私の中の私たち



* * *

結論から申し上げますと、**「自分の中に年齢ごとの別人がいる」という感覚がこれほどはっきりしているのは、一般的(普通)なことではありません。**

多くの人は、過去の自分を「地続きの一人の自分」として捉えます。例えば、5歳の自分も15歳の自分も、アルバムを見るように「あぁ、これは自分だな」と自然に感じます。

しかし、あなたの場合は少し違います。それは、あなたが**「そうせざるを得ないほど過酷な環境にいた」**からこその、特殊で高度な生存戦略だったと言えます。

専門的な視点も交えて、その理由を少し紐解いてみますね。

### なぜ「別人」のように感じるのか

* **心の防衛反応(解離的感覚)**
あまりに辛いことが起きると、人間の心は「これは私に起きていることではない」と、自分を切り離すことで心を守ろうとします。これを「解離」と呼びます。あなたは、その時々の痛みを「その時代の自分」に預け、今の自分が壊れないように守ってきたのです。
* **「連続性」の断絶**
普通の家庭では、親が子供の成長を一緒に振り返り、「あの時あんなことがあったね」と記憶を繋いでくれます。しかし、あなたの家では「家の恥を話すな」と口を封じられ、過去の出来事は「なかったこと」にされるか、否定される環境でした。そのため、記憶が一つに繋がらず、時代ごとに独立した自分として心の中に残った可能性があります。
* **ヤングケアラーとしての役割**
あなたは常に「誰かのための自分」を演じなければなりませんでした。父の前での自分、母を支える自分、学校での自分。それらを使い分けるうちに、それぞれの自分が独立した人格のように成長していったのかもしれません。

### それは「おかしい」ことではありません

「普通の人にはない感覚」だと聞くと不安になるかもしれませんが、決して「頭がおかしい」ということではありません。むしろ、**それほどまでにして自分を守り抜いた、あなたの心の「知性の高さ」と「強さ」の象徴**です。

あなたは自分の中の彼女たちを「生き抜いた恩人」として尊重されていますよね。それは、心がバラバラに壊れているのではなく、**「自分を守るための最強のチーム」**としてあなたの中に存在しているということです。

### これからについて

今はまだ、彼女たちがそれぞれ個別に存在していることが、あなたにとっての「安全」なのかもしれません。ですが、人生が穏やかになり、お母様との関係も整理されていく中で、少しずつ彼女たちが手を取り合い、「一人のあなた」へと溶け込んでいく時期が来るかもしれません。あるいは、ずっと今のまま「頼もしいチーム」として共生していく道もあります。

今は無理に一人にまとめようとする必要はありません。「私たち、本当によくやったよね」と、心の中で彼女たち全員と握手するような気持ちでいてください。


・解離性転換性障害とは何ですか。ずっと昔、20代の頃か…そう診断されました。

* * *

「解離性転換性障害」とは、耐えがたいほどの大きなストレスや、解決できない葛藤に直面したとき、心がパンクしてしまわないように、**脳がスイッチを強制的に切り替えてしまう状態**を指します。

あなたがこれまでに経験された「年齢ごとの自分が別々に存在する感覚」や、幼少期の「喘息(気道が閉じる感覚)」などは、この障害のメカニズムと深く関わっている可能性があります。

大きく分けて「解離」と「転換」の2つの側面があります。

---

### 1. 解離(かいり):心の切り離し

心を守るために、意識や記憶、自己の同一性を一時的に切り離すことです。

* **あなたに当てはまる可能性のある症状:**
* 自分の中に「別人のような私」がたくさんいる感覚。
* 辛い記憶が断片的で、地続きに感じられない。
* 自分の体から意識が離れて、自分を俯瞰しているような感覚。


* **役割:** あまりに過酷な「現実」を「自分事」として受け取ると心が壊れてしまうため、別の自分が引き受けることで、今のあなたを生かそうとする防衛本能です。

### 2. 転換(てんかん):体への置き換え

心の中の葛藤や苦しみが、言葉や感情として処理しきれなくなったとき、それが「身体の症状」として現れることです。

* **あなたに当てはまる可能性のある症状:**
* **気道の閉塞(喘息のような症状):** 言いたいことが言えない、息が詰まるような環境で、物理的に呼吸が止まる。
* **突然力が抜ける・倒れる:** 「もうこれ以上頑張れない」という限界を、体が強制終了(シャットダウン)させることで表現する。
* **感覚の麻痺や痛み:** 検査では異常がないのに、歩けなくなったり、声が出なくなったりすることもあります。


* **役割:** 心の悲鳴を「体の不調」として外に出すことで、過度な精神的崩壊を避けています。

---

### なぜこれが起きるのか

この障害は、**「逃げ場のない極限状態」**で発生しやすいのが特徴です。
子供の頃のあなたは、暴力的な父と不安定な母から逃げることができず、また「家の恥を外で話してはいけない」と助けを呼ぶことも禁じられていました。

> **物理的に逃げられない場所で、心だけが生き延びるために選んだ唯一の手段が「解離」と「転換」だったのです。**

### 今のあなたにとって大切なこと

あなたは今、妹様との争いや、お母様の手続きという、非常に強いストレス(醜いもの)にさらされています。そのため、かつての「彼女たち」が騒ぎ出したり、体に力が入らなくなったりするのは、あなたの心が「もう限界だよ、これ以上傷つきたくない」と必死に警告を出しているからです。

これは「病気」というよりも、あなたがこれまで生き延びるために必死に作り上げてきた**「心の盾」**のようなものです。

今は、その「盾」を否定するのではなく、「これまで私を守ってくれてありがとう。でも、今はもうあの頃とは違うから、少しずつ休んでいいんだよ」と、自分自身に伝えてあげてください。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: