「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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部屋とYシャツとわらG
ジョン・レノンのこと
今日で、ジョン・レノンが死んでから25年になる。日頃から黒っぽい服装が多いせいか誰もつっこんでくれないが、毎年この日は「喪」に服すつもりで、上から下まで真っ黒にしている。で、聴く曲もジョン・レノン。
当時、私は中学3年生だったのだが、好きな洋楽の中の一人のアーティストの死として「あらー」と思った。ところがその後のニュースの様子が普通と違った。ビートルズというすごい音楽家の一人が欠けた…という報道の仕方が多かったが、多分ポール・マッカートニーだったらまた違う感じだったに違いない。(ポール勝手に殺してごめん)
というのも、世界のあちこちで起こった集会は、音楽家としてのジョンを惜しんでいるだけではなく、思想家・宗教家・カリスマ…としての彼の存在を感じさせたのだ。世界中のあちこちで集まった人たちが「平和」を訴えて、「Imagine」とか「Power To The People」とかを歌っていた。ニュースの中でそれは不思議な光景だった。
その年が明けての2月くらいだったと思うが、私の住む街に、DJでありロック誌編集者でもある渋谷陽一氏がやってきて、ロックフィルムをいろいろと見せながらの講演会?(フィルムコンサート)をやった。その中で、ある戦場で、兵士達が武器を山のように積み重ねていた。最前線で、ジョンの死を知った人たちが、やっと平和を求める心を思い出したかのように、次々と武器を捨てたのだ。で、肩を組んで、ジョンの曲を歌っている。よく見ると相手側の兵士も混ざっちゃっている…そんな話を聞いたか見たかしたように思う。
自信はないけどイギリス対アルゼンチン?とかの戦争か、フォークランド紛争?とかだったか、いずれにしても、すごいことだな…と心に焼き付いてしまった。
が、この年にあった戦争がわからなくてこれ以上の追求は社会科関係の人としてはやばいので、今日はここまで…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジョン 2 [ 1年以上前をふりかえっての日記 ]
前回の続きだが、それまでジョン・レノンが平和活動をしても「夢見るヤツ」と笑われていたのに、彼が死んだ時にやっと世界はひとつになった…少なくともある地域での戦争が止まった…ということは衝撃だった。まさに「Imagine」に歌われたような心の革命が成功していることに驚いた。
で、それから数年後。私はバンドマンめざして上京していた。実家を出る口実として大学に通っていた。そこでは教育学部で社会科の専攻なのだが、さらにその中の哲学専攻だった。
ろくに授業に行かなかったので、最初はいい加減な気持ちで選んでいたとはいえ、卒論準備の時期になって、テーマを「ジョン・レノンの平和思想」とした。 どちらかというと古いもの(プラトンとか老子とか)が幅を効かせている研究室だったので、さすがにどうかな…というのもあって担当教官に相談した。
近代キリスト教研究(アウグスティヌスとか?)のその先生も、「私にはちょっと…」だった。そして一番若い(当時30歳くらい)現代宗教の先生が「うーん」とうなりながら卒論の担当になってくれた。
そして迎えた卒論のテーマ発表会、私の番の時に会は荒れに荒れた。一通りの説明の後に、古い教授陣から非難の応酬が始まった。最初はやんわりと「こんなテーマはやめろ」と言っていたのだが、反論する私に業を煮やしてか、最後には
「オノ・ヨーコと関係のあるジョン・レノンとか、こういうわけのわからん、価値の定まらない人間をやることは、この哲学教室では許さん! だいたい、こんなものやろうったって、誰がめんどう見るんだ? 思いつきで下準備もなくこの場で提案するんじゃない。」 と中国哲学の教授が言った。
空気がピキーンと張りつめている中、30秒後に、先の若い先生(当時助手)がすっと手を挙げた。
「私がめんどう見ます」
「おー」 他の生徒からはどよめきが起こった。私には、後光が差して見えた。
先生は続けた。「この人物の研究については哲学教室では前例がないし、みなさんが指摘するとおりはっきりしない面もあるかもしれません。ただ彼はただこの歌手が好きでこのテーマを選んだのではなくて、世界に影響力のある人物として研究しようとしているのです。この研究は、今はこうしてもめていても、10年後、すごく評価されるテーマになるはずです。私は、彼から前もって相談も受けていますし、現代宗教に通ずるテーマとして、彼の卒論の面倒を見ます。」
いやー本当にかっこよかった。ほれた。東大卒の今で言うとイケメンのお兄様である。
「じゃあ、いいや、勝手にやれば」みたいな、じいさま教授達のぶつぶつが聞こえて、OKとなった。今思えば、助手の身分で教授・助教授相手に大見得を切ってくれたこの先生に感謝感謝である。現在も大学に残って教授になっているので、出世のさまたげにならなくてよかったーと安心している。
「よし、この先生のためにもがんばるぞ」と決意はしたのだが、この先生の期待にこたえるような代物をつくるにはあまりにも障壁が大きかったのである…(もう1回は続く)。
追伸:中間発表の度に、私の所でもめるので、私の後の発表の人たちは時間が少なくなり、「あまりつっこまれない」ので、研究室の同じ代の人たちからは非常に喜ばれていた。意外な理由から発表後には毎回「ジョン、ありがとう」の声が…。
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ジョン 3 [ 1年以上前をふりかえっての日記 ]
哲学科の卒業論文として選んだ「ジョン・レノンの平和思想」は、想像以上にいろいろな労力をともなった。
歌詞はすべての楽曲について調べた。私の英語は、自慢じゃないが高校受験レベルで終わっている。大学受験の時は、「出る単」の英単語さえ覚えられず、「連想記憶術…」という絵とダジャレの英単語の本でお茶を濁した程度だ。まず、ビートルズ時代のものそしてソロになってからのもの…膨大な数だが、元もと一部しか持っていないし、人からとってもらったテープでは歌詞カードが付いていない。
しかし、このピンチを救ってくれた男がいた。音楽サークルの後輩でビートルズフリークの「ジミF川」氏である。彼は、卒論を書く話を聞くと最大限の支援を約束してくれて、たくさんのLPを順番に5枚ずつくらい持ってきてくれた。原盤を手に入れれば、歌詞の対訳がついている。おかげで辞書を引くまでもなく、ポイントとなるような部分や全体像は日本語で前もってつかむことができた。ありがとう、ジミー。
次に、ジョンのインタビューが載っている書籍を徹底的に洗った。平和の話だけではないにしろ、所々出てくることばからも、彼自身の考え方の変遷が拾えるなど有意義な情報だった。ただ、まとめていく上でとても困ったのが、所々入る「ギャグや冗談」である。
学問研究の対象…となったかぎり、ただのギャグとわかっていても、本来勝手に切り捨ててはいけないようなのである。たとえば、皮肉っぽく、「もう、平和なんて興味がないね」とひとこといえば、それを無視できなくなってしまうのだ。うーん、学問研究の対象に向かない人だったなあ…と痛感した。同じ時期の違うインタビューなど多くの事例から、やっとその一言を冗談として打ち消して切り捨てられる…といったていねいさが必要であった。
さらに、英字新聞の原典にあたるように言われ、ニューヨークタイムズ誌とかワシントン・ポスト誌のマイクロフィルムが置いてある某国立大図書館に紹介状を持っていき、一夏、毎日のようにそこの資料室から取り出したフィルムとにらめっこした。こんな時、英語がもっとわかれば「これはいらないな」という判断が速いのだが、何の記事だかわからないと、それをコピーして持ち帰り辞書を必死で引く。当たりならいいのだが、これが何でもない記事だったりすると、コピー代が高い(50円くらいしたかな)だけにショックも大きかった。
そうして調べたことを、同じ研究室の人たちに発表しながら論文の形に少しずつしていく。同じ先生についた私達3人は、至上命令としてワープロを購入するように言われた。論文といえば何枚も手書きで書き直すもの…だった当時としては画期的なことだった。ようは最後の最後まで推敲したり順番を変えたりできるということでのお薦めだったらしい。
今みたいに、コンピューターにワープロソフトが入っている物ではないので、やっと買ったワープロ、10万円くらいしたけど、液晶表示は5行くらいしか出ない(もちろん白黒)ものだった。フロッピーディスクの入るもの…という指定だったが、なるほどこのおかげで、ずいぶん楽できたと思う。またその後の仕事にも生かされて、いいタイミングでワープロをやるきっかけをもらえてよかったとも思う。
その後、何とか完成、最終発表会も無事(またもめたけど)終わり、提出した。残念ながら、当初の熱さは冷め、とにかく何とか完成させよう…程度のものになったが、自分としてはよくやったなあ(でも人にいばるほどのものはできなかったなあ)という感じである。
現在、そのフロッピーディスクが見つからない。もしあっても古いワープロ(書院)だけにコンバーターでも読めるかどうか微妙であるが、せっかくならこういう時に人に見せられればなあ…と残念に思う。
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ジョン 4 (完) [ 1年以上前をふりかえっての日記 ]
前回、フロッピーディスクが見つからないと書いた卒業論文「ジョン・レノンの平和思想」であるが、実は作品ひとつだけは手元に残っている。文字があるからそのまま読み取ろうと、かつて「OCR 文字原稿読み取り」などにチャレンジしたこともあるのだが、当時のものは印字も美しくないので、字がちゃんと読み取れなかった。日本語の部分が変わった記号に読み替えられたり、これを直すのなら打ち直した方が早い…となり失敗。
そして、じゃあ打ち直すか…というとそこまでの気合いはないので、その後は「日の目を見ず」となっている。
ところが驚くべきことがあった。昨年、ジョン・レノン・ミュージアムに初めて行った時に買った本の中に、私の卒論とほぼ同じ内容が…。
最初は気が動転して、「どうやって手に入れたんだ? それとも研究室から流れたのか?」 といぶかしんだのだが、よく考えてみれば、パクッたと思うよりも、「同じような手順を踏んで同じように考えた」のだろうという気になってきた。ジョン・レノンの研究者がわざわざ全国の大学をあたって私の卒論を探し出すとは考えられないからである。
当時のことば、「ラブ & ピース」を、私の論文の中では「ラブ = ピース」ととらえる説を展開するのだが、この本では「ラブ・ピース」とセットにしている。その持っていき方、歌詞からのアプローチ、理由付け…などが同じだったので驚いたのであった。自慢は、こちらが1988年3月にはそれを出した(卒論だけに証拠は残っている)ということだ。
嬉しいような(同じような研究が本になって)、悔しいような(自分だけの研究だったはずが)、複雑な気にさせてくれたその本は、「ジョン・レノン/ラブ・ピース&ロックンロール」 フロム・ビー編者 エイト社発行 の中の「ジョン・レノンの足跡でたどるラブ・ピース思想の形成 広田寛治」という部分である。
今、死後25年たって、ジョン・レノンの存在そのものの大きさが世間に認められていることの方が、すごいことだと思う。18年前に「価値の定まらないヤツ」とか「うさんくさいヤツ」と大学教授に言われていた人物が、学術研究上も(特に社会学とか)無視できない存在になったのだと思う。
ということは、やっつけ仕事の論文で終わらずに、大学院に残って難しいことをやりながら、ジョン・レノンの研究も続けていれば、今頃、私も大学教授とかになっていたのか???
(ないない。というよりまず破門されかかっていた研究室の院には合格しないし!)
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トリノ五輪 開会式 [ 最近のことの日記 ]
トリノ五輪の開会式(一部)を見た。聞く度に「鳥の五輪」と聞こえてハッとするのは私だけだろうか…。
そんなことはどうでもいいのだが、オノ・ヨーコさんが出てきたことに「オー」と驚いた。そうだ、今こそ、「平和を宣伝」するのだ…と力を入れて見ていると、まさに言って欲しい場面で言って欲しかったことばが…。
「夫のジョン・レノンが言っていました。『想像してごらん、すべての人々が平和な暮らしを送っていると…。』」
そしてやや低い歌声が響き始めて、イマジンが流れた。怪しいおじさんは三大テノールではなく、なんとピーター・ガブリエル!
やるなイタリア!
それにしてもオノ・ヨーコさんをスポーツの祭典で見ようとは夢にも思わなかった。
開会式で、F1が出た所で「はっはっは、無理やりだなあ」とか、マス・ゲーム(あとで知ったがボランティアがやっていたらしい。スキーヤーがジャンプする所を表現していた)を「はっはっは、下手すぎ! ○○○(国の名)が見たら笑うぞ! あれ、スケート履いてやってるからずれるのかな? 」とか、すっかりバカにしたことをお詫びいたします。
「スポーツと平和の祭典」だ…というときに、「ジョンとヨーコ」を思い出したイタリアに敬意を払います!
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2007/12/09
12月8日 「バンドマンの語り場(9755)」 [ 最近のことの日記 ]
8日はジョン・レノンの命日。あれから27年…ってそんな先の時代になっても彼の名を冠に付けたコンサートが行われるなんて思ってもいなかった。
今年(も)行かなかったけれど、忌野清四郎復活とかメンバーもすごく魅力的だった。
さて、9日は、日本時間での命日(強引)。そんな日に久しぶりにバンドで練習ができた。
音楽っていいなあ…と素直に思えた。
ただし、久しぶり過ぎて弾くのに必死(笑)。
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