音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年08月07日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ
スイング感覚抜群のワン・ホーンを楽しむ


 ズート・シムズはリーダーとしてメンバーをぐいぐい引っ張って革新的な新たな何かを創造するというよりも、安定した演奏で安心できる名演をたくさん残したサックス奏者。そんなイメージが筆者には強い。そして、ベツレヘムに録音した『ダウン・ホーム』は、そのようなズート像を代表する一枚である。

 全編にわたって、スイング感に満ち溢れている。悪く言えば単調ということになるのかもしれないけれど、一つのカラーでアルバム全体が統一されているのは悪くない。その一つのカラーとは、モダン以前に遡るスイング時代のジャズの楽しさである。1925年に生まれ、15歳からプロとして活動したズートの経歴(実際、本格的活動の開始はベニー・グッドマン楽団だったらしい)を考えれば、スイング時代ジャズののエッセンスも初期の活動の中で培われたものなのかもしれない。ともあれ、ビッグ・バンドのスイング演奏を聴いている時と同じ楽しさが、ビッグ・バンドではない4人編成のこのワン・ホーンのアルバムからは感じ取れる。

 そんなスインギーな雰囲気の中、このアルバムの8曲40分余りはあっという間に過ぎていく。実際に演奏している曲も、1939年カウント・ベイシーの1.「ジャイヴ・アット・ファイヴ」、1902年(!)の5.「ビル・ベイリー」、1921年の7.「ゼアル・ビー・サム・チェンジズ」といった具合に古典的というか、古めかしいナンバーが多い。ドラムが単調だという批判もある。けれども、このアルバムの「古めかしく」「単純スイング」な雰囲気作りは意図的なものなのだと思う。そう言われれば、ピアノの演奏も見事にスイング感を盛り上げている。

 要するに、それこそが本盤でのズートの意図だったのだろう。アルバム全体を通して見た時のスイングするノリの継続、そしてその中で冴えるズートのアドリブ。このイメージで一気に吹き込んだという印象。聴く側もそう思い込んで聴けば、難しいことを考えずに、気楽に聴けてなおかつ楽しい。

 ズートがいま述べたような意図をもってこのアルバムを作ったのだとすれば、ひたすら楽しく聴くリスナーは見事にその術中にはまったということになるだろう。けれど、本当にそうなのだとすれば、すすんでその術中にはまるのも悪くない。



[収録曲]
1. Jive At Five  ←おすすめ!
2. Doggin' Around

4. I Cried For You
5. Bill Bailey  ←おすすめ!
6. Goodnight, Sweetheart ←おすすめ!
7. There'll Be Some Changes Made
8. I've Heard That Blues Before ←おすすめ!

録音:1960年7月

Zoot Sims (ts), Dave McKenna (p), George Tucker (b), Dannie Richmond (ds)






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Last updated  2020年01月26日 04時53分49秒
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