「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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大陸が眠るまで。
~9~
そういえば、人に対して破壊魔法を用いるのははじめての経験だった。
『あなたはあなたの同胞に向けて神の業を行使してはならない』
カノンの律法にも記されているように、対人魔法は最大級の禁忌である。
その意識が、これまで魔法の使用をためらわせていた一因でもあったわけだが、
よくよく考えればその心配は意味がない。
(私はもはやコエリス教徒ではないのだから)
神のしもべへ向けられたいかなる法も、律も、バフォラートを御することはできない。
そしてさらに、目の前で鎌を振るう男も、どこからどうみても
「よきコエリス教徒」
ではありえなかった。
『厳寒に棲まう氷の娘よ――』
乾いた唇から漏れ出た音律は魔術士の周囲へ広がると、
妖精のように自由勝手に動く微細な粒子を束縛し、意識の赴く場所へと収斂する。
あるがままの自然に含まれるさまざまな力は、全体としてみれば途方もなく大きいが、
乱雑で広く拡散しているためにそのままでは用いることができない。
その偉大なる混沌を人為
(ノモス)
によって定義し、区画し、秩序だて、形を付与することによって、
意のままにしてやる。
無為から有為への変換、それこそが魔道の根本である。
そしてそれは、神がこの大陸を創造したやり方とまったく同じなのだ。
言葉を持ち、自然を操れる……人間が万物の霊長とされるゆえんである。
粒子は結合し、結合は連鎖し、繰り返して結晶を構築する。
心象をなぞり配置されていく結晶は、完璧な直線と、優美な比率を保つ氷柱へと急速に成長を遂げる。
想像のうちにしかない観念が実現されていく興奮に、魔術士は震えを抑えられずにいた。
『雪を欺く皓き柔肌に、かの者を抱きとめよ――』
呪文の完成、すなわち人為による自然の克服、それと同時に魔術士は、
認識の絶えにして妙なる頂へと一気に昇りつめ、そして魔術士は
高邁で無比なる境地へといたるのだ。
魔法を扱う聖職者が「法悦」と呼びならわすその瞬間、
それは肉の歓びよりもはるかに強烈で、直截的であると同時に、息苦しいような切なさをともなう。
垣間見える全なる光、しかしそれは、はるか遠く上方で冷厳とこちらを見下ろしている。
卑小な人間がどんなにもがこうと決して届きはしないことを、無限大の光の残滓は諭しているかのようだった。
それでも――
(かならず、あなたへとたどりついてみせる)
ゆっくりと自我の領域に帰ってきた魔術士を待ち受けていたものは、にわかには信じがたい、いや、
信じてはならない光景だった。
(な……)
研ぎ澄まされた透明な刃は、目の前の肉付きのあまりよくない下肢をずたずたに切り裂く
……はずだった。しかし……
肌に触れるか触れないかのうちに、確固たる形相はくずれ、質量へと還っていく。
一瞬ののちには、魔術士と死神の間には、無害な水精が不満げにうろつくのみである。
魔術士の血が、再び暴れだす。
ありえない
あってはならない
もしそんなことがあったら、私は……
『雷槌よ来たれっ!』
負から正へ誘導される電撃は、あやまたず相手の頭部をとらえ……るかに見えた。
破壊的な流れは、黒髪の一本さえ焦がさないうちに、光の欠片となって辺りへと拡散するだけ。
魔術士にとって最後の希望がついえたことを、振り下ろされる鎌が宣告していた。
斬。
魔術士の内面をささえている、脆性の材料が破断して、粉々に破砕して、
傷一つない外面から染み出して流れ出ていった。
恍惚から、憂鬱への急転。
(もう、いい。終わらせてくれ……)
意に反して、魔術士の眼は冷静に鎌の軌道を見切り、身体は巧緻をきわめた回避動作を続けている。
己の肉体の動きが、意志によらず、むしろ相手の肉体に依存しているような感覚を、
彼は受け入れざるをえない。
意識の優位を主張するには、沸騰した理性はもう役に立たなくなっていた。
これまで身を浸していた言葉の泉が枯れると、いろいろなものがはっきりと見えてくる。
肉体を鷲掴みにして、執拗に、徹底的に精神を切り刻む。
空を切り続ける鎌とは、要するに、そういうことのようだった。
名付けられたものがむなしさの底へ淪
(しず)
んでいくにつれて、
名付けられないものは次第に浮かび上がってくる。
この「儀式」が終われば……
今度は、目の前のこいつがわたしとなるのだろうか。
それが、こいつの望みなのだろうか。
(それならば……それでいい)
しかし、透徹した諦めがある一方で、それはあまりに憐れのようにも思われるのだ。
自分の似姿がかたくなに守る沈黙が、まったくの無を意味するものではないことを、
バフォラートはおぼろげに知覚しはじめていた。
しかしあくまでもそこに意味を持つ言葉はなく、あるのは感情の産声としての絶叫である。
あまりに大きすぎて、誰にも看過ごされてしまう、声。
がらんどうになった心の中で、かすかに響くそれを、感じる。
そう、私にしかきこえない、わたし自身の震動。
ああ、そうか……
聞いてほしかったのか。
それが、望みだったのか。
それなのに、私は、
言葉以外のものに耳を傾けようとしなかった。
そうだ。
『はじめに言葉ありき』
そう強弁するのは、言葉自身でしかないではないか。
言葉が逆巻く水面のすぐ下には、巨大な沈黙がうねっていて――
沈黙の悲痛な叫びをすくいとるためには、心という柄杓を空にして、奥底へと挿し込んでやらなければならなかったのだ。
ならば、今度は、ゆっくりと聞いてやろう。
そして、名付けられないわたしのために、なるべくよいかたちとなろう。
ないものが、あるためには、かたちが必要なのだ。
まっすぐと、吸い寄せられるように、苛烈な円の半径に足を踏み入れる。
すぐうしろを刃が通り過ぎていくのに構わず、得物に似合わずほっそりした身体を、
両手で抱きしめる。
とたん、引き裂けんばかりの悲しみと怒りと孤独が、
波動となって両の腕から全身に伝わってきた。
「ごめんな」
これまで顧みられることもなく、無意識の牢獄につながれ、
踏みつけられ、抑えつけられていた自分の小さなかけら。
わたしであって、私でない部分。
それは鋭く、いびつで、冷たくもあり、美しくもある。
――そう、ちょうど、鎌のような。
「戻っておいで」
腕の中で、緋に染まったかたくなな「意思」が融けていくのがわかる。
ごつごつした柄を握る手が天をさし、
大きな刃が流麗な円を描いて振り下ろされた。
鎌が、
刃が、
肉体を、
精神を裂き、
最奥まで貫いて、
そして留まる。
欠けている部分を充填するかように。
(――赤だ)
内なる赤に、わたしは落ちていく。
あたたかい赤。
やさしい赤。
うれしい赤。
赤の中にあっても、もうさみしくはない――。
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