ジャズサックスとウルトラマラソンな日々

ジャズサックスとウルトラマラソンな日々

5.2 萩往還250kmその1


制限時間 48時間  関門あり
コース 瑠璃光寺~上郷駅~美弥~俵温泉~俵島~
     ~川尻岬~千畳敷~~長門市~青海島~
     ~宗頭~萩市~往還道~瑠璃光寺

完踏タイム 44時間40分41秒
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痛みとの戦い、睡魔との戦い、それは自分との戦いでした。中継エイドで自らリタイアを
告げる人が沢山おられましたが、最後まで諦めない気持ちが奇跡の復活をもたらした
と思います。応援頂いた方々、また、共に戦い声を掛けて下ったランナーの皆様に
心より感謝いたします。

250kmという距離のこと
普通の人がいきなり走れる距離ではありません。フルマラソンの42kmでさえ練習しない
と走れないものです。またコースは平地では無くいくつもの山の峠越えがあります。
制限時間48時間の間に250kmを移動を続けるには昼夜走り続ける必要があるため
超人的な体力と精神力が必要になります。(過去に140km出場経験を要す)

萩往還道とは
江戸時代1604年毛利氏によって開かれ、全長53キロの山陰と山陽を結ぶ重要な
林道で当時は領民に幕末には、吉田松陰、高杉晋作ら維新の志士達も頻繁に往来し、
歴史上重要な役割を果たした古道です。2011050414170000.jpg

マラニック大会
この大会ですが、コースが4コースあり、A250km、B140km、C70km、F35km
そして各コース共必ず萩往還道を通過するように設定されています。また、往還道は
舗装された平地ではなく登り下りの激しい登山道といった方が適切だといえます。
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レース前
かなりの疲労が予想されるため移動は往復新幹線としレース後宿泊し新幹線で帰る
計画にしました。途中リタイヤした場合も中継地に預けた荷物が4日でないと帰って
こないので計画通りになります。午後1時ごろ現地についたて走る準備をして3時
から大会説明会に参加。250kmには全国からつわもの達が約450人出走します。
そして約1割の方が女性ランナーになります。

故障のこと
実は2週前のフルマラソン大会で右股関節が故障しており本来なら出場しないのですが、
今までのトレーニングが何だったのか?など、自問自答した上で少しでも大会に浸って
みたいと思い走ることを決意しました。・・・ウソ、ほんとは参加費が3万円でっせ。あーた!
元は取れんでも、完走出来んでも何かしら思い出を作る必要がありまんがな!と、
貧乏根性がそうさせただけです。(笑)そして鍼治療に最後の望みをかけてやって貰いま
したが、痛みがあり何キロ走れるか分らない状態だったので無理しないで行けるところまで
行くつもりでした。

携帯装備
長距離であり昼夜走り続けるためある程度の携帯装備が必要になります。エイドは
ありますが、エイド間の距離が長いため捕食も携帯する必要があり小型リュックに
最低限の荷物を装備します。
・夜間用のライト、手袋、サングラス、日焼け止め、摩擦皮膚保護剤、ネキシオテープ、
 皮膚炎症用薬、携帯ポンチョ。ウインドブレーカー、地図、マキュロム、ティッシュー、
 歯ブラシ、パワージェル×2、ユンケル、大福、水500ml、カメラ、各薬・・・などを
捕食類は無くなり次第コンビニで購入する予定です。結構重いので肩も凝りました。

スタート
山口県庁の近くに有る国宝瑠璃光寺がスタート・ゴールになります。
午後6:00から50人ずつのウエーブスタートでわたしは3組めで4分遅れでスタート。
軽いジョギング程度の速さで一般道の歩道、途中から自転車道を西へ向う。
リュックを背負った蛇列のランナーの光景はかなり異常でした。すぐに日没になり
頭にライトを装着して走ります。

28km 下郷エイド
最初の約13km地点の上郷エイドにはお知り合いの応援に来てくださった ハリーさん が、声をかけてくださいました。うれしい瞬間でした。そこから北に向かって自転車道の
真っ暗な坂道を走って進みます。ところが右股関節の痛み以上に左の股関節に痛み
があり早くもリタイヤの兆候があったので迷わず痛み止めの鎮痛剤のロキソニンを
服用しました。30分ほどで痛みは柔らぎ効き目はありましたが前途不安でした。
自転車道から一般道へ、少しずつ人がばらけて真っ暗な夜道を進むのですが、景色
が見えないため距離間がなく、いつまでたっても辿り着かないような気持になります。
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59km  第1CP 豊田湖畔公園 深夜1:00
チェックシートに針刻印を押します。これを忘れると完走が証明されないので命の次に
大切なものとして携帯しています。食事エイドになっているのでうどんを注文しました。
おにぎりが付いていましたが、欲しくないので返却しました。2個目の痛み止めを服用
して出発。再びコースは登りになり俵山温泉へと向います。俵山から砂利ケ峠という
急な峠を越えて下りに昼間でも全く車が通らない細い峠道をクネクネと降りて行くが、
怖くて気持ち悪いの道のりでした。痛み止めのお蔭で股関節の痛みないのですが、
深夜3時なので疲労感と睡魔が襲って来るのです。止まるわけにも行かず無理をして
顔を叩きながら闇の中を走りました。

80km 新大坊エイド 午前5時
分娩のタイミングを伺っていたが、ベストポイントだった。昨年あたりの100kmの
レースは都度下痢を起こして分娩室に何回も通いついには関門アウトというような悲惨
な経験をしていましたが、今回は秘薬のお蔭でその心配は全くないのですが、分娩は
完走のための重要な行為ですので慎重に場所やタイミングを選びました。
ついに淡路のウルトラクイーン vinatch さんに追いつかれエイドを一緒にスタート。
空が白んでくる中を日本海側の海岸線へと向うが景色がいいので睡魔が無くなりました。
やがてvinatchさんに置いていかれてしまいました。次の食事エイドの海湧食堂で
追いついたのですが、食事前にまた置いていかれました。ウルトラで彼女には勝てない!

98km  第2CPの俵島に到着 午前7時
コースは最高のビューが続くのですが登り下りが激しくとてもじゃないが上りは走る
気になれない。坂道を歩いていると同じペースで進んでいるランナーと何度も並走する
様になるので話しかける。みんな変人?ではなく私のような清く正しい普通の人が多い。
登りの早い人、下りの早い人と色々でそれは足の筋肉の太さでは無いようです。
天気は曇りで最高のラン日よりでしたが、暑いので途中のJAでアイスを買う。うめー!
川尻岬でカレーを頂く。おルービが飲みたかったが、じっと我慢。・・じっと我慢!じっと・・
日本海側の海岸線を東に向う。はるか水平線や小さな漁村がやたら懐かしい感じでした。
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125km 第5CPの千畳敷に到着 午前11時?
第4CPの立石観音からは凄い坂道と峠、そして手前2kmは見上げるような坂道。
そこをゼッケンをつけていないランナーが駆け上がって行く?リュックも重そう。
声を掛けて見る「ここは普通走れないでしょう?」「そう、ここは段々と斜度がキツく・・」
凄い人がいるものだと思いながら登り切るとハリーさんがいてその人と話をしていた。
ダレなのか判明。なんと ホライゾン という超人ランニング集団のトップの方でメンバーの
応援に来ておられついでに坂道トレーニングをしていたようです。ちなみにハリー
さんもメンバーの1人で昨年のギリシャで開催されたスパルタスロン(246km 制限時間
36時間)の完走者です。

143km 仙崎公園エイド 午後4時
千畳敷からは疲労も加わりヨレヨレになりながら長門市に入って行くのですが気温が
高くなるにつれてモチベーションがどんどん下がって行くのが分りました。膝の裏のスジ
やハムストリングを幾度となく路肩で伸ばしながらケアを行ないました。
ここから青海島の鯨墓までの往復約20kmコースになります。大方のランナーはリュックを
エイドに預けて行くのでわたしもチェックシートとお金だけをもって出発しました。
往復なので自分の前にいるランナーや後にいるランナーと遭遇します。すれ違いざま
にみなさん片手を挙げて声を掛け労をねぎらい合います。すでに150kmもの距離を
走っているのです。みんな手の付けられないアホです。共に頑張りたいので自然に
応援してしまいます。岡山から参加しているサブ3ランナーよしだーさんとやっと鯨墓で
遭遇。少し休んでから行くとのことでしたが、すぐにフルマラソンのスピードで追い抜かれました。
同じく岡山から参戦のピロピロさんに遭遇、う~ん、1時間半遅れか?

164km 仙崎公園エイド 午後7時
仙崎公園エイドに帰ってくると日が暮れました。ここから約12kmで仮眠エイドがある
宗頭文化センターがあるので時間的に見て完走の可能性があることを初めて認識。
ところが出発した直後からついに左足股関節に激痛があり走行困難となり歩くことに。
痛み止めもすでに4錠も飲んでいるので服用は敬遠しました。暗い県道の歩道を足を
引きずりながらの12kmは非常に遠く辛い上にリタイヤの文字が浮かぶのでした。
宗頭センターを24時に出発すれば歩いてゴール出来る事は聞いていましたので
気持ちはまだ諦めていませんでした。

176km 宗頭文化センター 仮眠・荷物エイド 午後9時30分
暗い夜道をたった一人で足を引きずりながらの歩行はとても疲れ果てていました。
ハリーさんがここでも応援で待っていて下さって声を掛けて頂いたのですが、何回も
声を掛けたのに気付かなかったようで後で、ハリーさん曰く「かなり疲れてましたよ」
お風呂もあるのですが、湯に浸かるとモチベーションが下がるという事を途中並走
したランナーに聞いていたのでシャワーだけで済まし、ウエアを全て着替えました。
ビールを飲みたかったのですが、中には売っていなかったので買いに行く元気も
無く諦めました。24時まで2時間あるので1時間半の仮眠をとることにしました。
大部屋に布団が敷いてあり約50人ほどが寝ていたので空きを見つけて横になるの
ですが、人の出入りが激しいのでうるさくて寝れない!やっぱりビールを飲めば
よかったと反省しました。


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