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ドミ来る その4

ドミ来る その4


その本とは、スタンレー・コリン著「デキのいい犬、わるい犬-あなたの犬の偏差値は?」(原題:The Intelligence of Dogs、文春文庫)という本であった。ここのところ犬の育て方の本を本屋で買いまくっていたところ、このキャッチーな邦題に引きつけられて、本屋で衝動買いしてしまった本であった。

読み始めて当初、犬の生物学的、歴史的、宗教学的考察が入っていたので、ちょっとはずしたかなーと思っていた。しかし、読み進めていくうちにぐんぐんはまっていった。仕事(番犬、狩猟犬、牧羊犬など)に向く犬、向かない犬、服従的性格、攻撃的性格の見分け方等々。犬種や個体に対する見分け方が詳細に記載されている。

そして、衝撃的だった「服従、作業知能における犬の順位表」。

アメリカの犬の訓練士に実施したアンケート、服従訓練トライアル大会の結果などをもとにして、著者が発表した、訓練しやすい犬種の順位表であった。どうやらこの著作がアメリカで出版された時も、その表が一番反響を呼んだらしかった。

それによると、うちのドミの犬種、シーズーは…70位。

70位以降の犬は、訓練のしやすさとしては最低のランクらしい。ちょっと70位以降の犬種に関する記述を抜粋すると、

「作業、服従知能の程度が最も低く、最もむずかしいと判断された犬種である。これらの犬種は最初の訓練で30回から40回くり返して、やっと自分がなにかが期待されているらしいと気づき始める。これらの犬種では基本的な作業を教えるために100回以上も繰り返すことも珍しくなく、何度も繰り返してやっとなんとかこなせるようになる。」

しかも行動は遅くて不安定、さらに忘れやすいそうだ。服従訓練トライアルの審査員の一人は「これらの犬種の中には、ほぼ訓練不可能なものもいると指摘した。」らしい。がっちょーん。うちのドミは、どうやらあほの子ちゃんな犬だったようである。

ちなみに、この順位表で1位の犬種は「ボーダー・コリー」であった。1位から10位の犬種は「これらの犬種は簡単な作業であれば5回以下の実践で理解を示し、いったん習得すれば、改めて練習しなくても忘れることはない。」らしく、一回の号令で95%以上従うことができるらしい。

と、いうことは…ドミはあまり賢い犬ではなくって、訓練はとってもしにくくって、しかも結構攻撃的な性格で…全然飼いやすい犬ではない…と。ありゃ、身も蓋もない。

しかし、最後までこの本を読んでいったところ、こんな文章に出くわした。

「あなたは本当に利口な犬をお望みだろうか。「もちろん。」とたいていの人は答えるだろう。しかし、そう答える前に、もう少し考えてみた方がよさそうだ。」

この章を読んだとき、目から鱗が落ちた。

つまり、知能の低い犬なら溌剌と暮らせる環境で、利口な犬がみじめな思いをすることがあるのだそうだ。知能の高い犬は、お留守番などを毎日させると、退屈してストレスが溜まってしまうらしい。しかし、知能の低い犬は、留守番の間、同じおもちゃでずーっと一人遊びをしていても飽きないため、ストレスになりにくいのだそうだ。

訓練にしたって、知能が高い犬は、いつも同じことをやっていては飽きてしまう。どんどんと新しい訓練をさせ(例え芸の域にまで達したとしても)その能力を仕事などに生かせなければ、逆に知能が高すぎてストレスになってしまうらしい。難しいもんだ。

考えてみれば、別にドミに賢さを期待した訳じゃない。ドミを狩猟犬や牧羊犬や番犬にするつもりもないし、ドッグショーに出すつもりもない。フリスビー犬にするには骨格が向かないし、始めからそんなつもりもない。

ただ、愛玩犬(コンパニオン・アニマル)として、家族の安らぎになってほしいだけなのだ。一人でお留守番させる時間も長い。それがストレスにならないのは、我が家で飼うには、賢さよりもよほど必要な能力だ。なるほど。ドミはやっぱり、我が家で飼うべき犬だったのだ。そう考えると、気が楽になった。

そして、親切なことに、この本には知能の低い犬を訓練させる方法も記載されていた。よし。決めた。ドミに教え込むことは、本当に基本的な服従訓練だけ。ドミが権勢症候群になってストレスを溜めないように、危険な事をして自分自身を危険にさらさないように、そして、みんなから愛される犬になるように育てる。ドミ自身が元気で楽しく、我が家で暮らしてくれれば、それだけで十分だ。

そう考えながら、最近は訓練をしている。すると、「お座り」も「待て」も「おいで」も(餌で釣れば)できるようになった。なんと「もってこい」もできるようになった。といっても集中力が続くのは3回ぐらいまでだが。もしかして、うちのドミって、シーズーの中では賢い方じゃないだろうか。なんて事を言い出したら、親ばかもここに極まれりである。

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