Cat Tail

Cat Tail

SS-Eye drops

Eye drops

 珍しく仕事が早めに終わり、零の出撃予定も数日後だったので、少佐はここぞとばかりに彼を誘い飲みに出た。久しぶりだったので少々すごしてしまったが、それでも飲み足りなくて飲み直すために少佐の官舎へと向かった。
 途中、買出しをするために立ち寄ったスーパーから先に出た零は、店先の土砂がたまっている場所にスピードを出して走って来た車が舞い上げた砂埃をまともに正面から被ってしまった。
 後から店を出た少佐は真っ白になって無言で立ち尽くしている零を引きずるように官舎へと連れて行き、問答無用でその着衣を剥ぎ取り浴室に放り込んだ。
 シャワーを浴びてすっきりしたのだが、まだ目を赤くした零に少佐が念のために目薬を点すように渡した。
 しかし、彼は目薬を点すのが苦手のようだ。自分で点すと目薬が落ちてくる前に目を閉じてしまう。
「変なヤツだな。いつも高速で飛んで、索敵で目をあけっ放しでも平気なのに、なんで目薬が落ちてくる間くらい開けていられないんだ?」
「そんなことしるか」
 ソファで少佐の膝を枕にして目薬を点してもらう態勢でも彼の態度は変わらない。

  まったくこいつは。

 そう思っても、どんなときでも誰が相手でも変わらない彼の態度を好ましく思っているので思わず笑みが零れる。
「さっさと済ませろ」
 赤い目をして少佐を見上げ、顔をしかめた彼は嫌なことは早く済ませてしまいたいらしく先を促す。
「せっかくだから俺の膝を堪能したらどうだ?」
 彼の顔を覗き込みながらからかうと、顔をわずかに赤くして口をパクパクさせていたかと思うと、まだ赤い瞳で睨みつけ、その右手がパンチを繰り出した。
 本気でないそれを空いた手で受け止める。
「冗談はここまでだ。さぁ坊や、おとなしくしてくれるかな?」
 笑いながら彼の頭をかるく抑えると、むくれた顔をしながらもおとなしく少佐の手に委ねた。
 少佐はぎゅっと目をつぶり左手は少佐の服を握っている零がかわいくてキスをしたいのをこらえた。目はパイロットの命である上に、少佐の愛する美しい黒曜石の瞳をこれ以上傷めたくなかったので、片手で目を開けさせるとすばやく目薬を点す。
「あと数回点すからな」
 その言葉にあからさまにいやそうな顔をして身体を起こした彼を抱き寄せると耳元に囁いた。
「だから、泊まっていけよ」
 少佐の腕から逃れようともがいていた身体の動きがピタリと止まった。
「ジャック…」
「嫌か?」
 大人しくなった身体をそっと抱きしめると吐息がもれた。
 それが彼のYESだと知っているのは少佐だけだ。
「明日の朝食は何にしようか?」
「食わせてもらえるのか?」
「食わせてやらなかったことがあったか?」
 顔を見合わせて笑い合う。
「何でもいいよ、あんたの作る飯はなんでも旨いからな」
 おやおやという顔で腕の中の零を見やると、わずかに微笑んだ零の頬にキスを落とした。
「せいぜい腕を振るうさ」
「期待してるよ、ジャック」
 微笑みながら思った以上に近くにある青い瞳を見つめ、目薬のことは忘れてくれればいいと思いながら、零はまだ赤いであろう瞳に気付かれる前にまぶたを閉じた。



コメント
 土砂についてはありえないかなぁとも思ったのですが、趣味で園芸をする人もいるかなぁ、と思ったので少々の土砂はあるだろうと。地下だけど吹き溜まりみたいなところはあるんじゃないかと思ったので、かってに設定してしまいました(^-^)
 目薬を点すのが苦手な零と膝枕を書いてみたかったので、無理やり設定です(^-^)
 またまた芸のないタイトルで申し訳ないですm(_)m


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: