中古住宅をリフォームして快適子育て

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一枚の絵から。



壁にかかる一枚の絵を見つけた。
それは砂漠にぽつんとあるちいさなちいさな町の絵だった。
その町は砂漠に比べたらとてもちいさくて、それが砂漠の広大さと、圧倒的な自然を物語っていた。
そして、その町は「人の呼吸」が聞こえるような素敵な町だった。

この絵の持ち主のKさんは、考古学や、美術に詳しい方で、
昔教授をしていたと聞いていた。
なるほど、部屋のそこかしこに世界地図や、考古学の文献、歴史にまつわる本が並べられている。

「素敵な絵ですねぇ。どこかの美術館で手に入れたものですか?」と聞くと、Kさんは
「イランの人の絵です。夢があって良いでしょう?」と絵を見上げた。
「へぇ、珍しいですね。アラビアンナイト、みたいな感じで夢がありますよね~」と、私も真似して絵を見上げた。

「イラン政府に呼ばれて、イランまで行ったんですよ。それはそれは遠かった。飛行機を乗り継いでね。ちいさな町でこの絵を買ったんです。額縁も買うと荷物になるでしょ?だから絵だけくるくるっと丸めて持って帰ってきたんです。」
「イラン!すごい・・・。遺跡の調査みたいな感じでですか?へぇ~。」
「まぁ、そんなところです。」

「Kさんはいろいろな国にお仕事や観光で行かれたと思うんですけど、今まで行った中でどこが一番良かったですか?」
「やっぱり、日本、だね。」
「日本、ですか。」
「何が良いって、言葉が通じる。相手の気持が分かる。そして、我が家が一番だよ。」
「ほんとですね。私もそう思います。帰る場所があるから、安心して旅に出るような気がします。」
「あなたも旅が好きなんですね。いいことです。」
「はい。好きです。観光で、ですけど。」
「それがいいよ。」
Kさんはにっこりと微笑んだ。

私はKさんのような人になりたい、と心から思った。
「それがいいよ。」とにっこりと微笑む人になりたい。と。

仕事で世界中を飛び回った人が言う「日本だね」という言葉に重さを感じたし、
薄々日本が一番良いと知っていながら、まだまだ世界を見たい私もいる。
知らないことを知ることはワクワクする。
まだ知らないこういう素敵な絵を見つける事ができるかもしれない。

ヘルパーという仕事をしながら、今日はどこかへ旅をした気分に。

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