雑記帖

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魔法使い



そうして気がつくと、目の前には一枚の鉄製のドア。

このドアの向こうの家主は知らないが、結構頻繁にオレはこのドアを叩いている気がする。

3回叩いて、返事を聞かずに、まだ返していない合鍵で家に上がる。

リビングを覗いて誰もいないのを確認して、来た廊下を戻って一枚の木製のドアを叩く。

中からはキレイな顔の人が出てきて、オレの顔を見ると笑った。

「あれ?また飼い主と喧嘩した?」

どうやら、コノ人にとってオレは相変わらず動物扱いらしい。

一度も入れてくれたことの無い仕事部屋には相変わらず入れてもらえず、リビングに誘われた。

別に体格的にも何にしてもオレの方が勝っているのに、どうしてか言うことをきいてしまう。

拾われた恩だろうか?

「どうしたの?」

優しく訊かれて、オレはここ暫くで溜まった鬱憤をぶちまけた。

軽く笑みを浮かべた表情で、時折頷きながら、真剣に話を聞いてくれた

でも欲しい言葉は一つとして言ってくれなくて

途中、席を立つと

戻ってきたときには、飲み物が温かい物に淹れ直されていた

一口飲んで、更に話しているとチャイムが鳴る

「出てきて」

基本的に居留守のコノ人は、本当に外との接触が嫌いらしい

でも、この時その表情がいつもよりももっと、いたずらっ子のような顔をしていると気がつけば良かった

「はーい。どちら様・・・・」

オレが大きく玄関のドアを開くとソコには

珍しく少し息を切らしたオレの・・・

「よっく来たね、じゃあさっきの通りで。」

後ろから明るい声が聞こえた。

振り返ると、とても嬉しそうな笑顔があった。

「ほら、飼い主が迎えに来たよ。帰りな」

二人を見比べて、結局オレはそのドアから外に出た。

普段はつないでくれない手を、引かれて歩く。

気がつくと、オレの口元は勝手に笑っていた。

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