M ONLINE

M ONLINE

2009.06.07
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類




 気ままに歩いていたらふとあのビルが気になってムスメと行ってみたら、懐かしいご夫妻にばったり出くわした。ワタシがすっかり太っておばさんになっていたから最初は気づいてもらえなかったが、おばちゃんは以前とまったく変わらずスリムで元気いっぱいだった。もう引退されて悠々自適の生活を満喫中らしく、にこやかにお孫さんや鹿児島のご実家の話などを楽しく聞かせてくれた。


 このご夫婦にはワタシたちだけでなく、感謝してもしきれないくらいほど両親がお世話になったのだ。ワタシたちがインディアナにいるころ、末期癌の父は何度も部屋で倒れしょっしゅう救急車を呼んだり近所で具合が悪くなって道でうずくまることがよくあったらしい。そんなとき八百屋さんご夫婦やご親戚のかたや弟さんなど力のあるかたたちが父を担いで行ったり来たりしてくれたそうなのだ。いっときも父の側を離れることができなかった母は日ごろの食料の調達はほぼすべてその八百屋さんにお願いしていて、その面でもかなりお世話になっていた。わが家にとっては恩人と呼ぶべきご夫婦なのだ。なのに帰国後すぐあいさつに行くわけでもなく長いこと本当に不義理をしてしまった。申し訳ないことだ。


 久しぶりに元気で明るい八百屋のおばちゃんと話していたらつましく暮らしていた新婚のころや、コドモたちが産まれて静かに幸せだったころを思い出して懐かしくなった。ムスメはおぼろげながらそのビルを覚えているという。そうだね、四年前にお葬式で戻ってきてときもここに泊まっていたんだもんね。


 ドアを見ていたら父と母がひょいと出てきそうな気がした。そしてその上の階には新婚のころのワタシが荷物を持ってぱたぱたと歩いていそうで、ちょっと涙がにじんできた。














お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.06.16 00:10:08


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: