EMBRACE OF LIGHT

EMBRACE OF LIGHT

4th 終わる安息



英明 「・・・生きてるな・・・どこにいんのかわかんねえけど。」

辺りを見回す。何処を見ても闇。その闇の中に一つだけ光る物が見えた。

??? 「・・・き・・・・あき・・・」

光が言葉を放つ。

??? 「・・・であき・・・・・英明」

自分の名前を呼ぶ光。徐々にそれは形を作り出す。

英明 「・・・・・・・・渚?」

不意に自分の口からこぼれた名前。最愛の妻の名前・・・・もう二度と目の前に現れる事のない人の名前。英明の意識はそこで途切れた。



次に気がついた時には見慣れた場所に立っていた。

英明 「・・・・俺の家じゃねぇか。」

英明が傭兵になるまで住んでいた家。「渚」という女性と仲良く暮らしていた家。

渚 「英明!!」

不意に呼ばれて慌てて後ろを向く。そこには、ふてくされた顔をした「渚」が立っていた。肩まで伸びているきれいな髪が風でなびいている。

渚 「もう、なぁにやってんのよ?そんなトコに突っ立って。」

英明 「あ・・・いや・・・すまん」

渚 「早く帰らないと、いい加減日が暮れるでしょう?」

英明 「あ・・・あぁ。すまん」

渚 「謝ってばっかだし・・・熱でも出た?」

渚の手が英明の額に触れる。暖かく柔らかい手。懐かしさを感じる感触。

渚 「うーん・・・熱はないみたいね。疲れたの?」

英明 「あ・・・あぁ、そうだな。」

渚 「ならなおさら早く帰らなきゃ。」

渚は英明の前を歩く。後をつける様に英明も歩く。


英明は困惑した。なぜ自分はここに居るのか?なぜ渚が居るのか?

英明 「・・・・・!?」

英明は気がついた。この風景、見たことがある。そして、この日何が起こるのかも。

??? 「やっと気づいたか?」

英明の前に見慣れた男が現れた。自分を「別次元の未来で起こす暴動」に誘った張本人。男性とは思えない程綺麗な顔をした男。

英明 「・・・レオン。」

レオン 「ここはお前の夢の中だ。・・・そして」

突如爆発が起こる。渚の歩いた方角。英明は絶句した。

レオン 「公式の発表では、この爆発は地雷によるもの・・・だったな。」

英明 「・・・・だった?」

英明は不審に思った。

レオン 「・・・よく見てみろ。」

英明は目を凝らす。爆発から現れる一つの影。

英明 「・・・・・!?」

英明は驚いた。爆発から現れた一人の男がよく知っている人物と似ていたからだ。赤と黒の犬の精霊を従えた男

レオン 「これが真相だ。」

英明は叫んだ。同時に体の底から憎しみという感情が湧いてくるのを感じた。

レオン 「仇をとりたいだろう?・・・渚と共に。」

英明 「!?」

レオン 「再びお前の物にしてしまえ・・・・渚を精霊として受け入れろ。」

レオンの言葉が英明に重くのしかかった。



麻都の目が覚めたのは翌朝だった。麻都の眠るベッドの隣でゼロが眠っている。

麻都 「・・・・・・ゼロ?」

ゼロの体が反応する。そしてゆっくりと目を開けた。

ゼロ 「・・・起きたか。だるくないか?」

麻都 「う、うん。少し頭が痛いかな。」

ゼロ 「そうか・・・。」

会話が途切れた。麻都自身、何を話して良いのかがわからない。いろいろと聞きたい事があったはずなのに、それらが言葉として出なかった。

ふと麻都は何かが足りない事に気づいた。リーベルが居なかったのだ。

麻都 「・・・あれ?リーベル君は?」

ゼロ 「情報収集と物資調達だ。」

麻都 「・・・物資?」


時同じくして商店街

リーベル 「おばちゃん!豚ロース100g頂戴ッス!!」

おばちゃん 「あいよ!あら、イイ男じゃない?」

リーベル 「やだなぁ、おばちゃんの方がイイ女ッスよ♪」

おばちゃん 「あらまぁ、嬉しい事言ってくれるじゃないかぁ。おまけしとくよ♪」

リーベル 「ホントッスか!?やり~♪」

リーベルは自分が注文した量より多めの肉を手に持って家に向かう。

リーベル 「なるほどねぇ・・・あぁいう風に言えばおまけしてもらえるんだぁ・・・・・ん?」

リーベルは電気店のショーケースで流れているテレビニュースを見た。

リーベル 「・・・・・・・・・うそ・・・ッスよね。」



再び麻都の家。相変わらず二人に会話はない。ただただ時間が流れているだけだった。麻都はベッドから起き上がりゼロの横に座る。ゼロは愛銃の手入れをしている。

麻都 「・・・・難しい?」

ゼロ 「慣れればどうという事はない。」

麻都 「・・・あっそ。」

再び沈黙。麻都は何か話題がないかと脳を働かせる。

麻都 「・・・・・ゼロってさ!!」

ゼロ 「!!・・・な、なんだ?」

不意の大声にゼロの手は止まった。

麻都 「ゼロって・・・それ本名なワケ?」

ゼロ 「・・・・・・そんな事か。」

ゼロは再び手を動かし始めた。

麻都 「そんな事ってのはないんじゃない?だって・・・何か味気なくない?」

ゼロ 「俺には名前など不要だ。」

麻都 「何で?」

ゼロ 「呼ぶ者がいない。」

麻都 「・・・・・で名前は?」

ゼロ 「話を聞いてたか?」

麻都 「何で呼ぶ人が居ないと名前が不要なワケ!?最初は誰にでもあるでしょうが!!」

ゼロ 「俺にはない。最初からゼロと呼ばれていた」

麻都 「あ・・・・・」

麻都はしまったと思った。聞いてはいけない事を聞いてしまったようだ。

麻都 「・・・・ごめん。」

ゼロ 「気にするな。それに名前は無くても生きていける。」

麻都 「いや、でも・・・・・あ!!!」

再び大声。ゼロはまたもや手をとめる。

麻都 「ならさ、アタシが名前つけようか?」

ゼロ 「必要ない。」

麻都 「アタシこういうの好きなんだよなぁ。」

ゼロ 「話を聞け。」

麻都 「昔っから犬とか猫に名前付けてたなぁ。」

ゼロ 「俺は犬猫と同類か?」

麻都 「・・・・アンタのマスターは誰?」

ゼロ 「グッ・・・・・」

ゼロは返す言葉を失くした。それを同意と認めた麻都は早速紙とペンを用意して考え始める。そんな自分のマスターを呆れまじりの溜息をつきながら、ゼロは見守る

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