経営は「実行」

実行

経営は「実行」 明日から結果を出すための鉄則
ラリー・ボシディ、ラム・チャラン 著



感想:
どんなに優れた戦略、計画でも、それが実行されなくては意味はない。現在、期待するような成果をあげられず、多くの失敗を繰り返している企業にとって、一番の問題はこの実行力の欠如にある。そして、実行力の欠如とは個々のスタッフの問題というより、それをマネジメントするリーダーたちの問題であるのだ。
リーダーは戦略を策定し、計画を立て、それを個々のスタッフに指示すればいいわけではない、と本書は説く。計画、戦略の策定時からそれを実行する人たちのコミットメントを得ることが重要だし、リーダー自身が実行の責任を負わなければ、どんな計画も実行されない。人事、戦略、業務の3つの主要プロセスすべておいて、実行が考慮されていなければ、組織内に実行力は生まれないのだ。本書では、組織がプロセスを実行するのに必要な要素を、社会的ハードウェアと社会的ソフトウェアという言い方で分類している。戦略の計画書や組織の構造、あるいは報酬制度などは実行を促すための基礎的な社会的ハードウェアである。だが、他のハードウェア同様、ハードだけでは機能は有効には働かない。組織においても、社会的ソフトウェアとして、ざっくばらんでモレなくダブリのない活発な議論、現実を見つめ、共有するためのコミュニケーション、計画の遂行をたえずフォローアップする会話などがなくては、組織的な実行力は働かない。リーダーの仕事はそうした社会的ソフトウェアを自ら積極的に動かすことで、実行のよき見本となることだ。それはリーダーがすべてを実行するということとは異なる。リーダーにだってわからないことはある。だが、実行をするには組織の誰かがわからなければならない。誰かわかっている人の力を使うこともリーダーの力だ。そして、それを偶然に頼るのではなく、計画的な人事によって、組織内のモレ、ダブリをなくすよう心がけなくてはならない。
「どんなに優れた戦略、計画でも、それが実行されなくては意味はない」。そんなことはわかっているとあなたは思うかもしれない。だが、実際には、あなたはおそらく「実行」について何もわかっていないのに等しいだろう。バンビ自身、この本を読み始めた頃は、読まなくてもわかっていることが書かれていると感じていた。だが、読み進めているうちに、むしろ、この本は、「わかっているつもりで大きく勘違いしている部分を指摘してくれるからこそ、読むべき価値がある本」だと思った。実行とは決して当たり前のものでもなければ、自然に行なわれるものでもない。それは体系的に設計されるべきものだし、そうでなければ機能しないものだ。そして、これだけは間違いない。組織において実行が行なわれなければ、その組織は何の成果もあげられないのだ。それはリーダーの責任でもあるし、リーダーにひきいられたすべての人の責任である。


点数:
おすすめ度   ★★★★☆
わかりやすさ  ★★★★☆
役立ち度    ★★★★☆



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