ホシミスト3013の天体撮影記

ホシミスト3013の天体撮影記

2016年05月24日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ここのところ天の川の写真を続けざまにアップしています。
 空の暗い所に行くと三脚に固定して撮影するだけでも、こんなに天の川がきれいに写るのか
 と驚きますよね??

 でも、何かちょっと物足りない。

 そうなんです。
 天の川には赤い散光星雲があちこちに広がっているのですが、
 その色がよくわからないんです。

 実は、最近天の川を固定撮影した画像は、
 天体写真用の改造を施していないカメラで撮影しているんです。



 天体写真における、ネガフィルムの選び方を思い出す

 むかし、フィルムで撮影していたころは、
 簡単に手に入る国産のカラーフィルムには2つのメーカーがあって、
 富士と、小西六、
 よく知ってる名前で呼べば、フジカラー、と、サクラカラー、ですね、
 その二つを比べて、サクラカラーの方が赤がよく写る、ということで
 天体写真には、サクラカラーの方をよく使っていました。

 つまり、天体写真を撮る時には、赤が写ってほしいんですね~~

 天体写真で赤が写ってほしい理由

 宇宙空間に漂っているもののうち、私たち人間が認識できるものとしては
 水素が最もありふれています。
 星雲も、その成分のほとんどは水素です。
 水素は、恒星が放つ強力な紫外線を浴びると


 つまり星雲の光は赤外線なんですね!

 デジカメの特徴

 一方、カメラは、人間の目で見える色を忠実に再現したいわけですので
 可視光線だけに感度を発揮したい、ということになるわけです。
 ところが、この地上には、生活によって発生する赤外線があふれています。
 もちろん、太陽光にも赤外線は含まれています。


 デジカメのセンサーは、もともと赤外線にまで感度がありますが
 そういう理由で、赤外線まで写し込むと何もかもが真っ赤に見えてしまうため
 赤外線をカットするフィルターがセンサーの前に装着されています。

 実はこれがあることによって、デジタルカメラを夜空に向けても、
 星雲の光として最もありふれた光である赤外線(Hα線)がカットされてしまうわけです。

 赤外線を撮るためには

 赤外線をカットするフィルター、と言っても、赤外線の透過率は0になるわけではないので
 赤外線だけを通すフィルターを装着して、長時間露出することにより
 赤外線だけを写すことができます。
 その画像を、普通に撮影した画像と合成することによって、
 赤外線も一緒に写すことは可能となりますが、
 手間暇がべらぼうにかかってしまいます。

 もともと、センサーは赤外線に対して感度があるわけですから
 それなら、元々組み込まれている赤外線をカットするフィルターを
 取り払ったら、赤外線が写るようになるじゃないですか?

 それが、デジタルカメラの天体改造なんです。

 そういう改造をすることによって、もちろんデメリットもありますが、
 その話は最後に。

 改造前と改造後でどれくらい写り方が違うのか

 ネットで検索すれば、光の周波数とセンサーの感度のグラフ、
 赤外線カットフィルターの特性曲線、
 フィルターありの場合となしの場合の、感度曲線
 などが調べがつくでしょう。
 私はそういう話は苦手なので、実際に自分の撮った画像で比べてみたいと思います。

 残念ながら、デジカメを購入・改造したのは、天体写真の趣味に戻ってきて
 一番最初の頃で、
 デジタル天体写真のことは何も知らなかった頃です。

 撮影の腕も、画像処理の技術も持っていませんでしたので、
 同じカメラでの改造前と改造後の画像を比べることができません。
 ところが先日、アウトレットで、非改造機を安く購入することができました。
 機種は違いますが後継機なので、基本的な所は類似しているだろう、
 というところで見比べてみてください。

 撮影したのは、いて座の天の川の中にある、M24別名バンビの横顔。
 バンビの首元に、バンビの首飾りと呼ばれる、二つの青い星雲と一つの赤い星雲
 が見られます。
 また、M24のすぐ北東側に、M17オメガ星雲、という赤い星雲もあります。

 撮影したレンズは25年くらい前に中古で購入したPentaxK135mmF2.5、
 どちらのカメラもISO感度は1600、露出時間は1分、
 非改造カメラはくじゅう高原小田の池で(Canon EOS Kiss X7i)、
 改造カメラは塚原高原で(Canon EOS Kiss X4(Ir))、
 撮影しています。
 (塚原高原の方が小田の池より街灯りが多い、というビハインドがあります)

 画像処理を行った枚数は、改造カメラが40コマでしたので
 非改造カメラも40コマだけを使って、画像処理をしています。

 画像処理は、DeepSkyStackerを使用し、standard mode kappa-sigma clipping です。

○まずは非改造カメラでの画像処理終了時点の画面です。
改造カメラの功罪 DSS画像処理終了画面 非改造X7i
改造カメラの功罪 DSS画像処理終了画面 非改造X7i posted by (C)ホシミスト_3013


○次は改造カメラでの画像処理時点の画面です。
改造カメラの功罪 DSS画像処理終了画面 改造X4
改造カメラの功罪 DSS画像処理終了画面 改造X4 posted by (C)ホシミスト_3013


 RGBの各曲線は、改造/非改造ともに同じになるように揃え、
 画像の明度も同じになるように調整していますが、
 この時点でも既に改造カメラの方が、赤みがかっていることが分かるでしょうか??

 ここから同じ領域をトリミングして、一枚の画像としてみます。
 ここからは上が改造カメラ(X4(Ir))、下が非改造カメラ(X7i)です

○これはDSSからAutosaveとして出力・保存されたTIFF画像そのままです。

改造カメラの功罪 上が改造X4 下が非改造X7i Autosave
改造カメラの功罪 上が改造X4 下が非改造X7i Autosave posted by (C)ホシミスト_3013

 こうしてみると、RGBは揃えたはずなのに、改造カメラの方は全体に赤みがかっていて
 赤外線の影響を受けていることがよくわかりますね。

○次に非改造カメラのレイヤーと改造カメラのレイヤーを一つにまとめて
 同じ量だけ補正がかかるようにしたものです。

改造カメラの功罪 上が改造X4 下が非改造X7i 2枚とも同じ画像処理(PSCS2)
改造カメラの功罪 上が改造X4 下が非改造X7i 2枚とも同じ画像処理(PSCS2) posted by (C)ホシミスト_3013

 改造カメラの方がより赤みが強い、ということがはっきりすると思います。

○次にレイヤーごとに独立して画像処理をし、似たような色合いになるようにしました

改造カメラの功罪 上が改造X4 下が非改造X7i 個別の画像処理
改造カメラの功罪 上が改造X4 下が非改造X7i 個別の画像処理 posted by (C)ホシミスト_3013

 改造カメラの方が、赤い星雲がより淡い部分まで写っている
 ということは一目瞭然です。
 また、改造カメラではない方は、赤い星雲なのに青みが強い、とも言えると思います。
 一方で、青い星雲は赤外線ではなく、酸素によるO3線ですので、
 改造は関係ない、ということもわかります。

 改造カメラの欠点


1.カラーバランス
 全体に赤みがかかってしまうので、背景が赤くならないように調整が必要です。
 これまで、非改造カメラであまり撮影したこともなかったので
 私の写真は、その赤みを引く、という手順はほとんど行っていませんでしたが
 今回比べてみたことで、ある程度赤を引いた方がいいな・・・と思えてきました。
 そのバランスをとるという、微妙なさじ加減が、改造カメラでは必要になります。

2.ゴーストの発生
 赤外線カットフィルターを取り除くことによって、
 非常にまぶしい対象を撮影した時に、 見たこともないようなゴースト
 発生するようになります。

3.ポートレートへの流用
 もともと用意されているプリセットのホワイトバランスが全く使えなくなります。
 撮影する前に、白いものを撮影して、それを基準としたホワイトバランスを取れば
 実はほとんど問題なくポートレートにも使えます。

 ただし、朝焼け・夕焼け、など、赤外線の量が大きく異なる時間帯は
 状況に応じたホワイトバランスのための撮影が必要です。

 ストロボの光は少なくとも私は上手くホワイトバランスが取れませんので、
 ストロボ撮影はお勧めできなくなる、と思っていただけるとよいでしょう。

 カメラの動画撮影機能ですが、これもホワイトバランスが取れなくなります。
 真っ赤な夕焼けの中での撮影の様な動画になります。

4.ポートレート時の対策
 レンズの前に装着する赤外線カットフィルターが販売されています。
 これを装着することによって、プリセットのホワイトバランスに近づけることが
 できますが、元々の赤外線カットフィルターとは特性が微妙に異なるので
 完全ではありません。
 しかし動画撮影やストロボ撮影では、ある程度役に立つかもしれません。

 フィルターには露出を1.3倍に伸ばすこと、と書いてありますが
 元々1.3倍に延ばさなければならないフィルターを取り外していますので
 感度を犠牲にするわけではありません。

5.カメラのセンサークリーニング機能
 EOS Kiss X4 の場合、自動クリーニング昨日は全く問題なく使えていますが
 時折、自分で手作業でのセンサークリーニングが必要になります。

6.メーカーサポート
 改造を施したカメラはメーカーの保証を受けられなくなります。
 もっとも、私は改造後にメーカー保証を受けなければならないような故障は
 経験していません。
 タイムラプスのために一晩に3000枚撮影など、
 べらぼうな枚数を撮影することもあるので、
 シャッターユニットへの負荷は大きいですから、
 一般的な撮影だけを行っているユーザーよりは早く、
 シャッターユニットの寿命を迎えることになるかもしれませんが、
 改造後4年間、故障知らずです。

 ショップによっては、メーカーでの修理などを受けやすくするために
 後で、取り外した赤外線カットフィルターを、元に戻す改造も
 受け付けてくれます。


 まとめ
 正直、改造しても、ストロボと動画撮影以外でのデメリットは何も感じていません。
 やはり星を撮りたい者、としては赤い星雲を写し込みたいですので
 自分自身は天体カメラ改造は、大成功、やっててよかった!
 と思っています。





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最終更新日  2016年05月24日 21時49分13秒
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Re:改造デジカメ による 天体写真 ノーマル機 との 違い の例(05/24)  
星船hoshifune さん
ホシミストさんこんばんわ。
私はしばらくcanon60Dを天体改造して主に星雲・星団用、Canon6Dを無改造で一般写真と星景写真用につかっていたのですが、やっぱり物足りなくって結局6Dの方も改造してしまいました。やっぱり改造機の赤い星雲の映りは魅力あります。
画像処理は難しいですよね。画像処理したときは上手くいったと思っても後で見ると赤が強すぎたことが結構ありました。画像処理の難しさも天体写真の魅力の一つではありますが。 (2016年05月24日 22時58分33秒)

Re[1]:改造デジカメ による 天体写真 ノーマル機 との 違い の例(05/24)  
星船hoshifuneさん、こんばんわ~~!
星船さんほどの手練の方でも、そんなことがありますか!
それでは私ごときでは、真っ赤な画像になってしまったとしても
仕方がないですね~~(^^ゞ

今回並べて処理してみて、赤を少し落とさなければいけないことを
十分に思い知りましたので
今後は気をつけてみたいと思います。

ノーマル機でも、星景写真では何ら問題ない気がしますが
こと、天の川周辺に限っては、赤が写らないと
ちょっとさびしく感じますよね(笑)

>ホシミストさんこんばんわ。
>私はしばらくcanon60Dを天体改造して主に星雲・星団用、Canon6Dを無改造で一般写真と星景写真用につかっていたのですが、やっぱり物足りなくって結局6Dの方も改造してしまいました。やっぱり改造機の赤い星雲の映りは魅力あります。
>画像処理は難しいですよね。画像処理したときは上手くいったと思っても後で見ると赤が強すぎたことが結構ありました。画像処理の難しさも天体写真の魅力の一つではありますが。
-----
(2016年05月25日 00時54分08秒)

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15年ぶりに趣味の世界に帰ってまいりました。はたして天体写真の腕が上達するのか?その足跡を残しておきたいと思ってはじめたブログです。
最近は、DeepSkyStackerというフリーソフトを使えるようになり、画像が格段によくなってきましたが、その分庭からでなくなってしまいました。暗いとはいえ住宅地からどれくらい星が写せるのか、も見ていただけたら、と思います。
なお、梅雨など、星が写せないときには遠景や花など、節操無くアップしますのでご容赦を。
(^^ゞ

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