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2021.04.03
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カテゴリ: 観照
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2021.3.24 に岡崎公園の 疏水縁から京都国立近代美術館を眺めた景色 です。
ところどころに早咲きの桜が見られましたが、この辺りは桜はまだこれからという風情でした。
先月、平安神宮の鴟尾と神苑をご紹介しました。
あの日の目的は、平安神宮を訪れることと併せて、標題の2つの展覧会を鑑賞することでした。
当日のこの景色は既にご紹介しています。
近代美術館の1階にあるカフェのテラスの赤い大きな傘が見える状態でした。

慶流橋上から 眺めると、桜の咲き具合はこんな感じで、角度的に赤い傘は隠れていますがそれなりに見えます。


これらは、 2019.4.7に撮った景色 です。 テラス側から 撮った桜の開花。
たぶん今頃はこんな感じになっていることでしょう。

対比して眺めると、ふとこんな漢詩の一節を想起します。
 年年歳歳花相似   年年歳歳花相似たり
 歳歳年年人不同   歳歳年年人同じからず
『唐詩選』に収録されている七言古詩。劉廷芝が詠んだ「代悲白頭翁」(白頭を悲しむ翁に代わる)と言われる詩の一節。これは宋之問の詩とも言われ、『古文真宝』には宋之問の「有所思」(思う所あり)として収録されているとか。背景にある伝承が参照資料に触れられています。 (資料1)

冒頭から脱線しました。元に戻ります。

美術館の前面には、「 ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-
「令和3年度 第1回コレクション展」が現在、3月23日~6月13日の会期として開催中です。

その名称の通り、京都国立近代美術館のコレクションの展示です。会場は4階のフロアーだけで、3階は使われていませんでした。一部撮影禁止の表示がでていました。つまり、それ以外は撮影可のようでした。今回は気づくのがちょっと遅くて、会場内では作品を撮りませんでした。

当日入手したリストから、コレクションの全体構成だけご紹介します。展示は計168点ですが前期と後期で作品の入れ替えが行われます。 (資料2)
A.西洋近代美術作品選
 マイヨール作「ヴィーナスの彫像」という小ぶりなブロンズと4点の絵画を展示。
 その内の1点がルノアール作「花の帽子をかぶった女性」です。モディリアーニ、キスリング、ドンゲンの作品各1点。これら5点は寄託作品の展示です。


 西晴雲作「出山釈迦図」、冨田渓仙作の「南泉新猫・狗子仏性」という対として描かれた作品、橋本関雪作で3つの掛幅が一組として描かれた「郭巨図」、梶原緋佐子作「カメラ」が印象に残っています。竹久夢二の作品が2点。これは一見で夢二作とわかりやすい。

C.体当たりの美術-アーティストと身体-
 知らなかったアーチストですが、ジョージ・マチューナス(1931-1978)のオフセット印刷作品が中心です。他に数名のアーティストの作品も。草間彌生(1点)、森村泰昌(2点)の作品が含まれています。

D.世界の工芸
 材質技法としては、ガラス・炻器・マヨリカ・陶器・絹などによる作品群。私にはたぶん初めて接するアーティイストの作品ばかりでした。

E.川勝コレクション 河井寬次郎作品選
 幾度もここで見ている作品の展示もありました。やはり、河井寬次郎の作品は親しめるものです。

F.日本の外光派 太田喜二郎と大久保作次郎を中心に
G.パンリアル美術協会前史:歴程美術協会-山崎隆と山岡良文を中心に-
 この2つのセクションは、いままでほとんど意識した事がない領域です。今回初めて知った画家たち。日本の洋画家についても、ほんの一部しかしらないな・・・という思いを新たにしました。
 「外光派とは、戸外で風景等を写生して自然の光を明るい色調で表現する画家たちのことです。印象派もその一つですが、印象派の影響を受けた画家たちも外光派と呼ばれます。」会場にも説明文が掲示されていますが、公式サイトには、今回の展示の案内ページにこう説明されています。

リストには、<常設屋外彫刻>が7点列挙されています。

「国立博物館メンバーズパス」の会員になっていますので、団体割引扱いでこの展示を鑑賞しました。
観覧チケットの半券がこれ。後で公式サイトにアクセスしてみました。現在のトップページには、「 MoMAK The National Museum of Modern Art, Kyoto 京都国立近代美術館 」と表記されています。

moma、MoMA、最近よく見た略称・・・・・・、そして気づきました。 ニューヨーク近代美術館の通称がMoMA 。原田マハさんのアート小説を数冊最近読み継いできて、この略称を見慣れてきていたのです。公式サイトも見てみました。近代美術館の英語表記での略称としては当然同じになりますね。近代以降の絵画をコレクションする美術館の誕生としては、ニューヨーク近代美術館が元祖と言えるのでしょう。
遅ればせながら再認識しました。


そして、もう一つ見ておきたかったのは 細見美術館で開催中の特別展「日本の色」 です。
これはこの特別展の PRチラシ 。会期は4月11日まででしたが、何と!  5月9日まで延長されることに なったそうです。
この印象記をまとめる一環でネット検索していて、その告知記事に出会いました。
  ​ 【会期延長】特別展「日本の色―吉岡幸雄の仕事と蒐集―」 ​   Kotoshirube
            こちらをクリックしてご覧ください。
細見美術館のホームページにも勿論告知が出ています。

 こちらは チラシの裏面 。以下に部分図を引用します。
この特別展の副題は「吉岡幸雄の仕事と蒐集」 です。

確認したところ、残念ながら図録は発行されていません。
昨秋、急逝した染織誌史家・吉岡幸雄を追悼する没後初の回顧展 として企画された特別展です。売店には、著書としての各種辞典が並んでいました。


MOMAKは神宮道に立つ平安神宮大鳥居の南西側、疏水縁に位置します。
一方、 ​細見美術館は大鳥居の北西方向​ 、岡崎公園の南辺から西辺へと疏水が北方向に流れていきます。
その疏水の西側の通りと二条通が交差する北西角に位置します。


吉岡幸雄は2008(平成20)年に、「源氏物語の色五十四帖を再現」 したと言います。
展示室の一つに、「 源氏物語 澪標 」と題して、天井から明るくて淡い色調の反物が吊り下げて展示されています。平安時代の貴族たちがこんな色調の着物をきていたのかと実感できます。
そして、微妙な色合いの違いを実感できる 「かさね」の展示が2通りで展示されています
一つは「かさね」の種類を一覧にしてサンプル展示したもの。

もう一つの展示方法は、

源氏物語に出てくる色目のかさねを実際の着物に仕立てて再現するという形です。


さらに、 再現された染織地で作られた伎楽装束 が伎楽面とともに数点実物展示 されています。 1991(平成3)~1993(平成5)年に薬師寺「玄奘三蔵会大祭」の伎楽装束や東大寺の伎楽装束を制作されたそうです。

また、 東大寺二月堂のお水取りの行事 の一環として、 染められた和紙を材料にして練行衆と僧侶らが堂内を飾るツバキの造花を作ります 。その 染めた和紙 吉岡幸雄の染織工房 染司よしおか 」が作ってきているというのを、この展示で知りました。
その紅花染めの動画をYouTubeで見つけました。補遺をご覧ください。

また、石清水八幡宮を初めいくつかの寺社のために、 和紙を染め上げそれから造形された 供花神饌 」の実例が展示されています。


一方で、 吉岡幸雄が蒐集してきた 更紗や古代裂の実物サンプル が展示されています。
染織品としての色合いの豊かさ、また布地の意匠の豊かさは見応えがあります。

自然の材料を使った染めの世界の広がりと奥行、日本で生み出されてきた自然の豊穣な色の世界を感じることができる展示です。

余談ですが、源氏物語の世界と併せて装束の色目のかさねについては、「 風俗博物館 」の企画展示をご覧になるのもお薦めです。JR京都駅に近い西本願寺の傍で、堀川通を夾み東側にあります。下京区堀川通新花屋町下る(井筒左女牛ビル5階)
三条院のスケールモデルと人形等を使い、装束衣裳を再現して、テーマに基づいて源氏物語の世界を再現するという企画展示です。
拙ブログでもここ数年の企画展の鑑賞記をご紹介しています。併せてご覧いただけるとうれしいです。

ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
1) 『中国古典名言事典』 諸橋轍次 講談社学術文庫
2) 「京都国立近代美術館 コレクション・ギャラリー 令和3年度第1回コレクション展 展示目録」

補遺
京都国立近代美術館 ​ 公式サイト
細見美術館 ​ ホームページ
紫のゆかり 吉岡幸雄の色彩界 ​  「染司よしおかグループ」公式サイト
   ​ 吉岡幸雄プロフィール
染司よしおか ​  ホームページ
鮮やかな紅花染め佳境 東大寺のお水取りの造花へ ​  YouTube
「お水取り」準備で造花 奈良・東大寺の僧侶ら ​  YouTube
お水取りへ 花ごしらえ 奈良・東大寺 ​  YouTube  
「お水取り」が最終準備 1日から東大寺で修二会 ​  YouTube
風俗博物館 ​  ホームページ

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

こちらもご覧いただけるとうれしいです。
観照 京都・下京 風俗博物館 2020年の展示 -1 女楽~『源氏物語』「若菜下」より~
   4回のシリーズでご紹介しています。
観照 京都・下京 風俗博物館 2019年2月からの展示 -1 猫と蹴鞠(1)
   6回のシリーズでご紹介しています。
探訪&観照 風俗博物館(京都) -1 移転先探訪・紫の上による法華経千部供養
   4回のシリーズでご紹介しています。
観照 [再録] 京都・下京 風俗博物館にて 源氏物語 六條院の生活 -1
   3回のシリーズでご紹介しています。
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Last updated  2021.04.03 00:20:04 コメント(2) | コメントを書く


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