部屋とYシャツとわらG

部屋とYシャツとわらG

小学校2年生 2学期 その1


カラオケ店にて 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 お昼ご飯を兼ねて、家族3人でカラオケの○ダックスに行った。

 ここは食べ物はちょっと高いが、味はいいし、Sの好物のガーリックトーストなどもあるので以前(2年前くらいに)利用したことがあった。

 その時は、マイクに向かって「ウー」と叫んでエコーを楽しみご機嫌だったのだが、本日はごきげんななめ…。

 耳ふさぎをしながら聞こえ方を楽しむのではなく、本当にうるさいと思って必死でふさいでいるようだ。演奏の音量を少しずつ下げ、マイクの音量を下げ…マイクを離して歌い…とやっているうちに、マイクはいらない地声でいい音量になっていた。

 カラオケボックスで小さな音を出して、地声で歌う夫婦。

 朝行ったきり4時間もトイレに行ってなかったので、無理に連れて行くとトイレで号泣。(いっぱい出たくせに)

 もどってきてもメソメソしていたので、静かなカラオケとなり、料理を運んできた店員もただならぬムードに驚いたことだと思う。

 ガーリックトーストなどを食べながら機嫌は少しずつ直った。つまんなそうにしている時に、運動会の踊りの曲(いつも踊りのビデオを見ている)「さやえんどう」(ワンピースの主題歌)をかけると、急にご機嫌になった。

 なんだかんだで1時間半いたが、へそが曲がりそうになると「さやえんどう」を割り込み予約…結局これは3回も歌う羽目になった…。

 くやしいが、あれだけいつも聴いて(聴かされて)いるのに、サビの一部の歌詞(ともにわかちあった涙?とかの部分)のリズムがうまくとれない! そして3回とも失敗する自分がちょっと悔しいのであった。

 Sのその他のお気に入りは、「栄冠は君に輝く」…夏の甲子園のテーマ曲だ。赤ちゃんの頃、野球少年に洗脳しようとよく枕元で歌ったのが、こんなところで役に立って、体を横にゆらして踊っていた。

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2006/09/07
9月7日 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 本日は、息子Sの8歳の誕生日。残念ながら、皇族の方とは一日違いの誕生日となったが、いつか「休日の翌日」になる日が来るのか?

 体調を崩して、誕生日に点滴を受けた年(3歳?)もあったが、今年は元気に一日過ごせた。

 昨年は、ケーキのろうそくの火を吹き消せるようになってみんなを驚かせた。

 今年は、妻が1本ずつつけていくと、追いかけるように1本ずつ消していく。これじゃあ、いつまでたっても全部つかない(笑)ので、「まだー」と家族に止められた。

 「口で注意されて通じた」…こういうことが増えてきて、とてもうれしい。たぶん、数年前なら羽交い締めで連れ出さないとやめなかった?と思われる。

 今日は学校でプール授業もあって疲れたのか、10時には『早々』と寝てくれた。ぜひ8歳の毎日こそは、「日付が変わる前に寝る」毎日にして欲しい!

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2006/09/08
すてきな親子 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 今日、駅から帰るバスに乗る時に、すてきな親子に出会った。

 母の方は50~60代のきりっとしたおばさま。いつも、朝、Sを連れて学校に行く時に、道路の反対側からも笑顔であいさつしてくれている人だ。


 最初は誰かわからなかったが、入っていったと思われる家と、いつも会う場所やその容貌から、Tさんであろうと妻が予想していた。

 おそらく年配の障がいを持ったお子さんの母であろうとわかってきたのだが、朝あいさつをするだけなのでそれ以上のことはわからなかった。

 そして今日は、ちょうど、お子さんと一緒だった。

 会釈をすると、「うちの息子です」と紹介してくれた。息子さんが電車で通っている職場(NPO法人・元作業所)の保護者会のような行事の帰りだったとのこと。

 私が数年前の職場に行っていた頃(まだSが生まれる前)、時々朝早いバスで一緒になっていた彼だった。

 彼はダウン症のお兄さんで、バスに一人で乗ってきて、静かにしていて、電車でもちゃんとしているのを何度も見ることがあって「立派だなあ」と思っていた。もうひとり、人を押しのけておりたり、急に怒鳴ったりするダウン症のおじさんもいるので、その比較からも何となくいいイメージを持っていた。

 その彼と、見ず知らずの自閉症親子(私とS)にあいさつをしてくれるあのおばさまが、時を経て一本の線でつながった。気になっていた人同士がやはり親子だったとは不思議なものだ。

 お兄さんと思っていた彼は、もう38歳でなんと私の2つ下。もう結構おじさんだ。

 バスに乗っている数分間の間だったが、小・中学校の頃のことや、何かの時には昔の親の会で力になれる…というようなことを話してくださった。


 ついでながら、私が地元の中学校の講師をやっていることも知っていた。うーん、何もかもお見通しとは…。

 今以上に、社会に障がいへの理解がなく、養護学校や特学もでき始めだった時代、そんな頃を乗りきって元気に働いている先輩たちのことを心強く思った。

 勝手な予感だが、今後何かお世話になりそうな気がする…。こういうあつかましい私の予感はよく当たる…。お世話になります。

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2006/09/13
歯医者 2(たぶん) 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 連日の雨で、中学校の運動会の練習ができず、そうすると私の授業がつぶれない…。

 予行練習で今日はフリーになるはずが、雨天延期で5時間授業をやる羽目になったり、秋霖になるのが例年より早すぎだ!

 それはさておき、今日はSの久しぶりの歯医者。虫歯治療はこれと別に後日「麻酔して治療」の予定なのだが、今後のために、定期的に通って『慣れる』ための通院だ。

 ST(言語聴覚療法)とOT(行動療法)を同日・月2回(普通よりかなり少ないか?)のペースで行っているのだが、歯医者(月1回)も同じ病院だ。歯医者で恐い思いをして、そっちに行けなくなると困るので、駐車場もいつもの無料の公共施設(廃校跡地)ではなくて病院の駐車場(200円)に入れたり、待合室でも違うベンチに腰掛けたりして、「ST・OTの時とは違う」ことをアピールしている。

 待っている時は、いつもより落ち着きなく、「アウー」と吠えて?ごきげんだったが、そろそろ自分の番となると、行くまいとして抵抗したりしてなかなか大変だった。

 今日も治療台(イスではなく寝る形)には行かずに、丸イスに勝手に座って、そこで歯を磨いてもらった。

 フッ素塗布をするというので、リンゴ味のものをつけてもらったが、日頃何もつけないブラッシング(うがいができない・やらないことが多かったので)なので、最初は抵抗。

 「ほら、甘くておいしいよ」なんて言われて、一口「ぺろっ」とやってからは、今度はやたらとなめたがり、磨こうとしてもベロが出てきて邪魔をする(笑)。

 全部なめたんだか、歯に広がったんだか、よくはわからないが、一応フッ素入りの歯磨き粉?は全部なくなっていた。

 治療の麻酔のことなどの話を先生から聞いている時、もう誰も見ていない段になって(私は気づいたのだが…)、Sは一人で治療台に近づき、足元の所に顔をつけたり、横になったりしていた。

 「イヤだけど、やらないといけない」と思っているのはえらいな。(でも、最初からそうしろよ)

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2006/09/14
がんばらんば 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 以前、Sが「アイーン体操」のDVDにはまっていることを紹介したが、その後は「ワンピース」の主題歌『さやえんどう』で踊る交流クラスの子のビデオにはまった。

 今回、NHKのみんなのうたで見て、「これは絶対にSが好きだ」と思い購入したのが、さだまさしの「がんばらんば」。


 やはり予想どおり…初めて見た今日は、連続10回くらいかけさせられている。

 それにしても「さだまさし」すごいな。

 ファンの人にとって、今回の作品はどう思われたのか賛否の分かれる所かもしれないが、この長崎弁の曲すごい。

 九州弁のラップへの乗りやすさを証明。「でんでらりゅうばでてくるばってん」と昔のわらべうたをうまく取り入れたり、子どもや年配の方も楽しめそうでそれでいて簡単ではない踊り(ちょうど小学生の運動会の演技とかで行けそうな感じ)…など、まだまだ新しいことをやる才能が余っています…と示してくれた。

 というか、私は「ロック好き」としては、「さだまさし」を好きになるのは何か弱みを見せるような気がして(笑)、避けよう避けようとしていた。(今も)

 だが数年前より、とうとうベスト盤を買ってしまったり、保護者から本をもらってしまい朝読書でエッセイを読んでしまったり、今年は彼の小説まで読んでしまったり、友人(彼の事務所のスタッフ)の結婚式でさだまさし氏の生歌を聴いてしまったり、死ぬほどファンのオバサマ先生(元同僚)にその彼を紹介してチケットの申し込みをスムーズにしてあげたり、一昨年の紅白歌合戦の時の平和の歌に感動したり…と気がついたら、結構好きになってしまった。

 本物はいいなあと思う。

 でも私がさだまさしを評価すると、「ホラ見ろ」と思っている人がいるかと思うとちょっと悔しい!

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2006/09/19
外では久しぶり 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 日曜日のこと。スーパーに買い物に行き、妻は売り場へ、Sと私は遊具のあるコーナーにいた。

 靴を脱いでマットの上にあがると、大きなすべり台やバネで大きく揺れる乗り物などがあり、重宝している遊び場だ。

 ほぼ貸しきり状態で、後から同じく父子で来た人に会釈などしあって、それぞれの子どもが勝手に遊んでいた。

 いつもはとことんすべり台で遊び、そのあと乗り物を激しく揺さぶり、交互に繰り返すSだが、その日は途中からそれらに目もくれず、遠くにあるベンチと私のいる場所の往復ダッシュを繰り返す。

 私の所に来るたびに飛んで抱きついてきて、「キャッキャ、キャッキャ」とごきげんに笑う。なんだか絵に描いたような仲良し親子だ。

 もう一組の親子のお父さんの手前、ちょっと恥ずかしいのだが、「まあいいか、たまにはこんな普通の親子っぽい感じも…」と思っていたのだが…。


 3往復(抱きつき3回)くらいした時、地面に降りた後にいきなり、いきみはじめた! しまったー、この『ごきげんダッシュ』はビッグベン(大便)開始のための儀式だったのかー!(家では廊下で短いダッシュを繰り返した後、パンツを脱ぐと、トイレにうながされてモリモリと行う)

 気づいた時にはもう遅いと思われたが、力を入れさせないように両腕をひっぱって持ち上げて、「トイレ、まだ我慢!」と言いながら抱えて走っていった。

 もう一組の親子のお父さんは、出口のドアを開けてくれた(ありがとうございます)。

 さて、広々とした車いす対応のトイレでゆっくりズボンを降ろすと…もうすっかり手遅れで、でももし便器でやったなら立派な『バナナ一本』だっただろうと思われるものが、パンツの中で野球のボールぐらいの大きさのかたまりになっていた(笑)。ちょうど最近の調理実習で「白玉粉を耳たぶくらいの柔らかさに練る」というのをやったのだが、それだったらちょうどいい感じだ。(これはさわってないけど)

 便器に流そうとすると、ボールがそのまま飛び込んだかのように「ドッポーン」と少し水がはねた。まあ固くてラッキーだったか…。

 本人も素直にお尻を拭かせてくれて、ついでに『ノーパン』で半ズボンをはいて…これはさすがにはじめてなのでイヤらしい。かといって少し汚れたパンツ(固かったせいかほとんど汚れてはいないのだが…)をもう一度履かすのも抵抗がある。

 トイレの中から妻に電話し、手持ちの(いつもカバンに入っている)パンツを届けるよう緊急連絡。どうも緊急性がうまく伝わらず(オシッコがかかったと思ったらしい)、パン屋で余裕の会計を済ましてきたようで、Sは5分間もフリチンのまま、「おむつ交換台」の上で機嫌良く跳びはねていたのであった。おむつ交換台の基準体重オーバーしてるのにすみません…。

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2006/09/24
トーマス号 「障害児と生きる日常(28034)」 [ 最近のことの日記 ]
 毎週よく行くスーパー(○イエー)は、改装するたびに専門店がつぶれ、ゲームセンターのスペースが拡大されていく…。

 屋上の駐車場から下ると3階はいきなりゲームセンターだ。

 以前は横をすり抜けてエスカレーターに行けたのだが、今や構造上さけられず、通らざるを得ない。いったいここでどれだけの子どもたちがつかまって(笑)、親に怒られたりもめたりしたことだろう。

 我が家はSにゲームなどできないので余裕だ。今日はせっかくなので、自由に歩かせたらどうなるか、どんなものに興味があるのか、まかせてみた。


 すると…ゲームコーナーに思わぬものがあった。拡張にともない、幼児用の乗り物が増えていた。その中に、線路1周(20mくらい)ちゃんとあって、トーマス号が人間を二人乗せてひっぱっていくような大きな乗り物があった。

 Sがその柵の前に立っているので、「ああ、これは動かないのかなあ」などと言ってごまかそうとしたのだが、数年前によそで乗ったこともあったからか、引き下がらない。柵の切れ目(乗車口)を見つけて、勝手に乗り込んだ。

 その場で揺れるだけの乗り物(バスとかアンパンマンとかの乗り物)だと乗るだけで満足する時もあるので、しばらくほっといたのだが、必死でこっちに向かって手を出して、「動かせ!」(推定)という感じで「ヴー」と叫ぶ。

 しょうがない…と値段を見ると200円。100玉を二枚渡すと、いつも乗っているかのように自分でお金を入れて、トーマス号は動き出した。(何年かぶりでもこういうことは覚えているようだ)

 二人乗りだが、屋内のゲーセンで私が乗るのも目立って恥ずかしいなあとか考えているうちに、Sひとりを乗せて汽車は行ってしまった…。

 1周目はいい子で乗った。2周目は途中で立ちあがったりしていて、こっちから声をかけてやめさせた。3周目に私も後ろに乗り込もうとしたが、思ったより速くて乗り損ねそうだったのでやめた。

 すると、してやったりと思ったのか、遠ざかるトーマス号の客車で、Sは立ちあがるは、後ろに移動しようとするは、最後は座席に反り返って寝転んでもどってきた…。

 曲乗りか!

 ということで、我が家もゲームセンターの罠と今後戦うことになる。

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2006/09/29
お祭り 「障害児と生きる日常(29249)」 [ 最近のことの日記 ]
 3日間続く神社のお祭りの中日だった。前日は、初日というより前夜祭みたいな感じで露店などもないのだが、今日からの2日間がにぎやかになる。


 S(8歳自閉症)は、3歳の頃から毎年出かけてはいるが、その障がい特性上からこのお祭りが得意なわけがない。

 車を少し離れた所に停めていくのだが、行きは夜の外出にルンルン。神社でのお参りの人がすいている道くらいは歩く(それもこの3年くらいでそれまではそれさえ歩かず)。

 でも露店の所にもどれば人混みがいやですぐに抱きついてくる…そして両親のおんぶか抱っこか肩車でその狭い場所を通る。3~4歳の頃は、大泣きしていたので、お祭りの中を大泣きの子を連れて歩く…つらいことが多かった。

 5~6歳の頃は、機嫌はよくなったが、とにかく重くなってきた。

 7歳の昨年は、重い覚悟をしていたが、最後少しだけの肩車ですんだ。

 そして今年。御神輿を見せる時にわざと肩車をしたシーンはあったが、それ以外の全区間を自分の足で歩いた! しかも終始ごきげん!

 やはり、見通しが立つようになったことが大きいのか、それともにぎやかな場所自体になれてきたのか、人混みの中も自分が先頭になってはりきって歩いていた。

 Sが人混みを歩くようになったことは大きな収穫だ。これで、またいつかディズニーランドに行く時には、グッと楽ができそうだ。


 さて、一通り(2km分くらい)歩いて駐車場にもどる頃、数人の教え子(中学生女子)に出会った。妻が小学生時代、私が昨年度教えたという連中だ。その時、自分でねだって「ちょうだい」のポーズをして手に入れた綿菓子を食べていたSは、お姉さんたちにニコニコ相手してもらえて上機嫌。「かわいい」とか言われてほっぺをさわられて、デレデレしている。

 そのお姉さんたちはお祭りのはっぴを着てお化粧をして、きめきめのお祭りおしゃれモードだ。

 直感的に、「やばい。Sが綿菓子のベタベタの手で服をさわるであろう」と思った。思うと同時に、「S、手がベタベタだよ。人の服で拭いたらダメだけど、拭く時は一番きれいなお姉さんのだけにしてよ」と言いながらハンカチを探した。

 そのあっという間に、一番近い所にいたお姉さんに甘えて、甘えながらもうはっぴで手を拭いていた(笑)。先のひとことがうまくいって、「ほらあ、やっぱり私の所に来たわ。おっほっほ…」みたいになって助かった。甘えに行ったのだから嫌いではないだろうが、理由はまちがいなく「一番近い所にいたから」だと思うが…。

 「先生、きれいな教え子に会えてよかったねえ」という謎の捨てぜりふと共に彼女らは去っていった。 

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2006/10/01
ケンタ 「障害児と生きる日常(29249)」 [ 最近のことの日記 ]
 引き続き、日曜日の外食練習に行っている。最近、例のジュースを売っている別のスーパーを見つけたので、北方向に以前より行くようになり、その際はドライブスルーが主流であまり混んでいない○ンタッキー・フライド・チキンの店内に行っている。

 今やここに来るとSは落ち着いている。以前は「持ち帰り」としておきながら、それを店内で少し広げてみて、少し食べてみる…泣きそうになったら帰る…だったのが、今では「店内で食べます」と言い切れるようになった。

 今日もお気に入りの品を頼んでいつもの角の席に…あっ、ふさがっている! Sは一瞬変な顔をした。

 反対側の窓の同じような席にしようとしたがそちらにも人がいて、「どうしよう…やばいかなあ」と思っていたら、中央の丸テーブルの席のひとりがけのイスにSがひとりで何気なく座った。

 どうも、場所やイスには本人はあまりこだわってないらしい。

 それで、普通に物静かな子ども(笑)のような顔をして過ごしていた。手づかみもチキンなら不自然ではないし。

 おかしかったのは、後から来た小さな子どもが大声で泣いた時。 動揺して耳をふさいだりするかと思いきや、「エーン」という声を聞く度に、「ウホーイ」という裏声超音波で返事の雄叫びをあげていた。

 「S、シー」と口に指を当てると、自分でもマネをするのだが、そのポーズのまま「ウホーイ」(うまく擬音化できない叫び)。数回かけ合っていたが、ひとりがけのイス(日頃はソファタイプの席の奥に押し込んでいる)を離れることなくちゃんと座っていられた。

 そして立ったと思ったらトイレに行き、もう終わりとアピールするかのようにゴミを捨て始め、席とゴミ箱を5往復くらいして片づけた。

 そろそろ普通のファミレスも行けそうだ。

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2006/10/09
1周年 「障害児と生きる日常(29249)」 [ 最近のことの日記 ]
 本日、ブログ開設1周年! 

 楽天からお知らせのひとつも来るのかと思っていたので、危うく気づかずにやり過ごす所だった。

 日記記入率88%という自分としては驚異的な数字、野球の打率だったら8割8分打ってるんだからすごいことだ。

 最初の2ヶ月くらいで当初の目的は終わってしまい、新年までやるか…、次は新年度(4月)までやるか…、そして1周年までやるか…と考えているうちにここまで来た。

 文章に書くことで、自分の行動の記録になったり、考えがまとまったりすることもあるので、今後も続ける所存ですのでよろしくお願いします。

 ただ、打率は首位打者をギリギリとれる程度(3割5分くらい)になりそうだが…。


 さて本日のSは、かなり外食に慣れてきたので、思い切って、中華のファミレス「○ーミヤン」デビューを飾った。

 自分の好物があったこともあるが、すばらしくいい子で過ごせ、ゆっくりと1時間くらい食事ができた。この調子なら今後は普通に外食できそうだ。


 ただいつも、Sが好きそうな物を多めに選んで、残りを私たちが食べる…というスタンスなので、なんだか食事の充実感に欠ける。お腹いっぱいなのになにかむなしい。

 今日もSが好きそうな、チャーハン、海鮮タンメン、ギョウザ、春巻、ポテトフライ…と頼んで、彼が食べたのはチャーハンとタンメンの汁のみ…。

 あとあとは自分でメニューを選ばせたいが、フタを開けてみないとわからない偏食男にはまだまだ振り回されそうである。

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2006/10/13
キャッチボール 「ひとり言・・?(58244)」 [ 1年以上前をふりかえっての日記 ]
 Sが知的な遅れを伴う自閉症であることを受け入れなければいけなくなった時期(もう5年前くらい)、「ああ、この子と親子でキャッチボールをするようなことはたぶんないんだなあ。」と考えた時にすごく悲しくなったのを覚えている。

 息子が産まれた…って時には、そんな将来を思い描いていたし、やっぱり野球をやって欲しいなとか、サッカーでもいいけどそしたら地域の少年サッカーに行くの抵抗があるな(その頃は野球指導関係者だったし)とかいろいろと思っていた。

 で、ここ数年はそんなことは忘れていたのだが、先週、偶然起こったことで思い出した。

 Sはボンボン(チアリーダーが応援とかに使うスズランテープを束ねて裂いたヤツ)が好きで、春の運動会で使ったヤツをいまだに取り出してきては、振ったり、裂いたり、食ったり(笑)している。

 その日、ボンボンを私の方に投げてきた。力を入れて投げると結構いい感じで飛んでくる。

 私がナイスキャッチ。すかさず投げ返すと、結構な速さなのにSもナイスキャッチ。

 なんだか楽しくなったようで、ゲラゲラ笑いながら投げ返してくる。

 こちらも「行くぞ」とか言いながら捕れるように手をねらって投げると、なかなかうまくキャッチする。

 こうして親子で楽しいボンボンキャッチボールが10分間くらい行われた。

 やりながら、『当初夢見ていたキャッチボールとは違うけど、これはこれで「普通の親子」には味わえない楽しいキャッチボール(キャッチボンボン)だなあ…』とうれしく思った。

 残念ながら、後日はこちらが投げても投げ返してこないので、一日かぎりのサービスだったようだが…。


 ちなみに小学生の頃の私は、父が自分のチームの鬼監督だったので、「キャッチボールしよう」と誘われて、最初は楽しくやっていても、最後は結局フォームをいじられたり、疲れてもやめさせてもらえなかったり、ただの練習になってしまい、あまりうれしくなかった思い出である。

 ただ父が自分の練習(ソフトボールの投手)のブルペンキャッチャーを頼む時には、100球50円…とかでキャッチングをして、「速い!」とおだてながらその気にさせて、延長料金(10球5円)をとったのは何となく楽しい思い出だ。向こうも自分の練習だから、こっちにとやかく言わないので、楽しかった。

 ミットでいい音をさせると投手は喜ぶ…とかいうが、どう捕ろうがミットはすごい音を立ててていた。暗やみに裸電球が二つ…ぼんやりとした白いかたまり(3号ソフトボール)を捕ることに必死だった。当時の父は剛球投手で、少し取り損ねるとこっちはミットの中で突き指だった。大人対小学生とはいえ、10球に1球くらいは捕ったあとに本当にしりもちをつかされたり、ふっとんでいた。

 父との楽しいキャッチボールもあった…と書こうとしたのだが、どうもこれも割に合わない、どちらかというとつらい思い出だった。

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2006/10/23
動物園 「障害児と生きる日常(29249)」 [ 最近のことの日記 ]
 今日はSの学年の遠足。正式には「生活科校外学習」。バスで動物園に出かけたのだが、いつもの通り、認定就学のお約束で、うちは家族が付き添いに行かねばならない。

 もともとは義父(車)と妻(バス)が行く予定だったが、雨で延期となり、今日は仕事の都合がつく曜日だったため、私だけが車で行った。

 しかし、今日もあいにくの雨だった。この学年、やたらと学年行事が雨にたたられていて、何回か延期しては、最後、一番雨がひどい時に強行してひどいことになる。

 そして、案の定、今日も大変だった…。

 バスに乗り込む時は霧雨だった。ついた時には傘が必要な雨。昼食を外でとりにくくなるからと着くなり10時05分から食事(笑)。借りた場所が営業前のレストランだったので食事時間は10時30分まで。25分間(笑)。ちゃんと前もって予約しておけば入り口のホールとかも使えるのに?

 さて、すばやい昼食後に、ある範囲内での班行動。Sも交流クラスの5名と一緒に、チェックポイントでクイズとかの企画に参加。Sはその『チェックカード持つ係』というのになっていて、朝から首にカードを下げていた。(よくここまでやぶらなかった)

 しかし、雨で濡れてびりびりになり始めると、もう我慢できずに一部をはがし始めたので、代わりに父が首から下げて歩いた。

 地図係のY君がびしょびしょの地図を出しながら、何度も「もういやだ」と捨てようとするのを押しとどめる。

 地図の見方があまりわかっていない班長のT君は、「よし、こっちだ」と逆方向に行く…。この雨の中、まちがっていることに気がつきながらもそっと見守り一緒に遠回りをしていくのはつらいものがあった…。

 途中、10分くらい歩いてから他3名の女子が気がつき、「逆だよ」と言い出す。 またもどって行くと1番のチェックポイントにはまた20分かかる。

 「順番どおりでなくていいのなら、意外と2番のチャックポイントの方が近かったりして…」と大きな独り言をつぶやくと、聡明なMさんが聞き取っていてくれて、「ねえねえ、2番の方に先に行こうよ」…助かった。

 つらい行軍だったが、Sも泣かずに歩いたし、Mちゃんのレインコートの手触りが気に入って、時々つついてはニコニコしていたので、一応交流できてよかった。

 さて、ここで本当は昼食だったのだが、もう食べているのでそのまま後半。一度集合してから今度は学年みんなでもっと長い距離をぐるりとまわる。すべては無理なので、「コアラコース」と「昆虫コース」に分かれていく。Sもふくめて特学の3名はなぜか「コアラコース」。そっちの方が遠いのに…。

 「もうダメだろうな」という私の予想どおり、10分歩いた後ぐずり始め、泣きながら歩いているうちに、道ばたでひっくり返りぬれまくり。それでも3回ほど起きあがってはまた進むことができたが、最後は大泣きで抱っこ状態。

 「コアラ館」に入った時には、自分が「コアラ状態」になっていた。

 ここより先に行くことはあきらめて、集団から離脱。それでも入り口付近のホールまで650mとか書いてある。

 ゲッソリしながらうちのコアラを抱えて歩くのだが、傘も差したい。大泣きして歩けないくせに、しっかりと大人用の大きな傘を支えて抱っこされているSの姿におかしくなってしまった。

 入り口のホールで、濡れたパンツ・ズボンを履き替えて、もう一度勝手に食事。少し食べて落ち着いてから、みんなと合流し、車で帰った。

 前回の雨の山登りでひどい目にあって、「雨なら欠席した方がいいかも」と言っていた妻の言葉の意味がよーくわかった一日だった。

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2006/10/27
またまた運動会 「障害児と生きる日常(30590)」 [ 最近のことの日記 ]
 養護学校小学部さんとその通学地区の特学との合同運動会があった。

 室内で行うのだが、人数も児童2~300人規模で大変なものだ。

 Sももちろん出場。とはいえ、たまの競技に嫌々行くが大半は先生に抱っこされて過ごしていたようだ。

 午前は仕事で行けなかったので、徒競走とか障害物競走は妻の撮ったビデオが頼りだ。

 日頃は集団の中ですぐに見つかるSなのだが、今日は似たようなタイプの子が多く(笑)、抱っこされているからうちの子かと思えば違うし、脱走しているのでうちの子かと思えば違うし、引き気味の画面ではなかなか本人を見つけられなかった。

 来年度はピンクの靴下とかで行こう! (昨年度もそう話した記憶があるが…)


 さて、徒競走。やる気のないSは、逃げ足は速いくせにこういうのでちゃんと走ったことがない。

 ちなみに昨年度はまあまあよく走ったのだが、2位でゴールと思いきや、飾り付きのゴールテープが恐くてUターンしてスタートラインにもどり、もう1回走った。

 今年は、「ようい、ドン」でみんなが走り出す中、悠々とゆっくりと歩く。まっすぐ歩いているから、いつか着くならまあいいか…。

 4人で走っていて、すでに速い2人はゴール。

 悠々と歩くSの横を、歩行に障がいがある子が一生懸命歩いていて、デッドヒートに。

 それぞれの学校の友達や保護者の大声援が響く。(ただし、Sの方は、「Sちゃん、走れーーー。」という怒声?)

 とうとう5m以上のリードを許し、「一生懸命がんばったとなりの彼の勝ち」という美しいゴールの瞬間が来た…。


 ところが、ゴールラインの先に、いつも抱っこしてくれる先生を見つけたSは、なんと信じられないスピードで猛ダッシュ。

 差し馬のようなものすごい追い込み。

 最後の3秒間だけ走り、タイミング悪くゴール前最後の数10cmの場所で……彼を抜いてしまった。

 Sのクラスの子の歓声もビデオに残っていたが、会場の多くの人の「アー」というため息も大きく聞こえていた。

 すごいいじわるをしているかのようで(もちろんそうでないことをみんなわかっているけど)困ったものだ。 空気の読めない男め! 親ですら素直に喜んでばかりもいられないぞ。最初から走れ(笑)。 

 ついでだが、閉会式のあいさつに出たどこかの市教委の指導主事。みんな最後までは持たず、低学年の子を中心に泣いてたりごろごろしていたり…で会場のほぼ全員が1秒でも早く終わりたいと思っているその時に……5分近くも演説をしていた。泣き叫ぶ子の人数を増やして、大会は幕を閉じた。

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2006/10/29
シュワシュワ 「障害児と生きる日常(30590)」 [ 最近のことの日記 ]
 Sは「○ツ矢サイダー」がとても好きなのだが、大量に飲んでゲップをしたり、まあ健康にいいこともまずないので、家では飲ませないようにしている。

 その代わり、外食する時に、「たまのごほうび」として炭酸系の飲み物を頼んでやると、それを飲むことで機嫌良く待つことができる。メロンソーダとか、ジンジャーエールとか、炭酸のものならだいたい好きなようだ。

 子どもの頃は私も飲んだが、今となっては、炭酸で甘い物なんて、そうは飲めない。甘すぎる。胸が苦しい。でもビールなら平気…。

 さて、Sの不思議な力は、コンビニなどで他の買い物をしていても、一瞬にしてその「○ツ矢サイダー」を棚から見つけ出すことだ。

 先日も、運動会の帰りに、水筒の中のスポーツ飲料が空になったのでそれを補充しようと車でコンビニに寄った。トイレを出た後、私がそれを取る間に、いつのまにかサイダーを持っていた。こっちが先に見つけていれば、そちらに行かせないようにしたり、体を入れたりもできるのだが、まあ「一日よくがんばった」ということでその日は買ってあげた。

 まだ仕事にもどる妻を降ろした後は、車の運転席に私。後部座席にSひとり。時々様子を見ると、自分でフタを開けては、小さいペットボトルのサイダーをごくごく飲んでいた。

 自分でドリンクホルダーに置いたりして、もう安心だな…と思っていたのだが、信号待ちで車を出した時に、後ろからシュワシュワという音が聞こえてきた。

 どうも手から落としてしまったらしい。そのシュワシュワという音は、後部座席の上にどんどん流れていくサイダーの音なのだが、チラッと後ろを見たもののこちらはまだ運転中で手を離せない。

 「S、持って、持って!」と呼びかけたが、なんだかやばいと思ったのか、耳ふさぎなんかしてぼんやりとながめている。やれやれ。

 ちょっとして車を道路脇に停めてからペットボトルを起こしたが、もうすっかり手遅れ。

 甘い香りの後部座席はそのうち腐ったような甘い香りに変わるのだろうか…。

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