青空日記

青空日記

寄生行動制御分野 ・虫


1じょう虫・じょう虫感染症を理解するために必要な基礎知識を習得する
2熱帯地域に流行するじょう虫疾患の流行の要因を理解し、これらの疾患が もたらす公衆衛生上及び社会的・経済的損失の理解を高める
3上記じょう虫疾患の病害、診断、治療、予防、対策に関係する知識、手法 を習得する
4熱帯地域におけるじょう虫疾患の制御を目指した世界の努力(WHOの活動、 研究課題など)のついて知識を広げる
5住血吸虫症と糸状虫症の研究を行う場合に必要な基礎的手法(動物モデル の製作等)を習得する

行動目標
1じょう虫の生活史、形態学的、生理学的特長を述べることが出来る
2熱帯地域でじょう虫疾患が猛威を振るう理由を述べ、疾病の流行により地 域がこうむる負荷について説明できる
3上記疾患について的確な診断と治療を行うことが出来る
4熱帯地域で生活する人あるいは旅行者へじょう虫疾患の感染予防法を教育 できる
5上記疾患の地域における対策計画に適確な助言を与えることが出来る
6住血吸虫(症)又は糸状虫(症)の研究に着手できる

熱研のメインの一つ!
いろんな虫の登場でーす!!!
さーいってみよ。


(言葉の説明)
ぜん虫(Helminth)
267種類が人間に寄生する(50種類が教科書に)が、その多くは消化管に住む。
嫌気性/好気性代謝ができるが、消化管に住むものほど、前者の比率が高い。
線虫(Nematoda)  吸虫(Trematoda)  条虫(Cestoda)に分かれる


線虫(Nematoda)
雌雄別々(相手を探さないといけない)
体表は角質(死んだ細胞)
消化管(口・肛門)がある
脱皮しながら成長する
回虫はぎょう虫や鞭虫と違い、経口感染後に一旦血中に入って、肺を経由してから再び消化管に帰ってくるので、症状が重い
鈎虫は外で幼虫が孵化して、それが経皮感染する(ズビニは経口もあり)。これも一旦血中にはいって肺で症状を起こす
糞線虫は鈎虫に似ているが、発育がとても早いため、体内で幼虫となって出てゆく。外界で親虫になって排卵することもできる。そして、鈎虫のように経皮感染して肺を通る。
トリヒナ線毛虫は特殊で、豚などの筋肉内にいる幼虫を、人間が食べて発症。体内で親虫にはならず、筋肉内に留まる。従って、人から人へは感染しない。

糸状虫(メジナ虫、バンクロフト糸状虫)は、血中にいる幼虫を、中間宿主である吸血性の昆虫(蚊、アブ、ブト)が吸って、その中で成熟する。バンクロフトは、次に人を吸血したときに皮膚表面に落ちるが、蚊の刺した傷を通って経皮感染する。メジナ虫は、ミジンコの中で増殖して、人が水と一緒にそれを飲んで経口感染する。


吸虫(Trematoda)
雌雄同体(どちらにもなれる)で常に一緒にいる
体表は外皮細胞
口と腸しかない(食べて吐き出す)
中間宿主のなかで増殖する


条虫(Cestoda)
雌雄は全く同体
体表は人間で言う消化管の粘膜細胞のようなもので、栄養を吸収できる
消化管はない
頚部増殖する


具体的にあげていくと↓

<横川吸虫・異形吸虫(Heterophyiasis)>
空腸や回腸に寄生(2~3mm)
ボラや鮎の中にいる。うろこや筋肉にメタセルカリアがついている
全世界どこにでもいる虫
基本的に無症状。重感染で腹部症状。まれに神経に行くこともある
診断
便中の虫卵。ただし、肝吸虫の虫卵と鑑別しないといけない(卵蓋の形で)
調理が不十分な魚を食べて感染

<肥大吸虫(Fasciolopsiasis)>
最大の吸虫(1.2cm)
東南アジアの病気(とても多い)
小腸を中心とした腸管感染症
菱の実にメタセルカリアがひっついていて、経口感染する
軽症では無症状。重感染で非特異的な消化器症状。朝の腹痛(食事で軽減)
小児に多数感染すると、成長障害を来たす
400匹以上感染すると、死亡する可能性がある
東南アジアの豚に多く感染していて、重要な宿主となっている
診断:便中の虫卵、ただこれは肝テツとは鑑別できない
TTT:プラジカンテル
Pre:野菜は綺麗に洗うこと


棘口吸虫(Echinostomiasis)
空腸に寄生する。東洋の病気
たいした症状ない
診断;便中の虫卵
TTT:プラジカンテル


肝吸虫(Opisthorchiasis、Liver flukes)
Clonorchis sinensis(肝吸虫)、Opisthorchis viverrini(タイ肝吸虫)、O. felineus(ネコ肝吸虫)
魚の中にメタセルカリアがいて、ヒトが食べて発症するが、十二指腸のVater乳頭から非侵襲的に胆管内へ入る。肝内胆管や、胆嚢、膵管に寄生する
2cmくらいの親虫
小魚の中にいる(川魚)
体を傷つけないで侵入していくので、たいていは無症状。重感染では、腹部症状・発熱・肝腫大・黄疸・胆管炎・肝硬変・肝癌など。ゆっくり進行する(何回も感染して)
タイではほとんどの人に感染している
診断:便か十二指腸液中の虫卵
TTT:プラジカンテルがよく効く
アジアが中心
メタセルカリアはとても粘着性で、まな板などにひっつく
Pre:魚をよく調理する
川魚はよく調理して・・・これが原因


肝テツ(Fascioliasis、Leaflike large fluke)
Fasciola hepatica(肝蛭)、F. gigantica(巨大肝蛭)の感染
羊や牛にいる
水草を経由して人に感染する。特に稲刈りのとき
卵が腸管壁を食い破って、肝臓目指して這い回るため、症状が強い
1~2ヶ月で胆管に落ち着き、症状が軽快する
診断:急性期には親虫になっていないので、便に虫卵は出ない。症状が落ち着く慢性期には虫卵が出る。直前に牛の肉を食べていると、虫卵が発見される(偽肝テツ)
有痛性の肝腫大、発熱、好酸球増加
免疫学的診断も可能
TTT:プラジカンテル長期内服が必要、副作用や効果の見られない症例が多い
Triclabendazole(動物用医薬品だが、急性期に使える、熱研で使用、ファシネックスとして販売されている、一回の投与で効果あり、副作用少ない、広い週令の虫について使える)
羊(50%)や牛(70%)には普通に感染している。他にヤギ、馬、バッファロー、うさぎ
卵を食べても素通りするだけ。水草についているメタセルカリアを食べない限り感染しない
好酸球が上昇、IgEも上昇、CRPも少し上昇する
1990年までで65例の報告(日本では)
奈良公園の鹿に大量発生した
推定感染者、61カ国で240万人。ボリビア、中国、エクアドル、エジプト、フランス、イラン、ペルー、ポルトガルなど
野生のクレソンを食べた輸入感染例あり。国内ではセリやミョウガ
動物の糞から水系に落ちて、セルカリアとなりヒメモノアラガイに入ってから、水草に付く
成虫の大きさは2~5cm


(条虫とは)
もっともAdaptationが進んでいて病気を起こしにくい
条虫の親虫は小腸にしか寄生しない
体節が縦長のもの(円葉目)と横長のもの(擬葉目)に分けると覚えやすい

擬葉目
日本海裂頭条虫、大複殖門条虫、マンソン裂頭条虫(アジア)
吸溝で腸管壁をつかまえる。横長。生殖門があり卵が出てくる。卵蓋がある。幼虫はこん棒状

円葉目
無鈎条虫、有鈎条虫、小型条虫、縮小条虫、包虫(アフリカ)
吸盤でひっつく、縦長、生殖門がない(体節が壊れてでてくる)、卵蓋がない、幼虫はのう状

裂頭条虫症(Diphyllobthriasis、Broad fish tapeworm)
10m以上の巨大な条虫、Diphyllobothrium latumの感染
2000万人に感染している
小腸に寄生する
ヒトの便中に排卵し、水中でコラシジウムになり、ミジンコへ。プロセルコイドとなり魚が食べる。そこでプレロセルコイドになり、ヒトが食べて感染する。
1日に1~2cmずつ大きくなる
頭に溝があって小腸に吸着する
日本では北に行くほど多い
鮭・マスにたくさんいる
ヒトには1匹しか寄生しない
先から卵を吐き出して、空になった体節が便中にでてくる(動かない)
無症状例がほとんど。たまに消化器症状を来たす
1%の症例で、巨赤芽球性貧血を起こす。回腸でなく空腸に感染すると起こりやすい(ビタミンB12や葉酸の吸収障害のため)
フィンランドでは悪性貧血の1/3がこの寄生虫による
診断:便中の虫卵でOK。
TTT:プラジカンテル
さなだ紐(子宮)が一列みえる
先進国の病気。湖の汚染により蔓延する


マンソン狐虫症(Sparganosis)
犬の裂頭条虫なので病原性が高い
プレロセルコイドが感染して症状を来たす
色々な肉食獣を宿主とするが、ミジンコ、両生類・爬虫類が中間宿主となる
蛙を食べて高率に発症した(5人で屋台で食べて、3人発症)
腹部の浮腫から移動して胸水が貯留した
調理不十分な、蛙・へび・地鳥など
幼虫が皮下などを這い回る
爬行したところが浮腫となり痛い、握雪感がある。赤くはならない。腫れている所に虫がいる
脳や目に移行すると重症になる
画像診断や、血清診断
外科的切除しかない
アジア中心の病気
GH様の物質を分泌する


無鈎条虫(Taeniasis、Beef tapeworm)
Taenia saginataの感染
牛肉の生食がある地域ではどこでもある。特にイスラム圏に多い
親虫は小腸内で20mになることもある
円葉目なので、体節がつぶれて六鈎幼虫包蔵卵がでてくる。牛の中でのう虫となり、ヒトに感染する
棘がない(頭に)
体節は自分で肛門に這い出してくる。もしこれを見たら、必ず無鈎か有鈎条虫かを鑑別しないといけない(有鈎だと重症化するから)
卵では両者を鑑別はできない
たいてい1~2匹しかいない
ほとんど無症状。お尻から出てくるので気持ち悪いだけ
有鈎、無鈎の鑑別:体節を2枚のプレパラートにはさんで押しつぶす(子宮が壊れない程度に)。可能なら表面のあなから墨汁を針で子宮に注入する
子宮に伸びる枝の数を数える。13以上あれば無鈎条虫としてよい。それ以下なら、有鈎条虫なので要注意
一般的に、無鈎条虫のほうがよく動く(大丈夫)、筋肉が厚い、子宮が見えにくい
粘着テープで卵を拾えることもある
TTT:プラジカンテルが非常によく効く
ビルマ・中国・インドネシア・韓国・台湾で豚やいのししからの無鈎条虫による幼虫移行症が報告されているので要注意


有鈎条虫(Taenia solium、Pork tapeworm)
非常に怖い感染症
アフリカ・中央アメリカ、南米、特にメキシコやチリ、中国
頭に棘がある
生活史は無鈎条虫とほぼ同じ。要は豚肉を食べて感染する
生殖門がないので、一度に大量の虫卵を食べてしまう
普通に親虫が体内にできる分には問題ない。ヒトからでた虫卵をヒトが(豚のように)大量に食べてしまったときに、包虫症になり重症化する
墨汁で染色すると、枝分かれが少ない
8~10の体節が毎日排泄される
TTT:プラジカンテルがよく効く
豚がヒトの糞便の処理をしているところでよく発生する
メキシコでは15%のヒトが、有鈎条虫に感染しているので要注意


有鈎のう虫症(Cysticercossis)
大量ののう虫が全身に播種される。
皮膚に石灰化を伴う小さな腫瘤(レントゲンで見える)、これを生検すれば確定診断できる
頭蓋内にも播種される
5~15年の潜伏期間をへて発症する
てんかんなどの中枢神経症状で発症する
ELISAで血清診断できる
薬は効かないので、外科的治療しかない。特に強い薬(プラジカンテル)を使うと破れてしまってよくないので、弱い薬(造影剤など)で治療すべき
自己感染
お尻をかいて爪について食べる。成虫の感染といえど怖い
韓国のキムチ、メキシコ・インドネシアのヒトとの握手

小型・縮小条虫症(Hymenolepiasis、Dwarf tapeworm)
とても小さい、ねずみの条虫症、Hymenolepis nanaの感染
ヒトに感染すると時に重症化する
たいていは無症状。2000匹以上感染すると症状が出る(消化器症状)
小腸に寄生するが、自己感染も起こす
小児に多い
診断:便中の虫卵
TTT:プラジカンテル

単包虫症(Hydatid disease、Echinococcosis)
犬の条虫でとても危険
羊飼いの間で流行する(羊と犬がいるから)
犬の便中にいる虫卵をヒトが経口摂取して感染する
巨大なのう胞(白い)を体内で形成する(腹部膨満)
TTT:外科的に取り出す。ただし破らないように取り出す。薬は効かない。取り除けない臓器(骨など)ではどうしようもない。
症状:シストがどこに幾つあるかで決まる
たいていは一つ。肝臓(58%)、肺(27%)、脳や脊髄、骨など(15%)
少しずつ5年以上かけて成長する
のう胞が破れると、ジンマシン等のアレルギー症状を引き起こし、アナフィラキシーショックを起こしうる。また播種もするので後で大変なことになる。
診断
すこしづつ成長する腫瘤。穿刺は禁忌。画像診断が有用。ELISAもできる
アフリカでは、Nurse dogといって、犬が人間の糞便や吐物、生理の血液などをなめて処理していて、ほぼ全員が感染していた
土葬して、その人の肉を犬が食べてサイクルを形成していた例もある

多包条虫(Alveolar echinococcosis)
Echinococcus multiocularisの感染
寒いところの病気
蜂の巣状のシストを形成する
キタキツネに多い。元は北海道だけにいたが、青函トンネルが開通して、青森や岩手にも発症例がある
肝臓に腫瘍のようにMassを作る
ゆっくり成長する(10~15年)
肝腫大などがあるが、圧迫症状のみ
血流に乗って転移する
外科的治療しかないが、包虫症のように綺麗に取れないので、予後は悪い。薬は効かない
日本の感染症では最も重要
狐を治療するしかない













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