Ryuの事 6



半年以上寝たままの状態だったRYUは初め目眩を起こして大変だった。

少し座ると気分が悪くなり・・を繰り返しながら 少しずつ少しずつ 座る時間が長くなっていった。

まだ左右の足も膝が曲がるほどリハが進んでなかったし 腰もきちんと座れる体制にはなっていなかった為

車イスに座ると言うよりは 体を投げ出して乗っている?という方が正しかったかもしれない。

ステップに足を乗せられない為 クッションやバスタオルなどを使って体を固定させた。

それでも 車椅子に乗れるようになると行動範囲が広がり RYUは喜んだ。

用もないのに 何度も売店へ行ったり 天気のいい日は 少し風に当たりに行ったり・・

まだ体調が万全ではなかった為 外で長い時間風に当たる事は 医師に禁止されていた。

すぐ熱を出すからだ。

病院の食事を食べないのは変わらなかった。

毎日のように家から何か作っていったり スーパーで惣菜を買って行ったりした。

リクエストはほとんど刺身で RYUは13ヶ月の入院で一生分の刺身を食べたのではないかと思うほど 
ほぼ毎日のように刺身を食べていた。

白身魚の刺身は 傷の治りに良いと聞いていた私は根拠は知らないが実践していたのかも・・・


そして6月になり 初めての外泊を許された。

家族全員喜んだ。

RYUの為に毎年キャンプで使っていたエアーベットを引っ張り出し(硬いベットではまだ体が痛む為)

庭でバーベキューの準備もして迎えに行った。

その頃我が家の車はワンボックスであったが RYUはまだ座った状態では乗れなかった為 

後ろの座席をベットにし布団をしいた。

乗せる時も後ろのトランクのドアから主人と2人でかかえて 体を少しずつずらして乗せなくてはいけなかった。

ちょっとの段差でも「痛い!」と言う為運転には細心の注意をした。

家に着いてからも一旦車イスに乗せたものの 我が家は段差だらけ・・

H・5に築20数年の中古住宅を購入していた為当然バリアフリーではなかった。

何とか2人でかかえて家に入れたものの退院してきたときの不便さを思い知らされた。

取りあえず初めての外泊は家族全員で楽しく過ごした。


7月からウエルキャブの自動車探しと 家の展示場周りが私達夫婦の休日の過ごし方になった。

医師からも今年中には退院出来ると聞いていた為事を急いだ。

大型に乗り出すまで私は4年ほど内装業の仕事をしていた。

その為どこのホームメーカーが安くてよい材料を使うかどこの工務店の腕がいいか大体分かっていた。


取りあえず3件合い見積もりをしてもらい 一軒に絞っていった。

私の住んでいる所は建蔽率が厳しく土地の60%しか建てられない。

6人家族の為部屋の数も必要だし 車椅子を自由に動かす為 余計な荷物はおけない。

間取りを何度もねりなおした。

主人は週末しかいない為メーカー側との交渉はほとんど私がやった。

週に何度も打ち合わせが入る事もあり 仕事 介護 家の事・・・

さすがにバテた私も主人と相談し 8月の盆休みに入る日で退職する事を決意し 

会社にもその旨を伝えた。

好きな仕事・・良い収入・・やめる事に未練も不安もあったが とちらにしろRYUの退院に合わせて

辞めなくてはいけなかったので時期が早まっただけだ。


そして急ぎまくった私達は一ヶ月経たないうちに家の着工日も決めた。

車の方も乗っていたワンボックスはまだ新車から一年経っていなかったが下取りにだし ウエルキャブ車を購入・・・

RYUの外泊も大分楽になった。


家の解体、外交工事は私の弟が自営で土木をしていたのでまかせた。

少しでも経費節約の為であったが(笑)

間取りは一番日当たりのいい所に8畳のRYUの部屋にし 一階は私達の寝室、和室、LDK、そしてRYUの部屋。

トイレはRYUが使う事は考えられなかった為ギリギリのスペースにした(これは後で後悔することに)

その分洗面所とお風呂は一般の1.5倍。

2階は子供部屋3部屋、9畳のバルコニー。

部屋を全て中間間にした為収納スペースを悩んだが メーカー側の建蔽率をごまかす技で2階に8畳、屋根裏に8畳の

小屋裏収納を作ってもらった。
天井が1.4メートル以下であれば部屋とみなされない。

検査も無事パスした。

家の件は8/21の我が家の解体に合わせて引越し準備をした。

建て替え中は隣の私の実家で生活の為必要な荷物だけ取りあとはメーカー側の倉庫に仮置き。

RYUの外泊も月2~3回許されていたので私の実家に連れて帰った。


6月に障害固定した為7月からは治療費はかからなくなった。

車イスも市からの助成金を頂きオーダーで体にピッタリの物を注文。

己負担が少なく助かった。

後は退院後の生活に必要な介護ベット スロープ 昇降機。

家の中はバリアフリーに出来ても道路と土地の段差はどうしようもなく昇降機を購入。

こちらも助成金のお陰で半額ぐらいに・・・


すべて準備は整った。

後はRYUの退院と 家の立ち上がりを待つだけである。

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