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2008年09月14日
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カテゴリ: お出かけ記
宿の食堂で、私はおかみさんの手書きの、宿周辺マップを見つけた。

わくわくする地図だった。
そこで、その日は地図片手に、片っ端から宿の周りを探検しようということになった。

地図には
「地元の人が行く海」やら、
「山の味がする湧き水」やら
なにがおススメなのかわからない「オススメ『長根橋』」やら・・。

とりあえず地元の人が行く海へ行ったら、人っ子一人居ない美しい砂浜。

着替えて、今度こそやんばるの山のほうへ行くことに。
私も子供も「湧き水」が気になって、山道を車で走る。
すると、ちょうど、「オススメ『長根橋』」を通った。
それは、どのガイドブックにも、地図にさえ載っていない橋だったが、
とりあえず降りてみる。
長さ50メートルほどあろうかという大きめの橋の、両側はひたすら
緑。緑。緑。
うん?と思って車を降りてみると。。
ぞおおおおっ!
緑は緑でも、その奥行きがすごい。
橋の遥か下には、よーく見ればかすかに川の水が光っている。

ひたすら緑の木々が景色を埋め尽くしている。
空以外はすべて緑。
何にも余計なものがない。
その奥行き、深さともに、今まで私が経験したことのない距離だったので、
視界にそれがいっぺんに入ることに脳がついていかない。

吸い込まれそうで、足がすくむ。
そして、その緑も、いわゆる日本の山の風景(多くは杉だったり)とは全然ちがう。
ヒルギと呼ばれる亜熱帯独特の木だ。よく見るとほとんどヒルギばかりの森。
だから、今まで見てきた山の風景とは違ってみえる。
橋の反対側を見ても、また同じように緑、緑の奥深い景色。
ほかに何にもない。
これだけ何にもないと、「地球」がくっきりと感じられる。
自分が地球にに立っていることが、少しだけ、感覚的にわかったような気がした。

「なるほど、これがオススメか」と納得して、湧き水のところまで
地図を見ながら進む。
おかみさんの地図は、例によって手書きの大らかな地図なので、距離感が
全くつかめない。目印もない。
すると、道端に止まった車を発見。
見ると、無数のペットボトルを道に並べて、数人のおじさんおばさんが
談笑している。
聞けば、那覇のほうからはるばる水を汲みにきているらしい。
湧き水は、道端の岩の切れ目に突き刺してあるプラスチックの管を通って
チョロチョロと出ていた。それをじょうごを使ってペットボトルへ。
数時間掛けて汲むらしい。これまた、大らかな沖縄時間。
私たちは少しだけだったので、割り込ませてもらってペットボトルに
水を入れてもらった。
渡してもらったペットボトルは見る見る白く曇っていく。
それだけ水が冷たい証拠。
口に含めば、ひんやり、とろりと甘い。
これなら、はるばる来るわけだ。
乾いたのどを潤していると、息子が「リュウキュウハグロトンボだ!」と
キレイなトンボを見つけた。
道端の小川にも、見たこともないきれいな鳥が居た。
歩いているとハンミョウも。
初めて目にする生き物ばかり。
ここが、まぎれもなく「やんばる」の森だ。
森は、一歩入ると、シダを大きくしたような植物や、見たこともない木々がほとんど。
なんだか恐竜時代の森のよう。
そして、まぶしい日差しにもかかわらず、木陰は驚くほどひんやりしていた。
子供たちも疲れていたので、あまり奥深く森に入ることができなかったが、
「やんばる」の森を体に感じることができた。

宿に戻って、夕食は私の気に入った小屋でいただくことにした。
今回の旅行最後の夜。
小屋にはろうそくがつけられて、柔らかな空間に。
食堂のほうからは、誰かが弾く三線の音が聞こえる。
この宿は、宿泊客意外に、夕食を食べに来るお客さんの
多いこと。美味しくてボリュームたっぷりのおかみさんの
食事に、たくさんの男の人たちが集まってくる。
私は涼しい風に当たって、星空を見ながらおいしい食事。
もう、なんにも言うことなし。

小屋の縁側に腰掛けてライトアップされた小川を見ていたら、
おかみさんが、手桶にいれた大きなつぼみのようなものを
持ってきた。
なんと、それはドラゴンフルーツの花だった。
ドラゴンフルーツといえば、派手なピンクのとげとげした外観の
南国のフルーツ。
その花のつぼみは意外にも、やさしいクリーム色だった。
「この花はね、夜咲くのよ、だからご飯食べてるうちに
 きっと咲いてくるから、楽しみにしておきなさい」
と言い残して、また忙しそうに台所へ戻った。

最後に素敵なプレゼント。
ゆっくり食事をしていたら、静かに花が開いてきた。
月明かりに、優しい白い花。
忘れられない夜になった。

翌朝、出発の日だ。
なんだか、とっても名残惜しい。
思えばおかみさんと、もっと話がしたかったなあ。
私たちがどこから来たか(やっぱり宿帳なかった)も聞かないし、
何処へ行けと勧めるわけでなし。
でも、寛ぐ私たちに、そっと黒砂糖のお皿を差し出してくれたり、
手抜きなしの愛情たっぷりの食事を作ってくれたり。
そして、あのドラゴンフルーツの花。
温かいおもてなしの心を感じた。
最後に、清算をお願いしたら、料金までまたもや大らか。
一泊二食で4500円と激安なのに、下の子(3歳)はタダだと。
いえいえ、食事も寝具も全部大人並に利用させてもらったんですと、
あわてて、お金払いますと申し出た。
じゃあ、1000円だけ。
って、あの食事一食だけでも、都会では1000円ですよ、おかみさん。
あまりの商売っ気のなさに、びっくりした。

子供たちは、すっかりなついたハイジとの別れを惜しんでいる。
私は、人の手のぬくもりいっぱいの宿にすっかり癒された。
いい宿に出会えてよかった。
また、来年も必ず行きます。
ハイジとおかみさんに見送られて宿を後にした。






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最終更新日  2008年09月15日 00時44分36秒
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