りを見てヤジラは不適な笑みを浮かべる。
ヤジラ 「ついて来いよキチガイ。」
リーベル 「・・・・相変わらずムカつく生き物ッスねぇ。」
ゼロ 「落ち着け。どうやらフィアの事を知ってるらしいぞ。」
リーベル 「分かってるッスよ!!」
ゼロとリーベルはヤジラの後についていく。その様子を綾は物陰で見ていた。
綾 「・・・ここにいるのね。」
綾はゼロ一行にばれない様に後を付いていく。
洞窟の最深部はものすごく広い空洞になっており、中心には祭壇があった。そこで眠っている女性。
ゼロ 「これが・・・・フィア。」
リーベルは眠っている女性に触れる。
リーベル 「・・・・ぜ、ゼロ君。この人・・・死んでるッスよ?」
ゼロ 「・・・・なんだと?」
二人は困惑した。自分の殺しを依頼した本人は既に死んでいた。どういう事なのだろうか?
ヤジラ 「あぁ、それ元からそんなんだったよ?」
ゼロ 「!?どういうことだ?」
リーベル 「やい爬虫類!!どういう事か説明するッス。」
ヤジラ 「爬虫類じゃねぇ!!」
ヤジラはリーベルに向かって激怒する。
ヤジラ 「それ、俺が連れてきた時には冷たかった。」
ヤジラの話では、数日前、洞窟の近くで倒れていたフィアを見つけここにつれて来たと言う。だが、その時には息をしていなく体も冷え切った状態になっていたそうだ。
ゼロ 「・・・・だが俺たちの意識には干渉してこれた。どういう事だ?」
ヤジラ 「しらね。つうか考えたくもないね。」
リーベル 「・・・・こんのやr」 ???「答えてやるよ。」
背後から声が聞こえた。二人と一匹が振り返るとそこには影司と綾がいた。
ゼロ 「影司・・・」
リーベル 「綾さん!」
二人は駆け寄った。だが、その二人の足を綾はハンドガンで止める。
ゼロ 「!!」 リーベル 「!!」
綾 「ストップ、それ以上動かないで。」
ゼロ 「・・・・何の真似だ?」
影司 「ごめんごめん。でもさぁ・・・君たちが邪魔になったんだよね?」
リーベル 「・・・邪魔?」 ヤジラ 「カマ?」
影司 「[それ]は・・・俺が探してた究極の道具なんだよ。」
影司はポケットから何かを取り出す動作をする。ゼロとリーベルは本能で構えた。
ヤジラ 「・・・・こえぇ。」
影司はポケットからあるものを取り出した。それは円の形をしており、真ん中にくぼみがあった。
リーベル「・・・・あれって」
ヤジラ 「灰皿でしょ?」
ヤジラは即答した。同時にリーベルは警戒心を失くし、影司に寄っていく。
ゼロ 「!?よせ!近づくな!?」
リーベル「え?」
ゼロは警戒心を解いていなかった。リーベルは不思議に思い、振り向こうとした瞬間、頬を何かがかすめる。そこから血が流れる。影司は戻ってきた[それ]をつ掴んだ。先程の灰皿だった。
影司 「なんだよ?[灰皿道]知らないの?」
リーベル「何スかそれ!?」
ヤジラ 「普通は知らないわな。」
影司はクスクスと笑う。
影司 「ま、こんなモンでもれっきとした武器になるわけだ。分かったかい?」
ゼロ 「分かりたくもないな。」
ゼロは愛銃を構える。
ゼロ 「さっきお前はフィアを[究極の道具]といったな。・・・どういう意味だ?」
影司 「そのまんまの意味さ。彼女は凄いんだよ?例えば・・・」
影司は二人を指差し、話を続ける。
影司 「君たち二人をここへ連れてきた力。この世界ではあり得ないんだよ。特別な力を使わない限りね。」
ゼロ 「特別な力?」
影司 「そう。この世界ではソイツを持ってる人間の事を[プレーンズウォーカー]って呼んでるんだ。」
リーベル「プレーンズ・・・ウォーカー?」
ヤジラ 「俺もある意味それ。」
リーベル「え!?」
影司 「ははっ、そうだな。・・・ただプレーンズウォーカーはある事をすれば誰でもなれる要素はあるんだ。」
ゼロ 「・・・何だと?」
影司 「例えば・・・」
影司は綾に合図を送る。綾はハンドガンでヤジラを打ち抜く。致命傷になり得る場所だ。二人は驚く。だが・・・
ヤジラ 「・・・・ってーじゃねぇかこのやらう!!」
当のヤジラはピンピンしている。二人は混乱した。影司は再びクスクス笑いながら話し始める。
影司 「ソイツみたいに死ねない体になるんだ。もちろん全員がそんなんになるわけじゃない。」
今度はフィアを指差す。
影司 「ソイツみたいに意図的に心臓を止め、魂と呼ばれる物だけで生きるようにもなれる。」
ゼロ 「意図的に・・・だと?」
リーベル「つまりこの人って・・・」
ヤジラ 「オネンネしてるのね。」
綾 「そうよ・・・・間違ってる?フィア。」
綾はフィアに話しかけた。するとフィアの体が反応する。ゆっくりと起き上がり、目を開ける。
フィア 「・・・さすがですね。そこまで分かっていたなんて・・・」
ゼロ&リーベル 「!?」
フィアは目を見開く二人を見つめ、静かに話し始める。
フィア 「・・・ごめんなさい。少し驚かせてしまったようですね。」
リーベル「す、少しどころじゃないッスよ。」
ヤジラ 「激しくビックリだって。」
フィア 「本当に申し訳ありませんでした。それと・・・」
フィアはヤジラに近づく。
フィア 「私を運んでくれてありがとう。」
ヤジラ 「同情するならプリンくれ!!」
ゼロ 「同情じゃないぞ?」
ヤジラ 「黙れガンオタク。」
ゼロ 「ガ・・・・」
ゼロは珍しく落ち込んだ。フィアはクスクスと笑う。
フィア 「分かりました。手作りでよければ後でたっぷりご馳走しますよ。」
ヤジラ 「!?手作り歓迎!」
ヤジラは親指を立てて喜んだ。影司が会話に割り込む。
影司 「取り込んでるトコ悪いんだけど・・・困るなぁ、勝手な約束したら・・・道具のクセに。」
影司が[灰皿]を構える。だがフィアを守るようにゼロとリーベルが立つ。
リーベル「あ~あ、だめッスよ?[部外者]が話題に入っちゃぁ。」
影司 「・・・何だって?」
ゼロ 「どの次元だろうと、生きる者には[自由]がある。貴様にそれをどうこうする権利など無い。」
影司 「・・・・かっこつけちゃって。」
綾 「社長・・・・」
影司 「心配ないさ。こんな奴等、俺一人で十分だ。綾は・・・」
綾 「はい。フィアを・・・」
綾は驚異的な跳躍であっさりとフィアの背後を取る。だが間にヤジラが割り込む。
ヤジラ 「ここは俺にマカセロ!お前らは頭のドタマ捕れ!!」
ゼロ 「お前・・・」
ヤジラ 「・・・・良い事言ったぁ。」
リーベル「・・・一言余計ッスけどね。任せるッス!!」
ゼロとリーベルは影司に向かって走りだす。
ゼロ 「ファントム!ゴースト!人間相手だが構うな、死なない程度に遊んでやれ!!」
ゼロは真紅と漆黒の銃のトリガーを引く。赤と黒、2匹の犬が現れ、影司に向かう。影司は特攻する2匹をかわし、体勢を立て直す。タイミングを合わせリーベルが攻撃を仕掛ける。
リーベル「いくッス!!」
リーベルの手のひらで炎が燃え、それを影司に向かって放つ。だが影司はそれをいとも簡単にかき消す。
影司 「・・・今度はこっちから行くよ!」
影司が灰皿を投げる。驚異的なスピードで二人に向かう。二人はすかさず回避する。だが、投げた灰皿は軌道を変えゼロの足とリーベルの腕を切る。
ゼロ 「ぐっ!」 リーベル「痛っ!!」
驚く二人を見つめ、影司は不適な笑みを浮かべる。
影司 「踊る灰皿・・・ってところかな?凄いでしょ?」
形勢は逆転された
戦闘が始まって間もないのだが、ゼロとリーベルは既にボロボロだった。所々の服は破れ、血がにじみ出ている。影司には傷一つ無く、つまらなそうに欠伸をしている。
影司 「・・・なぁ、つまんないんだけど。いいかげん本気でやらない?」
リーベル「ハァ、ハァ・・・馬鹿にされてるッスよ?」
ゼロ 「・・・だがこの状況を覆す方法が見当たらない。正直・・・マズイぞ。」
影司が近づく。合わせるかのように2人は一歩引く。そうこうしている間に壁にたどり着いてしまい、逃げ場を失ってしまった。
影司 「あれ?もしかして・・・チェックメイトってやつ?」
リーベル「グッ!」
影司が構える。リーベルも構えた。だがゼロは呆然と立ち尽くしたままだった。
リーベル「・・・ゼロ君?」
影司 「あれ?諦めちゃったの?」
ゼロ 「・・・殺される前に一つ聞きたい。」
リーベル「ゼロ君!!」
影司 「冥土の土産ってやつだ。いいよ、何かな?」
ゼロ 「・・・なぜそこまでフィアに固執する?プレーンズウォーカーは作れるのだろう?」
影司 「確かにね。でも・・・あれは違うのさ。」
リーベル「・・・違う?」
影司 「あれは・・・譲る事が出来るのさ。自分の力を・・・他人にね。」
ゼロ 「譲る?」
影司 「普通ならそんな事は出来ない。でもね、あれは[調整]の時点でそれを可能にしたのさ。だから俺は欲しい・・・あれの力をね。」
ゼロ 「・・・・・・・」
ゼロは考えていた。そして何かを思いついたようにリーベルに話す。
リーベル「・・・・・・えぇ!?」
ゼロ 「いいからやれ。それ以外に勝ち目は無い・・・気がする。」
リーベル「う~・・・・わかったッスよぉ。」
リーベルが構えなおし走り出す。後を追いゼロも走る。
影司 「何?特攻?」
リーベルが影司に炎を食らわす。だが影司はすかさずよける。それを横目にゼロは影司の脇を走り抜けた。
影司 「・・・え?」
ゼロは走る。その先にはヤジラが守っているフィアが居た。
ゼロ 「フィア!!」
影司 「・・・アイツまさか!?綾!!ソイツを止めろ!!」
綾 「はいなです。」
綾はゼロにハンドガンを構えた。だがその間にヤジラが現れる。
綾 「!?どきなさい!後でプリンあげるから!!」
ヤジラ 「手作りじゃなきゃなぁ。」
綾 「アンタいつから[手作り]にこだわる様になったのよ!!」
ヤジラ 「30秒前から」
ゼロはフィアの前にたどり着いた。
ゼロ 「フィア・・・わかるな?」
フィア 「・・・はい。私の力をあなたに・・・でも、こちらの世界の人間ではないあなたに譲ればどうなるか」
ゼロ 「依頼主はお前だ。俺には依頼をまっとうする義務がある。」
フィア 「・・・わかりました。」
フィアとゼロは光に包まれる。優しい・・・それでいて激しい光に
影司 「・・・・んの野郎!!」
リーベル「・・・契約みたいだ。」
綾 「あ~あ・・・」
ヤジラ 「たぁまやぁ!!」
光の中から何かが飛びあがった。ゼロだ。だが様子が違う。愛用の二挺の銃は光輝き、ゼロ自身背中に輝く翼を背負っていた。
フィア 「・・・後は任せました。」
ゼロ 「・・・了解。」
ゼロは狭い空間をその翼で飛び回る。同時に光り輝く二挺の銃のトリガーを引く。
ゼロ 「行け、ファントム!ゴースト!!」
放たれた瞬間、今まで以上に大きな二匹の犬が現れた。
ゼロ 「フルドライブ!!」
それらはゼロの号令を聞き届けて、1匹の精霊に変わる。翼の生えた金色の犬へと。
影司 「くっそ!!」
精霊は影司に向かい突撃する。一撃目はかわせたものの、二撃目は見事にヒットした。洞窟を壊さんばかりの大きな爆発。それを見届け、ゼロは大地に降り立った。
ゼロ 「・・・終わりだ。」
煙の中、人影を発見する。影司だった。たった一発でボロボロになった彼には、もはや戦意は無かった。綾は影司の元に駆け寄り、逃げるようにその場を去る。
フィア 「・・・ゼロさん。」
ゼロ 「・・・任務を果たしたいんだが。」
慌てて駆け寄ったリーベルがゼロを止める。
リーベル「ゼロ君!この人自身は悪くないッス!殺すのはやっぱり」
ゼロ 「俺たちは雇われ兵だ・・・確実に任務を果たさなければ生きていけない。」
リーベル「・・・・でも!!」
フィア 「いいのですよ、リーベルさん。私が望んだ事なのですから。そもそもこの力が無ければ・・・」
ゼロ 「・・・・それじゃあ。」
リーベル「ゼロ君!!」
ゼロ 「ヤジラ!!」
ヤジラ 「俺ぇ!?」
呼ばれたヤジラはゼロに近づく。
ゼロ 「・・・手作りのプリンと厄介事・・・どちらがいい?」
ヤジラ 「いや、決まってるでしょ?プリン。」
ゼロ 「ならばフィアの力、受け継げ。」
リーベル&フィア 「・・・え?」
ヤジラ 「羽を生やせと・・・」
ゼロ 「かっこいいぞ?空飛べるし。」
リーベル「・・・気にいってたンスね。」
ヤジラ 「・・・・モテるかなぁ?」
ゼロ 「間違いなしにモテるぞ?」
ヤジラ 「頂こうじゃないか!!」
リーベル&フィア 「そんな事で!?」
ゼロとリーベルは麻都の部屋に戻ってきた。相変わらず麻都は気絶したままだった。
リーベル「・・・本当に良かったンスか?あんなヤツに預けちゃって。」
ゼロ 「問題は無いだろう。それに・・・俺も殺すのは気が引けたしな。」
リーベル「ゼロ君・・・」
麻都 「・・・う~ん。」
麻都の目が覚めた。
麻都 「・・・あれ?アタシなんで寝てるワケ?」
リーベル「あぁ、それはフィアさんに体」 ゼロはリーベルを殴る。
ゼロ 「疲れていたんだろ。いきなり眠ったんだ。」
麻都 「・・・そっか。ごめんね?」
ゼロ 「構わん。」
リーベル「ゼロくぅん・・・コブが・・・コブがぁ・・・」
ゼロ 「・・・黙れ。」
ゼロはまたリーベルを殴る。
麻都 「あ~あ~あ~、喧嘩しないの!全く・・・」
二人は戻ってきた。もちろん、この世界も二人の本当の場所ではない。だが今は・・・この世界に居なければならない。ゼロはリーベルをからかいながら思った。
fin・・・?
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