BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

地球防衛少女ミポリン act.8~16


地球防衛少女ミポリン [act.8]


 生命体は城を粉々に粉砕して、さらに移動を開始した。

明美 「まったくもう!
今どきの若い子は感覚がズレていると言うかなんと言うかーーーーーー。」

美穂 「わっ、私の家は……………????お母さんは????」

美穂の目は潤んだ。その心は悲しみに打ちひしがれた。

明美 「見てわかんないの!!
あの生命体がこの都市を破壊しているの!
アンタのお母さんが無事にどこかのシェルターにでも避難してればいいけど!!!」

美穂はひどいショックを受けた。

美穂 「ううう……!明美さん!エリーゼお姉様!何とかしてください!
ここは怪獣を退治する所じゃなかったんですか?」

エリーゼ「ごめんね。もう私達には打つ手が限られているの!
有効な反撃手段とされていた方法は、今は準備が遅れていて取れないの!」

明美 「いいえ、はっきり言うと………、もう、永久に取れないかも……。」

美穂 「うううう……、お母さんーーーーーーーーー!!!」

美穂は手に持っていた配達ケースを床に落とした。
そしてその大きな瞳からは大粒の涙が次ぎ次ぎとこぼれた。

美穂 「ううっ、うう………、お母さんーーーーーーーー!!!」

美穂はいきなりここのドア目掛けて走り出した。この作戦室から出るつもりのようだ。

エリーゼ「待って!美穂さん!
今はもうこの基地から出ないほうがいいわ!外は危険よ!
さっき、外のモニター映像を見たでしょう!」

美穂 「だって、お母さんがあああーーーーーーーー!!」

半狂乱になって泣き叫ぶ美穂。すぐに作戦室のドアにたどり着いた。
エリーゼはそれを追いかけ、美穂の体を抱き寄せる。

エリーゼ「落ち着いて!落ち着くのよ!美穂さん!!」




その様子を見て、明美は思わず心の中で不平不満をたれた。
それは直接美穂に対してというものでは無かったが…、
結局的に美穂の行動が、そう言わせる事になったのだ。

明美 「(まったく……、”母さん、母さん”って……………………。
大勢の人が死んでるって時に……、もう貴方の母さんだけの問題じゃないのよ。
今は地球そのものがどうなるかわからない時…。
ともすれば人類そのものが滅亡するかも知れないっていうのに。
”母さん、母さん”と身内の心配ばかり…………。
そりゃ、確かにその事は心配だろうけど………。
この基地の人間だって、外に大勢肉親や友人がいるってのに……。
自分の母さんの事だけが心配なの?

それに前線で戦ってるパイロット達はどうなってもいいの?
ここじゃ、皆が叫び声を上げたいのを我慢してるって言うのに。
ミポリン、アンタはまだ子供ね。
生娘と言うか、箱入り娘と言うか、乙女と言うか……。



……ん?



”乙女”?)」

明美は美穂を今一度よく見た。そして考えた。

明美 「(………まあ、彼女、働き者で、いつも何かに向かって一直線。
遊ぶ事をまったく知らず……、
全力でお弁当を作り、全力で接客する。誰にでも明るく接するその姿。
たかがお弁当作りによくやるわねーーーー。

しかも、それはお母さんの仕事を助けたい一心だったりする所がまた……。
悪く言えば”世間知らず”だけど…………。
でも!今どきこんな良い子いないわ!
いまや化石と化した”乙女”のイメージとダブるわね。)」

明美は美穂の全身を眺める。

明美 「(おまけによく見りゃ、身体も健康そのもの。
もともと細身のいいプロポーションだけど、そこそこがっしりしているし、足だって頑丈そう!
これも”若さ”ってヤツかしら?)」







地球防衛少女ミポリン [act.9]


美穂 「退いてください!お母さんがぁーーーーー!!!」

バシィ!!!

エリーゼは美穂の頬を叩いた!

美穂 「うっ………………。」

エリーゼ「落ち着きなさい!落ち着くのよ!美穂さん!取り乱すなんて貴方らしくもない!」

美穂 「はぁはぁ…………。」

美穂の目は涙で雲っていた。







 その時、シュタインベルグ司令官がエリーゼを呼びつけた。
そして民間人の美穂に聞こえないように小さな声でエリーゼに話しかけた。
代わって、美穂の側には明美が付いた。

シュタインベルグ司令官「エリーゼ君!”ビクトリー・メイデン・ガール”の件だが……、指定機関以外の女性はチェックしたのか?捜索の対象範囲を広げろ!」

エリーゼ「一応それ以外の少女にも目は通しました。しかし、どれも指定機関の少女と似たり寄ったりのデータしかありませんでした。」

シュタインベルグ司令官「では”乙女”というのはそのままの意味ではない。
伝承の中に存在した”乙女”と言う言葉は、別の事を指して比喩したものではないか?」

エリーゼ「と、言いますと?」

シュタインベルグ司令官「あの”遺跡マシン”を実際に使っていた時代、その時の被験者をたまたま”乙女”のイメージに被せて見ただけかも知れない。
その人物が本当に”乙女のような心を持った人物”だったかについてはわかるまい。
例えば強い正義感を持っていたかなどは。」

エリーゼ「それはそうかも知れませんね。
それとも、もっと他に付加要素がいるのかも?
例えば”紫式部”のように歌を詠むのがとても上手だとか…。そんな知的な女性の事を指して”乙女”と呼んでいたのかも知れません。
もしそうだとすると…、検索する要素が多すぎて、早期に”ビクトリー・メイデン・ガール”を見つける事は困難になりますわ」

その時、巨大な都心のビルが生命体の攻撃でまた崩れ落ちた。
辺りは見渡す限りのガレキの山、もはや原型を留めた建物は少ない。

シュタインベルグ司令官「それでもいい!大至急、さらなる被験者を洗い出してくれ!ここで諦めるわけにはいかん」

エリーゼ「はい!」

シュタインベルグ司令官「かならず見つけてくれ。人類の存亡がかかっているのだ!」







 明美はニヤリと微笑んで美穂に言った。

明美 「ミポリーーーーーーーーーーーーーン!アンタいくつだっけ?」

それを聞いて美穂は振り返った。

美穂 「?????……、18です。」

美穂はなおもこの作戦室のドアを開けようとしていた。
だが、ボタンを操作してもいっこうに開かない。
明美がリモコンでドアをロックしておいたのだ。

美穂 「ドアが開きません!おかしいです。いつも開いたのに!
どうすれば開くんですか?!!」

美穂と明美の所へ戻って来たエリーゼ。
いままで、明美の美穂相手のやり取りに我慢していたエリーゼだったが、ついに怒って明美を睨んだ。

エリーゼ「明美!お遊びもいいかげんにして!この非常時に!!
さあ私達に新しい任務が出来たわよ。例の任務は続行よ!」

明美は少しとぼけた感じでエリーゼにこう言った。

明美 「えーーーーと、どうでしょうか?この子を”試してみる”というのは?」

エリーゼ「????”試す”?この子を?」

明美の思わぬ言葉にしばしキョトンとするエリーゼ。
しかし、すぐに明美の言っている意味を理解した。

エリーゼ「あーーーーーーーーーーーーーーーーー!

そうね!それがいいわ!」







地球防衛少女ミポリン [act.10]






美穂 「お願いです!ドアを開けてください!」




ドンドンドン!


美穂は無駄と知りながらもドアを叩いた。

明美が美穂の背中に近づき、肩越しにこう言った。

「あら大変ねぇーーーーミポリン。でも、お母さんを助ける方法が無くは無いわ。」

美穂 「え?」

美穂はドアを叩くのを止めて振り返った。

明美 「あの生命体を倒せばいいのよ!そうすればアンタのお母さんは助かるし、ついでに地球人類も助かるわよ。」

美穂 「”倒す”って、あの生命体を倒すんですか?どうやってです?ミサイルで倒すんですか?」

エリーゼ「残念ながら、あの生命体にはミサイルも爆薬もあまり効かないわ。
でも、もっといい方法があるの。
協力してくれたら、貴方のお母さんも助かるかも知れない。」

美穂 「ほっ、ホントですか?」

明美 「ああ、もちろんよ。
あの生命体を封じ込めたら、その隙にテレストリアル・デフェンス・フォースがアンタのお母さんの捜索に当るから。

自然災害救助には”新自衛隊”。
個人の救出と生命体退治には”テレストリアル・デフェンス・フォース”と
相場は決まってるからね。」

エリーゼ「……………………。」

エリーゼは少し呆れ顔になった。

明美 「そのためには………………、

アンタの協力がぜひとも必要不可欠なんだけどなーーーーーー。」

美穂 「私のですかーーー?
私なんかがお役に立てるとは思いませんけどーー。
お母さんを助けていただけるなら……………、私、なんだってやります!!」

明美 「かーーーーーーーーーーー!!
母さんを助けたいが為に我が身を犠牲にするその精神!
これはもしかしてーーーーーーーーー!
もしかしてーーーー!
本物の”乙女”かもねーーーーーーーーーーー!!!!」

エリーゼの顔がパッと明るくなった!

エリーゼ「確かにそう言えばこの子、凄く真面目なのよね!
風邪ひいても、頭痛がしても、必ずお弁当配達に来るしね。
お母さんのお店の信用を失わせたくないからそうしているのよね。

そう、それって……、

まさしく”乙女”の姿よね!!!」

明美 「あっ、待って……………、
伝承では、それは”究極の美少女”という事になってたでしょ?
確かすっごい美人だとか?」

エリーゼ「”究極の美少女”じゃなくて、”美の女神・ビーナス”でしょ?」

明美 「どっちだって大した違いは無いわよ。
ところで、その点は大丈夫なの?この子、ちょいと影薄くない?
なんとなく……、言っちゃあ悪いんですが、田舎臭…………、あっ、いやいや……、でもそんな感じもする。
でも、この子何でもするって言うから……………、”整形”でもしてみる?」

美穂 「”整形”?!!!
整形手術するんですかぁーーーーー?!!!!!

絶対嫌です!!!

私は…………美人じゃないですけど……………、この顔が気に入ってるんです!」

明美 「あれ?いつも、

”アイドル歌手にも憧れは無くは無いですが……、この顔じゃ駄目ですね”

とかなんとか言っていなかった?」

美穂 「あっ、あれはそのぉ……………………。」

美穂は返答に困る。
エリーゼは急に美穂に近づいて、その前髪をグイッと上げた。

美穂 「うぐっ!」

そして、美穂の顔をまじまじと見つめた。

エリーゼ「いいえ、その必要はまったくないわ。この子、自分を良く魅せる術をまったく知らないけど……、
素材はけっこういい線言ってるわ!
いえ、”いい線”なんてモノじゃない。かなりのモノかも………。」

明美は少し疑い深い目で美穂の顔を見たが……。

明美 「ん~~~~~、その点は、アタシはちょっと疑問の余地があると思うけど……。
でもまあいいわ!今はこの子しかいないし!

よし、決まった!!!

じゃあミポリン!私達の言う事を聞きなさい!
そうすればお母さんは助かるわ!
アタシ達は全力で貴方のお母さんを捜索するし、発見すれば必ず助ける!約束するわ!」

美穂の後ろの大スクリーンではまた1つビルがゼウスによって破壊され、粉塵が辺りに舞い上がっていた。
そして、アパートなどの居住区が崩れて、下の商店街を押し潰していた。

美穂 「本当に……、本当にお母さんを助けていただけるんですね……。」

明美 「ああ、もちろんよ!!」






地球防衛少女ミポリン [act.11]


 エリーゼと明美はシュタインベルグ司令官の前まで美穂をグイグイと引っ張って行った。

美穂 「ああ、あの…………。」

そしてエリーゼはシュタインベルグ司令官に言った。

エリーゼ「司令官!突然、被験者が手に入りました!」

シュタインベルグ司令官「なんだと?!!」

明美は美穂の両肩をつかんで、グイッと引き寄せた。

明美 「この”田舎娘”です!!!」

美穂 「きゃ!」

司令官は顎に手を当てて少し考えた。

シュタインベルグ司令官「………………。」

そして、

シュタインベルグ司令官「なるほど……、灯台下暗しだったようだな。
この娘は嘘はつかないし、真面目で何事にも真剣だ。
しかも彼女の所の弁当はいつも手抜きが無い。
完璧な仕事だ。
常に美味しく、食べる者の期待を裏切らない。
正直で、熱心な人だ。

いいだろう、その子を試してみたまえ!」

明美 「はい!」

明美は笑顔で敬礼して返答した。









 美穂はすぐにメタモルフォーゼルームに連れて行かれた。
そして”戦闘服”に着替えるように言われた。
それは今まで被験者には必ず着せてきた例の”フリルの付いたピンク色のコスチューム”だった。

美穂 「あのーーーー、これはなんですか?」

明美 「アンタの憧れていたアイドル歌手の服だと思えばいいわ。」

美穂 「それにしてはずいぶん丈夫そうな服ですねえ。」

明美 「耐水・耐熱・耐寒・耐酸性・防弾には優れているけど。
レーザーも少しは跳ね返すし。
中に反射素材を含んだ繊維をサンドイッチされてるから。」

美穂 「なんでこんな物を着る必要があるんですか?」

明美 「いいから、早く着て!!!!」

美穂 「あのーーーー、スカートの丈が短いように思いますがーーーー。」

明美 「さっさと着替えろ!時間が無い!!」

怒鳴られて美穂は着替えた。



エリーゼ「まあ!まるで、貴方の為にあつらえたみたいだわ!!!ぴったり!
素敵!いいわねえ、若いって!
これならテレビ映りも良いわ。
貴方の姿がニュースで流されると、テレストリアル・デフェンス・フォースのイメージアップにもつながる。
あっ、それとこのスカーフはもういらないわ!おばさん臭いから。」

美穂 「あーーーーー!それは私の大事なーーーー!!!」

エリーゼ「大丈夫よ、ちゃんとロッカーに入れておいてあげるから。

髪型は……、こっちの方が似合うわ。」

エリーゼは美穂の髪を分けて、光沢のあるリボンで結わえてツーテールにした。

エリーゼ「やったわ!見て!すごい美少女だわ!」

明美 「ホント!孫にも衣装だわね!」

エリーゼ「いいえ!この子は元が良いのよ!今まで誰もそれに気付かなかっただけ!美穂さん自身もね!
これならいけるわ!」

美穂 「え?”いける”??????」

エリーゼ「それから美穂さん、貴方の頭に今着けているヘッドフォン、ここから会話ができますから。たとえ戦闘中でもね!」

美穂 「え?”戦闘中”??????」

美穂は思いっきり不信の表情をした。
その時、建物内では大きな揺れを感じた。

美穂 「きゃ~~~~~~~~~~~~~!!」

明美 「やばい!早くしなきゃ!
ミポリン!早くのあそこのエレベーターに乗って!!!」



そこには、

『天国への招待席』

と書かれた紙が冗談で貼ってあった。
それを美穂が退けると……………、その下には

『降下用エレベーター』と書かれてあった。



そこは一人用のエレベーター。
ここに連れて来られた被験者達が必ず一度は乗せられたあのエレベーターだった。
中には座席が1つ。上部には安全の為、開閉式のロールバーが付いていた。
美穂が乗ってロールバーを下すとすぐにそれは下降した。
高速エレベーターの様で、5秒ほどで下に着いた。
そしてスライドドアがスパッと圧縮空気の音を立てて開いた。







地球防衛少女ミポリン [act.12]





 着いた先は…、あの正体不明の場所だった。







両側に高くせり上がったスロープ。それは全て深い銅の色で出来ていた。
美穂にとって初めて目にする景色である。
未知の物に接するようで、美穂にとってはなんだか怖かった。おまけにここはひんやりとして肌寒い。

美穂 「何かしら?スケボーの競技場かしら……?」

シーンと静まり返ったスペースにスピーカーからの声が響く。
それは壁に反響して、一層恐ろしい雰囲気をかもし出していた。

エリーゼ「美穂さん!そこの真ん中に向かって歩いてください。」

美穂は言われた通り、中央と思しき位置まで歩いた。
そこの床には少女の姿のシルエットが黄色のペンキで描かれてあった。

美穂 「????……………………。」

明美 「そこに寝て。」

美穂 「あのーーーーー、何だか床が冷たそうです。
すいませんが、床にクッションを敷いていただけませんか?」

明美 「つべこべ言わずに早く寝る!!!」

美穂 「あっ、はいはい。」

そして、床に寝た。

美穂 「やっぱり冷たいです。」

明美 「我慢なさい!!」

天井には無数のライトと巨大な正体不明の機械がぶら下がっていた。

美穂 「うぇ~~~~~~~~~~、歯医者さんに来た気分……。
いえ、それよりもっとひどいかも。
これから、なにか得体の知れない改造でもされるのかしら?
この間そんな映画を観たもの……。」

明美 「はあーーーーーい、ミポリン!
それではこれから貴方に質問をします。正直に答えてねv」

美穂 「あっ、はいはい。」

エリーゼ「では、まず………、



お婆さんが1人で横断歩道を渡っていました。
その道路脇に立っていた貴方が、その様子を見ていると、向こうから信号無視の暴走した自動車が走って来ました。
あと数秒でお婆さんはその車にひかれるかも知れません。貴方ならその時どうしますか?」



美穂 「なっ、なんですか?その質問はいったい?
なんでそんな質問に答える必要があるんですか?」

明美 「いいから!答えなさい!」

美穂「えーーーーーーーーーーーーーーーと。」

明美 「早く答える!長考せずに!」

美穂 「えーーーーーーと、お婆さんを助けます!」

明美 「どうやって?」

美穂 「うーーーーーーーーーーーーーん」




ブーーーーーーーーーーーーーーーーー!!




ブザーが鳴った。

エリーゼ「時間切れです」

美穂 「あっ、ちょっと待ってください!」

エリーゼ「今の質問に関する答えはもういいです。」



エリーゼは一旦マイクのスイッチを切った。
これでモニタールームにいるエリーゼと明美の会話は美穂には聞こえない。

見ると同調を示す”チューニングメーター”のレベルはホンのわずかだが上がっていた。

エリーゼ「動いたわ。
でも、わずかね。0.01パーセントぐらい。
たったこれだけでも今までの被験者と比べれば大したものだけど…………。
でもまだ”反応が無い部類”に入るわね。」

明美 「あちゃーーーー!!この子も駄目かーーーーーーー?!!」

その時、また建物内に大きな震動があった。

明美 「それでも、まだ見込みはあるんだろ?」

エリーゼ「質問は残っているわ。続行してみましょう!」

エリーゼは再びマイクのスイッチを入れた。







地球防衛少女ミポリン [act.13]


エリーゼ「次の質問行きます!



ビルが火事になりました。
そのビルの中には貴方のお母さんがいた筈です。
貴方の愛犬はビルの中に入って、貴方のお母さんを救おうとしました。
高熱の火の海に飛び込む愛犬。
しかし、ビルから離れた位置でその火災を見ていた貴方が、ふと横を見ると、なんとお母さんが来ているではありませんか?
もう、火の勢いはかなり強くなりました。
貴方は飛び込んだ愛犬を救うために火の中に飛び込めますか?」



美穂 「ええと…。消防さんから銀色の耐熱服を借りて、それを着て飛び込みます。」



エリーゼはマイクのスイッチを切った。

明美 「チューニングメーターがまたわずかに動いたわ。」

エリーゼ「ホント?!
まだ1パーセントにも満たないけど……、今までの被験者の中では最高値を示しているわ!」

その時また大きな震動が!
美穂の真上の大型マシンがギシギシと音を立てて揺れる。

ギシギシギシ……。

美穂 「きゃーーーーーーーーー!!!!!!怖いですーーーーー!」

エリーゼ、再びマイクのスイッチを入れる。

エリーゼ「美穂さん!後少し我慢するのよ!



次の質問です。

都市の真ん中に身長45メートルの大きな怪獣が現れました。
その怪獣はとても強くてグロいです。
でも貴方も身長45メートルの巨大な女の子に変身しました。
その体で都市を見下ろすと、人々が逃げ惑う姿が見えました。
怪獣はその人達を襲おうとしています。
貴方は人々の為にその怪獣と戦いますか?」



美穂 「ええと……、みんなを助ける為に戦います!!!!!!」



その時、同調を示すメーターがぐんぐん上昇を始めた。
エリーゼは素早くマイクのスイッチを切る。

明美 「見て!なんなのこれ?!!表示が壊れたの?」

その時、美穂の頭上のマシンから光の束が振降り注いだ。

美穂 「うわぁ!!きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

美穂は逃げ出そうとしたのだが、無理だった。その光の圧力のようなものが身体に当たって、床に押し付けられた。

美穂 「くっ、苦しい!熱い!」

明美 「エリーゼ!これは何?!彼女が苦しがってるわ!」

エリーゼ「”何”って、発動したのよ!あのマシンが!」

明美 「本当なの?!
でも、彼女苦しそうだわ!助けてあげないと!いったん装置を止めて!!!」

エリーゼ「いいえ、もっと装置にパワーを送って!」

明美 「ええ?!アンタ正気なの?!ミポリンを助けてあげないと!」

美穂からの叫び声がスピーカーから入って来る。



美穂 「きゃーーーーーーーーー!!!
助けてぇーーーーーーーーーーーーーー!!」



明美 「やっぱりいったん装置を切るわ!」

エリーゼ「駄目よ!今切ったら、何もかもが水の泡になるわ!!!!
ここで止めたら、ビクトリー・メイデン・ガールはもう来ない!
それでゼウスを倒せないなら、どうせ誰も生き残れないわ!」

なおも美穂の絶叫に近い叫び声がスピーカーから入る。
思わず明美は電源をカットするレバーの所に行った。

エリーゼ「待って明美!これを見て!」

明美はモニターに目をやる。
すると……、
美穂の体が大きくなり始めているのがわかった。

明美 「信じられない!
いえ、確かにこうする事が私達の目的だったんだけど…………。
今自分の目で直に見ると………、どうしても信じられない!」

美穂の身体のスケールはどんどん大きくなっていく。
しかし、ある所まで来ると、巨大化の速度は著しく遅くなった。
そして停止した。

エリーゼ「今の所、身長は3.7メートル。約2倍ね。」

明美 「どうしたの?!巨大化が止まってしまったわ!」

エリーゼ「質問はもう1つあるわ」

そう言ってエリーゼはまたマイクのスイッチを入れた。

エリーゼ「美穂さん!無事なの?」

美穂 「……………………。」

明美 「ミポリン!大丈夫?!!」

美穂 「うう…………、おかげさまで………。
でもここから出たいです。」

エリーゼ「無事で安心したわ。
では、もう1つ質問します。」

美穂 「えーーーーーーーーーーーー?!」



エリーゼ「さっき貴方が戦った怪獣はとても強く、貴方は逆に怪獣からの攻撃を受けて、もはや立ち上がるのも困難になって来ました。
身体はボロボロです!
もう力がありません!
でも、見ると怪獣の足元に貴方のお母さんの姿がありました!
怪獣は今にも貴方のお母さんを踏み潰そうとしています。
貴方はその時どうしますか?!」




美穂 「うぐぐぐぐぐ……………………。」

エリーゼ「美穂さん!答えてください!どうしますか?!」

美穂 「うーーーーー。」

明美 「ミポリン!!」

美穂 「もっ、もちろんお母さんを助けます!!!!
まだ立ち上がります!!!!!
お母さんを助けるまで、負けません!」

その時、頭上のマシンから目も開けられないほどの光の洪水が降り注いだ。それはまるで滝の水を受けとめたようだった。

明美 「何?!マシンが爆発したの?!」

明美とエリーゼは、さっき美穂が体験したのと同じく、その光によって身体に何らかの力の作用を受けた。そして吹き飛ばされ、床に叩きつけられた。







美穂 「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」








地球防衛少女ミポリン [act.14]


猪木副指令「メタモルフォーゼルームに何か異変が起こったようだ!」

シュタインベルグ司令官「メタモルフォーゼルーム!メタモルフォーゼルーム!
明美君!エリーゼ君!どうした?!応答しろ!」

オペレーター 由紀「大変です!シュタインベルグ司令官!!あれを見てください!」

スクリーンには原子力発電所の炉心に向かうゼウスの後姿が映っていた。

シュタインベルグ司令官「あれは原子力発電所だ。いったいヤツは何をする気なんだ?」





猪木副指令「原子力発電所の動力炉で異常な核分裂が始まった。ヤツがそうさせているらしい。反応は凄い速さで進むだろう!」

シュタインベルグ司令官「くっ!
それではもはやゼウスに攻撃する事も出来ん!

以後、命令あるまで通常攻撃は全面禁止だ!全軍にその事を徹底させろ!

メタモルフォーゼルーム!メタモルフォーゼルーム!
明美君!エリーゼ君!どうした?!応答しろ!もう駄目か?!
駄目ならすぐにそう連絡してくれ!」

猪木副指令「おい!誰か、メタモルフォーゼルームに走ってくれ!」












明美とエリーゼはまだ床に倒れていた。

明美 「くくく、痛あーーーーー、頭打ったぁーーーーー!何なのあの光は?」

エリーゼ「あれも”メタモルフォーゼ”の発動よ。さっきのより強力だったわ。

……それより、美穂さんの様子は?」

明美 「はっ!」

明美は急いで立ち上がって監視モニターを見た。
たくさん並んだモニターのいくつかには美穂の姿が映っていた。
しかし、これらのモニターは先ほどまでは美穂の全身を捉えていた筈だが、今は美穂の体のごく一部がアップで映し出されている状態だった。

その内の1つに美穂の顔のアップもあった。モニター画面には顔全体は収まり切らず、一部しか映ってないが。それを見ると美穂は気絶しているようだった。

一番上部に取り付けられた監視カメラからは、美穂の体があの”身長45メートルの巨人が入る窪み”にすっぽり納まっている様子が映し出されていた。

明美 「ねえ、これ見て…………、信じらんない……。」

エリーゼ「ホント…………。
でも成功だわ!成功したのよ!!」

エリーゼは美穂の呼吸や心臓の鼓動を読み取るセンサーの画像に目をやった。

エリーゼ「良かった。彼女は生きている!
呼吸は少し早く、心臓の鼓動も少し高めね。
でも…………、大丈夫だわ!!」

明美 「ふう。」

エリーゼ「あの質問によって美穂さんが”ビクトリー・メイデン・ガール”である事が証明されたんだわ!」

明美 「あの質問にはこんな凄い作用があったのか!」

エリーゼ「あの質問はもともと、メタモルフォーゼのマシンのデータの中に入っていたの。
それを現代的なシチュエーションに置き換えたのが、今回美穂さんや被験者の少女達に行った質問よ。
おそらく、あれの答え方で本当の”乙女”かどうか判断されるんだわ。」





その時、スピーカーからシュタインベルグ司令官の声がした。

「メタモルフォーゼルーム!応答しろ!
よし、もういい!駄目だったんだな?!」






地球防衛少女ミポリン [act.15]


シュタインベルグ司令官「猪木副指令!炉心ごと攻撃しろ!
もはやそれしか打つ手は無い!」

猪木副指令「なんだって?そんな事をしたら……、核爆発が起こるかも知れんぞ!!
あの原子炉は特別大きいんだ。
新自衛隊と全国横断のリニアモーターカーに電力供給していたヤツだぞ!」

シュタインベルグ司令官「かまわん!早くしろ!
もはやビクトリー・メイデン・ガールには期待出来ない。
これからは捨て身の攻撃に出る!」

猪木副指令「くっ……、覚悟を決める時が来たという事か……。わかった!」

猪木副指令が前線部隊に指令しようとしたその時!

明美 「待ってください!」

明美からの通信が入った。
それと同時に前方のスクリーンに巨大化した美穂の姿が映った。

それを観て息を飲むシュタインベルグ司令官とその他の作戦室の人達。

シュタインベルグ司令官「あれは?成功したのか?」

猪木副指令「ああ、成功したんだ!!!
信じられん!初めての適合者だ!
ああ……、彼女が”ビクトリー・メイデン・ガール”だったなんて…………。
弁当屋の娘さんが”伝承の乙女”だったとは…………。」

美穂はまだ気絶しており、目を開けていない。
その美しい寝顔はまるで女神のように光り輝いていた。














シュタインベルグ司令官「明美君、すぐに出撃できるのか?」

明美 「やってみます。後少し時間をください。出撃準備をします!」







エリーゼ「美穂さん!起きて!美穂さん!!」

エリーゼはスピーカーから美穂のヘッドフォン越しに呼びかけを行った。

明美 「あちゃーーーーーー!ミポリンのヤツ起きないよ!
こらあーーーーーーーー!!ミポリン!起きろーーーーーー!!!」

エリーゼ「美穂さん!起きて!!!」

だが美穂は寝顔のままで起きない。

明美 「くそっ!かくなるうえはーーーー!!


























火事だあーーーーーーーーーーーー!!
ミポリン!
アンタの家が火事だあーーーーーーーーー!!



























美穂の眉間にシワがよった!

美穂 「うぐぐぐぐぐ………。」

エリーゼ「反応があったわ!」































明美 「 アンタのお母さんが
ピンチだあああああああああーーーー!
怪獣に踏み潰されるぞぉーーーーー!!!




























美穂 「はっ?!」

美穂は起き上がった。

美穂 「どこ?!怪獣はどこです?!!」












シュタインベルグ司令官「全軍に告ぐ、もしゼウスが発電所から離れる事があれば、再び射撃を行え!
もうまもなくビクトリー・メイデン・ガールが出撃する!!
全軍、後少しこらえるんだ!」













地球防衛少女ミポリン [act.16]







美穂 「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」







美穂は巨大化している自分の姿に気付いて驚いた。
その大きな声は明美達のいるモニタールームの防弾・対震動ガラスにヒビを入れた。

エリーゼ「美穂さん!叫ぶのを止めて!」

そう言われて美穂は少し落ち着く。

明美 「すごい威力ねーーーーー!!」

美穂 「うう……。」

明美 「良かったーーー、素直で!あれで美穂の性格まで変わっていたら大変だよ!」

美穂 「エリーゼお姉様、明美さん、私、なんだか大きくなっているみたいです!
なにか凄い事が起こったようです。」

エリーゼ「大丈夫!その現象は想定内です!」

明美 「さっきのは貴方を巨大化させる為の処置だったんだから!!
心配ない!なーーーーーーーーーーーーーんにも心配ない!
処置は成功した!!」



美穂 「えーーーーーーーーーーーーーーーーー!!



でも、これじゃあ…、今後の生活に支障をきたします!
ご飯はどうするんでしょうか?お腹いっぱい食べられるんでしょうか?
えらくお金がかかりそうですが……。
それに洋服は合うサイズがあるのでしょうか?」

見ると、さっき美穂が着ていた戦闘服も巨大化されていた。

明美 「そんな事、今心配する事じゃなーーーーーーい!!!」

エリーゼが代わってマイクに向かって言った。

エリーゼ「理論上は、一生そのままってワケじゃ無いわ。30分後に収縮を開始します。そうなれば元の大きさに戻る筈です。理論上はね。」

美穂 「でも、この身体で、私にいったい何をさせようと言うんですか?」

明美 「もちろん!それであの生命体と戦ってもらうのよ!!」






美穂 「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!





そっ、そんなの無理です!!!私はお弁当屋しかできない女の子です。
”戦う”のは、”お弁当作りと日夜戦う”って事しか出来ません!」

エリーゼ「美穂さん!貴方のお母さんの安否がまだわからないでしょ!
あの地上の都市のどこかにいるかも!
すぐに生命体迎撃に向かってください!
でないとお母さんが危険です!」

それを聞いて、美穂の目の色が変わった。

美穂 「そうだわ!お母さんを助けなきゃ!」

エリーゼ「詳しい事は移動中にヘッドフォンから話すわ!
すぐに高速エレベーターに乗って!」

美穂のいるスペースの壁面がスライド開閉して、巨大なエレベーターのシートが現れた。
形状は先ほど美穂がここに降りてくる時に使用したエレベーターとそっくりだった。
美穂は立ち上がり、2・3歩歩いて、その45メートルの巨人が乗れるようなエレベーターのシートに座った。

美穂 「”エレベーター”と言うより、ただのリフトですね。」

明美 「いいから、ごちゃごちゃ言わない!早く安全用のロールバーを下して!」

言われて美穂は頭上にあったロールバーをゆっくり下した。
今の所美穂の動作はいつもと変わらない。
でも、不安そうな表情の美穂。










明美 「シュタインベルグ司令官!出撃準備完了です!」

シュタインベルグ司令官「よくやった!ただちに射出しろ!」

美穂 「あのう………………、そのう、やっぱり、私には無理のような気が……。
降ります!」

明美 「時間が無いからね、ミポリン!アンタには悪いけど……、
地上に出て一暴れして来てちょうだい!
行くわよ!






ビクトリー・メイデン・ガール!シュートアウト!」






高速エレベーターが動いて地上に向かった!






美穂 「きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」






キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

ものすごいGの重圧が美穂に襲いかかる!

美穂 「うぐぐぐぐ…………。」

弁当配達用の自転車しか体験したこと無い美穂にとっては苦痛だった。

美穂 「こんなのいままで経験した事無かったわーーーーー!!
ジェットコースターは嫌いなのにーーーーーー!!」

瞬時にエレベーターは地上に着いた。

ガクン!

美穂 「ふ~~~~~~~~~~~~~。
死ぬかと思った……。
気分悪い~~~~。エレベーターに酔った~~~~~~。」

美穂はロールバーを跳ね上げた。

ガラガラガラガラガラガラ……………………。

前方のシャッターが音と共に開閉して行く。











続きます。




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