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Jun 17, 2011
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カテゴリ: 観劇

メトロポリタンオペラ来日公演『ドン・カルロ』

6月10日(金)と15日(水)に行って参りました。

・・・はい。二回行ってしまいました。わはは。

もちろん、最初は一回のつもりだったんです。
半年前に10日のチケットを確保。
3階の最前列なので、視界を遮るものは無いし、全体が見渡せるし、
音も良く飛んでくるし、声とオケのバランスもまあまあだし、良い席だったとは思うのです。
・・・が、NHKホールはとにかくデカイ!
最前列と言えども舞台との距離はかなりあって、何とももどかしくて。
大好きなヴェルディの音楽に浸り、歌手たちの熱のこもった歌を聴き、

ついにはホロストフスキーのロドリーゴの死の場面で心臓をわしづかみにされ、
どうしてもこの場面をオペラグラス無しで観たい!!って思っちゃった。
『ドン・カルロ』の上演はあと15日と18日。
18日は都合が悪いのでチャンスは15日だけよね・・・と思ってチケットを確認してみたら
何と、1階真ん中ブロックの6列目があるじゃないですか!
これは運命よね!と勝手に解釈して即ゲット。
実は14日夜にはメト管弦楽団の特別コンサート、
15日午前中に国立劇場で歌舞伎鑑賞教室、午後は仕事して夜『ドン・カルロ』と言う
われながら訳わからないスケジュールになってしまったのでした。
バカですよねぇ・・・でもいいの。幸せだから♪

3階と1階で観たのは、結果的にとても良かったと思います。

いろいろな細かい点に気づくことができたし。
音楽として聴くのなら、音がまとまって響いて来る3階席が良いのかもしれないけれど
やはり生の舞台ですから、歌手の表情の変化が見え、肉声が聞こえる席のほうが
臨場感があってワクワクします。


さて、公演について。


外来オペラのプログラムって普通2000円くらいするので驚いたのだけれど
演目解説ページの舞台写真等は全て当初来日予定だった歌手の写真が使われていますし
出演者の紹介もそのまま。
直前のキャンセルもあったし、プログラムを刷り直すのはあまりに大変なので
大量キャンセルと配役変更のお詫びも兼ねて、タダで配っちゃおうということになったのでしょうね。

MET.jpg

『ドン・カルロ』はいろいろなヴァージョンがあることで有名ですが、
今回はイタリア語5幕版。
4幕版だとカットされてしまう第1幕にはカルロとエリザベッタの出会いのシーンがあって
この場面があると、愛し合っていた二人が政治的理由で引き裂かれてしまったと言うことが
良くわかり、後の二人の心の葛藤にも感情移入しやすくなると思います。
演出は、オーソドックスなジョン・デクスター版。
今シーズンから、ライブビューイングにもなった新しい演出がスタートしていますので
古くさいという批判もあったようですが、私はオペラは断然オーソドックスな演出が好み。
絢爛豪華な舞台装置と衣装も素晴らしく、とっても満足でした。
特に15日。間近であの衣装を観られたのは眼福でしたわ~
しかし、25分の休憩2回含めて上演時間4時間40分。
午後6時に開演し、終演はほとんど11時近くでした。楽しかったけどちょっと疲れた・・・

ドン・カルロ役のヨンフン・リー。オペラ界のヨン様です。
みんなが期待していたカウフマンの代役と言うことで大変だったのではないかと思います。
私も正直東洋人か・・・って失礼なこと思っちゃいましたし。
でも、予想を裏切る大健闘でした!
とっても素直な良い声で声量もあるし、響きも明るいし、聴いていてストレスを感じないの。
カウフマンを生で聴いたことは無いのですが、録音で聴く限り重めでやや暗い響きの声なので
もしかしたらこの役にはヨン様のほうが合っていたかも?
カウフマンはできればフランスものかドイツもので聴きたいので、
秋のボローニャとバイエルンにはぜひ参加してほしいものです。
ヨン様、身長もそこそこあるし、細身だし、貴公子に見えなくもないのですが
立ち居振る舞いがあまりサマになってなくてちょっと残念。
そして、たくましい西洋人にに混ざるとどうしても幼く見えてしまう東洋人、
誰と並んでも幼い弟か息子のように見えてしまいます。
カルロ王子は、エリザベッタとエボリ公女に愛され、ロドリーゴに自分の身を犠牲にしてまで
スペインの未来を託され、父フィリッポ王には自分の地位を脅かす存在として恐れられている
と言う、タダモノではない人物のはずなんですけど・・・
そういう意味では華とカリスマ性抜群のカウフマンのほうが良かったのかな?
でも、カルロは同時にやることなすこと上手くいかない悩める王子でもあるので
そのあたりはヨン様上手く表現していたかも。

エリザベッタはマリーナ・ポプラフスカヤ。
この人も大人気のフリットリの代役という厳しい立場です。
私も個人的にフリットリのエリザベッタはとても楽しみだったし、
ポプラフスカヤはライブビューイングやYouTubeで聴いた限りでは、なんだかカサカサした
艶の無い声と言う印象だったので、あまり期待していませんでした。
容姿も声の美しさも、悪いけれどフリットリの圧勝ですし。
でも、舞台姿と立ち居振る舞いがすごく綺麗。映像よりも舞台向きですね。
ちゃんとものすごく美しい王妃様に見えました。
声は、劇場で聴くと響きがつくのでそれほど悪くなく、特に中声部は綺麗。
ただ、高音のGis、Aあたりになると声区のチェンジが上手くいかないのか
時々素っ頓狂な響きが聞こえたり、カサカサした声になったりしてハラハラしました。
聴かせどころの5幕のアリア「世のむなしさを知る神」は音域が広く音の跳躍も多い難曲なので
ちょっと苦労していたみたいでしたね。

エボリ公女はエカテリーナ・クバノヴァ。
この人もオルガ・ボロディナの代役。
とっても綺麗なメゾ声で、かなり好きな声です。
ヴェールの歌も良かったし、カルロ、ロドリーゴとの三重唱も迫力だったし、
「呪われた美貌」もバッチリ決めてくれました。
もうちょっと得体の知れない怖さみたいなものが出るともっと良かったんだけど。

男性低声部の主要キャスト3人は当初の発表通りです。
宗教裁判長のステファン・コーツァン、良く響くバス声なんですけど、
うーん、やっぱり若さが出てしまう。
この役にはフィリッポ2世を圧倒する凄みが欲しいところなのですが
どうしてもベテランがフィリッポ、若手が宗教裁判長と言うキャスティングになっちゃいますよね。
難しいところです。
声にも役作りにも全然凄みとか底知れぬ恐ろしさとかが感じられなかったので
3階から観た時はなぜか小さい人なんだと思っちゃってました。
1階で観たら結構大きい人だったのでビックリ。

さて、フィリッポ2世のルネ・パーぺ。
この人は一昨年の スカラ座来日公演 で聴いています。
あの時も素晴らしかったけれど、ますます深みが増して素敵でした。
素晴らしい存在感と演技。
第2幕第2場で彼が登場すると場が引き締まり緊張が走るのがわかります。
そして素晴らしい声の響き!
「ひとり寂しく眠ろう」は圧巻でした。

そして、ポーサ侯爵ロドリーゴ役のディミトリ・ホロストフスキー。
アリアを歌うのは何度も観ていますが、オペラでこの役を演じるのを観るのは初めて。
あぁ、憧れ続けたロドリーゴがついに目の前に・・・!
本当に素晴らしい理想通りのロドリーゴでした。
まず、舞台姿が美しくて絵になるんです。
銀髪をなびかせて登場した瞬間から目が離せなくなります。
あまりの素敵さに、ロドリーゴにガシッと抱きつくカルロに軽く嫉妬を覚えましたわよ。
そして、演技や表情が細かくて説得力がある。
何よりも魅力なのは、あの声。
とっても深みのある重い響きのバリトン。
一瞬バス・バリトンかな?って思っちゃうほど太い声なんだけれど
実は高音も難なく出るんですよね。
これはテノールやソプラノにも言えるんだけれど、重くて太い声質の人がそのままの響きで
高い音を出すというのは実にスリリングでエキサイティング。
本当にわくわくします。オペラの醍醐味の一つじゃないかしら?
第2幕第1場のカルロとの誓いの二重唱も、第2場のフィリッポとの二重唱も
とっても聴きごたえがありました。
そして第4幕、ロドリーゴの死の場面の素晴らしいこと!
迫真の演技が胸に迫って来て、一緒に苦しくなっちゃいました。
1階で観た時は撃たれて倒れるのが真正面だったので、表情も良く見えてさらに感動。
今でも「私を忘れないで」と言いながらカルロににっこり笑いかけた顔や
最期の苦痛にゆがんだ顔が目にちらつきます。
そして、生で聴く4小節ノンブレスにはただただ驚愕!
撃たれて倒れた苦しい体勢でですよ?
いったいどんな腹筋背筋横隔膜してるんでしょうねぇ・・・
第4幕の幕切れ、兵士たちがロドリーゴの亡骸を担ぎ上げるのですが
思わず仁木弾正かと思っちゃったよ。。。


METdoncarlo.jpg

フィリッポ2世のパーぺとロドリーゴのホロストフスキー。
やっぱりこのオペラの主役はこの二人のような気がする。



私はとにかく『ドン・カルロ』と言うオペラが大好きで、どの場面も全て好き。
ほかのオペラには多少「この場面いらない」って思う部分があったりするのですが
『ドン・カルロ』にはそれが無いんです。
『ドン・カルロ』の旋律を身体中にあびて包まれていた時間は本当に幸せで
夢の中にいるようでした。
これでまた頑張れます!



最後に、ホロストフスキーご本人が今回の公演を舞台袖から撮った映像を一部
公開していますので貼っておきます。



何度も見ては公演を反芻して夢見る夢子ちゃんになってるあやしい私です。。。










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Last updated  Jun 18, 2011 03:54:40 AM
コメント(6) | コメントを書く


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Re:メトロポリタンオペラ 『ドン・カルロ』(06/17)  
通りすがり さん
始めまして
昨日(18日)ドン・カロルを見てまいいりました
通りすがりです。

昨日の公演の余韻に浸りたくて、アップされている方のコメントを求めてパソコンを開きました。

読ませていただき・・もうぴったり おっしゃる通りで感激しました!(^^)!

私は、オペラを見始めてまだ日が浅く、ドン・カルロはDVDで見ただけだったので、そ面白さが全然割っていませんでした。
これから、このオペラのファンになると思います。
繊細で深いいオペラだな~っと思いました。
人間というもの・・・自分の生き方を考えてしまいました。

質問ですが・・・私は3階だったのですが・・・1階でないと生の声が飛んで来ないのですか?

これから、また、オペラの話題など読ませていただければありがたいです。
お邪魔しました。ありがとうございました。m(__)m (Jun 19, 2011 09:33:51 AM)

Re[1]:メトロポリタンオペラ 『ドン・カルロ』(06/17)  
あでぃな  さん
通りすがりさん

はじめまして!コメントどうもありがとうございます。

昨日ご覧になったんですね。日本公演のラスト、きっと素晴らしい舞台だったことでしょう。
私も開演の午後3時ごろからそわそわし始め、今頃このシーンかしら、あのシーンかしら、と未練がましく思いをはせておりました(笑)

熱に浮かされたように書いたやや独りよがりかもしれない感想を読んでいただき、また同意していただき、ありがとうございます。とっても嬉しいです。

『ドン・カルロ』、私も最初の出会いはCD、DVDで、これは上演が難しそうだなって思ったのですけれど、実は結構頻繁に上演されているようです。それだけ魅力的な作品なのだと思います。ぜひいろいろ聞き比べてみてくださいね。

ご質問ですが、オペラ歌手はご存じの通りマイクを使わずにあの大きな会場で歌いますので、自分の声をひたすら鍛え、身体できちんと響かせるようにし、その響きを会場の響きに乗せて隅々まで行き渡らせます。
3階席に聞こえてくるのは会場の響きが加わった声で、これが歌手が目指す声の完成形です。人間の声は上に飛んでいきますから、面白いことに1階の前のほうでは良く聞こえないのに3階だとものすごい声量に聞こえたりする場合もあったりします。
言わば、会場の響きで声を増幅しているわけですが、これはマイクなどを使った人工的な増幅ではないので、やはり歌手の生声と言えると思います。
ただ、1階の前方だと会場の響きがつく前の原型とも言える歌手の肉声や息遣いが聞こえるので、結構臨場感があったりするのです。近くで聴いていると、時々痰が絡んだようにケホッとなったりかすれたりする場合があるのですが、きちんと響く声で歌ってさえいれば、そういう小さな傷は会場の響きに補われて全体では聞こえなくなります。

たまにしか更新しないヘタレブログですが(汗)よろしかったらまたお越しくださいね。

(Jun 19, 2011 10:21:23 AM)

Re[2]:メトロポリタンオペラ 『ドン・カルロ』(06/17)  
通りすがり さん
あでぃなさん

早速 ありがとうございます
生の声・・・よく分かりました。
声って 面白いですね(*^_^*)
カサロヴァさん が来日されたとき サントリーホールの11列目で拝聴させていただきました。
彼女の身体(口)から出てきた声の波動をまともに受け止めてる感じがして・・・思わず口を開いてしました。
彼女の声のエネルギーを口から吸い込ませてもらってる感じでした。生の声に包まれると本当に体の調子が良くなります。温泉に入ってる感じです(*^_^*)。
こんな自分て ちょっと変かも(~_~;)。
ミュージカルはあのスピーカーに参っちゃうんです。
これから ボローニャの「清教徒」、新国の「こうもり」がマイブームです。
また、立ち寄らせて下さい ありがとうございましたm(__)m。
(Jun 19, 2011 03:03:25 PM)

Re[3]:メトロポリタンオペラ 『ドン・カルロ』(06/17)  
あでぃな  さん
通りすがりさん

わかります!
生の声のパワーって、すごいですよね。
美しい響きで全身を包み込んでくれたり、圧倒的なパワーで頭にガーンと衝撃を与えてくれたり。
声の響きに自分の身体も共鳴するような、細胞が活性化するよな、何とも気持ちの良い感覚は生の声じゃないと味わえないですよね。
私も昔はミュージカルも良く見たのですが、生の声の魅力に出会ってからは、足が遠のいてしまいました。
おっしゃる通り、スピーカーの大音量では癒されませんし、逆に神経が逆立つような気がします。

ボローニャの『清教徒』は私も行きます。もしかしたら会場ですれ違うかも知れませんね(*^_^*)
『清教徒』も素晴らしい歌い手を複数集めないと上演が難しいオペラですから、また素敵な声に出会えるのがとても楽しみです!

(Jun 20, 2011 08:14:54 AM)

Re:メトロポリタンオペラ 『ドン・カルロ』  
ぶたこ さん
はじめまして
通りすがりさんと同じように、18日のドンカルロを観て、同じように余韻にひたりたくて、あでぃなさんのブログにたどり着きました。
そうしたら、ホロストフスキーさんの動画が載っていたので、再生……大好きな「友情のうた」……うるっ。
パーペも素敵でしたよね。「エリザベッタ、パパの方でいいじゃん!」と思ってしまいましたよ。
「われながら訳わからないスケジュール」と言えば、私もドンカルロがあまりによかったので、会場で翌日のルチアのチケット買ってしまいました。19時からのボエームにそなえて、休養しようと思っていたのに……。
オペラの世界って、本当に恐ろしいですね。でもいいの。幸せだから
そして現在購入してある唯一のチケットが、ボローニャの清教徒なんですよ!
こうなったら、ぜひあでぃなさん、通りすがりさんとお話したい、と思ってコメントさせていただきました。
これからもよろしくお願いします。 (Jun 22, 2011 08:49:46 AM)

Re[1]:メトロポリタンオペラ 『ドン・カルロ』(06/17)  
あでぃな  さん
ぶたこさん

はじめまして!コメントいただきどうもありがとうございます。

連続二日で三演目ご覧になったんですか!?
すごい!すごすぎる!!
はぁ・・・羨ましい・・・
とても密度の濃い幸せな時間を過ごされたことと思います。現実に戻るのが大変だったのでは?(笑)
そう、オペラの世界は本当に奥が深くて恐ろしい魔界ですよね。この魅力を知ってしまったら、簡単には抜けられません。でも、ホント幸せ(*^_^*)

私も「友情のうた」大好きです!このメロディーが流れるたびにうるっとします。
最近はYouTubeでいろいろな映像が見られますが、つい最近観たばかりの舞台の映像と言うのはまた格別ですよね。
ホロストフスキーに感謝です。

パーぺもすごく素敵でした。
> 「エリザベッタ、パパのほうでいいじゃん!」
ホント、同感です!(笑)
政略結婚でも相手がパーぺだったら大当たりですよね。
私だったらパパでラッキーって思うかも・・・いえ、やはり家臣のロドリーゴに目移りして新たなスキャンダル・・・って誰も聞いてませんね。スミマセン(汗)

ボローニャの清教徒、楽しみですね!
まだまだ不安はぬぐい去れませんが、来日してくれるよう祈るばかりです・・・

あまり頻繁に更新してませんし、内容もいろいろでまとまりのないブログなのですが、まだどうぞお越しください。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>
(Jun 22, 2011 03:18:37 PM)

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