現場検証



姉はソファに横になってもらい、休んでもらい。

私と父で現場検証に立ち合いました。



幸いにも、刑事さんは私たちの心中を察して色んなフォローの言葉を

かけてくれ、良い方でした。



『うちにも実は1歳くらいの子供がいるんです。

 正直、こういった現場に入るのが一番つらいです。

 そして、ご家族の気持ちを考えると、現場検証なんて

 本当につらいと思います。



 ただ、悲しいことに、育児ノイローゼで赤ちゃんを殺してしまったり、

 育てる気もないのに、ただ産んで、放置をして死なすということが、

 少なくないんです。



 今回の現場検証は、そういった可能性はありませんよ、という証拠を

 上に提出するためのものですので、どうぞご協力ください』



と。



部屋の温度を測ったり、お布団のかたさを確かめたり、赤ちゃんの回りに

どんなものが置いてあったか・・など、いろいろと写真を撮られました。



私は、刑事さんに聞きました。



『本当にただ驚いて、信じられなくって・・

 こんなことって、あることなんですか?』



と。



刑事さんは辛そうに答えました。



『実は珍しいことではないんですよ・・

 長く刑事をしていたら、こういった現場には、

 何度か居合わせます』



と。



そして、こうも言われました。



『とにかく、お姉さんを一人にする時間を作らないよう、

 ご家族で協力してください。

 こういったことを経験されたお母さんは、

 とにかく自分を責めてしまうんです。

 一人の時間があればあるほど、どんどん自分を責めて、

 追い込んでしまうので、とにかく、一人にさせないであげてください』



と。



そして、現場検証も終わり、警察もひきあげ、

その1時間後に連絡がありました。



事件性はもちろんないこと、窒息など外からの力で亡くなったわけではないことから、

死因は



『不詳の内因死』いわゆる赤ちゃんの突然死ということでした。





私たち家族は、

ほんの半日前までは、この部屋でこれ以上ない幸せに包まれていました。

その半日後には、家に沢山の刑事さんが来て、現場検証を終え、

そして、部屋には赤ちゃんがいない・・



いったい何が起きたのか。



家族全員が、狐につままれたような、

とにかく現実として受け止められていませんでした。

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