EMBRACE OF LIGHT

EMBRACE OF LIGHT

番外編 いつかめぐり合う2人のために




景色の無い夢・・・誰かが自分に語りかけている。

???  「明日・・・今から見せる風景の所に来て欲しい。」

壮介   「・・・・・どういう事だ?」

???  「無関係なアンタに頼むのは心苦しいが・・・アンタの娘さんの為だ。」

壮介   「麻都の・・・・!?」

目の前に景色が浮かんだ。

━━━首都から離れた山奥

━━━見たことも無い古びた洋館

壮介   「・・・娘は此処に行ったのか?」

???  「あぁ。そして、全てが終わった後・・・娘さんはここで倒れてるはずだ。」

壮介   「なに・・・?死ぬという事か!?」

???  「・・・・それは判んねぇ。でも、どちらにせよ娘さんは此処に居る。尻拭いを・・・頼む。」

━━━夢は終わった。


明朝・・・壮介は無理を行って休暇をとった。自分で言うのも何だが、倭山総合病院には優秀すぎるスタッフがいる。だから今日だけは任せる事にした。

昨日見た夢を鵜呑みにしたわけではなかった。ただ、先日娘が語ってくれた話・・・娘は嘘をついてるようには思えなかった。だからこそ夢の中で言われた事が不安になった。


目的地に着いた。夢の中で見た光景と瓜二つだった。さらに現実味を帯びてくる。

壮介   「・・・麻都。」

壮介は洋館の中に入る。


━━━メチャクチャだった。

所々壁が破れ、何かが燃えてる様な匂いがしている。

人が倒れていた。壮介は急いで駆け寄り脈を取る。

・・・生きている。外傷もない。疲弊しているだけだった。

壮介   「・・・初めて見る顔だな。」

刻真が自分の所に運ばれて来た時に居た人間では無かった。恐らく彼が麻都達の敵なのだろうと察しがついた。

上へ続く階段を見つけた。

壮介   「・・・後でちゃんと処置してやる。」

壮介はその場を離れ階段を駆け上がった。


開けた場所にたどり着いた。1階程では無いが、それでも壁や床にはヒビが入っている。

鉄屑だろうか?その上にまた人が倒れている・・・女性だった。

脈はある・・・首に強く捕まれた様な痕があった。閉じられた目からは涙が流れている。

壮介   (・・・・状況が読めんぞ。)

とりあえず、壮介は1度女性を抱き上げ、背中の鉄屑を払い、自分の上着を敷き、その上に女性を静かに下ろした。

壮介   「・・・彼女も初めて見る顔・・・か。」

ここまでの道のりで、壮介はまだ見知った顔と出くわしていない。少しだけほっとしている。

━━━轟音がした。

上の方からだった。壮介は辺りを見回し、上へと続く階段を発見した。

壮介   「すまん、先を急ぐ。」

壮介は急いで階段を駆け上がる。


やけに長い階段だった。外から見た洋館の数倍はある感じだった。

壮介   (くそっ!・・・どうなってる!?)

ゴールが見えた。そしてその耳でしかと聞いた。

麻都   「ふざけるなーーーーー!!」

娘の声だった。怒りとも悲しみとも取れる声だった。

壮介が最上階にたどり着く。

壮介   「麻都!!」

声をかけた瞬間、麻都はその場に力なく倒れこんだ。瑞樹も同様に倒れている。



麻都と瑞樹以外には誰も、居なかった。急いで2人の脈を取る壮介。

・・・・・・・・生きている。

壮介は力が抜ける感覚を感じた。

━━━どこからとも無く、眩い光があふれ出した。

壮介   「な・・・なんだ!?」

???  「出迎えご苦労さん。」

光から聞こえる聞き覚えのある声・・・夢の中で聞いたあの声だった。

壮介   「・・・お前は誰なんだ?」

???  「俺はゲート・・・今回の戦いの元凶ってヤツだ。」

壮介   「・・・・ゲート。」

ゲート  「娘さんには世話んなったよ。刻真のマスターとして良くやってくれた。礼を言う。」

壮介   「・・・・そうだ、刻真君はどうした?姿が見えない様だが━━━」

ゲート  「あるべき場所に帰す。心配するな。」

壮介   「あるべき場所・・・娘の言っていた世界の事か。」

ゲート  「あぁ・・・まぁ、それもアイツ次第だがな。」

壮介   「・・・・・どういう事だ?」

ゲートは包み隠さず、全てを話した。自分の能力の事、刻真とレオンの事、今後の事・・・

壮介   「・・・・つまり、君の能力を受け継ぐかどうかは彼次第という事なんだな?」

ゲート  「あぁ。」

非現実的な事ばかり教えられた壮介・・・必死で理解しようとしていた。

ゲート  「頑張ってる所悪いんだけどよぉ・・・そろそろアンタの記憶も消さなきゃなんねぇんだよ。」

壮介   「・・・・何?」

ゲート  「ちょいと教えすぎた。悪いな・・・」

壮介   「・・・・・・・。」

壮介は考えた・・・・。そして一つの提案を出した。

壮介   「私の記憶はこのままにしておいてくれないか?」

ゲート  「・・・・あぁ!?無茶言うなよ!」

壮介   「この事は全て黙っている。」

ゲート  「そんな事信じられるか!」

壮介   「・・・もし」

真剣な眼差しをゲートに向ける壮介・・・威圧感があった。

壮介   「もし、彼が・・・刻真君がまたこちらに来るような事があったら、私が彼と娘を会わせてやりたい。」

ゲート  「・・・・お前、それでいいのか?」

壮介   「無論、父親としては納得できんが・・・娘が悲しむような事はあって欲しくない。」

ゲート  「・・・・・・・ふぅ。」

頭を掻きながらため息をつくゲート。

ゲート  「・・・・アイツが、それを望まなかったら・・・その時は記憶を消すぞ?」

壮介   「構わん。感謝する・・・」

壮介は麻都を背負い、瑞樹の腕を自分の肩に回し、その場を後にする。

ゲート  「・・・・・さぁて、どうなるかな?」




2008年 倭山総合病院


壮介は院長室である資料を見ていた。来年から新しく来る医者のデータだった。

壮介   「・・・・そう来たか。」

壮介は苦笑していた。

倉元 刻真・・・・名前を見てまさかとは思ったが、顔写真を見て確信した。

壮介   「・・・・君は、こちらを選んだのだな。」

壮介はこちらに来るまでにやっておいて欲しい事を全て書き出して、エアメールとして送る事にした。


・・・・その中には自分の愛娘の写真を入れて置いた。

壮介   「・・・・出迎えてやれ、麻都。」



THE END

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