第7官界彷徨
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終活をしていたら、詩を書いていた日々の同人誌が出てきてびっくり!すっかり忘れていた人たちの名前も懐かしや♪こんなのもありました!「廓ことば」昔 街のはずれに街が作られたそこは花街廻れば大門の見返り柳おはぐろどぶに灯火うつす賑わいに紛れ女たちはふるさとの訛りをすてて廓の女になった津軽の女は口重く廓ことばをつかう津軽の野に立ちのぼる陽炎のにおいを失くしてふるさとを忘れた廓の女になる近江の女はなつかしく廓ことばをつかう江戸に下った誇りをもって初めてまとう絹の冷たさもゆかしく振舞う廓の女になる廓ことばの「わちき」はわたし女からふるさとを奪い心を奪う不条理にも疑いにも目をそらし考えを持たない女を作る今も街のはずれに街がうまれる立ち並んだ文化住宅で妙に腰を低くして女たちがつかう標準語に似せた言葉たちふるさとの訛りを忘れたそれは現代の廓ことば得意気に街に反乱する語尾だけが長く残るそのことばことばからはじまる精神の画一化この新興住宅街におはぐろどぶはないがわたしひとり背筋の凍る思いで跳ね橋の番屋の暗い陰を凝視しているのだ「齢」三十とか四十とか五十とかいう数は中年女の疲れた皮膚や世間ずれした心や人生の澱のようなものが連想させられて私の一番嫌いな数だだけど三百とか四百とか五百とかいう齢は少しもみにくくはない三百歳の女は きっと永遠のいのちを持つ美しい女肌にたるみやしみはなくてほっそりとしてたくましくはたちの女とはちがう何でも知っている女の自信にあふれて男の心を射すくめるだろう私もほしい永遠を新鮮に生きられる心と身体をたった四十年生きただけでこんなに疲れ 汚れてしまったのだもの*今読み返すと、何をそんなに年を取ることに焦っていたのかと笑えてしまいます!
2024.05.21