天使の羽根

天使の羽根

By my side・・・(須釜×真田)

まだ夏の暑さが時々振り返す季節ーーー
今日は少し曇っていて風もあるので涼しい。
のだが...真田一馬は外の木陰で座り込んでいた。
その横で中腰に屈んで真田に声を掛けている須釜寿樹。

「大丈夫ですか?」
「.....」

真田は無言で答えた。

先日建て直しが終わったばかりの噂の都内の高層ビル。
一馬はビル内の店ならどこでも使える商品券を譲られた。
『譲られた』と言うのは、時を遡る事昨日の練習後。
ロッカールームでの親友の若菜結人と郭英士との会話。

[「一馬~これやるよ」
「...結人が物くれるなんて不気味だ」
「なんだよ、ま、イイや気にしないでおいてやるよ。
都内に建て直したばっかのビルあんじゃん?
これ明日迄のそのビルで使える商品券らしいんだけどよ、
俺明日用事あって行けなくなったんだ。だから仕方なくお前に
譲ってやるよ」

結人らしい言い方をして、五枚程ある券を渡してくる。
一馬はそれを取りあえず受け取る。

(...誰と行くんだよ)

と思っていると更に結人が言った。

「一人じゃ淋しいなら英士と行けば良いだろ?」

そう言いながら結人は英士を見た。

「あ、ゴメン...俺、明日は法要があるんだ。」

英士と結人は一馬を申し訳なさそうに見ていた。

「あ~...良いよ、誰か探して行ってくる」
「そうか?悪いな、一緒に行ってやれなくて」
「一馬はただでさえ人込み苦手なんだから気をつけなよ?
絶対一人で行こうなんて
思っちゃダメだからね?」
「...うん。何か英士ってさ...」
「何?」
「んー...お母さんみてぇ」

一馬が英士を見て小さく言うと、若菜はお腹を抱えて
大笑いしていて、英士は凄い驚いた顔をした後に、すぐにハッとして
結人の頭を殴ってから顔を真っ赤にして言った。

「なっ、何馬鹿な事言ってんの!!ほらっ、さっさっとしなよっ!
先に行くよっ!!」

英士はそう言いながら二人を置いて出てってしまった。
その後を結人が殴られた頭を抑えながら、逆の手で一馬の頭を
   軽く叩いて苦笑しながら出て行く。

  「いって~...英士の奴。一馬ナイスだ。」

   一馬は一人になって呟いた。

  「.....ほんとに誰と行くんだよ?」]

回想終了。


結局一馬はビルまで一人で来た。
英士の言葉を途中何度も思いだしながら。

『絶対一人で行こうなんて思ったら駄目だからね?』

軽く溜息を付きながら駅からビルまでの道を歩く。
ビルの前に着き、なんとなしに目の前の高いものを見上げる。
そしてその出入口を見てまた溜息をつく。

(やっぱ...一人で来るんじゃなかったかな...
 でも行く奴いねーし、せっかく貰ったんだから使わなきゃ損だし...。
英士、ゴメン)

「あれ~?真田くんだ~」

一馬が一人でそんな事を考えていると、横から突然声を掛けられた。
聞き慣れた声で、振り向かなくても誰かは解っていたが
一応振り向かえって名を口にする。

「...すがま...」
「こんなトコで会うなんて奇遇ですね~vvやっぱり、僕達は
運命の赤い糸で結ばれてるんですねvvv」

須釜は真田の隣まで来てそう言った。
真田はそれを聞いて

「...じゃあな」

と踵を返しかけた。

「あ、待って下さいよ~。僕もこのビルに用があって一人でブラッと
しに来たんです。どうやら見たトコ真田くんも一人のようだし、
良かったら一緒に廻りましょうか」

背を向けかけた真田の腕を、軽く掴んで笑顔でそう言ってきた須釜の顔を
見て真田は一瞬胸が鳴った。
腕を払って顔を逸らして考えていると、須釜が顔を覗き込んで

「ネ?行きましょう?」

とまた笑顔で言ってきたので、真田は手で押しのけてビルに歩き出し
ながら言った。

「さっさと行くぞ。・・・しょうがないから一緒に廻ってやる。」

「真田君ってホント素直じゃないですねー。」

軽く溜息を付いて須釜も歩きだした。
そうして二人でビルの中に入った。
が、オープンしたばかりの日曜とあってか、その人口密度は並じゃ
なかった。

「真田くんは何か用があって来たんですか?」
「別に用はない、でも昨日結人がくれた商品券?が今日迄らしいって、
だから...」
「そうなんですか、何か買う物は決めてあるんですか?」
「決めてない、てかこの人込みにいつまで居られるか...」
「んー...じゃあ取りあえず中適当に見てみましょうか~」

「真田くん、僕はちょっとあっちの店見てますね~」
「あ、ああ」


近くにあった自分の好きなスポーツメーカーの店を、ブラっと見てまわる
事にした、真田は立ち止まって目に止まった服を広げて考えた。

(あ、この服あいつに似合いそう...。
貰った券には余裕だし、買うもんないから付き合い礼で買うとするか)

レジで支払いが済んで物を店員に貰った所に丁度須釜が戻って来た。

「何か良いのありましたか~?」
「あ、まあ、な...」
「じゃあ行きましょうか。あれ?」

歩きだそうとすると須釜が少し屈んで真田の顔を覗きこんだ。

「何だよ?」

訝し気に聞く真田に須釜は顔を覗きこんだまま言った。

「真田くん、気分悪くないですか?」
「な、何でだよ?」

その唐突な核心をついた問い掛けに、真田は平然を装って聞いた。
すると須釜は屈んでいた姿勢を戻しながら、上を仰いでからまた真田を
見て言った。

「ん~何となくですね。顔が強張ってるって言うか・・・目が不安気
なんで」
「な、何言ってんだよ。大丈夫に決まってんだろ」

そう言う須釜にそれ以上探られないように真田は背を向けて歩き出した。

「そうですか~?なら良いんですけど...」

真田のそんな後ろ姿を見ながら、一人言のように呟いて真田について
行った。


数十分後、やはり真田はそんなに持たなかった。
人気の少ない隅の壁際に寄り掛かりながら言った。

「悪い、須釜。俺先外出るわ...」
「大丈夫ですか?僕も一緒に出ますよ?」

心配そうに真田の様子を伺う須釜に、真田は片手で顔を覆いながら答えた。

「あー...お前まだ見てるし良いよ大丈夫。
ビルの前ら辺に居るわ」
「本当に大丈夫ですか?」

心底心配そうに聞いてくる須釜に、真田は苦笑いをして壁から離れながら
手を振った。

「ちょっと休めば平気だって。あ、多分俺もう見ないからこれお前に
やるよ」

真田は思い出して鞄から残っていた券を須釜に渡した。

「え?でも...まだ三枚もありますよ?折角真田くんが貰ったのに
僕が使ったら悪いですよ」

遠慮がちに言った須釜に真田は券を押し付けて言った。

「多分俺もう入れないから使えよ。どうせ今日までだし勿体ないだろ?」
「はぁ、まあそうですけど...」

戸惑いながら受け取った須釜を見て真田は手を振ってゆっくり
歩いて行った。

「悪いマジで外出てるわ」
「んー...折角ですし何か探してみますか」

真田の後ろ姿を見送りながら須釜はそう言って歩き出した。


そして冒頭の会話に戻る。
須釜はビルから出てすぐ真田を探してビルの裏手の木陰に座り込んでいる
真田を見つけて同じように座り込んで声を掛けた。

「大丈夫ですか?」
「.....」

無言で真田は手を振って答えた。

「何か飲み物でも買ってきましょうか?」
「...」

須釜がそう聞くと真田は黙って頷いた。

暫くして須釜がペットボトルを持って戻ってきた。

「水とポカリどっちが良いですか?」

真田は尋ねられてゆっくり顔を上げた。

「あ...」

真田が水のほうに手を伸ばそうとすると、須釜はその蓋を開けて
渡しながら言った。

「どうぞ。大分顔色良くなりましたね~」

真田は何口かそれを飲んで蓋を貰いながら言った。

「あ、アリガトウ。ん、もう大丈夫だ。」
「途中からなんとなく顔色が変わってってたので、心配してたん
ですよ~。良くなって安心しましたvv」

そう笑って言う須釜を見て、真田はまた水を飲んで言った。

「.....俺さ、実は人込みが駄目なんだよ」
「人込みが?でも...」

唐突にそう言う真田に差ほど驚きもせず、人込みの疑問を聞こうと
するとそれを真田は予測していたのか言った。

「あー広いトコに居れば多少多くても平気なんだ、だからグラウンドで
練習したり試合したりは問題ないんだけどさ...」
「じゃあ、こんなビルは」
「はっきり言ってとんでもない。だから正直お前と会えてかなり助かった
んだよ...」
「電話してくれれば良かったのに~」

と須釜が苦笑しながら言うと真田は突然、鞄から何かを取り出して
須釜に渡しながら言った。

「あ...これお前にやるよ」
「これ...さっき真田くんが買ってたやつじゃないですか」

渡されたその袋を貰いそうになり、気付いてそう言うと真田は手で
押し付けた。

「今日付き合って貰った礼だよ...俺の金じゃねーけど」

それを受け取って暫く唖然として須釜は笑いながら手に持っていた
紙袋を渡した。

「...クスッ似たような事考えてたようですね。僕もこれあげます」

驚いた真田は渡された紙袋と須釜を交互に眺めて困惑しながら言った。

「真田くんが折角貰った券ですし...」
「...結局お互いに買ってきてたら同じじゃん。
ま、イイか貰うよ、サンキュ」

須釜に笑顔でそう返され真田は恥ずかしそうに俯いて礼を言った。

「イイエー、こちらこそ~。開けても構いませんか?」
「たいしたもんじゃないぞ?」

その答えを聞くなり須釜は貰った袋を開けた。

「パーカーですかー、これ真田くんの好きなメーカーですか?」
「あーうんそう。お前に似合いそうだと思ったんだけど...
そうゆうのは着ないか?」

須釜がパーカーのワンポイントを見て尋ねると真田は不安気に
尋ね返した。須釜はそんな顔をして聞いてきた真田に満面の笑顔で答えた。

「着ますよ~とゆうか真田くんがくれた物なら何でも嬉しいですよ~vv」
「あーはいはい」

真田はその台詞を聞いて少なからず顔が熱くなったのをごまかそうと
そっけなく返事をした。

「...真田くん♪」
「あ?んっ...」

須釜がそんな真田を楽しそうに見て名前を呼んで自分の方を向かせた。
真田は呼ばれて顔を向けるとすぐにその唇は塞がれた。

すぐに離れた須釜のそれは唖然と口を開ける真田の顔のまん前で
言葉を発した。

「ありがとうの感謝の気持ちですvvじゃどこか食事にでも行きましょうvvv」

須釜が平然とそう言って歩きだそうとした。

「...なっ、今、何したっ...」

真田はやっと小さく声を出すと、須釜が気付いて数歩で真田の前に立ち
人指し指を真田の口にあてて笑いながら言った。

「ヤだなぁ~キスですよ~vv僕真田君好きですから~vvv」
「.......」

まだ呆然と固まっている真田に、満面の笑みを浮かべて真田の手を
掴んで歩き出した。そんな須釜の背中を見ていた真田は突然
立ち止まった。須釜が不思議に思い振り向くと、繋いでいた手を力強く
引っ張られた。

「...?真田くっ...わ!」

真田は体勢を崩して体が傾きかけた須釜の耳元に囁いた。

俺も、お前のコト、嫌いじゃないぞ///
「え?」
「行くぞっ!」

さっきとは逆に真田が今度は先に歩き出した。
その真田の後ろ姿を見て須釜は一人苦笑しながら言った。

「...本当に、素直じゃないですね」






後書き
音獅サマとの相互記念小説です~。
三ヶ月近く(イヤ以上か?;;)暖め続けてしまいました(>_<)
でもその割になんか内容訳解らない上意味不明な物に...;;
更に妙に長くなってしまいました(>_<)
何となくテーマとしては「人混みで気分を悪くする一馬」
が書きたかっただけです;;
私はラストを締め括るのが下手、てか苦手みたいです;;
音獅サマ、あんな素敵な小説を頂いたのにも関わらず
こんなものになってしまって申し訳ありません(>_<)
時間とネタがあったら是非リベンジしますっ(:_;)

音獅サマに捧げさせて頂きます。


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