音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2016年10月09日
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中島みゆき、80年代後半のスペシャル・ライヴ盤


 中島みゆきの1987年リリースのライヴ盤『歌暦』(うたごよみ)は、前年末の12月18~21日に両国国技館で行なわれたスペシャル・ライヴ「歌暦Page86 ―恋歌―」を収録したもの。映像版(ビデオ、DVD)はなく、CDのみで発売された。

 中島みゆきの一般的なイメージと言えば、初期のフォーク・シンガー(弾き語り)的なものと、それから後のバラード・シンガー(歌姫)的イメージが多数派を占めるのではないだろうか。けれども、このライヴ盤では80年代のややロック的な曲調に傾いていた時期の演奏も含まれていて、後々のストーリー的ライヴ・パフォーマンスの芽生えと、普通のライヴっぽさとがうまく混じり合っているというのが全体的な印象である。

 これら2つの特徴のうち、最初の方に属する例をいくつか挙げると、まずは冒頭の1.「片想’86」。他に歌をじっくり聴かせる的なものとしてお気に入りなのは、5.「鳥になって」、6.「クリスマスソングを歌うように」、10.「この世に二人だけ」といったところ。他方、80年代の中島みゆきに特徴的だったロック調(「ご乱心」などと言われることもある時代に含まれる)の傾向のナンバーとしては、有名なヒット曲の3.「悪女」、9.「F.O.」、12.「見返り美人」、13.「やまねこ」が個人的にはお気に入り。特に「悪女」は以前のアルバム・シングルいずれとも違ったアレンジでこの時期の中島みゆきの傾向をよく表しているようにも思える。

 余談ながら、筆者が生まれてから最初に所有したCDは実は中島みゆきの本アルバムであった。別に他のアーティストを差し置いてとかいうわけは特にないのだけれど、CD再生機器を生まれて初めて買った時(つまりは初めてCDを聴けるようになった時)、おまけで店頭のCDがついてくるという特典があって、その時たまたま選んだのがこのアルバムだった。当時はレコードかカセットテープが音楽を聴く主な再生手段だったわけだけれど、最初のCDと言うだけで何だか嬉しくなり、繰り返し聴いた。だからということでもないのだけれど、なかなかよくできたライヴ盤で、後のストーリー・ショウ的な中島みゆきのライヴのスタイルの原型とも言うべきドキュメントでもある。

 ちなみに、この盤はドルビーサラウンドのエンコーディングがなされていて、当時の盤には、CD型のよくわからん円盤状に折り畳まれた紙に、詳細な技術解説があった(この紙ののために1枚ものなのになぜか2枚組用の箱に入っていた)。確かに、筆者も一時期ドルビーサウンドで聴いて楽しんだが、今から思えば、80年代当時はこうした音楽の音源の革新期まっただ中で、こういう付加価値も売りになったというのもなんとも懐かしい話でもある。



[収録曲]

1. 片想'86
2. 狼になりたい

4. HALF
5. 鳥になって
6. クリスマスソングを唄うように
7. 阿呆鳥
8. 最悪
9. F.O.
10. この世に二人だけ
11. 縁
12. 見返り美人
13. やまねこ
14. 波の上







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Last updated  2016年10月09日 07時03分05秒
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