BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

おもちゃキング


おもちゃキング [act.1]


【テレビ番組】

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「我々悪のミュータント”アクロストリーム”は、自らにそなわっている超能力でこの人間の世界を破壊しつくすのだ!フフフ……、」

「そんな事はさせない!お前たちの陰謀はすでに暴かれている!」

「なんだと?その声は誰だ?!」



「私達は”プレリュードファイター”!正義の使者だ!」



そして、プレリュードファイターの5人が現れた!



「アクロストリーム、今日こそ逃がさんぞ!」






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『プレリュードファイター』はテレビで放映され、子供達に人気のヒーロー番組だった。







【テレビCM】

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皆の憧れ『プレリュードファイター』!その食玩が新発売だ!

カラーバリエーションは4種だ!

『シルバー』『ゴールド』『メタリックレッド』『メタリックグリーン』。


そして…………、シークレットの『メタリックブルー』だ!!


さあ、みんなで集めよう!




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マサル「かっくいーーーーーーー!!!」

マサル君はヒーロー物のテレビ番組『プレリュードファイター』を観て興奮していた。





マサル「母さん、おこずかい!」

母「何に使うの?」

マサル「お菓子を買う!」









 マサル君は小学4年生。



マサル君は走った。
母さんからもらった420円を握り締めて!
そう、彼は本日発売の『プレリュードファイター』の食玩を買う為だ。





そして……、大型スーパーの1階にある食玩売り場に向かった。

「あった!」

プレリュードファイターの箱は12箱ワンセットで商品棚に置かれていた。
真新しいそのパッケージ表面には『プレリュードファイター』とかっこいい文字でロゴが打たれていた。


マサル「まずは……、”シークレット”狙いだ!
箱の一番奥から取ればいいんだ……。だぶん一番取りにくい所に”それは”あるハズだから。」

マサル君は商品棚と商品棚の間の狭いスペースに手を突っ込み、奥の方から一箱抜き出した。 

それを遠くにいた高校生ぐらいの女性店員が見つけた。

マサル「いけね!見つかった。」

「こらあ!そんな無茶して取ると、棚が取れたり箱が潰れたりするでしょ!!」





マサル君は逃げた!

でも、その苦労の甲斐あって1箱はゲット出来た。
そしてその箱を持ってレジへと向かう。





『プレリュードファイター』食玩

税込み定価420円。ラムネ菓子。
”おまけ”として豪華な可動フィギュアが付いている。




あっ、しかし…、
本当の所は”おまけ”としてラムネ菓子が付いていると言った方が正しい。
しかし商品が置かれている場所は「玩具コーナー」ではない。あくまで「食品コーナー」なのだ。
故に『おもちゃがおまけに付いている』という事になっているのである。





 この食玩は”ブラインド形式”で販売されていた。
ブラインド形式、つまり”箱を開けないと中身が何かわからない”パッケージになっていた。

マサル君は店内でそのプレリュードファイターの箱を開けたい衝動に駆られた。
しかしそれをしようとして、この間店の男性店員に注意されたばかりである。
それで、しかたなくそのまま店を出た。



ここまで我慢すると、後は家に着くまで開けずに我慢できそうである。
マサル君は自分のチャリンコに飛び乗った。


「プレリュードカー、ゴー!」


テレビのアクションシーンの真似をして自転車を走らせた。







おもちゃキング [act.2]


 そのまま、自宅がある住宅地内の公園に向かった。

そこにはいつもの友だち達がいた。皆同じ学校の同級生だ。



最近少し太り気味の”トオル君”。
彼もおもちゃが大好きだ。


同じクラスの”あゆみちゃん”。
女だてらにヒーロー物のおもちゃまで集めるミニチュア好きな女の子。


”ハカセ君”。
彼は銀縁のメガネを愛用し、その姿はまるで何かの博士のようだった。
それでこのあだ名が付いた。
彼はおもちゃついて詳しい。マサル君とはその意味で良きライバル。





そして……、

”レミちゃん。”

「(レミちゃんが自分達のグループにいるのは”もうけもの”だ。)」と、マサル君はいつも思っていた。
なぜならレミちゃんはテレビに出てきそうなぐらいの美少女だったからだ。
彼女は背も高く、子供ながらにスタイルも良かった。全体に健康的な感じだ。
マッシュルームヘアーみたいなスタイルが似合ってて、超絶なまでの美少女だった。
彼女のような顔立ちを持つ女の子は、そんじょそこらにはいない。

また成績も優秀で、頭はかなり良いらしい。
それに…、噂では良い所のお嬢様でもあるらしい。

そんな平凡で無いような彼女だが……、いつもマサル君達の輪の中に加わっていた。
レミちゃんがあゆみちゃんと友達同士という事もあったが……、一番の理由は家が”近所”だったからだ。

レミ 「……………………。」

だがレミちゃんはメッタに喋らない。









 マサル君は、箱の中から真新しいフィギュアを引き出した。
近頃のフィギュアは本当によく出来ている。これが”おまけ”とはとうてい思えない。





マサル「これ見ろよ!」




マサル君は本日の戦利品を高々と掲げた。

トオル「あーーーーーーーーーーー!!!
それ”プレリュードファイター”のフィギュアじゃん!新製品の!テレビでCM見たよ!」

あゆみ「わあ!いいなあ!」

ハカセ「”全身34箇所間接可動のフィギュア。武器(ウェポン)も握れる。”

もう出たのですね。さすがマサル君!入手が早い。」

ハカセ君は子供の口調ではない……、いつもw









 マサル君はその日”ヒーロー”だった。
正確に言うとプレリュードファイターが”ヒーロー”、つまり人気を集めていたが、このおもちゃを持っている事でその日1日マサル君も人気者になれたのだ。
おもちゃ好きなマサル君にとっては一番楽しい時間である。

もうしばらくすると……、他の子供達もおそらく同じ物を買い始めるのだが……、でもまあ、それはそれでいい。
おもちゃとは、いつもそういうものなのだ。







 一週間後…。

皆はマサル君の家に集まっていた。

マサル「見ろよ!これ!」

マサル君は自分の自慢のコレクションを皆に見せた。
それはもちろん買い集めた『プレリュードファイター』のフィギュアだ。

トオル「『シルバー』『ゴールド』『メタリックレッド』『メタリックグリーン』
がそろっている!!」

マサル「これで基本4色のカラーバリエーションは全部コンプリートした!」

あゆみ「私も集め始めたんだけど……、なかなか集まらないのよね。同じ色ばかり集まって。
基本色は簡単に集まると思っていたのに………。」

ハカセ君「それはおもちゃ会社の策略ですね。
『シルバー』『ゴールド』のカラーが異様多い。
1ダース入りのBOXセットの中に『メタリックレッド』は2体、
『メタリックグリーン』は1体しか入っていない。
後は全部『シルバー』『ゴールド』。
それで子供の購買意欲をあおるのですよ」

やはりハカセ君は小学生の口調ではない。

ハカセ君「でも、さすがによく集めましたね、マサル君。
しかし……、シークレットの『メタリックブルー』がまだのようですが?」

マサル「その内引き当てるさ!!」

ハカセ「うちの学校内でも、『メタリックブルー』を引き当てたと言う話はまだどこからも聞きませんね……。
あれを引き当てるのはそうとう難しいようです」

マサル「見てろよ。オレはクジ運が強いんだ。一番最初にゲットしてみせる!!」

ハカセ「そう願いたいものですね。」






おもちゃキング [act.3]


 しかし……、
その後、何度挑戦してもマサル君は『メタリックブルー』を引き当てられなかった。
そのため「ダブり」と言われる”まったく同じ物”が増えていった。
その数はすでに20体を越えていた…。



マサル君はこのおもちゃに付いていた”そんなに美味しくないラムネ菓子”を食べながら、

「はあ~~~~。」とため息を付いた。

「おもちゃ会社の策略に踊らされているなあ。もう買うの止めようかな~~~~」









【テレビCM】

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皆の憧れ『プレリュードファイター』!その食玩に新シリーズ登場だ!

『プレリュードファイター』の宿敵『アクロストリーム』のフィギュア化だ!!



カラーは4種だ!

『イエロー』『レッド』『グリーン』『ブラック』


そして、シークレットは『メタリックパープル』だ!

さあ、みんなで集めよう!




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それはヒーローよりかっこよさでは少し劣るものの……、ヒーロー同様のマッチョなプロポーションが魅力だった。
いや、そのダークさはむしろヒーローよりも大人っぽい印象さえした。

マサル「かっくい~~~~~~~~~!!」

またマサル君のコレクション魂に火が点いた。







マサル「母さん!!!おこずかい!」

母「何に使うの?」

マサル「お菓子!」

マサル君の母はしぶしぶ彼にお金を渡した。

母「あんた最近”お菓子を買う”ってばかり言ってるけど…………、いったい何を……?」

しかし、すでにそこにはマサル君の姿は無かった。







 それからというもの…、マサル君は苦労して何箱も『アクロストリーム』を手に入れた。
そして基本カラーの4種が揃った。

マサル「ぐふふふふ。壮観だな」

それを持って公園に見せびらかしに行った。

そこはいつものメンバーがいた。

ハカセ君、あゆみちゃん、トオル君、

そして………、レミちゃん。

レミちゃんは今日も綺麗だった。彼女の周りにだけ、別の世界が広がっているような感じさえした。

マサル「(プレリュードファイターにもかわいいヒロインの女の子が出てくるけど……、レミちゃんのかわいさと比べると、そんなの目じゃないな。)」

レミ 「……………………。」

でも、相変わらすレミちゃんは喋らない。






トオル「うわーーーー、いいなあ!『アクロストリーム』のノーマルコンプリートじゃん!」

あゆみ「いいなあ!」

皆、目を輝かせている。
マサル君はいい気分だった。
そこへ近所の子供達も寄って来た。

『アクロストリーム』基本4種のコンプリートは自慢出来た。
皆、同じ『プレリュードファイターシリーズ』のおもちゃを持っていたが……、基本カラーの4種を揃えていたのマサル君だけだった。

マサル「(オレが一番なんだよな……。)」

「うわあ!すごいや!適役でもかっこいいね!」

「よくそろえたなあ」

「すっげえ!」

「おれも欲しいよーーーー!!」

マサル「くわはははは!これでオレが”おもちゃキング”だな!」

トオル「”おもちゃキング”?何じゃそりゃ?!」

マサル「まあ、見てな!これからもオレはおもちゃをコンプリートしまくるから!そして、オレは常にコレクターとしての王座を他の者に譲らない。
これからはオレの事を”おもちゃキング”と呼んでくれ!」



ハカセ君「やはり今回も『グリーン』『ブラック』の混入数が少なかったようですね。
この分だと………、アクロストリームのシークレットを引き当てるのは非常に難しいと思います。
さる筋の情報によりますと………、4カートンに1個、つまり192箱に1個の割合でしかシークレットは入っていないそうです。」

マサル「くっ!」

あゆみ「へ~~~~」

レミ 「……………………。」








おもちゃキング [act.4]



 数日後今度は…、





【テレビCM】

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食玩『プレリュードファイター』シリーズに朗報!

製品の箱に付いているマーク10枚を一口として送ると、”プラスチック製の専用アタッシュケース”が抽選で当る!

これは開くと”秘密基地”になる!!!

名付けて『パワージェネレーターベース』!

君達のプレリュードファイターの為に手に入れろ!!





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マサル君は今までに買った食玩の箱から、セッセと例の応募マークを切り取って集めた。
『プレリュードファイター』と『アクロストリーム』を合わせると既に40枚はあった。
そしてそれを4口分として懸賞に送った。






 ……しかし、賞品は送られて来ない。どうやらハズれたようだ。
しょんぼりして、公園に行ってグチをたれるマサル君。
相手はそこにいたトオル君とあゆみちゃん。



 そこへハカセ君とレミちゃんが連れ添って現れる。
レミちゃんが来たので、マサル君はグチを止める。

レミ 「……………………。」





ハカセ「くくく……、マサル君、なかなか『パワージェネレーターベース』が手に入らないようですね?」

マサル「フン!よけいなお世話だ!」

マサル君はスネる。

マサル「あんなのおもちゃ会社のデマに決まってるよ。
”当る”なんて言っておきながら…、本当は賞品は用意されて無いんだ!」

ハカセ「あはは………、『プーマ社』(プレリュードファイターシリーズの販売元)をそんな悪く言っちゃいけないなあ。

実は、僕も『プレリュードファイター』シリーズは集めているんです。
僕のコレクションをお見せしましょうか?」

マサル「ほう、初耳だな!君も本格的に集めていたとは……」

あゆみ「うん!見せて、見せて!」







 そこで皆でハカセ君の家に行く事になった。

そこに着くと……、
ものすごく大きな家だった。ハカセ君の家はかなりのお金持ちと言うか……。


そして、中に入れてもらうと……。

ハカセ「えーーーーと、君達。まず、手を洗ってくれるかな?」

あゆみ「え?」

皆は驚いたが、ハカセ君に洗面所まで連れて行かれたのでそこで手を洗った。
そして、今度はこう言われた。

ハカセ「皆、手の平を見せて。」

ハカセ君は念入りに皆の手の平を見て回った。

ハカセ「トオル君はまだ汚れてる。洗い直し!」

トオル「えーーー!これ、油性インクなんだよ。おちないんだ!このままでいいジャン!」

ハカセ「工業用のハンドクリーナーがある。コンパウンドが入ってるヤツだ。それで洗って……」

トオル「あう…………。」

ハカセ「僕の大切なコレクションに”汚れ”でも付いたら大変だからね。」

トオル「……………………。」








 そしてハカセ君の部屋に通された。そこは教科書や参考書が綺麗に並べられている広い部屋だった。きっちり物が整頓され、ゴミ1つ転がっていない。
ハカセ君らしい部屋だ。

しかし………、肝心の物が置いていなかった。

マサル「『プレリュードファイター』なんてどこにも置いてないじゃないか?」

ハカセ君はクローゼットの扉の取っ手に手をかけながらこう言った。

ハカセ君「君達知らないの?プラスチックやソフビで出来たおもちゃは蛍光灯の光や日光に弱いんだ。
年月が経過すると退色や変色を起こす。」

マサル「……………………。」

あゆみ「へーーーーー、よく知ってるわね!」

ハカセ君はクローゼットの扉を開けた。


あゆみ「うわーーーーーーーーーーー!!」

トオル「うわーーーーーーーーーーー!!」


そこには『プレリュードファイターシリーズ』が並べて置かれていた。
いや、”並べてある”というより、綺麗にディスプレイされていた。


そこにあるカラーは4種。

『シルバー』『ゴールド』『メタリックレッド』『メタリックグリーン』……。

さらに敵の『アクロストリーム』4種飾られてあった。

『イエロー』『レッド』『グリーン』『ブラック』……。




マサル「ここにもノーマルコンプリートが!!!」

そのクローゼットの奥には星空を描いた紙が貼られ、良い雰囲気をかもし出していた。

あゆみ「うわーーーーー!!綺麗!」

トオル「かっくいーーーーー!!!ジオラマみたいだ!」

マサル「……………………。」








おもちゃキング [act.5]


 しかもそこは秘密基地アタッシュケースが2個も置かれていたのだ。
それはプレリュードファイターが置かれている左右の隅に、内側を開いてキチンと配置されていた。

マサル「こっ、これは?キャンペーンのプレゼント品の『パワージェネレーターベース』が2個も!!」

あけみ「これは製品に付いているマークを10枚一口として応募しなくてはならないんでしょ!それで当てたの?」

ハカセ君は銀縁のメガネをクイッと上げながら、

「まあね」と言った。

マサル「よく当ったね」

ハカセ君「なに、投資額はかなりに上ったが……。」

ハカセ君はクローゼットの下の方にある引き出しを開けた。
するとそこにはプレリュードファイターのパッケージがいくつも入っていた。

トオル「スゲえや!!!!一体いくつあるんだ?」

ハカセ君は次にクローゼットとは別の所にある押入れのような引き戸を開けた。そこにはダンボール箱がいくつも入っていた。

マサル「まっ、まさか、これも……………!!」

トオル「プレリュードファイターかい?!!」

ハカセ君「そうだよ。全部で190体程度かな?」

マサル「えーーーーーーーーーーーーー!!」

トオル「すげえや!!!!プレリュードファイターシリーズが190体も……。どうやって手に入れたの?」

ハカセ君「ああ、応募の為にパパに買ってもらったんだ。」

マサル「”買ってもらった”?」

ハカセ君「ああ、うちのパパは何をするにも中途半端が嫌いなタイプの人間でね。やるからにはやれと……。

パパに話したんだよ。僕がこのシリーズのコンプリートを目指していると……。
そしたら”投資”してくれたんだ。」

トオル「”投資”って、なんだ?」

あゆみ「この場合、意味が少し違うような気がするけど…………。」

ハカセ君「まあ、それで19口応募したんだ。とりあえずね。」

あゆみ「19口も……!!信じられない!だから2個も当ったのね!」

マサル「おい、待てよ。”とりあえず”ってどういう意味……?」

ハカセ君「ああ、パパの知り合いの人にも頼んでおいてもらったんだよ、”マーク集め”を。大人でも食玩を集めてる人は多いからね。その人達からマークだけもらったんだよ。
それで4口分になった。」

トオル「すげーーーーーーー!!」

マサル「もう、子供のする事じゃないね……。」

マサル君は負け惜しみを言った。
すると……、

ハカセ君はまたメガネの縁をクイッと上げながら、

ハカセ君「”おもちゃコレクター”なら当然の事だよ。
集めるにはこれぐらいの努力はしなくちゃ。

そう、いつかマサル君が言っていた”おもちゃキングなら当然”と言うべきか……。」

ハカセ君は、これからはさも自分が”おもちゃキング”であるかのような口ぶりで喋った。
マサル君は自分のおカブを持って行かれそうなので気落ちした。

マサル「(くーーー!ハカセ君のヤツ~~~~!オレに挑戦しやがってーーーーー!!

いいだろう!
オレもやるぜ!明日から心を入れ替えて、さらにプレリュードファイターを買い足してやる!
そして君より先にシークレットを…………。)」

その時…、マサル君はハカセ君のコレクションの中に”シークレット”が存在して無い事に気が付いた。

マサル「でも、シークレットは手に入れたの?」

ハカセ君「いや、実は手に入っていない。
あれこそ『プーマ社』のデマだよ。商品を買わせる為の口実なんだ。

『プレリュードファイター』の『メタリックブルー』
『アクロストリーム』の『メタリックパープル』

それはものすごく少数しか存在しないカラーなんだ。
普通のブラインド形式のおもちゃ販売や食玩とは比べ物にならない混入数なんだ………。」

あゆみ「え?」

マサル「そっ、そんな……??」

レミ 「……………………。」

ハカセは月刊おもちゃ雑誌『トイマスター』を出してきた。

ハカセ君「以前にも、混入数が少ないという情報は流れていたが…、
今度はもっと確定的な情報だ。

これを見てくれたまえ!
『トイマスター』の編集部でも『プレリュードファイターシリーズ』をまとめ買いした特集記事が載っているんだが……、結局、編集部の誰もシークレットは当てられなかった。
購入した総数は実に500個!

……真相はどうも『プーマ社』から『プレリュードファイターシリーズ』の製造を頼まれたおもちゃ工場が生産数を間違えたらしいんだ。
それで”シークレット”の混入数は極めて少ない物となった。
普通の食玩のシークレットのように、”1カートン(ダンボール1箱等)に1つ程度は必ず入っている”というものではないんだよ」

ハカセ君はそれを裏付ける記事を見せた。



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『シークレットは40カートン(1カートン=12箱×4)に1個しか入っていません。
1920個に1個の割合です。


生産時に混入数を間違えた為、シークレットは大変貴重になっています。

なお、ブーマ社では追加生産は行わない方針です。』




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マサル「……………………。」

マサル君は節句した。

マサル「オレたちはこんなに数が少ないシークレットを引き当てる事に踊らされていたのか…………。」







おもちゃキング [act.6]


ハカセ「ところで……、
さらに”すごい”事に、この工場で”色を着けを間違えた固体”も存在するらしい。」

マサル「え?」

ハカセ「つまり……、


『プレリュードファイター』の『メタリックパープル』

『アクロストリーム』の『メタリックブルー』


のバージョンが存在するらしい。」




マサル「えーーーーーーーーーーーーーーーーー?!!」



ハカセ「本当にワンロットだけそうなったらしい。
最初のワンロットだけだ。
すぐに間違いに気が付いて、それ以降は作られなかったらしい。

各ロットに1体ずつ、そのいわゆるミスプリント的なその幻のカラーが存在する。

おそらく……。全国でも

『プレリュードファイター』1体、
『アクロストリーム』1体

のみだ。」



マサル「えーーーーーーーーーーーーーーーーー?!!」



レミ 「……………………。」

ハカセ「見たまえ。今月号に載っている
”工場からプーマ社に送ったサンプル品”の写真。
それを見ると確かに、

『プレリュードファイター』の『メタリックパープル』

『アクロストリーム』の『メタリックブルー』

は存在している。

このサンプル品はまだプーマ社が所有しているが………、
そのミスプリントの物は各1体づつが製品版に紛れたと言う話だ。」


トオル「ふーーーーーーーーーー。」


マサル「でも本当にそれは一般に流れたのかな?
全部本当の話なのだろか?
なんだか話が出来すぎているような気がする…………。」

ハカセ「さすがマサル君!
僕もそう思った!
話が少し嘘くさいんだよね。
僕もこれはいわゆる”作り話”だと考えている。

『ワンロットまるまるミスプリント』してしまったのならわかるけど……。なんでワンロットの中の1体だけがミスプリントなのか?
工場のライン生産の事を考えると………、」

トオル「そういえばそうだ!確かにおかしいや!その話は!」

マサル「するとこれは………。」

あゆみ「雑誌社が誇張して書いているんじゃないかしら?」

ハカセ「でも……、
実を言うと……、まったくありえない無い話でもないんだけどね。
フィギュアの製造過程では、最初の一体だけは金型に樹脂が上手く流れるかテストするものだろ?
そして今回そのテストショットはうまくいった。
最初のサンプル品と同じく”間違った配色”の樹脂を流して、その地のカラーに合わせて間違った色のメッキがされた……。

樹脂が上手く回った嬉しさから、担当者はそのミスに気が付かなかった。
でも、工場ではテストを行う者と実作業をする者は違うから、2体目からは”作業員”が正しいカラーに修正した……。

そして”箱詰め作業員”も最初の1体目を”正規のシークレットカラー”と勘違いした。何せ本当に最初の1体目だったから。まだ作業に慣れていかったんだろう。それで見落とした。
だから製品に混入したんだよ。」

レミ 「……………………。」

マサル「それなら理にかなってる」

マサル君は超レアアイテム存在の可能性に思わず熱くなった。

マサル「そんなレアアイテムがあるなら、ぜひとも手に入れたいな!」

あゆみ「ほら、ここ見て!

”その幻のシークレットカラーをゲットした方は『トイマスター編集部』までご一報を!”

って書いてあるわよ!」

ハカセ「確かに雑誌社がそう書けば真実味は増す。
でも……これはどう考えても、マサル君が言ったように出来すぎた話だよ。”やらせ”の可能性の方が高い。

もう、僕はこれを探さないでおこうと思うんだ。
”シークレット”でさえ見つけるのが大変なのに、”幻のアイテム”が見つかるわけないからね。」



マサル「なんだ…………、もう探さないのか…。」



マサル君は落胆した。







おもちゃキング [act.7]


マサル「我々”消費者”は騙されているんだな、おもちゃ業界に。」

いつの間にやら、マサル君も大人口調。

ハカセ「まあね。
でもそれが戦後の日本経済を支えてきた”大人のやり方”なんだよ。汚いなぁ。」

あゆみ「(”戦後の日本経済”?????)」

マサル「オレはもう”おもちゃキング”なんて目指さない。なんだかバカらしくなって来た。」

ハカセ君は190体のダブりばかりのプレリュードファイターを見つめながら………、

ハカセ「僕もそうだよ。もう疲れた。そろそろ子供っぽい遊びから卒業しようと思うんだ」

あゆみ「あははは!
それがいいわ。どうせ私達は平凡な人間ですもの。
超レアアイテムなんて引き当てられないわ!!
そんな幸運は持ち合わせていませんってば!」

トオル「あははは!違いない!
レア物を引き当てようなんて、宝くじで当るより辛い。
うちの親父、長年宝くじ買い続けてるけど……、いまだに当ったためしが無い!!」

マサル「あはははは!」

ハカセ「あはははは!」

あゆみ「あはははは!」

皆、笑った。

レミ 「……………………。」

でも、レミちゃんだけはいつも笑わない。
彼女は美少女。平凡に笑わない方が彼女には似合っていた……………。








 そんなある日、レミちゃんが自分のコレクションを見せてくれると言うので、皆でレミちゃんの家まで見に行く事になった。

マサル「へーーー、レミちゃんも本格的にプレリュードファイターを集めていたんだ!」

マサルはなぜか心がときめいた。

「レミちゃんの家にお邪魔できる」
「レミちゃんのコレクションが見られる」

これはドキドキ物である。





あゆみちゃん以外はレミちゃんの家に行くのは初めてだった。




レミちゃんの家に着いて見ると、
そこは……、
ハカセ君の家の3倍はある大きな3階建ての建物だった。

ハカセ「あああああ……!!」

トオル「デケーーーーーーーーーーーーー!!」

外観は白を基調をしたどこまでもセンスの良いデザインだった。
それはテレビに出てくる”芸能人の家”のイメージ。

およそ一般家庭とかけ離れた豪華な家の中の廊下を、差し出されたフカフカのスリッパを履いて移動した。
どこもかしこも美術品や骨董品などで飾られていた……。






 そんな中、レミちゃんの部屋に着いてみると……、
そこは意外にも、広さは皆の家の部屋と同じぐらいだった。

ハカセ「親近感は沸きますね。」

マサル「ホント!”学校の教室ぐらいの広さだったらどうしよう”と思っていた………。」



その部屋は整理整頓が行き届いてた。もちろんお掃除もきちっとされていた。
そして、レミちゃんが着ているのを見た事が無い”綺麗な女の子っぽい服”もハンガーに何着もかかっていた。

マサル「(はぁ~~~~~~~。レミちゃんって何か人と違うな~~~~~~。神秘的なイメージがあるなあ。)」

マサルにとっては驚きの連続だった。

レミちゃんはクローゼットを開けて、その中からかわいいデザインのバッグを取り出して来た。

そして、その中を開けた………。







おもちゃキング [act.8]


その中にはプレリュードファイターのあの秘密基地アタッシュケースがすっぽりと収まっていた。

ハカセ「こっ、これは……………………?!」

マサル「ここにも『パワージェネレーターベース』が!」

レミ 「当ったの……。」

メッタに喋らないレミちゃんが喋った。声も異様に綺麗だった。

そのアタッシュケースの中を開けると…………、
ティッシュで丁寧に包まれた”包み”がたくさん入っていた。
それを1つづつゆくっり開けるレミちゃん。


包まれていたのは当然『プレリュードファイター』の食玩フィギュア。
カラーは4種揃っていた。

『シルバー』『ゴールド』『メタリックレッド』『メタリックグリーン』。


さらに敵の『アクロストリーム』も4種あった。

『イエロー』『レッド』『グリーン』『ブラック』。




マサル「レミちゃんもノーマルコンプリートしていたなんて………。」




そしてさらにレミちゃんは続けてティッシュを開けた…………。

中から出てきたのは……、




ハカセ「こっ、これは……………………!!」

マサル「シィーーーーーーーーークレットぉーー!!!」




それはまさしく、

『プレリュードファイター』の『メタリックブルー』

だった。




ハカセ君もマサル君も目を丸くした。

ハカセ「まさに恍惚の輝き!」

トオル「うっとり……。」

マサル「うっ、美しい………。
こんなに美しい物だったなんて………。
さすがシークレットになるだけの事はある!!」






そしてさらにもう1つの包みの中からは……、


『アクロストリーム』の『メタリックパープル』


が出て来た!






まさしくシークレットの名にふさわしいメッキの輝きを持っていた…。
それは深い味わいのあるカラーだった。男の子なら誰でも憧れる”渋さ”のようなものがそこにあった。

ハカセ君もマサル君もそのフィギュアを持たせてもらったが……、手が震えて止まらなかった。


ハカセ「あの極めて数が少ないとされるシークレットが2体も…………。」

マサル「これはいったいどうしたの?!」

レミ 「当ったの………、たまたま」

レミちゃんは普通の口調でさらっと答えた。

マサル「”当った”……………………?」

彼女のその神秘的なフェイスで言われると、何気ない言葉まで、何か特別な意味を持っているように聞こえた。




ハカセ「当ったって……………、全部でどのくらい買ったの?」

レミ 「1回目で…。」





ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!





マサル「……………………。」

ハカセ「……………………。」


マサル君とハカセ君はダメージを受けた。




マサル「オレ達の”何度同じ物が出てもめげずに買い続ける”というあの戦いは、いったい何だったんだぁーーーーーー?!!」








さらに驚くべき事に………。








その後、レミちゃんが開けたティッシュの包みの中から……………、








あの幻の…………、








『プレリュードファイター』の『メタリックパープル』

ミスプリントバージョンが出て来た!








ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!








ハカセ「こっ、これは!!本当に存在していたのですねーーーー!」

マサル「かっ、感動したぁーー!これを間近で見られるなんてーー!!」

とにかくミスプリントとは思えない美しいおもちゃだった。

マサル君とハカセ君は涙目になった。

マサル「これで、後一個そろえば………、
そう、後『アクロストリーム』の『メタリックブルー』さえあれば……」

ハカセ「”フルコンプリート”!!!
でも、それは奇跡でも起こらない限り…………、」










そしてさらに次を開けると……………、










『アクロストリーム』の『メタリックブルー』

のミスプリントバージョンも出て来た!











ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!



ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!



ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!







マサル「……………………。」

ハカセ「……………………。」



マサル君とハカセ君は言葉を失った。




あゆみ「どうしたの?これ…………?」




レミ 「当ったの………、たまたま」

あゆみ「”たまたま”って……………………?」

レミ 「ええ……、たまたま買った物がそうだったの。」







ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!



ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!



ガーーーーーーーーーーーーーーーーーン!









マサル「……………………。」

ハカセ「……………………。」





マサル君、ハカセ君、絶句……………。








おもちゃキング [act.9]







 1時間後……。







ハカセ君はいつに無く興奮していた。

ハカセ「これは我々凡人なコレクターが、世間一般にその存在を知らしめるチャンスだ!
これを機会に我々は一気に名をはせよう!」

マサル「と、言うと?!」

ハカセ「もちろん雑誌社に電話する!
おそらく我々は取材を受け…、我々の顔写真が雑誌に載る事だろう!
いいや!”絶対に載せる”という条件でのみ取材を許可しよう!!

それで我々は有名になれる!
そう全国の食玩コレクターの憧れの的に……。

日本で唯一、いや、全世界で唯一『プレリュードファイター』のフルコンプリートを果たしたレミちゃんのおもちゃ友達として有名になれる!」




皆、胸を弾ませた。




トオル「ああ、雑誌に載るなんて!」

あゆみ「これを機会に、私なんてアイドルへの道が開けるかも…………。」

トオル「ないない。それはない。ありえない」

あゆみ「ムカッ! (`へ´) 」

ハカセ「それより、我々のグループを正式に発足させて名前を決めよう!
”おもちゃ同好会”……、いや、”おもちゃ研究会”の発足だ!」

マサル「それがいい!グループ名は、そうだな…………、
レミちゃんの名前を取って、

『レミ・プレリュード』!!」

あゆみ「それ、いいかも!」

マサル「よおし!それで決まりだ!『レミ・プレリュード』!!」


皆、興奮状態だった。

とにかく楽しかった………。



でも、レミちゃんはいつもと変わらぬ様子だった。

レミ 「……………………。」







 その後、ハカセ君がプーマ社に連絡。

数日後、マサル君達は全員雑誌社に呼ばれて、そこの撮影スタジオで写真を撮られた。

トイマスター編集者「君達、来月号に写真が載るからね!」

それを聞いてマサル君達『レミ・プレリュード』のメンバーはおおいに喜んだ。








 1ヵ月後…………。

”レミちゃんの友だち”扱いで”マサル君・ハカセ君・あゆみちゃん・トオル君”がレミちゃんを囲んでいる写真が『トイマスター』の紙面に掲載された。
レミちゃんの前にはフルコンプリートのフィギュアが誇らしげに並んでいた。




しかし、それは白黒ページの片隅に載っていて大変小さく………。

スキャナーでそれを取り込んで、パソコン画面上で大きく引き伸ばして見ると………、
ドットが粗くて、どの顔が誰の顔か判別がつかなかった。
また、書き添えられたコメントにも”お友だち”とだけ紹介され、名前やグループ名は載っていなかった。







 しかし、レミちゃんは……………、


『トイマスター』の今月号の表紙に超レアモデルを持つ美少女のアップが映っていた。
それがレミちゃんだ。

レミちゃんの名前は大きく出ていた。

しかも巻頭で4ページに渡ってレミちゃんの特集が組まれていた。
それはまさにアイドル扱いみたい感じで、いつもとは別人のようなレミちゃんの写真が何枚もちりばめられていた。





『緊急特集!!トイ好きの美少女レミちゃん!』





マサル「こっ、これは……………………。」






その月の『トイマスター』の発行部数はいきなり1.5倍にもなったと言う……。





その後、レミちゃんはテレビのおもちゃのコマーシャルに出演する事が決まった。
レミちゃんはやはり天性からして皆と違っていたようだ。













マサル「ガック!……………………。ああ、”平凡”っていったい?  _| ̄|○」













ああ、マサル君のはかなき恋の行方はいったい……w













THE END











ところで……………、

今年、お年玉付き年賀状の各賞を総なめした方がおられましたね。
まあ、偶然当ったんだそうですが………。
それで、テレビに映ってましたよ、その方。
ふう。




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