BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

『あるモテない男の話』 第2話 21~30


『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.21



 その後はとんとん拍子だった……。
三街道は上手い具合に3人の女の子と別々に遊びに行く約束を取り付けた。3人の女の子は失恋の痛手からか、三街道と遊びに行くのに抵抗は少なかった。

それで夏休み中、静香、あるいはシンディー、あるいは千草と、それぞれ2人切りでいろんな所に遊びに出かけた。
特にシンディーはもうすぐお国へ帰る事になっていたので、「それまでの間に出来るだけ会っておこう」と何回も誘って会った。



本当に信じられないぐらいハッピーな夏休みの幕開けだった………。
三街道は天にも昇るような気持ちだった。
まさに、人生最大の”思い出に残る夏休み”だった。
彼女達は皆綺麗で元気があって、会っている時はいつも楽しくて仕方なかった。


三街道はそれぞれの女の子に、3股している事がバレないよう苦労する場面もあった。
しかし……、そこは大学生の夏休み。時間だけは大いにあった。
会う日をずらす事はいくらでも出来た。






 3人と会うのは本当に楽しかった。しかも休み中なので何度も会えた。
そして………、三街道は、静香・シンデイー・千草の全員に脈があるように感じて来た。

それに、あれからこの3人の女の子は、それぞれの方法で

「二階堂には現在”彼女”がいて、今は仲むつまじく付き合っている」

という事実を確かめた。
それで女の子達は……、いわば二階堂の事は諦めた状態になっていた。

だがもちろん……、彼女達は三街道の事をどう見ているかは分からなかった。恋人候補なのか、それともただの友達と見ていたのか…………。

そして……、実は三街道もまた、3人の女の子の中で自分にとって誰が一番”本命”なのか分からなかった。
彼は今や「3人とも良い」と思っていた。

彼は底抜けに”軽薄”だったのだ!











■■■ ブログ ■■■





 三街道は調子に乗ってブログを新設した。

あまりにもまとめて幸福が訪れたので、この気持ちをどこかに発散したかった。
毎日、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
しかし、うかつに友人の誰かに喋ると、どこかで情報が漏れて、3人の女の子に伝わってしまう危険があった。そう、3股をかけている事実が。

しかし、彼は日に日にこの事実を喋りたくて我慢が出来なくなって来た。
軽薄な男と言うものは、こういう「うまく運んだ色恋沙汰」は他の男達に自慢したくて仕方なくなるものである。

「この話をすれば、必ず羨ましがる人間が出てくる。」

それが面白いのだ。
でも……、大学の同じ同級生とは、夏休みのせいであまり会って喋る機会がなかった。
それで三街道はだんだんこらえきれなくなってきた。

三街道「でも、なんとかこれを誰かに自慢したい」

そう思った。




 そこで……、三街道はブログを新設したのだ。
最近ブログと言う物は実に簡単に新設できる。30分もあれば、自分のブログが開設できるのだ。

三街道はハンドルネームを使い、誰にも分からぬようにひっそりとブログを立ち上げた。
そしてインターネット上で女の子達と遊びに行った様子を書いた。







『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.22




=======================================
=======================================












『モテる男のデートブログ』



ハンドルネーム: ”ヴィジュアル系モテ男”













=======================================
=======================================






しかし………、
分かる人には分かってしまいそうなダサダサのブログタイトルとハンドルネームであった。







=======================================
=======================================



7月18日

タイトル【モテすぎて、しかたがない!】



はい、皆さん!
はじめまして!
俺は、ハンドルネーム”ヴィジュアル系モテ男”さんです。よろしく!
特にここを読んでくれる女の子よろしくね!君たちにもまだチャンスはあるからね!俺が気に入った人はBBSにカキコしてね!




今日からブログを開設します。
デートの様子なんかを赤裸々に報告したいと思います。
見たいヤツだけ見に来いよな!
俺はだらだらとデートの様子を書くから!
まあ、羨ましがるのは自由だ。




じゃあ、まず、開設1日目、行きますかぁ~~~~~~~?!








まいったよなあ~~~~。
今日もモテすぎてしかたがなかった。
”静御前”のヤツよ~~~。




=======================================
=======================================



”静御前”→静香に勝手に当てたハンドルネーム。



=======================================
=======================================




あっ、”静御前”っていうのは、俺の”第1彼女”なわけだけど。
今日のデートで、10分ほど待ち合わせの場所に遅刻して来たんだわ。
それで怒ってやったんだよ。わざと!
「こっちは20分も前から来てた!」
とか何とか言って。(実は俺も7分遅れだった。汗!)
そしたらさーーーーー、ペコペコ謝るんだよなーーーーー。
静御前のヤツよ~~~~~~。かわいいなーーーー。
まあ、静御前はちょっとツンケンした所のある女の子だから、その彼女がペコペコ謝るってのはかわいいんだよ。
ははははは!いい気分だった!
その後は2人でショッピングデートさ。




=======================================
=======================================




 こうして三街道は図に乗ってドンドンブログを更新し始めた。もちろん当の本人の女の子達にはナイショである。




=======================================
=======================================




7月19日

タイトル【いやーーーーーーー、今日もモテました!】


今日は”メロン・ディアス”とのデートだった。





=======================================
=======================================



”メロン・ディアス”→シンディーに勝手に当てたハンドルネーム。



=======================================
=======================================




ここを読んでくれる皆さん、聞いて驚け!
俺の”第2彼女”、外人女なんだわ。
それが”メロン・ディアス”。

やっぱ外人はいいよなーーーーー。日本人と全然違うぜーーーー!
その美しさっつうか、妖しさつーーーーーーか。
まっ、基本スペックからして全然違う。日本人女性がどうあがいても勝てないね!



まっ、今日はそんな彼女と普通に映画なんぞに行ってきたわけだが……。

そりゃもう、周りから目立つのなんのってーー!!!
あーーーーー、まいったね!!
周りの一般人の男どもの視線ときたらーーーーー!
そりゃもうーーーーー、すごいのなんのって!!!
なんていうか、羨ましそうな、ねたむような視線ーーーーー!!

あっははははははーーーーーーーーーーーー!

やめとけ!やめとけ!
俺のようなモテる男と張り合うのは。
どだい、元がちがうよ、元が!




=======================================
=======================================



三街道はかなり調子に乗り、ここを読む者にとって腹の立つような言葉を並べたてた。
今の彼には何のストッパーもなかった。
彼はネット上であるという事も気にせず書きまくっていた。








『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.23


=======================================
=======================================




ここだけの話、この”メロン・ディアス”ね………、
コイツは絶対俺に惚れてる!!!
感じで分かるもの!
これは最後は……………、結婚まで行きますかぁ?!!

あーーーーーーーーーーーーーーはっはっはっはっ!!!

でもホント!いい女だ。彼女と歩くといつでもまわりの視線を鋭く感じる。




=======================================
=======================================




まあ女の子達にとって、これは”遊び”のつもりだったようだ。
ブログにあるように三街道と遊びに行った事は事実だが……、
それは……、


”デート”ではなかった。


しかし、そこはネットの世界。ウソはなんとでも付ける。
それで三街道は脚色しまくりながらブログに書きたてた。

三街道は「ウソを付く事にまったく躊躇のない男」だったのだ!




=======================================
=======================================




7月20日

タイトル【モテすぎ!モテまくり!】



今日は”幼なじみ”とのデート!
いやあーーーーーーーーーーーーーーーー!!!楽しみました!!





=======================================
=======================================





”幼なじみ”→千草に勝手に当てたハンドルネーム。





=======================================
=======================================





この”幼なじみ”というのはねーーーーーーー、俺に高校の時から惚れている女でさあ。
今いっしょの大学にいるんだけどさ。

まーーーーーーーー、
おそらく、俺を追いかけてここに入学して来たんだと思うよーーーーー。
彼女何も言わないけどさーーーーー。

あーーーーははは、モテる男はちがうなーーーーーーー!!(〃∇〃)ゞ



それでさ。(o‥o)

今日はでっかい水族館に行ったんスよぉーーーーーーーーー。
いや~~~~~~~~、そこに行くと、
俺らみたいなアベックがいっぱいいてさあ~~~~。
まいったな~~~~~~~。

でも、俺の連れてる”幼なじみ”も結構かわいくってさーーーーーーー!!
連れて歩いていると、
いやあーーーーーーーーーーーー、目立つ!目立つ!

まあ、お似合いのカップルだね。
鏡に映った俺たちの姿を見たんだけどさーーーーーー。
自分で言うのもなんだけど、良い感じだったよ。


オマイラ、うらやましいだろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ははははははーーーーーーーーーーーーーーーー!




=======================================
=======================================



 …と、こんな感じで書きまくっていた。
まあ、このブログを見た人はどんな感想を持ったのだろうか?
不快に思う人も出てくるかも知れない。

しかし、幸か不幸か、このブログのアクセス数は日に日に伸びていった。







『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.24


 その内、7月末頃にシンディーが国に帰省してしまった。
そのため今後、彼女の記事はメールのやり取りぐらいしか書けなくなる。
ブログにシンディーとの”デート”(と三街道は思っていた)が書けなくなると、急にアクセス数は激減した。
やはりシンディーは人気が高かったのだ。外人女性との”デート”は珍しかったのだ。

しかし、一度は落ち込んだアクセス数だったが……、日が経つに連れ徐々に回復し、8月中旬にはシンディーがいた頃のアクセス数にまで回復した。それでますます三街道は調子に乗った。





=======================================
=======================================


8月1日

タイトル【プールだよ、おい!】



まいったよなーーーーーーーーーーーーーーーー!!!(* ̄▽ ̄*)ゞ

明後日は”プール”だよ!おい!どうするよーーーーーーーーーー?!!
あの”静御前”とプールへ行くんだよ!

そうゆう約束をしちまったーーーーーーーーー!!!!

いやーーーーーーーー!!!
俺もやるねーーーーーーーー!!!(= ̄ー ̄=)

明後日が楽しみだよーーーーーーーーーー!!

今日もモテすぎてしかたがなかった!!!!




=======================================
=======================================




シンディーがいなくなって、三街道は3股から2股へと移行した。
ブログを見る者には、三街道が取り留めのない3股・2股をしている事ははっきりと分かった。

それでも彼は日替わりで女の子とデートを繰り返していた。




=======================================
=======================================



8月2日

タイトル【海だよ、おい!海水浴場だよ!!】


まいったよなーーーーーーーーー。

明後日は”海”だよ!今年始まって最初の”海”だよ!まいったなーーーーーーー!!!
(〃∇〃)ゞ
いやーーーーーーーーーーーーー!
あの”幼なじみ”と海へ行くんだよ!
そういう約束をしちまったあああああああーーーーーーーーー!!!!

ラッキーーーーーーーーー!!!

でも、前の日はプール!
”静御前”とプールに行く約束がある!
体持つかなあーーーーーーーー?!!!

でも明後日が楽しみだよーーーーーーーーーー!!

はぁーーーーーー、モテて、モテてしかたがない!





=======================================
=======================================



三街道は幸福の絶頂だった。
女の子の方は、三街道からの誘いをあまり断らず、結果的には頻繁に会っていた。それはやはり失恋の痛手と、寂しい夏休みを紛らわす為だったようだ。

しかし、その事により………、三街道はさらに調子に乗って、だんだんとブログに写真画像も載せるようになってきた。
最初はデートした場所の風景画像ばかりだったが……、
しだいに遠くの方に小さく静香や千草が写っているものまで載せるようになってきた。








『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.25


 すると………、アクセス数は驚異的に伸びてきた。
夏休み期間中と言う事もあろうが、日に900アクセスは下らないようになってきた。
そして……、コメントの書き込みもそれにともなって多くなって来た。



=======================================
=======================================





【「本当ですか?!」】さんより「本当ですか?このブログに書かれている事は全て本当なのですか?」




【通りすがり】さんより「いやあ、羨ましいです。
”ヴィジュアル系モテ男”さんはその名の通りモテるんですね。羨ましい!私なんか全然モテません」




【偶然通りがかった人】さんより「すごい人もいたもんですね。
いやーーーーー、こんな人も本当にいるのですね」




【「信じられない!」】さんより「貴方がモテたために私の所に女の子が回って来ないのです。
もう少し身の振り方を考えてくださいw」






=======================================
=======================================




しかし、その頃から、掲示板には激しい内容の書き込みもチラホラ出始めた。




=======================================
=======================================





【名無し】さんより「このやろーーーーー!!!3股なんかかけてやがってーーーーーーー!!!
いったい、どういうつもりだ?!このヤロウーーーーーーーーーーーー!!!

1人俺によこせやーーーーーーーー!」




【名無し】さんより「おい!もっと女の子の写真載せろ!顔がはっきり写っているヤツ!
特に外人ネーちゃんのヤツを!」





【名無し】さんより「オマイのブログ見てると腹が立ってしようがない!
荒らすぞ!荒らすぞ!嫌だったら、一人女の子よこせ!」





=======================================
=======================================




しかし三街道はこれらの”荒し”に近い内容のコメントにも腹は立てなかった。むしろニヤニヤしていた。
「(今、俺は彼らに勝ったのだ。)」そう実感していた。
そしてこうコメントを返した。





=======================================
=======================================





【ヴィジュアル系モテ男】「くくく、オマイらーーーーー!これが”ヴィジュアル系モテ男”の実力よ!
そこで指でもくわえて見てろよーーーーーーー!
がーーーーーーははははは!!!!!」





=======================================
=======================================




三街道は何の押さえもせず、素のままでコメントを返した。
そして日に日に思い上がった内容のコメントを返すようになってきた。




=======================================
=======================================





【モテない男】さんより 「モテる方法を教えてください」

【ヴィジュアル系モテ男】「君の実力じゃ、女は得られんよ。あきらめな!」







【人生やる気無し】さんより「ここままでは、死ねません。このブログに書かれているような事を体験するにはどうしたらいいでしょうか?」

【ヴィジュアル系モテ男】「まあ、凡人のあなたには無理ですね。このブログでも見て満足してください」






【とても気になる】さんより「3股を続けてていいのでしょうか?」

【ヴィジュアル系モテ男】「うらやましいの?(ぼそっ)
あはははははーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」




=======================================
=======================================




この所、三街道はひどく調子に乗っていた。
最初、このブログを羨ましさから見に来ていた人達も、しだいにこのブログから離れて行った。
三街道の暴言は彼らのカンに触る物があったのだ。
三街道は見る者の事を何も考えていなかった。
ただ己の欲望のはけ口としてブログを利用しているだけだった。







『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.26


=======================================
=======================================





【彼女無し】さんより「オマイよぉーーーーー!
確かにうらやましいんだけどよぉーーーーーーーーーーー!!!!
オマイの言い方はいつも気に食わないんだよなーーーーーーー!!!
確かに、神は、今はオマイの所にだけ舞い降りたかも知れないがよーーーーーーー!
先の事になるとわからないぜーーーーーー!
人生、一寸先は闇だってよく言うじゃないか!

だからよーーーーー、俺たちに対してよーーーーーーー、
もーーーーーーーー少し優しくしてもいいんじゃないかーーーーーーーーー?」





=======================================
=======================================




しかし…………、このような書き込みに対して三街道は…………、




=======================================
=======================================




【ヴィジュアル系モテ男】「くくくくく……………………、
俺は”努力”したのだ。
いいか、この幸運を得る為に今まで”努力”して来たのだよ。
それが、今の俺と君たちの差となって現れた。

君達は努力を怠った。
だから……………、こうなったのだ。
努力したまえ。
まっ、努力が無駄に終わらない事を願っているよ!

あーーーーーーーーーーーー、ははははは!!!!」




【彼女無し】さんより「くっ、くそ!なんてヤツだ!!

もうオマイのブログには飽き飽きした!
書いてるヤツの根性が汚すぎる!!!

よく見りゃこのブログ、女の子の記事を差し引くと内容が何も無い!!!!

もうこんなとこ来るもんか!
へっ!!あばよ!」



【ヴィジュアル系モテ男】「けけけけけけけけけけけけけーーーーーーーーー!!!!」




=======================================
=======================================




 しかし、それでもアクセス数は維持された。
このブログから抜けて行く者も多かったのだが、それ以上にこのブログは世の”彼女のいない男性”を惹きつけていた。
ただし、誰かが書き込んだように、実はブログその物には内容は何も無かった………。

それでもアクセス数が維持された理由は…………、
今までは女の子の顔をまともに出さなかったが……、最近は静香・千草の画像が大きく載り始めたからだ。
しかももちろんそれは………………、彼女達の許可は得ていなかった。






『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.27


 シンディーが国に帰ってしまい、静香と千草の2人だけでは物足りなくなった三街道は、何とか別の女の子も誘おうと思っていた。

そして、ついに千草の女ともだちの内の1人に電話をかけた。
その女ともだちは、夏休み前の最後の登校日に、千草から別れた三街道の事を心配して、わざわざ戻って来てくれたあの女の子だった。





女ともだち「あれーーーーー、何なの、いきなりのこの電話は?」

三街道「うん、なに、ちょっと相談したい事があってさぁーーーーーーー。」

女ともだち「なに?」

三街道「電話じゃ、ちょっとねぇーーーーーーー」

女ともだち「”ちょっと”ってなによ?
あーーーーーーーーー!わかった!”千草”の事ね!」

三街道「うん!それもある。」

女ともだち「えっ、でも、どうして電話じゃダメなの?」

三街道「んーーーーーー、電話じゃちょっとねぇーーーーー。話し辛いよ。この問題は。
それで……、直に会ってくれないかなぁーーーーーーーー。」

女ともだち「はあ?」

三街道「君さえよければ、食事おごるからさーーーーーーーーーーーーーーーーー」

女ともだち「本当に”千草の事だけ”なの?」

三街道「ああ。」

女ともだち「じゃ、電話でいいじゃない?!!!」

三街道「電話じゃ、盗聴される恐れがあるんだよ」

女ともだち「ブッ!」

三街道はそれでも押した。
それで………、
女ともだちには彼氏がいたので、そのデートに行く前に三街道と少しだけ落ち合う事になった。






 大きな駅ターミナルビル内。

三街道「イヤーーーーーーーーーーーーー!
今日は悪かったねぇーーーーーーーーーー!わざわざどうも!」

女ともだち「でっ、何よ?」

三街道「じゃあ、そこで話しよっか!」

そう言って三街道は、ビル内のカフェを指さす。

女ともだち「いらないわよ!ここでいいじゃない?!」

三街道「誰かに盗み聞きされたらどうするんだよ?!」

女ともだち「誰がよ?!誰が、こんな所で盗み聞きするって言うのよ?!!!」

女ともだちは、2時間後には彼氏と待ち合わせているので、三街道とカフェに入るのは気が進まなかった。
それでも三街道は無理矢理その女ともだちをカフェに連れ込んだ。





そして、カフェのテーブルに座り、飲み物を2人分注文してから、
三街道はダンディーな映画俳優の気分で演技を始めた。

三街道「実はさぁーーーーーー。千草とうまくいってないんだよねーーーーー」

女ともだちはその話には反応を示した。女の子としては、やはりこういう話には興味をそそられる物がある。

三街道「それでさぁーーーーーーー、千草の好みとかいろいろ教えて欲しいんだけどさぁーーーーー!!!」

女ともだちは「そういうことなら!」と熱心に助言をし始めた。
しかし…………、これが三街道の”ウソ”だとは気付かなかった。
女ともだちは千草の為にと思って、真剣に話をした。

女ともだち「まあ、千草の好みはあれとこれと…………」

熱心に話す。
そして時間が経ち、

女ともだち「あーーーーーー!
ゴメン!アタシもう行かなくちゃならないんだわ!
彼氏とのデートがあるから!」

その時、三街道は椅子の上にうずくまった。



三街道「 痛---------------!!



女ともだち「どっ、どうしたの?」

三街道「うう…………、
痛あああああああああああああああああああああ!!」
腹が痛い!!!!」

女ともだち「大変!お医者さん呼ばなきゃ!!!」

三街道は何とか医者を呼ばれるのを断った。そりゃそうである。これは三街道のサル芝居なのだから。
女ともだちはすぐに彼氏の携帯に電話を入れて”今日のデート”を断った。

女ともだち「ゴメン。”友だち”が腹痛起こしちゃってぇーーーーーー。
そっち行けそうもないから。今日はキャンセルという事で!
そーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
そーーーーーーーーなの!急になのよ!!」



その時、三街道は顔を隠しながらニヤリと微笑んだ。







『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.28


 三街道はそれからお手洗いに向かった。
そして何事もなかったかのように席に戻ってきた。
顔には笑みを浮かべ、軽やかな歩調で歩いてきた。

女ともだち「あれ?三街道君、もういいの?」

三街道「まーーーーーーーーーーーーーーーーーね。
トイレに入ったからもう大丈夫!落ち着いたよ。
心配かけたね。
まーーーーーーーーーーーーーー気分でも変えて、
追加のコーヒーでも注文しようか?
それとも………、

場所変える?」

女ともだち「(>_<) ……………………。

いえ、結構です!」

そう言って女ともだちはまた彼氏に電話をかけようとした。

三街道「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
待った!
待ったあああああああーーーーーーーーーーー!!!

たまにはいいじゃない。積もる話もある事だしさぁーーーーー。
このまま今日は2人でいろいろ話そうよ。
彼氏とは1日ぐらい話さなくってもいいじゃない!
1日ぐらいで別れたりもしないしさ」

女ともだち「当たり前じゃない!!
1日ぐらいじゃ、別れませんよ!!
それに、なにが”積もる話”よ。
あのねえ、三街道君、言っときますけどねぇーーーー」

三街道「あーーーーー、ウエイトレスのオネーーーーさん!
こっちにケーキセット2つお願いしたいんだけど!!」

三街道は突然ウエイトレスを呼んだ。

女ともだち「あっ、あの、三街道君?!!!!」

三街道「これと、これね。ドリンクサービス付き!」

ウエイトレス「かしこまりました」

ウエイトレスは去った。

女ともだち「あっ、あのねえ!三街道君!!!!」

三街道「まあまあ、落ち着いて。
たまにはゆっくり話そうよ。
人間そうする事はいいんだ。ストレス防止のためにもね」

女ともだち「あのねえ!!」

女ともだちはラチがあかないので、また電話をかけようとした。

三街道「あーーーーーーーーーーーーーーーー!!待って、待って!

有名なケーキショップが近くにあるんだ!紹介するよ」

女ともだちは携帯のボタンを押す手を止めた。

女ともだち「知ってるわよ!だからいい。いらない。
私はもともと今日は彼と…………」

三街道「最近、千草ってさぁーーーーー」


女ともだち「 ”千草ってさぁー”じゃないわよ!!!


ウエイトレス「お待たせしました」

三街道「あっ、オネーさん、ありがと!

うわーーーーーーーーーーーーーーーー!おいしそうなケーキだね」


女ともだち「 じゃ、なくて!!!


女ともだちは三街道のペースに乗せられつつあった。
この後2時間ほど三街道につき合わされた後、やっと解放された。
女ともだちはその後、彼氏に電話をかけて今日の事を謝ったそうである。






『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.29



 そんな格好でデート……、いや、デートもどきは毎日のように続いていた。さすがにあの”女ともだち”はアレ以来会ってくれないが………。
そして幸福な夏休みもあっという間に過ぎて行った。

しかしその幸福は実は”ウソ”の上に成り立っている物だった。
女の子達は三街道を遊び相手として見ていた。しかし、それは”1対1で”と思ったからこそだった。
まさか他の女の子達にも同じように声をかけまくっていたなんて、知る由もなかった。そう三街道は彼女皆を騙していたのだ。

そして8月も終わりごろ、三街道のブログに1つのコメントが書き込まれた。



=======================================
=======================================






【確かめたい】さんより「貴方は3人の女の子の内、一体どの子が本当に好きなのですか?」






=======================================
=======================================


「はじめまして」という挨拶も無く……、そのコメントはいきなりそう書かれていた。
その頃の三街道は有頂天だったので、何も考えずにこのコメントに返答した。


=======================================
=======================================




【ヴィジュアル系モテ男】「彼女達、みんなを愛しています!」

【確かめたい】さんより「それは”3股”という事ですか?」





【ヴィジュアル系モテ男】「いいえ!私は”彼女達みんなを愛している”んです!!」

【確かめたい】さんより「でも、それじゃ………、彼女達に悪いでしょ?」





=======================================
=======================================



三街道は頭の中からパッと酔いが覚めたようになった。
そして、怒った。
彼は見ず知らずの人にそこまで言われる筋合いはないと思ったのだ。

三街道「……………いったい何のつもりで書かれたコメントなのだろうか?」

かいもく見当がつかなかった。
三街道は【確かめたい】さんのコメントにはそれ以上返答を書き込まなかった。
しかし次の日また同じハンドルネームの人にコメントを書き入れられた。



=======================================
=======================================



【確かめたい】さんより 「この女の子達は今どういう心境でしょうね?
自分が3股をかけられている事実を知っているのでしょうか?」



=======================================
=======================================


三街道は少し返答に困った。
しかし、こう思った。

三街道「(なあにネットの世界はしょせんウソだらけさ)」



=======================================
=======================================




【ヴィジュアル系モテ男】「知ってる筈です。でも、俺の魅力が彼女達を離れさせないのです。」

【確かめたい】さんより 「彼女達は”本当”に”3股”の事実を知っていますか?」




=======================================
=======================================



三街道「くくく……。”本当に”とはどういう意味だ?コイツはいったい誰なんだ?」

そこにはリンクが張られていなかったので、【確かめたい】さんがどんな人なのか見当もつかなかった。
ただ、なんとなく……………、文面から”女性”らしい事は分かった。


=======================================
=======================================




【ヴィジュアル系モテ男】「知ってますよ!もちろん!
彼女達はそれを知った上で俺と付き合っているのです!

ああーーーーーーーーーーーー!日本が一夫多妻制の国だったら、
こんなに俺が彼女達の未来を心配する事もないのにーーーーーーーー!

なんて、いつも思います。」



=======================================
=======================================







『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.30


そして同時に日記もアップしておいた。


=======================================
=======================================



8月23日


あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
明日は”静御前”と花火大会に行くんだよーーーー!
夏のしめくくりだな!



そして次に日はーーーーーーーー、くくくくく……”幼なじみ”と盆踊りを見に行くんだよーーーー。

さらに次の日にはーーーーーーー”メロン・ディアス”を空港まで迎えに行って……、その後デートするんだよーーーーー!!

いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
女の子達とのスケジュールがいっぱいでもう大変だよーーーーーー!!!」





=======================================
=======================================



静香とは明日の夜、花火大会を見に行く予定だった。
綺麗でムードがある大きな花火大会だった。
三街道は前々から”花火大会でのデート”というシチュエーションを楽しみにしていた。


しかし……………………。











■■■ ふたたび静香 ■■■






 夕方になって、三街道は携帯にメールが来ているのを発見した。


=======================


差出人 :しずか 
件名: 指定無し


=======================


三街道「やっほーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

静香からジャン!約束の時間を確かめようというんだろ!!」

いさんでメールを開く三街道。


=======================



メール本文「花火大会には行けません。あしからず……」



=======================







三街道は衝撃を受けた!







三街道「ははは、何かの間違いだろう…………?」

三街道はさっそく静香にメールを打ち返した。


=======================



差出人 :いい男、さんかいどう!! 
件名: しずかあ~~~~~~~!




メール本文「なははは……、
なんだよ静香?あのメールは?理解に苦しむよ!
何かあったの?
花火大会行こうよーーーーーーーーーーーー!!\(= ̄▽ ̄=)/」



=======================



そして、送信した。
すると……………、すぐに静香からメールが返って来た。



=======================



差出人 :しずか 
件名: 指定無し



メール本文「千草と行けば?」



=======================



衝撃を受ける三街道!!
さすがに三街道もこのメール内容を見てしばらく固まった。

三街道「なっ、なんだ?このメール内容は?」


これはいったい……………………?






続きます。



『あるモテない男の話』 act.1
『あるモテない男の話』 第2話 「二階堂には”彼女”がいる!」 act.1


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: