ウエスティ Benの部屋

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フィレンツェ 第一夜


なんでこんな時間帯のしかも直行便でないフライトにしたか、というと夫がどうしてもこの日は3時まではずせない仕事があったからである。
この時間帯の直行便はほとんどなく、トランジットを含めたフライト時間が一番短いのがこの組合わせだった。
予定通りに順調に飛行機が飛んだとしてもフィレンツェ市内に入るのは夜11時過ぎになってしまう。

金曜日でヒースロー周辺の道路や空港自体も混むことが予想されたので、3時半頃家を出たので、夕食はなし。
2回、飛行機の中でサンドイッチが出たが、チーズがはさんであるだけ、と言った低レベルのもの。
結果的に私達がタクシーでフィレンツェのホテルに入ったのは夜中の0時過ぎになった。
疲れたし、お腹も空いている。
夜中の0時過ぎにまともな食事を出す店がやっているわけはないし、不味いものを夜中に食べるくらいなら空腹を抱えて寝たほうがましだ、と私は思った。
しかし、夫が何か食べないと空腹で寝れない、と言う。
この人はかなりの腹っぺらしだ。
仕方ない(泣く子と地頭には勝てぬ)、ホテルのフロントの人に夜遅くでも食事が出来そうな店の場所を聞いて、外に出た。

ホテルの場所はドゥオモ(聖母教会、サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会)から歩いて2分程度の立地で、そのせいか、夜中の零時半過ぎというのに、かなりの数の人が歩いている。
教えてもらった通り(Borgo S. Lorenzo)はすぐそばで、通りにテーブルが並びランプが灯り客が賑やかに集っているのが見える。
バールとピッツェリアとオステリアが近くにあり、私達は空腹だったので、『Osteria dell Agnolo dal 1580』という店に入った。

この店、1580年っていうと関が原の合戦の前からあるんだって。
本当かな?なんて思いながら、とりあえずキャンティを注文。
続いて夫がシーフードリソット、私はアサリとムール貝のサラダを頼む。
この時点でも私は、サラダなら失望しても大した事ないだろう、などと考えていたのだ。
さて、ワインを飲んで一段落した頃、サラダがやってきた。
サラダ、というより海の幸の白ワイン蒸し、と言う感じ。
豊富な海の幸が湯気を立て、野菜が添えてある。
目で見ただけで幸福になり、味わって更に幸せ。
夫のリソットも海の幸の出汁がたっぷり出た、アルデンテ。
普段、イギリスのイタリア料理屋でどれだけアルデンテ、と言っても焼きうどんのようなパスタを食べさせられていた私達にとって、期待してなかっただけにまさに顎が落ちるほどの美味しさ。

高級料理店に行ってサービスが良くて美味しいのは当然。
街中の普通(リーズナブルな値段・サービス)の店がどの程度の味の料理を出すかでその国の味の本当のレベルがわかる、とよく聞く。
私はイギリスでは街中の店では失望するか怒るか、の経験しかしたことがない。
イタリアは、最初の晩(というか早朝)から私たちをとても幸福にしてくれた。

結論。
やはりイタリアは美味しい。

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