第二章


ちゃんとあるのかもわからない。
小さい頃に行ったキャンプに
夜こっそり抜け出して山を登ったことがあった。
そこで真の闇を体験したように思っていたが、違った。
見えないだけでなく、自分の手の熱を感じない。
ためしにこぶしを握る。自分の手の感覚が戻る。
手の中にはちゃんと親友の形見がある。
手探りでとりあえず状況を把握しようと思ったが、
いかんせん足が地に着いていない。
無重力、というよりは自然な感じがした。
水中よりは体が重い。普段生活している重力下の感覚だ。
だが足がどうしても地に着かない。
手足をばたばたと動かして水中のように動こうともしたが、
手足は空を切った。
 そうしてじたばたしていると、親友の形見がぱあっと輝きだした。
その輪郭が浮かび、それを持つ左手が徐々に見え始めてきた。
ブラックライトのような色の光なので、
もう一度ここは水中ではないかと錯覚してしまった。
 段々と自分の体が見えてきた。
気付くと光は一点だけからではなくなっていた。
光は更に強くなって既に眩しいほどであったが
周りには何も見当たらなかった。
光の独特の青みはとうに消え、どんどん白く、輝きを増していった。
 意識がそこで途絶えた。
いや、これは一連の動作だったのかもしれない。
一夜に何度も夢を見たような感覚だ。
最初の夢と、その次の夢の間、それを連続して見たか、
時間差があったかはわからない。
どちらでも同じような気がするが、とにかくその次の夢のような感覚で、
また俺は白い光に照らされていた。
とても眩しいが、清々しい、朝日だ!
 もう体は浮いていなかった。かわりに見慣れないが、
それでもさっきまでの感覚よりはずっと親しみ深い、
ベッドの上に寝ていた。

 最初は気付かなかった。リアルな感覚が戻って、やはり夢だった。
そう思って今日は高校も休みのはず、
日曜のはずだが予定も入れていないし、
もう少し寝ようかとした時、違和感に気付いたのだ。
天井が…無い。ベッド以外何も無い。
そして
そのベッドも見覚えの無いものだった。


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