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2020年02月15日
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2020年02月15日

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2020年02月15日
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2019年08月11日
ロボサムライ駆ける■第12回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 http://visitjapan.info youtube yamadakikaku2009 http://9vae.com 「何をおっしゃいます。おそれおおうございます」 こいつは、ホモかと主水は思った。いやなこった。 「手を貸せともうしておるのじゃ、はようせい」 レイモンはいらだっていた。 レイモンの方に、主水の右手が勝手に動いていく。 「うわっ、どうしたことだ。手が…」 レイモンの手に主水の右手がくっついてはなれない。 「何をなさいます、レイモン様」 恐るべき力が主水の腕に加わってくる。電流が二人の間に流れている。 「さすがロボザムライ、記憶が電磁処理だけに読み取りやすいわ。ふふん」主水の持つ電脳情報が手を通じて流れていく。 「お、おやめください」 あがらう主水。が、手を離すことはできない。 主水の体にレイモンの体から発せられた電流が走っていた。 微弱ではあるが、主水の体のメインコンピューターが出力低下を起こしている。自らの命令のまま、動かないのだ。 ロボザムライの頭脳記憶の中に、レイモンの何かが侵入してきた。ロボの記憶データは膨大過ぎる。レイモンのそれは必要な情報を、主水の記憶の森から奪い取るようであった。 「くくっ、徳川公もくせ者よな」 一瞬、空白が主水の頭を襲う。レイモンの前に倒れている主水に、 「気を失いよったか、この機械人形。やくたいもない。わしの護衛としては、どのようなものかのう、夜叉丸」 「レイモン様、こやつはやはり力仕事に」 夜叉丸が尋ねた。 「そうじゃな、へんに情報を与えると我々の仕事の邪魔をするやもしれん」 「ところで、御前、また、お薬の時間でござる」 夜叉丸がいった。夜叉丸はレイモンの薬飲のタイムテーブルを持っているのだ。後ろには薬品が詰まった収納庫が控えている。前の主水より、薬の方が大事だった。 「うーむ、この時間はどの薬じゃったかの」 金庫の棚の薬をかき回すレイモンであった。ふと、夜叉丸の方を振り返り、 「よいか、夜叉丸。やつがれの薬、忘れず西日本に持って行くのだぞ。薬は生命の源じゃからのう」 レイモンの最大の関心事は、薬である。 「承知しております。して、御前。この主水なるロボット侍の処置は」 「主に任せる。とりあえず帰してやれ。気を失ったことなど、忘れておるであろう。そう電脳の処理はしてある」 「ふっふっふっ」 軽く含み笑いをするレイモンであった。 ◆ 何とか旗本公国マンションにたどり着いた主水は、確かに、落合レイモンの家での事を忘れていた。 「旦那、どうでしたい。お上の御用は」 屋敷にはすでに、鉄が上がりこんでいた。 「うむ、ご壮健であられた。しかし、鉄、おまえも良く宅にくるのう。まったく」 「よろしいじゃござんせんか。姐さんもよろこんでいることですし」 「どなたが喜んでいるんですか、鉄さん、あなた……」 「へい、何でござんしょ」 「感情のラインが、いかれているのじゃないのかしら。一度ドクターにチェックしてもらいなさいませ」 「そりゃ、姐さん。ないですよ。私がいるおかげで、早乙女家にいつも笑顔がたえないってものでしょ。ねえ旦那」 「旦那じゃねえや。用がすんだら早く帰れ」 「そう、邪険にしちゃ、いけあせんぜ。そいでお上の御用向は」 「しばらく、東京を留守にいたす」 「どこかにご出張ですか」 「西日本に下向いたす」 「西日本ですって、そりゃ大変だ。旦那、まさかロボット奴隷になりにいくんじゃ」 「ばかもの、なぜわざわざ私が奴隷にならねばならんのだ」 「いや、どれいでもすきにしてとか」 「鉄。ばかもの。貴様が奴隷になれい」 「でも、あなた、京都では、足毛布博士にお会いになるのでございましょう」マリアが話しの話題を変えた。 「その足毛布博士よな……」 いいながらマンションから東京の風景をみる主水であった。どうしょうかなと思い悩んでいるのである。生みの親である足毛布博士の顔が夜空に浮かんだ。 「ちちうえ……」 思わず叫んでいた。 なぜちちうえという言葉が口から飛びだしたのか。主水は自分でも不思議に思った。 続く090901改訂 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾 http://visitjapan.info youtube yamadakikaku2009 http://9vae.com
2019年05月16日
ロボサムライ駆ける■第11回★ 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 youtube yamadakikaku2009 ■第三章 霊能師 (1) 落合レイモン、現存する霊能師の中では、最高クラスといわれている。彼の霊治療をうけるための人々で、屋敷の前に列ができていた。 彼の屋敷、いや御殿と言った方がいいだろう。そこには桂離宮をまねた豪奢な造りの日本家屋と、古来の神宮建築をベースにしたあたらしい神宮建築である。 その二つの建物を左右に配した山水画を思わせる日本庭園が広がっていた。この建物及び敷地は、すべて東日本の政財界の大物からの寄付金によってなりたっているといわれている。 下手をすると、徳川公の東京城よりも金がかかっているのではないかと、噂されていた。その門前に主水は立っていた。 特別な出入り口から、主水は座敷に通される。 「お待ちください、主水殿。レイモン様は薬浴の時間なのじゃ。しばらくお待ちいただきたい」 レイモンの使い番のものが答えた。 「薬浴と申しますと」 「わからぬか。レイモン様は、種々の薬を混ぜた、プールの中で泳いでおられるのじゃ。そうすれば体の節々から薬が体に回り、気持ちがよいと申されてのう」 「それは毎日でござりますか」 「いや、毎日三回じゃ」 やがて、主水の前に、くずれかけた巨体を揺さぶるように、四十才くらいの男が現れる。ブヨブヨの体からは湯気が上がっていた。強烈な薬の匂いが主水の鼻に届いていた。成分は主水に分析できないくらいに多い。 薄い浴衣着に羽織りを着ていて、体がすいてみえる。目や鼻はあるかないかくらいだ。未熟児だったといううわさもある落合レイモンだった。 そのため、顔の表情がとても読み取りにくい。 背後には敏捷そうな若い男が一人。その男は二〇才くらいで、総髪できれいな錦羽織りをきていた。こちらは書き上げたように目鼻だちがはつきりしている。少し暗いが美男子の類いに入るだろう。一九〇センチはあるだろう。 「ロボザムライ、早乙女主水めにございます。今度、徳川公より、落合レイモン様上京の旅に随行せよと命があり、ご挨拶にあがりました。以後お見知りおきを」 主水は丁寧に挨拶をする。 「ほほう、貴公が、今東京エリアで噂のロボザムライ主水か。力強い味方を、公もつけてくれたものじゃ。おお、そうじゃ、紹介しておこう。これは俺の小姓、夜叉丸じゃ。以後よろしく頼むぞ」 落合レイモンはその体に拘わらず甲高い女性のような声だった。 レイモンは体を動かすたび、じゃりじゃりと音がする。主水がよく見ると、何十本ものコードがレイモンの背中に張り付いている。 「レイモン様、失礼とは存じますが、そのコードは一体」 「ああ、これかの」 レイモンは気軽にその質問に答えようとした。 「無礼者め。レイモンさまを何と心得おる」 夜叉丸が表情を激変して怒り、背中の鉾を抜こうとする。 「よいよい、夜叉丸。わざわざ徳川公が遣わしてくれた護衛ロボットじゃ。すべてをお教えしておかねばのう、主水」 ゆったりとレイモンは言う。 「ははっ、できますれば」 「私の体は、常時薬を注入しておかねばならぬのよ。大義じゃがのう」 言いながら、レイモンは薄い羽織りを脱ぐ。 何と二人分の大きさと思っていたレイモンの体は、半分にも満たぬ。残りはいろいろな液胞が組合わされた水槽が幾重にも重なって、レイモンの背中に張り付いていた。 「さて、主水」 レイモンは、霊能師の特徴である頭の真ん中のこぶを、主水の方に近づけ、右手を差し出していた。 「手を貸してたもれ」 レイモンはくぐもって言った。 続く090901改訂 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」youtube yamadakikaku2009
2019年05月09日
ロボサムライ駆ける■第10回 第9回は欠番です) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 山田企画事務所動画 yamadakikaku2009 (2) 新東京で新しく建てられたランドマークがある。東 京城はその一つである。 東京城城中。最上階、主上の間、広々とした六四畳 の広さである。主水は正装をして、徳川公の前に畏ま っている。 第二五代徳川公、徳川公廣。六七才。公家のような 温和な顔をしているが、歴代の徳川公の中で切れ者と 言われている。この徳川公でなければ、東京島はでき なかったろう。クールな頭脳が売り物である。特別製 の絹の着物を羽織っている。徳川家康そっくりの顔を していたが、これはどうも整形ではないかという町の 噂である。 この東京島の五分の一を占めるのが東京城である。 一〇層だての建築物はバイオ木材で作られている。 このバイオ木材は特別製で季節、天候によって建物自 体の色彩が変化し、変幻自在だ。現在では、東京の観 光名物になっており、一部分は、観光客に解放されて いる。最上階は関東新平野を見渡せる展望オフィス。 ここが主上の間である。 徳川公はビジネスマンとしても優秀で、バイオ植物 産業、サイボーグ魚養殖、観光事業などいろんな方面 に手をだしていた。 「まずは一服、どうじゃ主水」 二人の間に茶道具が並べられている。この時期でも 一緒に茶を飲むというのが心を開いているという証拠 になっていた。人間の徳川公とロボットの主水が同じ 茶を飲む。 「これは殿、恐悦至極に存じます」 「これは、私が作り上げた茶じゃ」 「う、うまい。乙な味。はて、この銘柄は何でござり ますか」 「機械茶二八号鉄人じゃ。どうじゃ主水、味は。日本 精神がよ~く馴染んでおろうが」 「ははっ、なにか夜の空を見ると、ガオーッとほえた くなります」 この機械茶の栽培も、徳川公は手掛けていた。新静 岡に広大な茶畑を持っているという。ロボット用の茶 であるが、人間も飲める。ロボットは、この茶を飲む ことで落ち着くことができるのだった。ICに微妙に 影響を与えるらしい。 「ははっ、五体臓腑に日本精神が染み入りましてござ います。で、殿、今度の御用の向きは」 しっとりとした茶が、主水の体の細部に染み渡って 行く。 「そうじゃ、その珍しい茶を飲ましたのは他でもない 。お前に、西日本へ下ってほしいのじゃ」 クールな顔で徳川公は命令する。 「と、申しますと、何やらよからぬ企みが、またぞろ 首をもたげてまいりましたか」 「ロセンデール卿を知っておるか」 「ははぁ、ヨーロッパで会っております…」 主水は言葉を濁した。これはこの茶のせいではない。すくなか らぬ因縁が、二人の間にあるのだ。むろん、それは徳 川公も承知のことだ。 「あやつが、どうやら、日本を狙っておる。卿の自 家用空母『ライオン』が、世界一周を計画し、今は『 大阪港』に停泊しておる」 「大阪ですと。では西日本で何か活動を……」 「あやつらは、大阪に機械城なる前進基地を建設しよったの じゃ」 「で、そやつらの狙いは、おそらく…」 主水はロセンデールの狙いに気付く。主水の眉が吊 り上がっていた。その表情に徳川公はきずく。 「余もそう思う。奴らの狙いは京都にのぼり、日本の 心柱しんばしらを発見し、この日本を領土にした いと考えておるのじゃ。西日本に走れ、主水」 「は、いますぐにでも」 走る姿勢を取る主水である。昔なつかしいエイトマ ン姿勢であった。BGMが聞こえてくるようだった。 「慌てるな、主水。ところで、貴公、その姿勢は何じ ゃ」 「はっ、わからないのですが、走れといわれますと、 ついこの恰好をとります」 過去のロボットの記憶がICに詰め込まれているら しい。 「まあ、走れと申しても、本当に走らぬでもよい。西 日本で一週間後、都市連合会議が開かれる。そこに東 日本エリア代表としての霊能師『落合レイモン』が遣 わされる。この『レイモン』の使いとして紛れ込め。 ともかくあのちでは、ロボットは、奴隷じゃからのう 」 しばらくして徳川公はつけつわえた。 「そうじゃ、足毛布博士に会ってきたらどうじゃ」 ぐっと睨む徳川公。 「おかみ、それは、どうも」 続く言葉が主水を驚かせる。 「いや、どうも足毛布博士、ロセンデールと結びつい ているやもしれん」 「まさか、そのような可能性が…」 呆然とする主水。 「残念じゃが、可能性はある」 徳川公は、東日本都市連合の副議長を努めている。 この議会で落合レイモンの派遣が決まっていた。また 、西日本の動きにも、目をつけている。東日本と西日 本はいわば微妙な敵対関係にある。 「レイモンと申しますと、あの薬やくづけのレイ モンでございますか」 突然に出て来た名前に心を動かされた。 「そうじゃ、いかに薬づけであろうと、レイモンが東 日本エリアでは、最大の霊能師であることは間違いあ るまい」 「それはたしかに……」 『薬づけ』の意味は、落合レイモンはもともと体が 丈夫ではなかったらしい。幼いころレンモンは、生体 防護チューブにいた時、何かの霊に取り付かれて霊能 師となった。体を保つために一日に百種類の薬品が必 要と言われている。 「主水、お前はこのあと、落合レイモンのところへ行 き、今度の主なる目的を尋ねよ」 「それでは、御主上も今回のレイモン様の旅の目的を はっきりとは」 「わからぬ。落合レイモンは、東日本都市連合では顔 が効く。それゆえの派遣じゃ。が、お前も存じておろ うが、余は霊能師をこころよく思ってはおらん。が、 あやつらの助けがなければ、この日本を救うことなど 不可能じゃ」 「一体、いつの時代から、あやつら、霊能師が力を持 つようになったのでしょうか」 「余が父君より聴いたところによると、やはりあの霊 戦争のあとと聴いておる」 霊戦争後、霊能師がこの世界で大きな役割をしめる ようになつたのは、彼らが非生物、生物をとわず、そ の物体の『声』を聞けるからだとされている。あちこ ちにしゃべる霊が数多く出現している世界なのである 。徳川公は急に話題を変えた。 「それで、病気はどうじゃ」 「えっ、なぜ、お上がそれを……」 突然の質問に、主水はあわてた。が、それは主水の 勘違いであった。 「何をいっておる。マリアの例の病気のことではない か。ほら、あの姉のパーソナリティがでるのではない かと尋ねておるのじゃ」 「さようでございますか。拙者てっきり……」 安心する主水。 「何か、お前、病気なのか」 不審な顔で主水の顔をのぞき込む徳川公である。 「いえ、まさか、そのようなこと、この私に」 心の中で冷や汗がでる主水である。本当は、主水には最近 ある病状がでていた。その表情に気付かず徳川公は、 「それならよいが。まあマリアにも気をつけてあげよ 。ともかくたったひとりの姉がのう……」 その姉がロセンデールと深い関係にあるとは、徳川 公は知らなかった。 主水は東京城を辞した。 続く090901改訂 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所
2019年05月08日
ロボサムライ駆ける■第8回■ 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」■ ロボサムライ駆ける■第二章 新東京(2) (1)承前 「あれ、御膳、そんなこといって、あとでマリアねえ さんが怒ったってしりあせんぜ」 主水は鉄の言葉を無視してしゃべる。 「これからの道行きだともうしたな。私がどこかへで かけるというのか。また、そのことなぜ、知っている 」 「これはしもうたわ。貴様、まだ、聞いてはおらなん だか」 サイ魚法師は、顔をくしゃっとした表情にして、自 分の頭をつるりとなでた。 さては…、主水は思いつくことがあった。 「さては、法師、ロセンデールに雇われたか。貴様日本人であ りながら、外国人に魂を売ったか」 どうやら、当たりらしい。サイ魚法師が答える。 「ふふん、主水、何をアナクロニズムな言葉を吐くん だ、お主はいまごろ国籍にとらわれることなどあるま い。だいたい、ロボットに魂などないわ。お前はロボ ットだ。どうあがいたところで、日本人になることな どできまい。お前自身が日本人というよりも、徳川公 国の使い番だからな。主水、そろそろとどめをさして あげようぞ」 サイ魚法師が、潜水艦のブリッジから身を乗り出し て怒鳴っていた。 「鉄、マリアをたのむ」 「御膳、どこへ」 「ちょっと一仕事だ」 軽く言う。 「主水様、大丈夫ですか」 「マリア、心配無用」 主水は、愛剣ムラマサを上段に構える。 その瞬間、再びサイボーグ魚が、主水めがけて、水 面から発進した。そのとき、主水は上空へ跳躍する。 わずか数センチしたの足元を、サイ魚の大群が飛び 過ぎる。 そのサイ魚の群れを、板を踏むのように足で踏み付 け、飛び石のように潜水艦になだれ込む主水だった。 人間の目にとまらない技。さすが徳川公直属旗本ロ ボザムライである。ブリッジに主水はいた。刀を構え る。 「サイ魚法師、かくご」 驚くサイ魚法師。 「まて、主水」 サイ魚法師はもう逃げ場がない。 名刀ムラマサが潜水艦「越月えっきょう」の艦 橋を切り抜く。音立てて、船橋の右肩が少しずつ倒れ ていく。その切片がずぶずぶと海中に沈む。 「うわっ、やめんか、主水」 サイ魚法師は、船橋内部の階段を転がり降りる。 「おしい」 にやりと笑う主水。まだだいぶ余裕がある。 ムラマサは、すでに艦橋上四分の一を切り離してい た。 「さすが、殿から拝諒いたした刀ムラマサ。すごい切 れ味じゃ」 逃げ出そうとする潜水艦。 「逃げるな、法師」 続いて艦橋から外側に飛び降りながら、船体横に着 地するまで、主水はムラマサを数百回横に払い続ける。 次々、艦橋金属部分がササラカマボコのように切り 離されていく。 「やめろ、主水」法師は泣き声をあげる。 「降参する。後生だ、やめてくれ」 「ならぬ、攻撃を仕掛けたのはお前だろう。この潜水 艦、切り刻み、東京湾のサイ魚のエサにしてくれるわ 」 「みな逃げろ。主水め。やりよった。一人でこの潜水 艦を切り刻むつもりだ」 サイ魚法師が、潜水艦の乗員に警告を与えていた。 まさにクモの子を散らすようにハッチから乗組員が飛 び出して来る。 遠く川船の上で、主水の様子を見ているマリアと鉄 がしゃべっていた。 「大丈夫ですかね」 「どちらが、主水、それともサイ魚法師さん?」 「ねえさんも人が悪いや。サイ魚法師に決まっている じゃありませんか。御膳も刀を使い始めると見境が ないからなあ。キジルシだからなあ」 腕組みをして観戦している鉄が言う。 「ふふん、あたしもそう思います。サイ魚法師も時期 を選ばなきゃいけませんよね」 「じゃなにですかい。御膳は今…」 「そうです。あの方は、いま気分が一番悪い時期なの です」 ロボットにもバイオリニズムがあるのである。 サイ魚法師と逃げ出した潜水艦の乗組員は、ゴムボ ートをサイ魚の大群に引かせて逃げて行く。 「あーあ、やっとあいつら、逃げよった。」 主水は 泳ぎ、帰って来る。 「それで、鉄、どんな用だ」 一仕事を終えた主水が、舟に戻ってきて尋ねる。 「そうだ、いけねえ、お上かみがお呼びですぜ」 急に鉄は思い出した。 「何、殿がお呼びだと、早くそれをいわんか」 今度はも主水が大慌てである。 何しろ、主君、徳川公のお呼びなのである。 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2019年05月07日
飛鳥京香■小説■源義経黄金伝説・ロボザムライ駆ける・「ランナー」・宇宙から還りし王等々「妄想めぐり」へようこそ! ■山田の「妄想めぐり」へようこそ! 関西学院大学文学部ーSF研究会ー大阪文学学校ー大阪シナリオ学校ー同人誌活動 を通じての、30年にわたる、日々の妄想世界のすべてをお見せします。 http://plaza.rakuten.co.jp/yamadas0115/diary/201609230000/ ■飛鳥京香・SF小説工房■株式会社山田企画事務所■ 小説ごと章立てことにに入ってます。まだ未発表もありますが、、、 基本的にまだ整理できていません。 ■飛鳥京香小説工房■作品■は昔、大阪文学学校、大阪シナリオ学校 を卒業のあと、同人誌活動した折の作品集です。どうぞご覧ください。山田企画事務所のグーグル検索でも発見できます。 TD「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」故郷神立山「なみだ岩」伝説は、僕、日待明にあたたな人生の選択を迫る。彼女は何者であったのか? 僕は、乗りごこちの悪いローカル線に乗り、故郷に向かっていた。 故郷での記憶はない。親戚もいない。 僕、日待明(ひまちめい)は頭屋封へ、何年もの町中の生活で得た悲しみ、体の中にたまりすぎた汚れを、洗いおとすために帰る」とはじまります。 僕、日待明(ひまちめい)は頭屋封へ、何年もの町中の生活で得た悲しみ、体の中にたまりすぎた汚れを、洗いおとすために帰る。苦しみは僕の体をむしばんでいるのだ。 ●という主人公を待ち受ける故郷神立山「なみだ岩」伝説は、主人公にあたたな人生の選択を迫る。そして、彼女は何者であったのか? ----------------------------------------- 封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02) はるか昔に最初の地球として滅没した。 ある意味で封印されていた。 その改修し再生された惑星である●大球●から変化し、再生された 新しい地球の世界樹 となったアー・ヘブンの聴覚に働きかけるものがあった。 、新しい地球の中心である世界樹ハーモナイザーが働きかけ、アー・ヘブンは始めて、自分の名前の意味合いを悟った。 アー・ヘブン=アウフ・ヘーベン(止揚)だったのか。 アー・ヘブンである、 世界樹の、表皮、小さな部分に、 古代の地球文字が刻まれている。突然、それは現れた。 『私の夢は、、、』 今は存在しない古代人の「北の詩人」イメージ脳はただよう。 ----------------------------------------- ■宇宙から還りし王(山稜王)■ (ハーモナイザーシリーズ) ■ 「宇宙から還りし王」彼の名前はネイサン。 地球人で初めて「タンホイザーゲイト」から帰って来た男。 そして今は、山陵王と呼ばれる男。 彼はこのゼルシアにある地球自然保護区に往み、ラシュモア山を支配する。タンホイザーゲイトはこの宇宙の淵といわれ、新宇宙への門であり、ここからは別の世界が始まるといわれていた。 30年前、恒星星間船アンバサダー号は送り込まれ、そのアンバサダー号は帰還してきた。しかし乗組員で生き残っていたのはネイサンだけだ。ネイサンは宇宙省の徹底的な心理分析を受けた。 ネイサンの心は空白だった。 地球を出発して以降、三〇年間の記憶はまったく残っていなかった。 やがて、彼の存在があきらかになったのは、雑誌に発表された小説からだった。ネイサンの小説は、いわば、言語によるドラッグ。 その作品を読んだものは、ネイサンの言語による想像力の爆発に酔いしれた。 宇宙省は、彼を危険人物とみなし抹殺を指令。 ----------------------------------------- ●■遥かなる絆「ランナー」■ 1256年、プラグひきいる蒙古軍は、ペルシャ北部、エルブルズ山脈の中心部にある、高い岩山の 頂上に建てられた「アラムート」城を攻めおとそうとしていた。アラムート城は、いわゆるイスラム教の異端派の一つであるイスマーイール派、アサシン(暗殺教団)の城塞であった。 蒙古軍は、アラムート城からの攻撃が、瞬時、とだえたのを期に、一挙に城を攻め落とした。 の中には、一人のアサシンもいなかった。間道や逃げ道はないはずだった。 プラグは草の根をわけてもさがせと、命令を下したが、数千人のアサシンはまったく発見できなかった。 アサシンの指導者、導師マニは、時間の支配者と呼ばれていたが、彼の幻術かどうかもはっきりとしなかった。 ----------------------------------------- ■「ガーディアン」 人類戦士達を「ガーディアン」と呼ぶ 地球にあの偉大々MEが誕生した。MEは絶滅の縁にあった人類を新たな道、栄光の道へと導いた。 この新生地球人類の前に立ちふさがったのがROWだった。 彼らは新人類に戦いを挑み、戦闘は果てしなく統くように思われた。 ROWは、一つの作戦を発動した。地球の歴史への挑戦、あるいは干渉である。過去の地球ヘタイム・ジャンプを行ない、MEを生みだした祖先の人々を地球史上から抹殺する作戦である。 その環境にも魔手をのばした。 このROWの作戦を察知した人類は、MEの家系を守り、新人類を守護するため、地球の過去へ瀕った。人類の発生より、MEが誕生するまでのMEにつらなる人々をROWの攻撃よりガードするため、あらゆる時代へと自ら志願した戦士を派遣した。 この人類戦士達を「ガーディアン」と呼ぶ。 ----------------------------------------- ■「ロボザムライ駆ける」とは、、 東京湾の中央に島ができていた。 第二首都都心として形成された、この東京島は 現在「徳川公国」の領土となっている。 公国の中心には東京城が建築されていた。 西を遠望するに富士がきれいに見える。 「霊戦争」後、急激に復興した自然界は、日本を中世世界とおもわせるほどその景観を変えた。 また、人々のライフスタイルも変化、政治体制を変化させ、「霊戦争」後の世界は「民族主義」の動きに覆われていた。 古代の民族古来の習俗に戻ろうと現在の世界は機械文明と自然が調和した民族主義世界となった。 日本の東京島を巡る運河エリアは、真昼の太陽を照り返している。運河面に魚が動き、跳ね上がる。東京湾も浄化、魚の遊弋する場所となった。 ●という舞台設定で、ロボット侍、早乙女主水(さおとめもんど)が活躍する話です。 ----------------------------------------- ●山田企画事務所・飛鳥京香 サイト などより転載。 http://plaza.rakuten.co.jp/yamadas0115/ 飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)
2019年05月05日
ロボサムライ駆ける■第7回■ 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 思い出にふける二人のもとへ騒音が駆け込んできた。 川舟に埠頭から、クレーンが懸かる。 「御膳ごぜん、御膳」 クレーンの上をかける音が、本人よりさきにきた。 おまけに履いていた鉄ゲタが先に飛んで来た。主水の 頭にコチンと命中する。 「こらっ、鉄」 鉄ゲタを避けられなかった主水は自分にも怒ってい る。 「あらっ、これりゃあ、すみません。ごぜん、そんな にのんびり釣りをしている時じゃありませんぜ」 いなせな江戸時代の町人姿のその男は、人工汗を吹 き出していた。特殊手ぬぐいで汗を拭く。そして、絞 り上げた。船の床は水浸しだ。 「鉄、まあ、落ち着け。魚が逃げる」 「これが落ち着いていられますかってんだー。ラブ・ ミー・テンダー」 と大慌てである。 「何事なのだ、鉄」 たたずまいを整えて、もんどは尋ねた。 「それがね、ごぜん、えっー…と…。あれ、いけねえ 、慌て過ぎて忘れちまった。ちょっと、まっておくん なせえよ」 この男、びゅんびゅんの鉄。性格を一言でいうと、 慌て者である。主水もんどのために働いている。いわゆる情 報収集者だ。考え込む鉄の眼に先刻から垂れている主 水の釣り糸が眼に入る。 「それより、ごぜん、引いてますぜ」 「何だと、それを早くいわんか」 ところがこの魚がくせ者である。 主水の竿をぐっとひっぱる。かなりの力だ。普通の 魚ではない。大物である。慌てて主水、 「おい、マリア、鉄、わしの体をもってくれ。水にひっ ぱりこまれそうだ」 「魚を放しなさいませ。そのほうが簡単じゃございま せん」 「そうでさあ、ごぜん、そのほうが早いや」 「な、何を言う。この竿は徳川公からいただいた由緒ある竿… 」 と言ってる間に竿から勢いがすっと抜ける。 今度は魚の方が飛び上がってくる。口を切っ先のようにと がらせて、主水の体を狙ってきた。といってもキスを 求めているのではない。かみ砕こうというのだ。 「あぶない。ノーキッス」 体を伏せる主水。その上を魚が飛び去る。 「えーっ、ありゃ、あの魚はきすじゃありませんぜ。でもごぜん もすきがないなあ」 その状態でも、ダシャレを忘れない鉄である。 魚はまるでロケットだ。船を飛び出して再び水の中へ。 「あの魚、ひょっとして」 主水が疑いの眼差しでいう。 「何だってんですかい」 キョトンとして鉄。 「サイボーグ魚」マリアがつぶやいた。 サイボーグ魚は、霊戦争後、出現した新しいタイプ のロボット魚類だ。非常に頭がよく、攻撃性も抜群で ある。各国とも攻撃兵器として開発しているのだ。 「そうだ、すると…、いかん。危ない」 主水は両肩で二人を床へねじ伏せた。水が白いしぶ きを上げる。一瞬の後、船の両舷から一斉に魚の大群 が飛び上がり、船を襲った。 スタスタスタと音を立てて、魚が何匹か体に突き刺さる。 残りは交差し、海中へ。二三匹、鉄の目の前に刺さる。 「うわっ」 鉄は叫ぶ。 「大丈夫か、鉄」 「ちょっとかすったくらいでさあ。おめいら、交通信号 をまもらんかい」 急に強気になった鉄が言う。 「マリア、ムラマサを取ってくれ」 主水の愛剣ムラマサがすらりと引きぬかれる。太陽 をうけて、りゅうと光る。 「よし、次の攻撃だな」 ムラマサを抜き放ち、構える。 再び、魚が、今度は、船の前後から襲い掛かってき た。 瞬間、主水の刀が走った。人間の眼にもとまらない 。サイボーグ魚のなますが船のうえに山積みとなる。 主水の動きと魚の流れが交差し、すさまじい光と音と があたりを覆った。 「さすがは、ごぜんだぜ」 サイボーグ魚のなますをつつきながら鉄は言う。 「鉄、これをあてにして、一献、ロボット酒でも」 「主水、おいしそうなお話しですけれど、前をご覧に なった方が」 続いて、巨大な水泡が目の前に近づいてきている。 「ひょっとして…」 主水の人工皮膚の顔色が変わっていた。 「何か、心当たりでもあるんですか」 「このような水泡に帰す企てをくわだてる者、これは ……」 目玉が飛び出しそうである。 その時、海面から十メートルはある、その巨大な 魚が浮かび上がる。それを見てのけ反る主水。 「うおっ」 「ごぜん、あっしはぎょっとしたねえ」 小ぶりなシャレで応酬する二人。 そいつは魚に見えたが、背鰭のところが開く。中か ら、坊主頭で紺の作務着を着た三十がらみの男が出て 来て、腕組みをする。 「さすがは主水、サイ魚を切り刻んだか」 男は無念そうに船上の主水を睨む。 サイボーグ魚。略してサイ魚である。 「サイ魚法師、久しぶりだなあ。お前が絡んでいるの か」 主水がキッと男を睨んでいた。 「ふふん、主水、ほんの挨拶がわりだ」 サイ魚法師は、頭をずるっと撫でて、主水を見返し た。 「挨拶ありがたくちょうだいいたす。が、法師、それ だけであらわれてきたのではあるまい」 主水、ムラマサは構えたままだ。 「そうだ。これからの道行で、いずれ雌雄を決しなけ ればならんからな。また、そこなお内儀にも挨拶がて らだ。外国ロボットとはいえ、なかなか見目麗しい女 性ではないか」 サイ魚法師は、こころなしか、うらやましそうな顔 をした。 「あら、どうもありがとうございます、サイ魚法師さ んとやら」 マリアがやんわり受け流した。 「このやろう、おべんちゃらをいいやがって。俺もい いいたいじゃないか」 鉄は着物の袖をまくりあげていた。どうやら興奮し ている。 「あら、鉄さん、その言葉はどういう意味ですか」 「いや、姉さん、そう悪くとっちゃいけあせんぜ。た んなるお世辞だい」 鉄はマリアに睨まれ、真っ赤な顔をした。 「お世辞はよしてくれ、法師」 「あら、あなたなにをおっしゃるの。せっかく、サイ 魚法師さんが、あたくしを誉めてくれたんじゃありま せんか」 「だまっておれ、これは男どうしの話しあいだ」 ムッとする主水。 続く 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画yamadakikaku2009
2019年05月05日
ロボサムライ駆ける■第6回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ■第二章 新東京 (1) 東京湾は、この日「日本晴れ」と呼ばれる晴天であ った。湾のまわりには、かつて存在した東京工業地帯 は跡形もない。かわりに緑豊かな植物群で覆われてい る。 湾の中央に島がある。第二首都都心として形成され た、 この東京島は現在徳川公国の領土となっている。 公国の中心には東京城が建築されていた。 西を遠望するに富士がきれいに見える。霊戦争後、 急激に復興した自然界は、日本を中世世界とわせるほ どその景観を変えていた。 また、人々のライフスタイ ルも変化していて、それは、政治体制を変化させ、霊 戦争後の世界は民族主義の動きに覆われていた。 古代の民族古来の習俗に戻ろうという心の動きが顕 著になっていた。現在の世界は機械文明と自然が調和 した民族主義世界となっている。 東京島を巡る運河エリアは、真昼の太陽を照り返している。運河面に魚が 動き、跳ね上がる。東京湾も浄化され、魚の遊弋する 場所となったのである。 その東京湾に、水面に釣り糸を垂れた川船が、一隻 のんびりとたゆとうていた。 「世が世なら、大名にもなれたものを」 川船の中で男が一人寝そべっている。 太陽に向かって主水もんどは唸っていた。早乙 女主水さおとめもんど。今日は着流しをきてくつ ろいでいる。刀の大小は床の間にかけてある。無論、 日本の武士のように髪はゆうている。京人形のような 顔をしていた。 といいたいが、すこしばかり、体重オーバーの顔だった。 はれぼったい顔だった。アンパン マンみたいな顔だった。 つまり、その顔だけ目立っていてごつかった。 が、一重の目には、意志の強いきりりとした眼差し がある。ロボットでも何か救いがあるものである。 「だめですよ、あなたはね、人間じゃないのですから 」 そばに同じように寝そべるマリアが言う。 「どこまでいってもね、ただのロボザムライなのですよ」 先程の「大名に」に対する答えだった。 きれいな音声でシニカルに男の夢を履き捨てる女だ った。これは人間もロボットも変わらないようだ。 彼女の名は、マリア=リキュール=リヒテンシュタイン。 緑の眼をしてハシバミ色の髪を、今日は、日本髪に ゆうていた。そして留め袖の和服を流麗に着こなして いた。が時には、ヨーロッパの貴夫人の姿形を取ると きもある。こちらは典型的なアンチックドールの顔だ 。なにしろヨーロッパの貴族ロボットなのだから。 ときおり、言われるのだが、マリアは美意識がおか しいのではないか、ゲテモノ趣味ではないか。目がお かしいのではないか、という評判である。 というのは、天下ひろしといえども、これほど似合 わないカップルもめずらしいのである。 この間など、新東京の盛り場を、二人が歩いている とこう言われたのである。 「へええ、かわいそうにね、あの奥さん」 「そうよね、きっと何かあるのだわ」 ともかく、主水が、ゲルマン留学のおり、連れて帰 って来た女性ロボである。 主水には、額に切り傷がある。これは、ゲルマンの ハイデルベルグで、マリアを巡っての決闘のおり、切 り込まれたものだ。相手はザムザ=ビスマルク。名前 からもわかるとおり、あのビスマルクの子孫につなが るロボットである。 ともかくも二人は神聖ゲルマン帝国で出会い、いま ここにいるのである。 ゆったりとした風が川船を通り過ぎて行く。二人は 思い出に耽っているのである。 続く 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2019年05月05日
ロボサムライ駆ける■第5回(改訂)ー全62回 ◆ 聖騎士団長シュトルフが駆け込んできた。 「どういうことですか、殿下。機械城の警備を日本側のロボ忍に任せろとは」 「シュトルフくん怒るな。これも殿下の深慮遠謀なのじゃ」 鷲顔の秘書官クルトフが言った。 「どういう理由か、お教え願いたい」 「シュトルフくん よろしいですか、日本側は我々の動きを完全に信じてはいません。この機械城に仕掛けがあると考えておる節があるのです。その疑いを少しでも取っておきたいのですよ。おわかりですか」 「それでは殿下は、機械城すべての警備をロボ忍に任せろとおっしゃるのですか」 「シュトルフくん、そのとおりです。彼らに任せなさい」 「任せろとおっしゃられても」 「よいですか、シュトルフくん それでは、教えてあげましょう。機械城全体が大きな罠なのです」 「その罠に落としますのは、一体?」 シュトルフは怪訝な顔をした。 「我らの目的の邪魔になるもの、すべてのものですよ。日本の政府関係者、氾濫ロボットどもとかね」 ロセンデールの青眼は残酷にきらりと光った。 ◆ 霊戦争は地球の浄化作用であった。当時、地球の文明全体が機械化文明に犯されつつあった。 情報公社「リンクス」や機械化会社「ロボテック」などのコングロマリットが、地球の全体のほぼ利益及び生産資材を握りつつあった。世界初の企業による世界帝国である。 霊戦争が始まりを、今となってははっきり記述することは不可能だろう。結果的には地球の文明は少し後退したように見えるが、地球全体の生命体から見ればそうもいえない。 緑が地球の全てを覆いつつあり、河川、海の汚染度も下がりつつあった。 地球上空何千キロの部分には監視衛星「ボルテックス」が数個設置されていた。これらの衛星はいわば、神の剣であった。 すでにこの時期、自然類は地球外に影響を及ぼしつつあった。外惑星は、この地球の状態を理解できないでいた。ボルテックスはこの地球全体に結界を引いていたのである。 しかしながら、機械化文明は退歩した訳ではなかった。地球にはロボットや機械が驚くほど数が存在し、減少する傾向は出ていなかった。 (4) 地下坑道。 巨大なトンネルがうがかれていた。ともかく天井が異常に高い。 鑿岩ロボットたちは、手を休めていた。皆へとへとに疲れている。これから先は人間、霊能師の役割なのだ。彼らは霊能師たちを見守っていた。 多くの人間が円陣を組み、何かを唱えていた。すべての人間が汗をかいていた。 その円陣の向こうの壁が光り出している。 「おおっ、あれは」 何人かが、驚きの声をあげた。 壁という壁は、石仏、仏像、寺社の建物でひしめいていた。そこから先数キロは異様な空間を作り出している。 うしろから、巨大な光る物体があるいてきた。 大仏である。 ゆるゆると、歩いてくる。ロボットたちの前をすぎ、人間の円陣の横をすぎる。 が、その先が問題なのだ。 バリバリと音がする。 大仏は歩こうとするのだが、ある一定のラインを越すことができない。 大仏がブルブルと震えていた。 同時に壁にひっついている仏像も石仏もゆらゆらと震えているのだった。まるでその壁が揺らぎ、大仏の進行を妨げているようにも見えた。 続く2016改訂 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2019年05月05日
ロボサムライ駆ける■第4回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 機械城。 ロセンデールによって、極めて短時間に作られていた城である。 ロセンデールが、日本に到着してすでに六カ月がたっている。 この時期、古来からあった城は霊戦争のおりなくなっていた。それゆえ大阪城の場所にその機械城は建てられていた。 外見上は日本の城に見える。城壁、天守閣、櫓などを見ても変わっているようには見えない。が、すべて機械でできているのだ。城壁の石垣の一つ一つも、窓枠の一つ一つも、すべて機械なのだ。 それもロセンデールの命令どおりに作動する一つの機械生命体であった。城壁の四隅に櫓があり、中央部に天守閣、小天守閣がある。 この天守閣のみ、少しばかり形が変わっていて、西欧の寺院風にも見えた。 一階から五階まで、吹き抜け部分が作られていた。小天守閣には、心柱を探るための研究機材が集中していた。 天守閣は、ロセンデールの居城であり、そして何か別の目的で建てられているのであった。 ◆ 「斎藤くん、水野くん、ご覧くださいね。もうここまで進んでおります」 ロセンデールは、機械城の中央、天守閣にあるコントロールルームの巨大なモニターを二人に示した。 この画面には、心柱があると思われる位置がコンピュータグラフイックスで描かれ、その心柱に向かって進む地下坑道が数多く表示されている。この地下坑道のすべてで、数百体のロボットが作業を行っていた。 「西日本がロボット奴隷制でようございました。東日本ならロボットを強制労働させるわけにはいきませんからね」 ロセンデールがいった。 「さようでござる。ロセンデール卿も運のいいことじゃ」 水野がほくそ笑む。 「しかし、やはり足毛布博士がいなければ、こうもいきませんでした」 「さようで。で、足毛布博士は」 「ああ、彼は人に会いたくないとおっしゃって坑道A-五〇に入っておられます」 「博士の人嫌いにも困ったものじゃのう」 「いやいや、それだからこそ、このようなロボット強制労働ができるというものです」 「ほほ、博士の性癖に感謝せぬといかん訳ですな」 「そのようですな、はっはは」 「が、ロセンデール卿。みはしらが発見されたあかつきのこと、よろしくお願い申しあげますぞ」 「日本統一のことですね」 「しっし、ロセンデール卿。声が大きすぎます」 「何しろ、これは我々だけの秘密でございます」 「まさに、まさに。それにしても、落合レイモン殿があように易々と我々に協力していただける意向をお持ちとは思いもしませんでした」 「レイモン殿も何か考えるところがあるのでござろう」 「斎藤、それゆえ、レイモン殿の監視、努々怠るではないぞ」 水野は、隣に控えていた斎藤にいった。 「さように取り計らいます」 「水野さん、斎藤さん。珍しいものをお目にかけましょうか」 「ロセンデール卿、それは一体どのような」 「ご両公とも眼を回されるに相違ありませんねえ」 「ほほう、卿がそう言われるくらいなら」 「期待いたそう」 巨大な空間が機械城天守閣の中にある。 高さ三十メートル、広さは縦横とも百二十メートルはあるだろう。その真ん中に真紅の袱紗カーテンで仕切られている。 「いったい、これは」 「お見せしましょうか。諸君 カーテンを開けなさい。命令です」 ロセンデールが命令した。 「こ、これは」 二人は絶句した。黄金の大仏であった。 「どのようにしてここへ」 水野と斎藤は叫んでいた。 「それはね、とれも大切な新生ドイツ製国の企業秘密なのですよ。だからね。日本人のオ二人にはおしらせできません。おあきらめくださいね」 ロセンデールはにこりとした。 続く2016年改定 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2019年05月04日
ロボサムライ駆ける■第3回[足毛布人造人間製作所]が近畿エリアに四十ヵ所。足毛布屋敷に水野都市連合議長の使いが。博士は「文明没落兆候はテクノロジズムとオカルティスムが流行」 と言う。 ■第3回[足毛布人造人間製作所]ロボット製作所が近畿エリアに四十ヵ所ある。 その足毛布屋敷に水野都市連合議長の使いが、至急にご登庁を と。足毛布博士は「文明が没落する兆候はテクノロジズムとオカルティスムの流行する」 と言う。 ロボサムライ駆ける■第3回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 漆黒の闇の中、小さな明かりが灯された。何やら呪文が繰り返されている。 京都、中央区にある広大な屋敷、足毛布博士の屋敷である。 度の強いメガネをかけ、白髪まじりの蓬髪の五〇くらいの男は、なにやら独り言をつぶやいていた。 足毛布博士は秘密の地下室で祈りを捧げていた。 この儀式のことは、誰も知らなかった。それを知れば、足毛布博士を、西日本都市連合も放っておかない。 足毛布博士は、日本古来の着物を脱ぎ捨て、彼が信じている大義のための服装に着替えていた。 何かの祭壇がある。日本古来の神棚ではない。 『古来より、日本へ飛来しました我々足毛布一族、ついにその目的の貫徹はちこうございます。願わくば、私の世代にその願いを叶えられんことを』 祈る足毛布博士であった。 足毛布博士は、京都市内に広大な土地を占めていた。この本宅以外にロボット製作所が近畿エリアに四十ヵ所ある。 [足毛布人造人間製作所] といえば、泣く子も黙る西日本の大企業である。 が、最近、足毛布博士は政府の要職も、会社の経営も他人に譲り渡していた。 ◆ 「博士、博士はご在宅か」 八足移動ビーグル、クラルテに乗った武士が、玄関先で呼ばわっていた。 足毛布博士の屋敷は、博士が人嫌いのため、使用人は雇っていない。全自動ロボットシステムで構築されていた。 「これはどちらさまでしょう」 玄関に設置されているロボットボイスが答えていた。 「水野都市連合議長の使いの者じゃ。足毛布博士、至急にご登庁をお願いしたい。火急のこととあり。以上を足毛布博士にお伝えいただけるか」 「わかりました。至急お知らせ致しましょう」 足毛布博士の情報モジュールは、都市連合からの連絡情報を一切入力させない設計になっている。それゆえ、わざわざクラルテに乗った使者が現れるわけである。 博士は書斎兼図書室にいた。古書籍がずらっと並んでいた。一冊の本を取り出す。タイトルは『西洋の没落』となっている。 博士は誰かにしゃべっている。 「貴公はシュペングラーの『西洋の没落』という本の名を聞いたことがあるかね」 「いや、そのような本、耳にしたこともない」 「ふふん、まあ、ロセンデールなら知っていよう。あれは第一次大戦の前だったか、このページに書いているのだが。文明が没落する兆候はテクノロジズムとオカルティスムの流行と言っておるのじゃ」 「ふふぉ、我々のことか。予言しておったのか、そのシュペングラーとか申す霊能師」 続く 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2019年05月04日
ロボサムライ駆ける■第2回■ゲルマン帝国、ロセンデール卿はつぶやく「ふふう、クルトフくん。大仏は、日本人によく効くシンボルですねえ。大仏の別目的を知れば、関西都市連合の水野くんたちも驚くでしょうねえ」 ロボサムライ駆ける■第2回■ 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ◆ 「大仏様が、大仏様が、こちらへ動いて来るぞ」 「ああ、ありがたいことじゃ」 都市にいる人々は、空母上の大仏を見て大騒ぎとなっていた。海岸のほうへ人々は繰り出していた。人もロボットも。 「ありがたい、大仏様じゃ」 大仏が、空母ライオンの甲板上に、座を組んでいる。ロセンデールのライオン丸であった。その上には天女が竪琴をもって演奏している。先刻のロセンデールの歌姫たちが服装を変えて違う歌を奏でているのだ。演出効果バツグンである。 「ふふう、見てごらんなさい、クルトフくん。大仏とやらは、日本人によく効くシンボルですねえ」 「タイのバンコクで手に入れたのも、この効果があれば安い買い物でしたな」 「それに、この大仏のもう一つの目的を知れば、水野くんたちも驚くに違いありませんねえ」 大阪港に接岸した空母ライオンに、人々が群がり集まって来るのだった。大阪は、いや、近畿エリアはまさに平野であった。かつて存在していた山並みは、霊戦争のおり消滅している。 「これ、斎藤、落ち度があってはなりませぬぞ、あの方には」 二メートルの大身の水野は、ネズミのような小男、斎藤にいった。 二人とも日本の礼服である裃に身を固めている。上下二本の刀をさし、草鞋ばき。当然頭は丁髷を結っている。この二人だけでなく、一般人も、和服、丁髷である。人間だけでなく、ロボットも同様の風体だつた。 「わかっております、水野様。あの卿の取り扱いいかんでは、我々の手に日本が…」 「しっ、斎藤。それは禁句じゃ。誰が聞いておるやもしれん」 「が、水野様。わざわざあのロセンデールとか申す新生ドイツ帝国の手の者を、日本に入れる意味がありましたでしょうか」 「何を今頃申しておる。足毛布あしもふ博士の強制ロボット動員策でも、あの場所がみつからんのだぞ。ヨーロッパ随一の心柱しんばしら発見の著名人であるロセンデール卿を招くのは当たり前だろうが」 「が、心柱を発見された各国、いずれもルドルフ大帝の支配下に入ったと聞き及びます」斎藤は不安げに言った。 「お主も心配症じゃのう。支配下に入った各国はヨーロッパぞ。東洋の一国である我々には関係ないわ。よいか、これからの時代で俺は織田信長、お主は豊臣秀吉じゃ」 水野は、織田信長。斎藤は、豊臣秀吉そっりの顔をしていた。 「が、水野様。東京には本当の徳川公がおわしますぞ」 「本当に心配症の奴じゃのう。心柱さえ見つかれば、そのようなこと取るに足りぬ」 大笑いする、水野。西日本都市連合議長である。 自らの未来が、鮮やかに脳裏に浮かび上がっているのだろう。 一方、斎藤は大阪市長だが、顔色は優れなかった。ともかく、秀吉も信長も外国の力を借りはしなかった。と斎藤は思った。 「それ、ロセンデールが現れよった。斎藤、笑顔じゃ、笑顔」 ロセンデールが、ケープをひるがえせて降りて来た。あとには鷲顔クルトフ、ジャガ芋顔シュトルフが続いている。 「これは、これは、ロセンデール卿、遠い道程、お疲れ様でございます」 「水野さん、日本はとても美しい国ですね。とても欲しくなりました」 憂いを秘めたロセンデールは、簡単に言ってのける。 「えーっ」 「いえ、冗談ですよ、外交辞令ですよ。それはおわあkりでしょう」 にこやかにほほ笑みながら、ロセンデールは言った。 「では、早速、現況をお伺いしましょうか」 「化野あだしのと呼ばれる地下エリアが、我々の掘削機械やロボットの侵入を防いでおります」 水野は汗を吹きつついった。先程のロセンデールの言葉が心に残っているのである。疑いが少しずつ水野の心にひろがっていく。 「と、いうことは、それより先は、あきらかに心柱、そして古代都市というわけですねえ」 「そういう可能性がかなり高かろうと思われます」 「我々が、日本じゅうから、多くの霊能師を持ってきても、その化野エリアを突破できまないのです」 斎藤がいった。 「この方はいったいどなたですか。水野さんの小姓ですか」 「いえ、紹介するのが遅れました。大阪市長、斎藤光三郎です」 「斎藤です。以後お見知りおきを」 斎藤は怒りを隠しながらいった。 「水野さんだから、私はお土産を持ってきたのです」 ロセンデールは、水野とその閣僚連中に向かって胸を張った。 「あの大仏です」 「何ですと、あの大仏」 「が、あの大仏は、空母の上に置かれております。それを化野までどうやって」 「心配ご無用です」 「まさか、運搬機械が必要とか、おっしゃるわけではありますまいな」 「あの大仏、実は戦闘用ロボットなのです」 ロセンデールは嬉しそうに言った。 「何ですと」 「我々が、タイランドの軍隊と戦ったおりの戦利品なのです。賠償金がわりに受け取った訳です」 聖騎士団長シュトルフが誇らしげに語った。 「あのロボットならば、あの化野の霊を打ち破れると」 「無論、そう考えております」ロセンデールが言った。 続く2016改訂 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2019年05月04日
RSロボサムライ駆ける■ 「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。 ロボサムライ駆ける■第1回秘書官、クルトフへ、空母ライオン鑑橋で、瀬戸内海を見渡し 「クルトフくん。美しき国、日本が手にはいる。心して計画にかかねばなりません」 ▼この小説のURL https://ncode.syosetu.com/n2492db/1/ ロボサムライ駆ける■第1回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ■第1章 胎動 (1) 巨大な島が動いている。その島が瀬戸内海を航行しているのだ。まろやかな陽光たなびく中、その島は動く。空母ライオンであった。 「風光明媚なところでございますなあ」 バイオ空母ライオン、排水量一〇万トン。甲板の幅五〇メートル、全長弐〇〇メートル。新生ドイツ帝国に属する貴族、ロセンデール卿の私物である。 ロセンデールの秘書官のクルトフが、空母ライオンの鑑橋から、瀬戸内海を見渡しながら言った。 今年六十になるクルトフは、鷲のような顔付きをしている。赤く思慮深い眼、大きない鼻梁は高くいかつい感じをましていた。長い白髪は仙人を思わせる事がある。 ヨーロッパの首相級を思わせる華麗な宮廷服を着ていた。 「クルトフくん。ここ、美しき国、日本が手にはいるわけですから。心して計画にかかねばなりませんね。それでどうですか。大阪シティの受け入れ体制は」ロセンデールは言った。 ロセンデールはいかにもヨーロッパ的な顔立ちであり、言葉使いも優しく、一見やさ男であるが、よく観察すると、野望を秘めた目と高貴な育ちを表す高い鼻と、力強い意志をもつ顎が見えて来る。 そして、体全体からは権力を持つ男のオーラが発されているようであった。今年三七才になるが、二〇代後半にしか見えなかった。 長い金髪を後ろで束ねて垂らし、ビロードでできた古代ペルシア風のチュニックとショートコートを来ていた。 「万全のようです。これも卿けいの深慮遠謀のお陰」 「くくくっ、ともかくも、世界史上誰もなし得なかったことをしようとするわけですからねえ。ところでクルトフくん、例の霊能師の方は大丈夫なのですか」 「その方の準備も万全でございます。西日本都市連合議長の水野なりが、餌をまいておりましょう」 「ロセンデール卿陛下、皆の用意ができました」 聖騎士団長のシュトルフが言った。 シュトルフは、戦のなかで生まれたような男だった。赤ら顔で首は太く、胴は樽のようだった。その樽の上に乗っている顔はどちらかというと愛嬌があった。眼は小さく、鼻は団子鼻で大きく、口もまた大きかった。ロセンデールいわくジャガ芋顔である。 大きな戦いを生き残ってきた四五才の精鋭だった。 光る電導師の制服を着ていた。そのコスチュームは、昔の十字軍を思わせた。 「よーし、君たち、そう聖騎士団の諸君、電導師たちの力を見せていただきましょうか」 ロセンデールは剣を引き抜いていた。 ゲルマンの剣である。切っ先が陽光を受けてきらりと光る。 「殿下、さすがに見事でございます」 「ほれぼれとするお姿じゃ」クルトフが言った。 ロセンデールの後ろには、うすぎぬを着た巫女たちが戦いの歌を歌い始める。一五才から一八才の美女ばかりだった。 ロセンデールの歌姫たちだ。 ゲルマンの剣はわざわざ、ルドルフがロセンデールに渡したものだった。 「皇帝ルドルフ猊下、この剣にて帝国の領土をひろげましょうぞ」 こう見栄をきったロセンデールだった。 ロセンデールはヨーロッパの某国で生を受け、霊戦争後のし上がってきた貴族である。現在、新生ドイツ帝国ルドルフ大帝の右腕とすらいわれている。 「シュトルフくん、例のものを合体してみせて下さい」 「殿下、ここでですか」 「まだまだ、大阪港へつく時間ではありませんよ。ここでね、姿と力を見てみたいのですよ、おわかりですか」 「わかりました。殿下のおおせのままに」 「飛行士の諸君、甲板にバイオコプターを集めよ」 バイオコプターは生体を形どった機械飛行機で、大きな羽根で羽ばたくことにより揚力を得ていた。この生体とは、とんぼとか兜虫とかの昆虫である。 「よーし、動かせ」 バイオコプターが一点に集まっていた。 そのバイオコプターの群れが別のものに変化した。 何か巨大なものが、ロセンデールたちの前に立ち上がっていた。 瀬戸内海の陽光を受けて、それはきらきら輝いている。 「陛下、まことに見事です。これでもって、日本人どもの肝を冷やさせるでしょう」 続く2016年改定 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企
2019年05月04日

光陽社さんの本年度アート年賀状発売!:2019年-亥年(いのししどし)https://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2019/index.html光陽社さんのアート年賀状はクリエイターさんには有名です。●山田企画事務所は、毎年作家さんの発見に協力しています。本年度の山田企画事務所の協力クリエイターさんで年賀状に採用された作家は、●鈴木純子先生 http://www.yamada-kikaku.com/suzuki-junko.html●岩崎ナギ先生 http://www.yamada-kikaku.com/artists/45-iwasaki-nagi.html●大石容子先生 http://www.yamada-kikaku.com/ooishi-youko.htmlの3人です。ごらんになってアート年賀状購入の程よろしくお願いいたします。お申込締切日 平成30年12月20日(木)午後4時ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2018年10月31日

新・くらしの税金百科 2018▶2019 マンガを担当させていただきました。 山田企画事務所の提携作家 安達ルネが、 新・くらしの税金百科 2018▶2019 本年も 山田企画事務所の提携作家 安達ルネが、マンガを担当させていただきました。マンガと図解新・くらしの税金百科 2018▶2019公益財団法人 納税協会連合会 編発 行 : 2018年7月2日判 型 : B5判264頁 ISBN : 978-4-433-60558-2定 価 : 1,728円(本体1,600円)内容は、最新の税情報から、税金の基礎知識、会社員や自営業者など異なる立場ごとの税金知識と資産を守るための税金知識について、マンガと図解でやさしく解説。目次 第1章 くらしの税ミナール―最新税金事情第2章 くらしの中の税金あれこれ 1 どれぐらい知っていますか? 税金のこと 2 もっとも身近な税金 所得税と住民税 3 こんなところでこんな税金第3章 それぞれの立場から学ぶ税金講座 1 会社員に伝えたい税金のイロハ 2 自営業者に必須の税金ノウハウ 3 会社社長が知っておくべき税金知識 4 シルバーエイジと税金の関係第4章 大切な資産を守るための税金講座 1 マイホームと不動産をめぐる税金あれこれ 2 他人事ではない相続と贈与の税金 3 資産の運用と保険をめぐる税金第5章 知っておいて損はない+α税金講座巻末付録http://www.skattsei.co.jp/search/060558.html#gaiyo 書店にてお求めください。
2018年07月04日

CM話題の岐阜大仏です。CM話題の正法寺外観(岐阜大仏)です。
2017年12月18日
ロボサムライ駆ける■第1回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所■第1章 胎動 (1) 巨大な島が動いている。その島が瀬戸内海を航行しているのだ。まろやかな陽光たなびく中、その島は動く。空母ライオンであった。「風光明媚なところでございますなあ」 バイオ空母ライオン、排水量一〇万トン。甲板の幅五〇メートル、全長弐〇〇メートル。新生ドイツ帝国に属する貴族、ロセンデール卿の私物である。 ロセンデールの秘書官のクルトフが、空母ライオンの鑑橋から、瀬戸内海を見渡しながら言った。 今年六十になるクルトフは、鷲のような顔付きをしている。赤く思慮深い眼、大きない鼻梁は高くいかつい感じをましていた。長い白髪は仙人を思わせる事がある。 ヨーロッパの首相級を思わせる華麗な宮廷服を着ていた。「クルトフくん。ここ、美しき国、日本が手にはいるわけですから。心して計画にかかねばなりませんね。それでどうですか。大阪シティの受け入れ体制は」ロセンデールは言った。 ロセンデールはいかにもヨーロッパ的な顔立ちであり、言葉使いも優しく、一見やさ男であるが、よく観察すると、野望を秘めた目と高貴な育ちを表す高い鼻と、力強い意志をもつ顎が見えて来る。そして、体全体からは権力を持つ男のオーラが発されているようであった。今年三七才になるが、二〇代後半にしか見えなかった。 長い金髪を後ろで束ねて垂らし、ビロードでできた古代ペルシア風のチュニックとショートコートを来ていた。「万全のようです。これも卿けいの深慮遠謀のお陰」「くくくっ、ともかくも、世界史上誰もなし得なかったことをしようとするわけですからねえ。ところでクルトフくん、例の霊能師の方は大丈夫なのですか」「その方の準備も万全でございます。西日本都市連合議長の水野なりが、餌をまいておりましょう」「ロセンデール卿陛下、皆の用意ができました」 聖騎士団長のシュトルフが言った。 シュトルフは、戦のなかで生まれたような男だった。赤ら顔で首は太く、胴は樽のようだった。その樽の上に乗っている顔はどちらかというと愛嬌があった。眼は小さく、鼻は団子鼻で大きく、口もまた大きかった。ロセンデールいわくジャガ芋顔である。 大きな戦いを生き残ってきた四五才の精鋭だった。 光る電導師の制服を着ていた。そのコスチュームは、昔の十字軍を思わせた。「よーし、君たち、そう聖騎士団の諸君、電導師たちの力を見せていただきましょうか」 ロセンデールは剣を引き抜いていた。 ゲルマンの剣である。切っ先が陽光を受けてきらりと光る。「殿下、さすがに見事でございます」「ほれぼれとするお姿じゃ」クルトフが言った。ロセンデールの後ろには、うすぎぬを着た巫女たちが戦いの歌を歌い始める。一五才から一八才の美女ばかりだった。 ロセンデールの歌姫たちだ。 ゲルマンの剣はわざわざ、ルドルフがロセンデールに渡したものだった。「皇帝ルドルフ猊下、この剣にて帝国の領土をひろげましょうぞ」 こう見栄をきったロセンデールだった。 ロセンデールはヨーロッパの某国で生を受け、霊戦争後のし上がってきた貴族である。現在、新生ドイツ帝国ルドルフ大帝の右腕とすらいわれている。「シュトルフくん、例のものを合体してみせて下さい」「殿下、ここでですか」「まだまだ、大阪港へつく時間ではありませんよ。ここでね、姿と力を見てみたいのですよ、おわかりですか」「わかりました。殿下のおおせのままに」「飛行士の諸君、甲板にバイオコプターを集めよ」 バイオコプターは生体を形どった機械飛行機で、大きな羽根で羽ばたくことにより揚力を得ていた。この生体とは、とんぼとか兜虫とかの昆虫である。「よーし、動かせ」 バイオコプターが一点に集まっていた。 そのバイオコプターの群れが別のものに変化した。何か巨大なものが、ロセンデールたちの前に立ち上がっていた。瀬戸内海の陽光を受けて、それはきらきら輝いている。「陛下、まことに見事です。これでもって、日本人どもの肝を冷やさせるでしょう」 続く2016年改定作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
2017年06月23日
コンテンツ東京 2017■第6回クリエイターEXPO■会場●東京ビッグサイト6月28日(水)~6月30日(金)コンテンツ東京 2017■第6回クリエイターEXPO個人クリエイターとして■山田博一は第6回クリエイターEXPO映像・アニメ・CG ゾーンブース番号 C1-64出展させていただきます●http://www.yamada-kikaku.com/ 去年の東京ビッグサイトの様子(本年は場所が違います。ご注意ください)https://youtu.be/M4Q_Mrmjejwhttps://youtu.be/AcisxFE8j-8■会場●東京ビッグサイト2017年6月28日(水)~6月30日(金)<3日間>10:00~18:00(最終日のみ17:00終了)■クリエイターEXPO展示会URL: http://www.creator-expo.jp/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■出展対象■・作家・ライター・漫画家・絵本作家・イラストレーター・グラフィックデザイナー・ブックデザイナー・写真家・書道家・映像・アニメーション・CG クリエイター・ゲーム クリエイター・作編曲家・サウンド クリエイター など、個人のクリエイター 700人ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■来場対象■去年実績 4万人・出版社・新聞社・通信社・編集制作プロダクション・広告会社・印刷会社・テレビ局・映画会社・映像制作プロダクション・アニメ関連会社・ゲーム・アミューズメント会社・音楽・レコード会社・ライセンス エージェント・一般企業の 広報宣伝 販促部門 商品企画 開発部門 などーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー文章、マンガ、イラスト、写真、映像、アニメ、ゲーム、音楽などを創作する個人が出展し、自分自身を売込むという世界的にもユニークな商談展。 会場にはメディアや一般企業の宣伝・商品企画担当者などが来場、制作依頼や企画の相談などの商談が行われ。 実際に、出展した作品がゲームや絵本、商品パッケージ等に採用され、「ビッグチャンスをつかめる場」として注目を集めている。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●主催●リード エグジビション ジャパン株式会社 コンテンツ東京●構成展示会●コンテンツ東京 2017●第5回 コンテンツ配信・管理ソリューション展●第6回 クリエイターEXPO●第5回 映像・CG制作展●第7回 キャラクター&ブランド ライセンス展<通称:ライセンシング ジャパン>●第3回 コンテンツ マーケティング EXPO●第3回 先端コンテンツ テクノロジー展●第1回 グラフィックデザイン EXPOーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2017年06月23日

光陽社さんのアート年賀状 2017年酉年(とりどし)光陽社さんのアート年賀状2017年-酉年(とりどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。http://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2017/
2016年12月05日

光陽社さんのアート年賀状2016年-申年(さるどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。山田企画事務所は、ビジネス・マンガ制作事務所です。光陽社さんのアート年賀状2016年-申年(さるどし)の一部デザイン協力をさせていただきました。http://www.koyosha-inc.co.jp/nenga_2016/作家の作品は、以下を御覧ください。mangakadata.net年賀状の協力作家の作品見本です。年賀状番号1671 1672 suzuki 鈴木純子http://suzuki-junko.com/ 鈴木純子鈴木純子mangakadata.net年賀状番号1656 1668 oishi 大石容子http://mangakadata.net/oishi/index.html# 大石容子大石容子mangakadata.net年賀状番号1639 1685 1686 kitagaki北垣 絵美 http://mangakadata.net/kitagaki/index.html# 北垣 絵美北垣 絵美mangakadata.net年賀状番号1666 1667 shougaki 正垣有紀http://mangakadata.net/shogaki/index.html# 正垣有紀正垣有紀mangakadata.net年賀状番号1654 1673 1674 morinaga 森永先生山田企画事務所は、ビジネス・マンガ制作事務所です。http://www.yamada-kikaku.com/ ▲『マンガ家になる塾』ナレッジサーブ『マンガ家になる塾』ナレッジサーブ ■ユーチューブ■youtube.com●how to draw manga● ●http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 -------------------------------------------------------
2015年12月02日
マンガ家になる塾http://www.knowledge.ne.jp/lec1379.html●マンガ業界がかなり厳しい業界であると認識して受講下さい。●マンガ原稿をすぐ拝見!●編集部へ持ち込みの原稿を添削指導!1か月分の会費です。ただしマンガ家先生のスケジュール調整があり。基本の課題は、かならづしも1回の授業からの課題でなくても構いません。山田企画事務所のHPにテキストは入れています。http://www.yamada-kikaku.com/lesson.html ●1回だけの受講、飛び飛びの受講も可能。参加者の紙原稿(漫画データ)への赤ペン添削●参加の方の個人に合わせ課題も。
2015年11月25日

Windows!Free! Animation Editor 9VA-win http://9vae.comhttps://youtu.be/Kl7IeVhxwIIWindows!Free! Animation Editor 9VA-win http://9vae.com How to make movie and upload to YouTube ? Windows ! アニメ作成フリーソフト 動画変換! YouTube に ! Windows!Free! Animation Editor 9VA-win http://9vae.com How to make movie and upload to YouTube ? Windows ! アニメ作成フリーソフト 動画変換! YouTube に !
2015年11月02日

----------------------------------------------------!山田企画事務所ピンタレストーすべてyoutube動画にリンクしてます!漫画の描き方 も掲載してます。 日本の美景写真集http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいyamadakikaku 山田企画・山田博一の写真帳を御覧ください・http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいhttp://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧ください------------------------------------------------------------
2015年09月17日
20150826-01 Thank you! youtube"yamadakikaku2009"subscribers! over 9100 persons! https://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 世界の漫画の好きな方々や漫画家が、9100人登録していただいています。●アイデアラッシュなどにもご利用下さい。登録者の方々のチャンネルを、山田企画事務所のブログで紹介していきます。皆さんには、漫画家や、漫画の好きな方々ですので、漫画の描き方、プレゼンテーションのやり方が参考になります。(順不同です)Thank you youtube"yamadakikaku2009"subscribers.I will continue to introduce Your youtube channel in the weblog of Yamadakikaku.Everyone is, manga-ka, manga fan, how to draw manga, the way of presentation of manga drawing. Your youtube channels will be helpful for manga-fan.---------------------------------------------------Tania Cruzhttps://www.youtube.com/channel/UCYrFhY64VESVIeKYsM6TkLgАнна Новиковаhttps://www.youtube.com/channel/UCXIXU1uMEIXD2qZtTjBMEYANINI KChttps://www.youtube.com/user/kc8812946georgy alexander galileohttps://www.youtube.com/channel/UCL6N2kcqvLeU2As3CsPhszgBONBON BAMBINIhttps://www.youtube.com/channel/UCJUjRT6StlHExfKntaSgYWAbryan javier audelo beltranhttps://www.youtube.com/user/thekingdarkanime12Hieu Tranhttps://www.youtube.com/channel/UCgqQwPih2TRdLKiBfDt5KkASergio de lahozhttps://www.youtube.com/channel/UCpx71vptcPsvO-Nk77cHaFg
2015年08月26日

My youtube VIDEO List, http://www.pinterest.com/yamadakikaku/My youtube VIDEO List, entrance to How to draw manga etc、my pinterest http://www.pinterest.com/yamadakikaku/山田企画事務所のyoutube 動画LIST になっています。漫画の描き方や日本の美景の 動画の入り口の 写真集です。御覧ください。
2015年07月26日

!山田企画事務所ピンタレストーすべてyoutube動画にリンクしてます!http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧くださいyamadakikaku 山田企画・山田博一の写真帳を御覧ください・http://www.pinterest.com/yamadakikaku/ 御覧ください
2015年07月10日
ロボサムライ駆ける■第15回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」「くそっ、皆出て来い」 まわりに急に黒い影が現れる。 西日本都市連合の使い忍び十名。「ただでは帰してくれぬようだな」 フリスビー野郎が言う。「さよう、お代を払ってほしい。じゃない。貴様とそのこわっぱ、証拠が残らぬよう分解し、粉々にしてくれるわ」「それはどうかな。粉々になるのはどちらかなあ」 その男はにっこりとほほ笑んでいる。 一瞬後、侍と子供ロボットのまわりをとりかこむロボ忍。 続いてロボ忍の手から何かが次々と投げられた。手裏剣である。 が、侍ロボットは瞬時刀を抜き、自在に振り回す。手裏剣はすべて足元に落ちていた。刀を動かす速度は目にも止まらなかった。「くっ、我らが頭脳手裏剣を落とすとはただ者ではないのお、お主」 頭脳手裏剣は、小型の電子頭脳を持ち、軌道を計算するいわば小型ロボットである。「今度はこの刀じゃ…」 黒い影が一つ、その男に切りかかる。「まて…」 ロボ忍者のリーダーが止めようとしたが。一瞬遅く、「ぐわっ」 そのロボ忍の体が三つにおろされている。機械油や生命液が噴き出ている。その動きはロボ忍群たちにも見えないのだ。「見たか、聞いたか、さんまい降ろしの剣」「やったね。ピース」「いかん、皆引け。覚えていろよ。お主、名前を聞いておこう」「名乗るほどではない。が、覚えておくため答えてやろう。拙者、早乙女主水。徳川公国直参旗本ロボット」「貴様が主水か。いずれ会おうぞ」 ロボ忍は、名前を聞いて少し驚いていた。 彼らは一塊になり、姿を消す。「主水のおじさん、助けてくれてありがとう」 子供ロボが擦り寄る。「まあ、よい。危ないことには近づかぬ方がよい。特にこの御時世ではな」「おじさん、お願いがあるんだ。俺をおじさんの使い番にしてくんな」 急に顔を変え擦り寄る子供。「といっても、お前の体は誰かに所属しているだろう」「いや、所属していないーよ」 子供は軽々しく喋る。「みてごらん。その証拠さ」 子供は自分の右肩を見せた。右肩にあるはずの登録番号が削り取られている。「登録番号がないのか。お前、はぐれロボットか」「ああそうさ、土木建設専用事業団『いろは組』に捕まって、この有り様さ。今この東海道復旧工事に使われているのさ。どうせ、俺が消えたって、わかりゃしないさ」「そういうことなら、人助け。いやロボット助けかもしれんのお。ついてくるがよい。小僧」 かねてから、いろは組のやり方には不満を持っていた主水である。「俺(わい)は、小僧ではない。細工師の知恵ってんだい」「よしよし、わかった、知恵。こちらへ」 レイモンの一行から少し離れて歩いているいわゆる遊軍の主水だった。主水はゆっくりと木陰から騒がしい一群を、のぞき見た。「ははん、おじさん、あの行列と一緒にいたくなかったね」 図星である。「いや、その、ちょっと、不都合があってな」「不都合って何なのさ」するどく尋ねる知恵。 どぎまぎする主水「まあ、よいではないか」「ふーん、まあよいことにしておこう。な」 知恵にかるくいなされている。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月15日
ロボサムライ駆ける■第14回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」第三章 霊能師(3) 復旧しつつある東海道は中世世界のようになっていてとても静なのだ。 特に早朝は、鳥たちの歌声がハーモニーを奏で、道いく人々の気持ちを和ませるのだが。 今、この東海道は、『いろは組』によって復旧工事が急がれていた。 静寂の中ににぎやかな音がだんだんと近づいてくる。工事中のロボットたちが手を休めた。「あの騒がしい、恥ずかしいご一行は」 工事中の東海道を下る一行を見ていたロボットの一人が尋ねた。「おお、あの昔、騒音条例があったころなら絶対つかまっておる団体か」 わざとらしい説明を付け加えるロボットだった。「知らないのか、霊能師落合レイモン様のご一行じゃ」 もう一人が答える。 いろは組にしきられたはぐれロボットの一群が、道路復興の建築工事を行い、そのエリアの霊写真をとらされていた。霊戦争のおり、なくなった人々の過去の霊をなぐさめるのである。 このあたりは、空中衛星ボルテックスによって滅びた全日本連邦軍の残滓がいまだに発見される所である。にぎやかに打ち騒ぐ一団が通っているのはもとの高速道路である。 近くに森林地帯が広がっていた。霊戦争後の生やした比較的新しい森林である。 この東海道から遠く離れたバイオ林の中から、この一行をのぞきみる四つの眼。突然、うめき声を上げて、その一人が倒れた。「うっ、何ごと」 もう一人が相棒を介抱する。が、事切れている。咄嗟に自分たちが仕掛けた罠が返されたことを知る。「恐るべきよ、レイモン」 残った一人は独りごちた。 二人は西日本都市連合が派遣したロボ忍であった。レイモンの霊力を調べるために、ここまで遣わされていた。 霊写真を盗み取ることで、実力のほどを調べようとしていたが、逆にレイモンの『お霊返し』の術でロボ忍の一人が倒れたのだ。 『霊返し』とは、霊写真への霊力を、送った本人に何倍もの霊力に倍増して返すものである。「おじさんたち、何しているんだい」 その時、背後から、子供ロボットが急に現れていた。作業ロボットらしく、蓬髪で、汚れた小袖姿である。賢そうな顔をしている。というかやんちゃな顔である。靴みがき少年の顔である。漫画でいうと[ジャリンコちえ]タイプの顔である。『いろは組』のはんてんを着ている。「何でもない、あっちへいけ」「おじさんが倒れているじゃない、大変だ」 といいつつ、子供はそのおじさんの顔を踏んでいた。「大丈夫ぶーい」 と叫んでいる。「こやつ、騒ぐとためにならぬぞ」「ははっ、わかったぞ。おじさんたち、忍びのロボットだね」「なぜ、わかった」「だ-って、忍者スーツをきているんだもん」 どーっとすべりそうになるロボ忍者。「小僧、我々の姿を見たからには生かしてはおかぬ」「うわっ、やめておくれよ、くれよ」 そのジャリンコちえじゃない、子供ロボットは逃げようとした「まて、まて」 続いて旅装姿の侍ロボットが急に現れ、子供を庇う。「貴様、何やつ」 叫び、身構える忍者ロボット。「待ってました」 子供は叫ぶ。 深編み笠が空中に、まるでフリスビーのように勢いよく飛んでくる。すんでのところでこのロボ忍は、深編み笠から逃れた。それは近くのバイオ樹木に深く突き刺さる。 (こやつできる) そうロボット忍者は読んだ。このフリスビー野郎には、助成を頼んだ方が得策だろう。 後詰めの連中が別にいるのである。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月14日
ロボサムライ駆ける■第13回 ★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」第三章 霊能師(2) 出発日がやって来た。 主水は落合レイモンの屋敷に旅装で出向く。予備の品をいれた旅装バックパックである。門前が騒がしい。「何だ、この行列は」「おお、よいところへ来られた、主水殿。我が行列に加わられい」 ざわめく人々の群から夜叉丸が現れ、挨拶する。「夜叉丸様、この行列は」「我がレイモン様の御行列じゃ。このまま復旧しつつある東海道高速道路をくだる」「が、この行列、まるで大名行列ではござらぬか」 というよりもチンドンヤかと、思いが頭をかすめた。「よいか主水殿。今度のこの落合レイモンの西下りは、東日本都市連合の力を見せることにもあるのじゃ。またまた落合レイモンの霊能師としての力を見せつけなければならぬ。その威光を見せつける行列でじゃ。装飾の一部と思ってくれ」 金属でできた機械籠が四つ。加えてそれを抱えて進むカーゴ型送行ロボットが数機。先触れを伝えるスピーカーロボットが四機。レイモンの旗持ちロボット十機。東日本都市連合の各市の旗を持つ旗ロボット二百機。生命液、潤滑油、洗浄液などを運ぶタンク型ロボット二十台。警備隊ロボット三百機などなど。 おまけは振袖チアガールズだった。振袖でありながら、下位置はミニスカートになつている和洋折衷のコスチュームをきた妙齢の三十名の女性群。まるで色物の世界である。 主水はくらくらと、倒れそうだった。さすがにロボットなので倒れはしなかったが。「これでは、私など必要ないのではございませんか」 嫌みを言う。「そうはいかぬ。よいか、主水殿は護衛ロボットとはいえ、徳川公の使い番でもあらせられる。従って、カゴ形バンを用意しておる。どうぞお使い下されい」 夜叉丸は行列の後ろにある、行列よりもっと悪趣味なバンを示した。ゴテゴテした装飾がバンのスタイルをくずしている。「うむ」 主水は逃げ腰になった。ひらめいた。よーしこれでいこう。断りの文句は。「夜叉丸どの、私はこの籠の回りを警戒いたしましょう」「と、いわれると」「遊軍でござる」「主水どの、まさか、我が行列をあざ笑っているのではあるまいな」「いえさようなことはございませぬ」 おぬしよく分かってるのじゃないと思う主水であった。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月13日
ロボサムライ駆ける■第12回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」「何をおっしゃいます。おそれおおうございます」 こいつは、ホモかと主水は思った。いやなこった。「手を貸せともうしておるのじゃ、はようせい」 レイモンはいらだっていた。 レイモンの方に、主水の右手が勝手に動いていく。「うわっ、どうしたことだ。手が…」レイモンの手に主水の右手がくっついてはなれない。「何をなさいます、レイモン様」 恐るべき力が主水の腕に加わってくる。電流が二人の間に流れている。「さすがロボザムライ、記憶が電磁処理だけに読み取りやすいわ。ふふん」主水の持つ電脳情報が手を通じて流れていく。「お、おやめください」 あがらう主水。が、手を離すことはできない。 主水の体にレイモンの体から発せられた電流が走っていた。微弱ではあるが、主水の体のメインコンピューターが出力低下を起こしている。自らの命令のまま、動かないのだ。 ロボザムライの頭脳記憶の中に、レイモンの何かが侵入してきた。ロボの記憶データは膨大過ぎる。レイモンのそれは必要な情報を、主水の記憶の森から奪い取るようであった。「くくっ、徳川公もくせ者よな」 一瞬、空白が主水の頭を襲う。レイモンの前に倒れている主水に、「気を失いよったか、この機械人形。やくたいもない。わしの護衛としては、どのようなものかのう、夜叉丸」「レイモン様、こやつはやはり力仕事に」 夜叉丸が尋ねた。「そうじゃな、へんに情報を与えると我々の仕事の邪魔をするやもしれん」「ところで、御前、また、お薬の時間でござる」 夜叉丸がいった。夜叉丸はレイモンの薬飲のタイムテーブルを持っているのだ。後ろには薬品が詰まった収納庫が控えている。前の主水より、薬の方が大事だった。「うーむ、この時間はどの薬じゃったかの」 金庫の棚の薬をかき回すレイモンであった。ふと、夜叉丸の方を振り返り、「よいか、夜叉丸。やつがれの薬、忘れず西日本に持って行くのだぞ。薬は生命の源じゃからのう」 レイモンの最大の関心事は、薬である。「承知しております。して、御前。この主水なるロボット侍の処置は」「主に任せる。とりあえず帰してやれ。気を失ったことなど、忘れておるであろう。そう電脳の処理はしてある」「ふっふっふっ」 軽く含み笑いをするレイモンであった。 ◆ 何とか旗本公国マンションにたどり着いた主水は、確かに、落合レイモンの家での事を忘れていた。「旦那、どうでしたい。お上の御用は」屋敷にはすでに、鉄が上がりこんでいた。「うむ、ご壮健であられた。しかし、鉄、おまえも良く宅にくるのう。まったく」「よろしいじゃござんせんか。姐さんもよろこんでいることですし」「どなたが喜んでいるんですか、鉄さん、あなた……」「へい、何でござんしょ」「感情のラインが、いかれているのじゃないのかしら。一度ドクターにチェックしてもらいなさいませ」「そりゃ、姐さん。ないですよ。私がいるおかげで、早乙女家にいつも笑顔がたえないってものでしょ。ねえ旦那」「旦那じゃねえや。用がすんだら早く帰れ」「そう、邪険にしちゃ、いけあせんぜ。そいでお上の御用向は」「しばらく、東京を留守にいたす」「どこかにご出張ですか」「西日本に下向いたす」「西日本ですって、そりゃ大変だ。旦那、まさかロボット奴隷になりにいくんじゃ」「ばかもの、なぜわざわざ私が奴隷にならねばならんのだ」「いや、どれいでもすきにしてとか」「鉄。ばかもの。貴様が奴隷になれい」「でも、あなた、京都では、足毛布博士にお会いになるのでございましょう」マリアが話しの話題を変えた。「その足毛布博士よな……」 いいながらマンションから東京の風景をみる主水であった。どうしょうかなと思い悩んでいるのである。生みの親である足毛布博士の顔が夜空に浮かんだ。「ちちうえ……」思わず叫んでいた。なぜちちうえという言葉が口から飛びだしたのか。主水は自分でも不思議に思った。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾
2015年05月12日
ロボサムライ駆ける■第11回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」■第三章 霊能師 (1) 落合レイモン、現存する霊能師の中では、最高クラスといわれている。彼の霊治療をうけるための人々で、屋敷の前に列ができていた。 彼の屋敷、いや御殿と言った方がいいだろう。そこには桂離宮をまねた豪奢な造りの日本家屋と、古来の神宮建築をベースにしたあたらしい神宮建築である。 その二つの建物を左右に配した山水画を思わせる日本庭園が広がっていた。この建物及び敷地は、すべて東日本の政財界の大物からの寄付金によってなりたっているといわれている。 下手をすると、徳川公の東京城よりも金がかかっているのではないかと、噂されていた。その門前に主水は立っていた。 特別な出入り口から、主水は座敷に通される。「お待ちください、主水殿。レイモン様は薬浴の時間なのじゃ。しばらくお待ちいただきたい」 レイモンの使い番のものが答えた。「薬浴と申しますと」「わからぬか。レイモン様は、種々の薬を混ぜた、プールの中で泳いでおられるのじゃ。そうすれば体の節々から薬が体に回り、気持ちがよいと申されてのう」「それは毎日でござりますか」「いや、毎日三回じゃ」 やがて、主水の前に、くずれかけた巨体を揺さぶるように、四十才くらいの男が現れる。ブヨブヨの体からは湯気が上がっていた。強烈な薬の匂いが主水の鼻に届いていた。成分は主水に分析できないくらいに多い。薄い浴衣着に羽織りを着ていて、体がすいてみえる。目や鼻はあるかないかくらいだ。未熟児だったといううわさもある落合レイモンだった。そのため、顔の表情がとても読み取りにくい。 背後には敏捷そうな若い男が一人。その男は二〇才くらいで、総髪できれいな錦羽織りをきていた。こちらは書き上げたように目鼻だちがはつきりしている。少し暗いが美男子の類いに入るだろう。一九〇センチはあるだろう。「ロボザムライ、早乙女主水めにございます。今度、徳川公より、落合レイモン様上京の旅に随行せよと命があり、ご挨拶にあがりました。以後お見知りおきを」 主水は丁寧に挨拶をする。「ほほう、貴公が、今東京エリアで噂のロボザムライ主水か。力強い味方を、公もつけてくれたものじゃ。おお、そうじゃ、紹介しておこう。これは俺の小姓、夜叉丸じゃ。以後よろしく頼むぞ」 落合レイモンはその体に拘わらず甲高い女性のような声だった。 レイモンは体を動かすたび、じゃりじゃりと音がする。主水がよく見ると、何十本ものコードがレイモンの背中に張り付いている。「レイモン様、失礼とは存じますが、そのコードは一体」「ああ、これかの」 レイモンは気軽にその質問に答えようとした。「無礼者め。レイモンさまを何と心得おる」 夜叉丸が表情を激変して怒り、背中の鉾を抜こうとする。「よいよい、夜叉丸。わざわざ徳川公が遣わしてくれた護衛ロボットじゃ。すべてをお教えしておかねばのう、主水」 ゆったりとレイモンは言う。「ははっ、できますれば」「私の体は、常時薬を注入しておかねばならぬのよ。大義じゃがのう」 言いながら、レイモンは薄い羽織りを脱ぐ。何と二人分の大きさと思っていたレイモンの体は、半分にも満たぬ。残りはいろいろな液胞が組合わされた水槽が幾重にも重なって、レイモンの背中に張り付いていた。「さて、主水」 レイモンは、霊能師の特徴である頭の真ん中のこぶを、主水の方に近づけ、右手を差し出していた。「手を貸してたもれ」 レイモンはくぐもって言った。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月11日
(第9回は欠番です)ロボサムライ駆ける■第10回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」(2) 新東京で新しく建てられたランドマークがある。東京城はその一つである。 東京城城中。最上階、主上の間、広々とした六四畳の広さである。主水は正装をして、徳川公の前に畏まっている。 第二五代徳川公、徳川公廣。六七才。公家のような温和な顔をしているが、歴代の徳川公の中で切れ者と言われている。この徳川公でなければ、東京島はできなかったろう。クールな頭脳が売り物である。特別製の絹の着物を羽織っている。徳川家康そっくりの顔をしていたが、これはどうも整形ではないかという町の噂である。 この東京島の五分の一を占めるのが東京城である。 一〇層だての建築物はバイオ木材で作られている。このバイオ木材は特別製で季節、天候によって建物自体の色彩が変化し、変幻自在だ。現在では、東京の観光名物になっており、一部分は、観光客に解放されている。最上階は関東新平野を見渡せる展望オフィス。ここが主上の間である。 徳川公はビジネスマンとしても優秀で、バイオ植物産業、サイボーグ魚養殖、観光事業などいろんな方面に手をだしていた。「まずは一服、どうじゃ主水」 二人の間に茶道具が並べられている。この時期でも一緒に茶を飲むというのが心を開いているという証拠になっていた。人間の徳川公とロボットの主水が同じ茶を飲む。「これは殿、恐悦至極に存じます」「これは、私が作り上げた茶じゃ」「う、うまい。乙な味。はて、この銘柄は何でござりますか」「機械茶二八号鉄人じゃ。どうじゃ主水、味は。日本精神がよ~く馴染んでおろうが」「ははっ、なにか夜の空を見ると、ガオーッとほえたくなります」 この機械茶の栽培も、徳川公は手掛けていた。新静岡に広大な茶畑を持っているという。ロボット用の茶であるが、人間も飲める。ロボットは、この茶を飲むことで落ち着くことができるのだった。ICに微妙に影響を与えるらしい。「ははっ、五体臓腑に日本精神が染み入りましてございます。で、殿、今度の御用の向きは」 しっとりとした茶が、主水の体の細部に染み渡って行く。「そうじゃ、その珍しい茶を飲ましたのは他でもない。お前に、西日本へ下ってほしいのじゃ」 クールな顔で徳川公は命令する。「と、申しますと、何やらよからぬ企みが、またぞろ首をもたげてまいりましたか」「ロセンデール卿を知っておるか」「ははぁ、ヨーロッパで会っております…」主水は言葉を濁した。これはこの茶のせいではない。すくなからぬ因縁が、二人の間にあるのだ。むろん、それは徳川公も承知のことだ。 「あやつが、どうやら、日本を狙っておる。卿の自家用空母『ライオン』が、世界一周を計画し、今は『大阪港』に停泊しておる」「大阪ですと。では西日本で何か活動を……」「あやつらは、大阪に機械城なる前進基地を建設しよったのじゃ」「で、そやつらの狙いは、おそらく…」 主水はロセンデールの狙いに気付く。主水の眉が吊り上がっていた。その表情に徳川公はきずく。「余もそう思う。奴らの狙いは京都にのぼり、日本の心柱(しんばしら)を発見し、この日本を領土にしたいと考えておるのじゃ。西日本に走れ、主水」「は、いますぐにでも」 走る姿勢を取る主水である。昔なつかしいエイトマン姿勢であった。BGMが聞こえてくるようだった。「慌てるな、主水。ところで、貴公、その姿勢は何じゃ」「はっ、わからないのですが、走れといわれますと、ついこの恰好をとります」 過去のロボットの記憶がICに詰め込まれているらしい。「まあ、走れと申しても、本当に走らぬでもよい。西日本で一週間後、都市連合会議が開かれる。そこに東日本エリア代表としての霊能師『落合レイモン』が遣わされる。この『レイモン』の使いとして紛れ込め。ともかくあのちでは、ロボットは、奴隷じゃからのう」しばらくして徳川公はつけつわえた。「そうじゃ、足毛布博士に会ってきたらどうじゃ」 ぐっと睨む徳川公。「おかみ、それは、どうも」 続く言葉が主水を驚かせる。「いや、どうも足毛布博士、ロセンデールと結びついているやもしれん」「まさか、そのような可能性が…」 呆然とする主水。「残念じゃが、可能性はある」 徳川公は、東日本都市連合の副議長を努めている。この議会で落合レイモンの派遣が決まっていた。また、西日本の動きにも、目をつけている。東日本と西日本はいわば微妙な敵対関係にある。「レイモンと申しますと、あの薬(やく)づけのレイモンでございますか」 突然に出て来た名前に心を動かされた。「そうじゃ、いかに薬づけであろうと、レイモンが東日本エリアでは、最大の霊能師であることは間違いあるまい」「それはたしかに……」 『薬づけ』の意味は、落合レイモンはもともと体が丈夫ではなかったらしい。幼いころレンモンは、生体防護チューブにいた時、何かの霊に取り付かれて霊能師となった。体を保つために一日に百種類の薬品が必要と言われている。「主水、お前はこのあと、落合レイモンのところへ行き、今度の主なる目的を尋ねよ」「それでは、御主上も今回のレイモン様の旅の目的をはっきりとは」「わからぬ。落合レイモンは、東日本都市連合では顔が効く。それゆえの派遣じゃ。が、お前も存じておろうが、余は霊能師をこころよく思ってはおらん。が、あやつらの助けがなければ、この日本を救うことなど不可能じゃ」「一体、いつの時代から、あやつら、霊能師が力を持つようになったのでしょうか」「余が父君より聴いたところによると、やはりあの霊戦争のあとと聴いておる」 霊戦争後、霊能師がこの世界で大きな役割をしめるようになつたのは、彼らが非生物、生物をとわず、その物体の『声』を聞けるからだとされている。あちこちにしゃべる霊が数多く出現している世界なのである。徳川公は急に話題を変えた。「それで、病気はどうじゃ」「えっ、なぜ、お上がそれを……」 突然の質問に、主水はあわてた。が、それは主水の勘違いであった。「何をいっておる。マリアの例の病気のことではないか。ほら、あの姉のパーソナリティがでるのではないかと尋ねておるのじゃ」「さようでございますか。拙者てっきり……」 安心する主水。「何か、お前、病気なのか」 不審な顔で主水の顔をのぞき込む徳川公である。「いえ、まさか、そのようなこと、この私に」 心の中で冷や汗がでる主水である。本当は、主水には最近ある病状がでていた。その表情に気付かず徳川公は、「それならよいが。まあマリアにも気をつけてあげよ。ともかくたったひとりの姉がのう……」 その姉がロセンデールと深い関係にあるとは、徳川公は知らなかった。 主水は東京城を辞した。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月09日
ロボサムライ駆ける■第8回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」■ロボサムライ駆ける■第二章 新東京(2)(1)承前「あれ、御膳、そんなこといって、あとでマリアねえさんが怒ったってしりあせんぜ」主水は鉄の言葉を無視してしゃべる。「これからの道行きだともうしたな。私がどこかへでかけるというのか。また、そのことなぜ、知っている」「これはしもうたわ。貴様、まだ、聞いてはおらなんだか」 サイ魚法師は、顔をくしゃっとした表情にして、自分の頭をつるりとなでた。 さては…、主水は思いつくことがあった。「さては、法師、ロセンデールに雇われたか。貴様日本人でありながら、外国人に魂を売ったか」 どうやら、当たりらしい。サイ魚法師が答える。「ふふん、主水、何をアナクロニズムな言葉を吐くんだ、お主はいまごろ国籍にとらわれることなどあるまい。だいたい、ロボットに魂などないわ。お前はロボットだ。どうあがいたところで、日本人になることなどできまい。お前自身が日本人というよりも、徳川公国の使い番だからな。主水、そろそろとどめをさしてあげようぞ」 サイ魚法師が、潜水艦のブリッジから身を乗り出して怒鳴っていた。「鉄、マリアをたのむ」「御膳、どこへ」「ちょっと一仕事だ」 軽く言う。「主水様、大丈夫ですか」「マリア、心配無用」 主水は、愛剣ムラマサを上段に構える。 その瞬間、再びサイボーグ魚が、主水めがけて、水面から発進した。そのとき、主水は上空へ跳躍する。 わずか数センチしたの足元を、サイ魚の大群が飛び過ぎる。 そのサイ魚の群れを、板を踏むのように足で踏み付け、飛び石のように潜水艦になだれ込む主水だった。 人間の目にとまらない技。さすが徳川公直属旗本ロボザムライである。ブリッジに主水はいた。刀を構える。「サイ魚法師、かくご」 驚くサイ魚法師。「まて、主水」 サイ魚法師はもう逃げ場がない。 名刀ムラマサが潜水艦「越月(えっきょう)」の艦橋を切り抜く。音立てて、船橋の右肩が少しずつ倒れていく。その切片がずぶずぶと海中に沈む。「うわっ、やめんか、主水」 サイ魚法師は、船橋内部の階段を転がり降りる。「おしい」 にやりと笑う主水。まだだいぶ余裕がある。 ムラマサは、すでに艦橋上四分の一を切り離していた。「さすが、殿から拝諒いたした刀ムラマサ。すごい切れ味じゃ」 逃げ出そうとする潜水艦。「逃げるな、法師」 続いて艦橋から外側に飛び降りながら、船体横に着地するまで、主水はムラマサを数百回横に払い続ける。 次々、艦橋金属部分がササラカマボコのように切り離されていく。「やめろ、主水」法師は泣き声をあげる。「降参する。後生だ、やめてくれ」「ならぬ、攻撃を仕掛けたのはお前だろう。この潜水艦、切り刻み、東京湾のサイ魚のエサにしてくれるわ」「みな逃げろ。主水め。やりよった。一人でこの潜水艦を切り刻むつもりだ」 サイ魚法師が、潜水艦の乗員に警告を与えていた。まさにクモの子を散らすようにハッチから乗組員が飛び出して来る。 遠く川船の上で、主水の様子を見ているマリアと鉄がしゃべっていた。「大丈夫ですかね」「どちらが、主水、それともサイ魚法師さん?」「ねえさんも人が悪いや。サイ魚法師に決まっているじゃありませんか。御膳も刀を使い始めると見境がないからなあ。キジルシだからなあ」 腕組みをして観戦している鉄が言う。「ふふん、あたしもそう思います。サイ魚法師も時期を選ばなきゃいけませんよね」「じゃなにですかい。御膳は今…」「そうです。あの方は、いま気分が一番悪い時期なのです」 ロボットにもバイオリニズムがあるのである。 サイ魚法師と逃げ出した潜水艦の乗組員は、ゴムボートをサイ魚の大群に引かせて逃げて行く。「あーあ、やっとあいつら、逃げよった。」 主水は 泳ぎ、帰って来る。「それで、鉄、どんな用だ」 一仕事を終えた主水が、舟に戻ってきて尋ねる。「そうだ、いけねえ、お上(かみ)がお呼びですぜ」 急に鉄は思い出した。「何、殿がお呼びだと、早くそれをいわんか」 今度はも主水が大慌てである。何しろ、主君、徳川公のお呼びなのである。作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月08日
ロボサムライ駆ける■第7回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画思い出にふける二人のもとへ騒音が駆け込んできた。 川舟に埠頭から、クレーンが懸かる。「御膳(ごぜん)、御膳」 クレーンの上をかける音が、本人よりさきにきた。おまけに履いていた鉄ゲタが先に飛んで来た。主水の頭にコチンと命中する。「こらっ、鉄」 鉄ゲタを避けられなかった主水は自分にも怒っている。「あらっ、これりゃあ、すみません。ごぜん、そんなにのんびり釣りをしている時じゃありませんぜ」 いなせな江戸時代の町人姿のその男は、人工汗を吹き出していた。特殊手ぬぐいで汗を拭く。そして、絞り上げた。船の床は水浸しだ。「鉄、まあ、落ち着け。魚が逃げる」「これが落ち着いていられますかってんだー。ラブ・ミー・テンダー」 と大慌てである。「何事なのだ、鉄」たたずまいを整えて、もんどは尋ねた。「それがね、ごぜん、えっー…と…。あれ、いけねえ、慌て過ぎて忘れちまった。ちょっと、まっておくんなせえよ」 この男、びゅんびゅんの鉄。性格を一言でいうと、慌て者である。主水(もんど)のために働いている。いわゆる情報収集者だ。考え込む鉄の眼に先刻から垂れている主水の釣り糸が眼に入る。「それより、ごぜん、引いてますぜ」「何だと、それを早くいわんか」 ところがこの魚がくせ者である。 主水の竿をぐっとひっぱる。かなりの力だ。普通の魚ではない。大物である。慌てて主水、「おい、マリア、鉄、わしの体をもってくれ。水にひっぱりこまれそうだ」「魚を放しなさいませ。そのほうが簡単じゃございません」「そうでさあ、ごぜん、そのほうが早いや」「な、何を言う。この竿は徳川公からいただいた由緒ある竿…」 と言ってる間に竿から勢いがすっと抜ける。 今度は魚の方が飛び上がってくる。口を切っ先のようにとがらせて、主水の体を狙ってきた。といってもキスを求めているのではない。かみ砕こうというのだ。「あぶない。ノーキッス」 体を伏せる主水。その上を魚が飛び去る。「えーっ、ありゃ、あの魚はきすじゃありませんぜ。でもごぜんもすきがないなあ」 その状態でも、ダシャレを忘れない鉄である。 魚はまるでロケットだ。船を飛び出して再び水の中へ。「あの魚、ひょっとして」 主水が疑いの眼差しでいう。「何だってんですかい」 キョトンとして鉄。「サイボーグ魚」マリアがつぶやいた。 サイボーグ魚は、霊戦争後、出現した新しいタイプのロボット魚類だ。非常に頭がよく、攻撃性も抜群である。各国とも攻撃兵器として開発しているのだ。「そうだ、すると…、いかん。危ない」 主水は両肩で二人を床へねじ伏せた。水が白いしぶきを上げる。一瞬の後、船の両舷から一斉に魚の大群が飛び上がり、船を襲った。スタスタスタと音を立てて、魚が何匹か体に突き刺さる。残りは交差し、海中へ。二三匹、鉄の目の前に刺さる。「うわっ」 鉄は叫ぶ。「大丈夫か、鉄」「ちょっとかすったくらいでさあ。おめいら、交通信号をまもらんかい」 急に強気になった鉄が言う。「マリア、ムラマサを取ってくれ」 主水の愛剣ムラマサがすらりと引きぬかれる。太陽をうけて、りゅうと光る。「よし、次の攻撃だな」 ムラマサを抜き放ち、構える。 再び、魚が、今度は、船の前後から襲い掛かってきた。 瞬間、主水の刀が走った。人間の眼にもとまらない。サイボーグ魚のなますが船のうえに山積みとなる。主水の動きと魚の流れが交差し、すさまじい光と音とがあたりを覆った。「さすがは、ごぜんだぜ」 サイボーグ魚のなますをつつきながら鉄は言う。「鉄、これをあてにして、一献、ロボット酒でも」「主水、おいしそうなお話しですけれど、前をご覧になった方が」 続いて、巨大な水泡が目の前に近づいてきている。「ひょっとして…」 主水の人工皮膚の顔色が変わっていた。「何か、心当たりでもあるんですか」「このような水泡に帰す企てをくわだてる者、これは……」 目玉が飛び出しそうである。 その時、海面から十メートルはある、その巨大な魚が浮かび上がる。それを見てのけ反る主水。「うおっ」「ごぜん、あっしはぎょっとしたねえ」 小ぶりなシャレで応酬する二人。 そいつは魚に見えたが、背鰭のところが開く。中から、坊主頭で紺の作務着を着た三十がらみの男が出て来て、腕組みをする。「さすがは主水、サイ魚を切り刻んだか」 男は無念そうに船上の主水を睨む。 サイボーグ魚。略してサイ魚である。「サイ魚法師、久しぶりだなあ。お前が絡んでいるのか」 主水がキッと男を睨んでいた。「ふふん、主水、ほんの挨拶がわりだ」 サイ魚法師は、頭をずるっと撫でて、主水を見返した。「挨拶ありがたくちょうだいいたす。が、法師、それだけであらわれてきたのではあるまい」 主水、ムラマサは構えたままだ。「そうだ。これからの道行で、いずれ雌雄を決しなければならんからな。また、そこなお内儀にも挨拶がてらだ。外国ロボットとはいえ、なかなか見目麗しい女性ではないか」 サイ魚法師は、こころなしか、うらやましそうな顔をした。「あら、どうもありがとうございます、サイ魚法師さんとやら」 マリアがやんわり受け流した。「このやろう、おべんちゃらをいいやがって。俺もいいいたいじゃないか」 鉄は着物の袖をまくりあげていた。どうやら興奮している。「あら、鉄さん、その言葉はどういう意味ですか」「いや、姉さん、そう悪くとっちゃいけあせんぜ。たんなるお世辞だい」 鉄はマリアに睨まれ、真っ赤な顔をした。「お世辞はよしてくれ、法師」「あら、あなたなにをおっしゃるの。せっかく、サイ魚法師さんが、あたくしを誉めてくれたんじゃありませんか」「だまっておれ、これは男どうしの話しあいだ」 ムッとする主水。続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2015年05月07日
ロボサムライ駆ける■第6回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画■第二章 新東京 (1) 東京湾は、この日「日本晴れ」と呼ばれる晴天であった。湾のまわりには、かつて存在した東京工業地帯は跡形もない。かわりに緑豊かな植物群で覆われている。 湾の中央に島がある。第二首都都心として形成された、この東京島は現在徳川公国の領土となっている。公国の中心には東京城が建築されていた。 西を遠望するに富士がきれいに見える。霊戦争後、急激に復興した自然界は、日本を中世世界とわせるほどその景観を変えていた。また、人々のライフスタイルも変化していて、それは、政治体制を変化させ、霊戦争後の世界は民族主義の動きに覆われていた。 古代の民族古来の習俗に戻ろうという心の動きが顕著になっていた。現在の世界は機械文明と自然が調和した民族主義世界となっている。東京島を巡る運河エリアは、真昼の太陽を照り返している。運河面に魚が動き、跳ね上がる。東京湾も浄化され、魚の遊弋する場所となったのである。 その東京湾に、水面に釣り糸を垂れた川船が、一隻のんびりとたゆとうていた。「世が世なら、大名にもなれたものを」 川船の中で男が一人寝そべっている。 太陽に向かって主水(もんど)は唸っていた。早乙女主水(さおとめもんど)。今日は着流しをきてくつろいでいる。刀の大小は床の間にかけてある。無論、日本の武士のように髪はゆうている。京人形のような顔をしていた。といいたいが、すこしばかり、体重オーバーの顔だった。はれぼったい顔だった。アンパンマンみたいな顔だった。 つまり、その顔だけ目立っていてごつかった。 が、一重の目には、意志の強いきりりとした眼差しがある。ロボットでも何か救いがあるものである。「だめですよ、あなたはね、人間じゃないのですから」 そばに同じように寝そべるマリアが言う。「どこまでいってもね、ただのロボザムライなのですよ」 先程の「大名に」に対する答えだった。 きれいな音声でシニカルに男の夢を履き捨てる女だった。これは人間もロボットも変わらないようだ。 彼女の名は、マリア=リキュール=リヒテンシュタイン。 緑の眼をしてハシバミ色の髪を、今日は、日本髪にゆうていた。そして留め袖の和服を流麗に着こなしていた。が時には、ヨーロッパの貴夫人の姿形を取るときもある。こちらは典型的なアンチックドールの顔だ。なにしろヨーロッパの貴族ロボットなのだから。 ときおり、言われるのだが、マリアは美意識がおかしいのではないか、ゲテモノ趣味ではないか。目がおかしいのではないか、という評判である。 というのは、天下ひろしといえども、これほど似合わないカップルもめずらしいのである。 この間など、新東京の盛り場を、二人が歩いているとこう言われたのである。「へええ、かわいそうにね、あの奥さん」「そうよね、きっと何かあるのだわ」 ともかく、主水が、ゲルマン留学のおり、連れて帰って来た女性ロボである。 主水には、額に切り傷がある。これは、ゲルマンのハイデルベルグで、マリアを巡っての決闘のおり、切り込まれたものだ。相手はザムザ=ビスマルク。名前からもわかるとおり、あのビスマルクの子孫につながるロボットである。 ともかくも二人は神聖ゲルマン帝国で出会い、いまここにいるのである。 ゆったりとした風が川船を通り過ぎて行く。二人は思い出に耽っているのである。続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2015年05月06日
ロボサムライ駆ける■第5回(改訂)ー全62回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画 ◆ 聖騎士団長シュトルフが駆け込んできた。「どういうことですか、殿下。機械城の警備を日本側のロボ忍に任せろとは」「シュトルフ怒るな。これも殿下の深慮遠謀なのじゃ」 鷲顔の秘書官クルトフが言った。「どういう理由か、お教え願いたい」「よろしいですか、日本側は我々の動きを完全に信じてはいません。この機械城に仕掛けがあると考えておる節があるのです。その疑いを少しでも取っておきたいのですよ」「それでは殿下は、機械城すべての警備をロボ忍に任せろとおっしゃるのですか」「シュトルフ、そのとおりです。彼らに任せなさい」「任せろとおっしゃられても」「よいですか、シュトルフそれでは、教えてあげましょう。機械城全体が大きな罠なのです」「その罠に落としますのは、一体?」 シュトルフは怪訝な顔をした。「我らの目的の邪魔になるもの、すべてのものですよ。日本の政府関係者、氾濫ロボットどもとかね」 ロセンデールの青眼は残酷にきらりと光った。 ◆ 霊戦争は地球の浄化作用であった。当時、地球の文明全体が機械化文明に犯されつつあった。 情報公社「リンクス」や機械化会社「ロボテック」などのコングロマリットが、地球の全体のほぼ利益及び生産資材を握りつつあった。世界初の企業による世界帝国である。霊戦争が始まりを、今となってははっきり記述することは不可能だろう。結果的には地球の文明は少し後退したように見えるが、地球全体の生命体から見ればそうもいえない。緑が地球の全てを覆いつつあり、河川、海の汚染度も下がりつつあった。 地球上空何千キロの部分には監視衛星「ボルテックス」が数個設置されていた。これらの衛星はいわば、神の剣であった。 すでにこの時期、自然類は地球外に影響を及ぼしつつあった。外惑星は、この地球の状態を理解できないでいた。ボルテックスはこの地球全体に結界を引いていたのである。しかしながら、機械化文明は退歩した訳ではなかった。地球にはロボットや機械がうじゃうじゃ存在し、減少する傾向は出ていなかった。 (4) 地下坑道。巨大なトンネルがうがかれていた。ともかく天井が異常に高い。 鑿岩ロボットたちは、手を休めていた。皆へとへとに疲れている。これから先は人間、霊能師の役割なのだ。彼らは霊能師たちを見守っていた。 多くの人間が円陣を組み、何かを唱えていた。すべての人間が汗をかいていた。 その円陣の向こうの壁が光り出している。「おおっ、あれは」 何人かが、驚きの声をあげた。 壁という壁は、石仏、仏像、寺社の建物でひしめいていた。そこから先数キロは異様な空間を作り出している。 うしろから、巨大な光る物体があるいてきた。 大仏である。 ゆるゆると、歩いてくる。ロボットたちの前をすぎ、人間の円陣の横をすぎる。 が、その先が問題なのだ。 バリバリと音がする。 大仏は歩こうとするのだが、ある一定のラインを越すことができない。 大仏がブルブルと震えていた。 同時に壁にひっついている仏像も石仏もゆらゆらと震えているのだった。まるでその壁が揺らぎ、大仏の進行を妨げているようにも見えた。(続く)続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2015年05月05日
ロボサムライ駆ける■第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画 機械城。ロセンデールによって、極めて短時間に作られていた城である。 ロセンデールが、日本に到着してすでに六カ月がたっている。 この時期、古来からあった城は霊戦争のおりなくなっていた。それゆえ大阪城の場所にその機械城は建てられていた。 外見上は日本の城に見える。城壁、天守閣、櫓などを見ても変わっているようには見えない。が、すべて機械でできているのだ。城壁の石垣の一つ一つも、窓枠の一つ一つも、すべて機械なのだ。 それもロセンデールの命令どおりに作動する一つの機械生命体であった。城壁の四隅に櫓があり、中央部に天守閣、小天守閣がある。 この天守閣のみ、少しばかり形が変わっていて、西欧の寺院風にも見えた。 一階から五階まで、吹き抜け部分が作られていた。小天守閣には、心柱を探るための研究機材が集中していた。 天守閣は、ロセンデールの居城であり、そして何か別の目的で建てられているのであった。 ◆「斎藤殿、水野殿、ご覧ください。もうここまで進んでおります」 ロセンデールは、機械城の中央、天守閣にあるコントロールルームの巨大なモニターを二人に示した。 この画面には、心柱があると思われる位置がコンピュータグラフイックスで描かれ、その心柱に向かって進む地下坑道が数多く表示されている。この地下坑道のすべてで、数百体のロボットが作業を行っていた。「西日本がロボット奴隷制でようございました。東日本ならロボットを強制労働させるわけにはいきませんからね」 ロセンデールがいった。「さようでござる。ロセンデール卿も運のいいことじゃ」 水野がほくそ笑む。「しかし、やはり足毛布博士がいなければ、こうもいきませんでした」「さようで。で、足毛布博士は」「ああ、彼は人に会いたくないとおっしゃって坑道A-五〇に入っておられます」「博士の人嫌いにも困ったものじゃのう」「いやいや、それだからこそ、このようなロボット強制労働ができるというものです」「ほほ、博士の性癖に感謝せぬといかん訳ですな」「そのようですな、はっはは」「が、ロセンデール卿。みはしらが発見されたあかつきのこと、よろしくお願い申しあげますぞ」「日本統一のことですね」「しっし、ロセンデール卿。声が大きすぎます」「何しろ、これは我々だけの秘密でございます」「まさに、まさに。それにしても、落合レイモン殿があように易々と我々に協力していただける意向をお持ちとは思いもしませんでした」「レイモン殿も何か考えるところがあるのでござろう」「斎藤、それゆえ、レイモン殿の監視、努々怠るではないぞ」 水野は、隣に控えていた斎藤にいった。「さように取り計らいます」「水野殿、斎藤殿。珍しいものをお目にかけましょうか」「ロセンデール卿、それは一体どのような」「ご両公とも眼を回されるに相違ない」「ほほう、卿がそう言われるくらいなら」「期待いたそう」 巨大な空間が機械城天守閣の中にある。高さ三十メートル、広さは縦横とも百二十メートルはあるだろう。その真ん中に真紅のカーテンで仕切られている。「いったい、これは」「お見せしよう。カーテンを開けよ」ロセンデールが命令した。「こ、これは」 二人は絶句した。黄金の大仏であった。「どのようにしてここへ」 水野と斎藤は叫んでいた。「それはね、企業秘密です」 ロセンデールはにこりとした。続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2015年05月04日
ロボサムライ駆ける■第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画 漆黒の闇の中、小さな明かりが灯された。何やら呪文が繰り返されている。 京都、中央区にある広大な屋敷、足毛布博士の屋敷である。 度の強いメガネをかけ、白髪まじりの蓬髪の五〇くらいの男は、なにやら独り言をつぶやいていた。 足毛布博士は秘密の地下室で祈りを捧げていた。この儀式のことは、誰も知らなかった。それを知れば、足毛布博士を、西日本都市連合も放っておかない。 足毛布博士は、日本古来の着物を脱ぎ捨て、彼が信じている大義のための服装に着替えていた。 何かの祭壇がある。日本古来の神棚ではない。『古来より、日本へ飛来しました我々足毛布一族、ついにその目的の貫徹はちこうございます。願わくば、私の世代にその願いを叶えられんことを』 祈る足毛布博士であった。 足毛布博士は、京都市内に広大な土地を占めていた。この本宅以外にロボット製作所が近畿エリアに四十ヵ所ある。 [足毛布人造人間製作所]といえば、泣く子も黙る西日本の大企業である。が、最近、足毛布博士は政府の要職も、会社の経営も他人に譲り渡していた。 ◆「博士、博士はご在宅か」 八足移動ビーグル、クラルテに乗った武士が、玄関先で呼ばわっていた。足毛布博士の屋敷は、博士が人嫌いのため、使用人は雇っていない。全自動ロボットシステムで構築されていた。「これはどちらさまでしょう」 玄関に設置されているロボットボイスが答えていた。「水野都市連合議長の使いの者じゃ。足毛布博士、至急にご登庁をお願いしたい。火急のこととあり。以上を足毛布博士にお伝えいただけるか」「わかりました。至急お知らせ致しましょう」 足毛布博士の情報モジュールは、都市連合からの連絡情報を一切入力させない設計になっている。それゆえ、わざわざクラルテに乗った使者が現れるわけである。 博士は書斎兼図書室にいた。古書籍がずらっと並んでいた。一冊の本を取り出す。タイトルは『西洋の没落』となっている。 博士は誰かにしゃべっている。「貴公はシュペングラーの『西洋の没落』という本の名を聞いたことがあるかね」「いや、そのような本、耳にしたこともない」「ふふん、まあ、ロセンデールなら知っていよう。あれは第一次大戦の前だったか、このページに書いているのだが。文明が没落する兆候はテクノロジズムとオカルティスムの流行と言っておるのじゃ」「ふふぉ、我々のことか。予言しておったのか、そのシュペングラーとか申す霊能師」続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2015年05月03日
ロボサムライ駆ける■第2回■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」◆「大仏様が、大仏様が、こちらへ動いて来るぞ」「ああ、ありがたいことじゃ」 都市にいる人々は、空母上の大仏を見て大騒ぎとなっていた。海岸のほうへ人々は繰り出していた。人もロボットも。「ありがたい、大仏様じゃ」 大仏が、空母ライオンの甲板上に、座を組んでいる。ロセンデールのライオン丸であった。その上には天女が竪琴をもって演奏している。先刻のロセンデールの歌姫たちが服装を変えて違う歌を奏でているのだ。演出効果バツグンである。「ふふう、見てごらんなさい、クルトフ。大仏とやらは、日本人によく効くシンボルですねえ」「タイのバンコクで手に入れたのも、この効果があれば安い買い物でしたな」「それに、この大仏のもう一つの目的を知れば、水野たちも驚くに違いありませんねえ」 大阪港に接岸した空母ライオンに、人々が群がり集まって来るのだった。大阪は、いや、近畿エリアはまさに平野であった。かつて存在していた山並みは、霊戦争のおり消滅している。「これ、斎藤、落ち度があってはなりませぬぞ、あの方には」 二メートルの大身の水野は、ネズミのような小男、斎藤にいった。 二人とも日本の礼服である裃に身を固めている。上下二本の刀をさし、草鞋ばき。当然頭は丁髷を結っている。この二人だけでなく、一般人も、和服、丁髷である。人間だけでなく、ロボットも同様の風体だつた。「わかっております、水野様。あの卿の取り扱いいかんでは、我々の手に日本が…」「しっ、斎藤。それは禁句じゃ。誰が聞いておるやもしれん」「が、水野様。わざわざあのロセンデールとか申す神聖ドイツ帝国の手の者を、日本に入れる意味がありましたでしょうか」「何を今頃申しておる。足毛布(あしもふ)博士の強制ロボット動員策でも、あの場所がみつからんのだぞ。ヨーロッパ随一の心柱(しんばしら)発見の著名人であるロセンデール卿を招くのは当たり前だろうが」「が、心柱を発見された各国、いずれもルドルフ大帝の支配下に入ったと聞き及びます」斎藤は不安げに言った。「お主も心配症じゃのう。支配下に入った各国はヨーロッパぞ。東洋の一国である我々には関係ないわ。よいか、これからの時代で俺は織田信長、お主は豊臣秀吉じゃ」 水野は、織田信長。斎藤は、豊臣秀吉そっりの顔をしていた。「が、水野様。東京には本当の徳川公がおわしますぞ」「本当に心配症の奴じゃのう。心柱さえ見つかれば、そのようなこと取るに足りぬ」 大笑いする、水野。西日本都市連合議長である。 自らの未来が、鮮やかに脳裏に浮かび上がっているのだろう。 一方、斎藤は大阪市長だが、顔色は優れなかった。ともかく、秀吉も信長も外国の力を借りはしなかった。と斎藤は思った。「それ、ロセンデールが現れよった。斎藤、笑顔じゃ、笑顔」 ロセンデールが、ケープをひるがえせて降りて来た。あとには鷲顔クルトフ、ジャガ芋顔シュトルフが続いている。「これは、これは、ロセンデール卿、遠い道程、お疲れ様でございます」「水野どの、日本は美しい国ですね。とても欲しくなりました」 憂いを秘めたロセンデールは、簡単に言ってのける。「えーっ」「いえ、冗談ですよ、外交辞令ですよ」 にこやかにほほ笑みながら、ロセンデールは言った。「では、早速、現況をお伺いしましょうか」「化野と呼ばれる地下エリアが、我々の掘削機械やロボットの侵入を防いでおります」 水野は汗を吹きつついった。先程のロセンデールの言葉が心に残っているのである。疑いが少しずつ水野の心にひろがっていく。「と、いうことは、それより先は、あきらかに心柱、そして古代都市というわけですねえ」「そういう可能性がかなり高かろうと思われます」「我々が、日本じゅうから、多くの霊能師を持ってきても、その化野エリアを突破できまないのです」 斎藤がいった。「この方はいったい。水野さんの小姓ですか」「いえ、紹介するのが遅れました。大阪市長、斎藤光三郎です」「斎藤です。以後お見知りおきを」 斎藤は怒りを隠しながらいった。「水野さんだから、私はお土産を持ってきたのです」 ロセンデールは、水野とその閣僚連中に向かって胸を張った。「あの大仏です」「何ですと、あの大仏」「が、あの大仏は、空母の上に置かれております。それを化野までどうやって」「心配ご無用です」「まさか、運搬機械が必要とか、おっしゃるわけではありますまいな」「あの大仏、実は戦闘用ロボットなのです」 ロセンデールは嬉しそうに言った。「何ですと」「我々が、タイランドの軍隊と戦ったおりの戦利品なのです。賠償金がわりに受け取った訳です」 聖騎士団長シュトルフが誇らしげに語った。「あのロボットならば、あの化野の霊を打ち破れると」「そう考えております」ロセンデールが言った。続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
2015年05月02日
ロボサムライ駆ける■第1回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画■第1章 胎動 (1) 巨大な島が動いている。その島が瀬戸内海を航行しているのだ。まろやかな陽光たなびく中、その島は動く。空母ライオンであった。「風光明媚なところでございますなあ」 バイオ空母ライオン、排水量一〇万トン。甲板の幅五〇メートル、全長四〇〇メートル。ロセンデール卿の私物である。 ロセンデールの秘書官のクルトフが、ライオンの鑑橋から、瀬戸内海を見渡しながら言った。 今年六十になるクルトフは、鷲のような顔付きをしている。赤く思慮深い眼、大きない鼻梁は高くいかつい感じをましていた。長い白髪は仙人を思わせる事がある。 ヨーロッパの首相級を思わせる華麗な宮廷服を着ていた。「クルトフ。ここ、日本が手にはいるわけですから。心して計画にかかねばなりませんね。それでどうですか。大阪シティの受け入れ体制は」ロセンデールは言った。 ロセンデールはいかにもヨーロッパ的な顔立ちであり、言葉使いも優しく、一見やさ男であるが、よく観察すると、野望を秘めた目と高貴な育ちを表す高い鼻と、力強い意志をもつ顎が見えて来る。そして、体全体からは権力を持つ男のオーラが発されているようであった。今年三七才になるが、二〇代後半にしか見えなかった。 長い金髪を後ろで束ねて垂らし、ビロードでできた古代ペルシア風のチュニックとショートコートを来ていた。「万全のようです。これも卿(けい)の深慮遠謀のお陰」「くくくっ、ともかくも、世界史上誰もなし得なかったことをしようとするわけですからねえ。ところでクルトフ、例の霊能師の方は大丈夫なのですか」「その方の準備も万全でございます。西日本都市連合議長の水野なりが、餌をまいておりましょう」「ロセンデール様、皆の用意ができました」 聖騎士団長シュトルフが言った。 シュトルフは、戦のなかで生まれたような男だった。赤ら顔で首は太く、胴は樽のようだった。その樽の上に乗っている顔はどちらかというと愛嬌があった。眼は小さく、鼻は団子鼻で大きく、口もまた大きかった。ロセンデールいわくジャガ芋顔である。 大きな戦いを生き残ってきた四五才の精鋭だった。 光る電導師の制服を着ていた。そのコスチュームは、昔の十字軍を思わせた。「よーし、お前たち聖騎士団、電導師たちの力を見せてもらいましょう」 ロセンデールは剣を引き抜いていた。 ゲルマンの剣である。切っ先が陽光を受けてきらりと光る。「殿下、さすがに見事でございます」「ほれぼれとするお姿じゃ」クルトフが言った。 ロセンデールの後ろには、うすぎぬを着た巫女たちが戦いの歌を歌い始める。一五才から一八才の美女ばかりだった。 ロセンデールの歌姫たちだ。 ゲルマンの剣はわざわざ、ルドルフがロセンデールに渡したものだった。「皇帝ルドルフ猊下、この剣にて帝国の土ひろげましょうぞ」 こう見栄をきったロセンデールだった。 ロセンデールはヨーロッパの某国で生を受け、霊戦争後のし上がってきた貴族である。現在、神聖ドイツ帝国ルドルフ大帝の右腕とすらいわれている。「シュトルフ、例のものを合体してみせて下さい」「殿下、ここでですか」「まだ大阪港へつきません。ここで、姿と力を見てみたいのです」「わかりました。殿下のおおせのままに」「飛行士の諸君、甲板にバイオコプターを集めよ」 バイオコプターは生体を形どった機械飛行機で、大きな羽根で羽ばたくことにより揚力を得ていた。この生体とは、とんぼとか兜虫とかの昆虫である。「よーし、動かせ」 バイオコプターが一点に集まっていた。 そのバイオコプターの群れが別のものに変化した。何か巨大なものが、ロセンデールたちの前に立ち上がっていた。瀬戸内海の陽光を受けて、それはきらきら輝いている。「まことに見事です。これで日本人どもの肝を冷やさせるでしょう」 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2015年05月01日

http://www.tv-osaka.co.jp/event/eventtool/名 称イベントツールウエストジャパン2015会 期2015年5月28日(木)~29日(金) 10:00~17:00会 場 大阪南港ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATC O's南B2F)主 催テレビ大阪 アジア太平洋トレードセンター後援経済産業省 近畿経済産業局、大阪府、大阪市、大阪商工会議所、(公財)大阪観光局、公益財団法人関西・大阪21世紀協会、一般社団法人日本イベントプロデュース協会関西本部、 NPO法人ジャパンイベントネットワーク、日本イベント業務管理士協会、一般社団法人日本イベント産業振興協会 (順不同)ーーーーーーーー入 場 料 無料 (招待制・事前登録制)目標来場者数5,000人ーーーーーーーーテレビ大阪では今年も、アジア太平洋トレードセンターとの共同開催による「イベントツールウエストジャパン2015」を5月28日(木)~29日(金)に大阪南港のATCホールにて開催します。本展は、イベントや販促関連のツールやコンテンツを所有する企業が出展。企業の販促、関・自治体・行政機関・各種イベント主催団体など、販促やイベント関連のツールをお探しのユーザーをお招きし、出展者とのビジネスマッチングの場としてご好評頂いております。4回目の開催となる今年は、多数の関連企業が出展し、ご来場の皆さまに質の高いプレゼンテーションを展開します。開催時にはぜひ本展へお越しくださいますようお願い申し上げます。ーーーーーーーーお問い合わせイベントツールウエストジャパン運営事務局(テレビ大阪 事業局内) 担当 :酒井・仲野〒540-8519 大阪市中央区大手前1-2-18TEL : 06-6947-1912FAX : 06-6947-1941E-mail : eventtool@tv-osaka.jpーーーーーーーー山田企画事務所・山田博一は、後援団体の日本イベント業務管理士協会/広報委員として告知しています。http://www.jedis.org/member/memberlist/517-940808.html日本イベント業務管理士協会http://www.jedis.org/ーーーーーーーー
2015年04月28日
「マンガの描き方」教科書■How to draw manga tutorial by japanese■I am sorry here is no Lesson 1 data.ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」>> 文責 ラッキー植松http://www.yamada-kikaku.com/lesson.htmlHow to draw manga tutorial by japanese Lesson 2: Draw a picture Lesson 2>How to draw manga tutorial by japanese Lesson3: Draw characters Lesson 3How to draw manga tutorial by japanese Lesson4 Draw pictures –Draw charactersLesson 4How to draw manga tutorial by japanese Lesson 5: Draw backgrounds Lesson 5How to draw manga tutorial by japanese Lesson 6: The way to handle pictures Lesson 6How to draw manga tutorial by japaneseLesson 7: Create a story Lesson 7How to draw manga tutorial by japanese Lesson8: Create a story2 Lesson 8How to draw manga tutorial by japanese Lesson9: The basics of Komawari Lesson 9How to draw manga tutorial by japanese Lesson 10: Elements necessary for Komawari Lesson 10How to draw manga tutorial by japanese Lesson 11: How to create a dramatic effect when doing Komawar Lesson 11How to draw manga tutorial by japanese Lesson 12: How to become mangaka Lesson 12
2015年01月27日
Thank you! youtube"yamadakikaku2009"subscribers! over 6800persons!https://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009世界の漫画の好きな方々や漫画家が、6800人登録していただいています。登録者の方々のチャンネルを、山田企画事務所のブログで紹介していきます。皆さんには、漫画家や、漫画の好きな方々ですので、漫画の描き方、プレゼンテーションのやり方が参考になります。(順不同ですThank you youtube"yamadakikaku2009"subscribers.I will continue to introduce Your youtube channel in the weblog of Yamadakikaku.Everyone is, manga-ka, manga fan, how to draw manga, the way of presentation of manga drawing. Your youtube channels will be helpful for manga-fan.ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーhttps://www.youtube.com/user/kittycoolcrafter123https://www.youtube.com/channel/UC2cMT5JLJ4h3wPHk192Odvghttps://www.youtube.com/user/bfflpowerhttps://www.youtube.com/channel/UCH5ZTV37e6zhgs_6k9mSXnwhttps://www.youtube.com/channel/UCfdlQq3x4UTsHTls4jnpFVQhttps://www.youtube.com/channel/UCrVa0fckGW0N4mH7rFSMHnghttps://www.youtube.com/channel/UCa5uOOrmS_4eOiW_WP5-MIghttps://www.youtube.com/user/kelly113355
2015年01月15日

大石容子の作品http://oishi-youko.com/山田企画事務所 の協力作家大石容子の作品をまとめてみました。大石容子アートギャラリーマンガイラスト依頼見本にご利用下さい。oishi-youko.com大石容子アートギャラリー
2014年11月22日
ロボサムライ駆ける■第5回(改訂)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画 ◆ 聖騎士団長シュトルフが駆け込んできた。「どういうことですか、殿下。機械城の警備を日本側のロボ忍に任せろとは」「シュトルフ怒るな。これも殿下の深慮遠謀なのじゃ」 鷲顔の秘書官クルトフが言った。「どういう理由か、お教え願いたい」「よろしいですか、日本側は我々の動きを完全に信じてはいません。この機械城に仕掛けがあると考えておる節があるのです。その疑いを少しでも取っておきたいのですよ」「それでは殿下は、機械城すべての警備をロボ忍に任せろとおっしゃるのですか」「シュトルフ、そのとおりです。彼らに任せなさい」「任せろとおっしゃられても」「よいですか、シュトルフそれでは、教えてあげましょう。機械城全体が大きな罠なのです」「その罠に落としますのは、一体?」 シュトルフは怪訝な顔をした。「我らの目的の邪魔になるもの、すべてのものですよ。日本の政府関係者、氾濫ロボットどもとかね」 ロセンデールの青眼は残酷にきらりと光った。 ◆ 霊戦争は地球の浄化作用であった。当時、地球の文明全体が機械化文明に犯されつつあった。 情報公社「リンクス」や機械化会社「ロボテック」などのコングロマリットが、地球の全体のほぼ利益及び生産資材を握りつつあった。世界初の企業による世界帝国である。霊戦争が始まりを、今となってははっきり記述することは不可能だろう。結果的には地球の文明は少し後退したように見えるが、地球全体の生命体から見ればそうもいえない。緑が地球の全てを覆いつつあり、河川、海の汚染度も下がりつつあった。 地球上空何千キロの部分には監視衛星「ボルテックス」が数個設置されていた。これらの衛星はいわば、神の剣であった。 すでにこの時期、自然類は地球外に影響を及ぼしつつあった。外惑星は、この地球の状態を理解できないでいた。ボルテックスはこの地球全体に結界を引いていたのである。しかしながら、機械化文明は退歩した訳ではなかった。地球にはロボットや機械がうじゃうじゃ存在し、減少する傾向は出ていなかった。 (4) 地下坑道。巨大なトンネルがうがかれていた。ともかく天井が異常に高い。 鑿岩ロボットたちは、手を休めていた。皆へとへとに疲れている。これから先は人間、霊能師の役割なのだ。彼らは霊能師たちを見守っていた。 多くの人間が円陣を組み、何かを唱えていた。すべての人間が汗をかいていた。 その円陣の向こうの壁が光り出している。「おおっ、あれは」 何人かが、驚きの声をあげた。 壁という壁は、石仏、仏像、寺社の建物でひしめいていた。そこから先数キロは異様な空間を作り出している。 うしろから、巨大な光る物体があるいてきた。 大仏である。 ゆるゆると、歩いてくる。ロボットたちの前をすぎ、人間の円陣の横をすぎる。 が、その先が問題なのだ。 バリバリと音がする。 大仏は歩こうとするのだが、ある一定のラインを越すことができない。 大仏がブルブルと震えていた。 同時に壁にひっついている仏像も石仏もゆらゆらと震えているのだった。まるでその壁が揺らぎ、大仏の進行を妨げているようにも見えた。(続く)続く090901改訂作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2014年09月04日
ロボサムライ駆ける■第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画 機械城。ロセンデールによって、極めて短時間に作られていた城である。 ロセンデールが、日本に到着してすでに六カ月がたっている。 この時期、古来からあった城は霊戦争のおりなくなっていた。それゆえ大阪城の場所にその機械城は建てられていた。 外見上は日本の城に見える。城壁、天守閣、櫓などを見ても変わっているようには見えない。が、すべて機械でできているのだ。城壁の石垣の一つ一つも、窓枠の一つ一つも、すべて機械なのだ。 それもロセンデールの命令どおりに作動する一つの機械生命体であった。城壁の四隅に櫓があり、中央部に天守閣、小天守閣がある。 この天守閣のみ、少しばかり形が変わっていて、西欧の寺院風にも見えた。 一階から五階まで、吹き抜け部分が作られていた。小天守閣には、心柱を探るための研究機材が集中していた。 天守閣は、ロセンデールの居城であり、そして何か別の目的で建てられているのであった。 ◆「斎藤殿、水野殿、ご覧ください。もうここまで進んでおります」 ロセンデールは、機械城の中央、天守閣にあるコントロールルームの巨大なモニターを二人に示した。 この画面には、心柱があると思われる位置がコンピュータグラフイックスで描かれ、その心柱に向かって進む地下坑道が数多く表示されている。この地下坑道のすべてで、数百体のロボットが作業を行っていた。「西日本がロボット奴隷制でようございました。東日本ならロボットを強制労働させるわけにはいきませんからね」 ロセンデールがいった。「さようでござる。ロセンデール卿も運のいいことじゃ」 水野がほくそ笑む。「しかし、やはり足毛布博士がいなければ、こうもいきませんでした」「さようで。で、足毛布博士は」「ああ、彼は人に会いたくないとおっしゃって坑道A-五〇に入っておられます」「博士の人嫌いにも困ったものじゃのう」「いやいや、それだからこそ、このようなロボット強制労働ができるというものです」「ほほ、博士の性癖に感謝せぬといかん訳ですな」「そのようですな、はっはは」「が、ロセンデール卿。みはしらが発見されたあかつきのこと、よろしくお願い申しあげますぞ」「日本統一のことですね」「しっし、ロセンデール卿。声が大きすぎます」「何しろ、これは我々だけの秘密でございます」「まさに、まさに。それにしても、落合レイモン殿があように易々と我々に協力していただける意向をお持ちとは思いもしませんでした」「レイモン殿も何か考えるところがあるのでござろう」「斎藤、それゆえ、レイモン殿の監視、努々怠るではないぞ」 水野は、隣に控えていた斎藤にいった。「さように取り計らいます」「水野殿、斎藤殿。珍しいものをお目にかけましょうか」「ロセンデール卿、それは一体どのような」「ご両公とも眼を回されるに相違ない」「ほほう、卿がそう言われるくらいなら」「期待いたそう」 巨大な空間が機械城天守閣の中にある。高さ三十メートル、広さは縦横とも百二十メートルはあるだろう。その真ん中に真紅のカーテンで仕切られている。「いったい、これは」「お見せしよう。カーテンを開けよ」ロセンデールが命令した。「こ、これは」 二人は絶句した。黄金の大仏であった。「どのようにしてここへ」 水野と斎藤は叫んでいた。「それはね、企業秘密です」 ロセンデールはにこりとした。続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画
2014年09月04日
ロボサムライ駆ける■第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画 漆黒の闇の中、小さな明かりが灯された。何やら呪文が繰り返されている。 京都、中央区にある広大な屋敷、足毛布博士の屋敷である。 度の強いメガネをかけ、白髪まじりの蓬髪の五〇くらいの男は、なにやら独り言をつぶやいていた。 足毛布博士は秘密の地下室で祈りを捧げていた。この儀式のことは、誰も知らなかった。それを知れば、足毛布博士を、西日本都市連合も放っておかない。 足毛布博士は、日本古来の着物を脱ぎ捨て、彼が信じている大義のための服装に着替えていた。 何かの祭壇がある。日本古来の神棚ではない。『古来より、日本へ飛来しました我々足毛布一族、ついにその目的の貫徹はちこうございます。願わくば、私の世代にその願いを叶えられんことを』 祈る足毛布博士であった。 足毛布博士は、京都市内に広大な土地を占めていた。この本宅以外にロボット製作所が近畿エリアに四十ヵ所ある。 [足毛布人造人間製作所]といえば、泣く子も黙る西日本の大企業である。が、最近、足毛布博士は政府の要職も、会社の経営も他人に譲り渡していた。 ◆「博士、博士はご在宅か」 八足移動ビーグル、クラルテに乗った武士が、玄関先で呼ばわっていた。足毛布博士の屋敷は、博士が人嫌いのため、使用人は雇っていない。全自動ロボットシステムで構築されていた。「これはどちらさまでしょう」 玄関に設置されているロボットボイスが答えていた。「水野都市連合議長の使いの者じゃ。足毛布博士、至急にご登庁をお願いしたい。火急のこととあり。以上を足毛布博士にお伝えいただけるか」「わかりました。至急お知らせ致しましょう」 足毛布博士の情報モジュールは、都市連合からの連絡情報を一切入力させない設計になっている。それゆえ、わざわざクラルテに乗った使者が現れるわけである。 博士は書斎兼図書室にいた。古書籍がずらっと並んでいた。一冊の本を取り出す。タイトルは『西洋の没落』となっている。 博士は誰かにしゃべっている。「貴公はシュペングラーの『西洋の没落』という本の名を聞いたことがあるかね」「いや、そのような本、耳にしたこともない」「ふふん、まあ、ロセンデールなら知っていよう。あれは第一次大戦の前だったか、このページに書いているのだが。文明が没落する兆候はテクノロジズムとオカルティスムの流行と言っておるのじゃ」「ふふぉ、我々のことか。予言しておったのか、そのシュペングラーとか申す霊能師」続く作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●山田企画事務所動画ジャンル:小説
2014年09月03日
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