たいらんど・どりーむ<2>


ばたん ばたん

私は 風に吹かれる とびら

黙って 地平の彼方を

見やる ばかりの とびら

平原は すべての音を 消してしまい

身体は 天空の深さに めまいする

私は 家を失った とびら

とびら だけの とびら

黙って 誰かを 待つ

しんちゅうの 取っ手


タイランド*2


下着を ひとつづつ取ってゆくと

はだかのあたしが 現われる


けれど どうせ

あなたに あたしは 見えない

  ***   ***

あなたの 目の前に

二本の足をつけた かなしみが 立っている


ことばの鎧を つけて

まるで 年頃の おんな みたいに


タイランド*2


葉脈標本を とても沢山

生物室で 作ったわ


森の中で くちづけ していたら

背中の風が 変なことばかり ささやく


   ***   ***


葉脈標本は あれ

結局 はっぱの 死骸だけど


ざわめく葉 沈黙の重なり合いが

もう 帰らないものを 空しく よぶ


タイランド*2


空が 見えないのなら

あなたを 見つめよう



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