BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

スポルティーファイブ act.11~20


スポルティー・ファイブ [act.11]



数日後、
マギ クリスは正式に[スポルティー・ファイブ]のメンバーに加えられた。









郷田指令「[マギ クリス]君をメンバーに迎え入れたが…、
まだ搭乗パイロットが1人足りない。
これでは満足なパワーが得られないだろう。
それにクリス君はすぐ使えそうかね?」

矢樹 「彼なら心配ない。訓練すればすぐに使える。」

郷田指令「”すぐに使える”のだな?!それは良かった!
これで、
[小川 飛鳥]君
[羽山 豪]君
[神田 司郎]君と4人揃った。
あと1人いれば5人揃う。 
しかし、たとえ人数が揃ったとしても…、すぐに出撃できるものなのか?
訓練カリキュラムの方はどうだ?」

矢樹 「すでにクリス以外の他のメンバーは繰り返しシミュレーションをさせてきた。」

郷田指令「それで足りるのかね?実戦には?」

矢樹 「さあ?神のみぞ知るところだよ!」

郷田指令「後1人はどうする?誰か見込みのある者はいるかね?」

矢樹 「超能力レベルの一番高そうな者達を当ってみた。リストを調べたが、一人良いのが見つかった。興味を惹かれる人物がね。」

郷田指令「本当かね?!”君が興味を惹かれる”人物がいたとは……。
そんな事は稀だからな。クリス君を指名した時も驚いたが……。
それはどんな人物だね?」

矢樹 「[神津 アンナ]。15歳。青葉ガーナ学園の生徒。実はクリスと同じく”出身、出生、その他5歳までの記録一切無し”だ。」

郷田指令「なんだって?!
まさかそれが興味を惹かれる理由じゃないだろうな?
いかん!やはり身元不明の人間を入れるのは良くない。」

矢樹 「1人入れるも2人入れるも同じだよ。」

郷田指令「クリス君は学校からの報告では素行が良かった。
実際に彼に会うとそれがわかった。だから今は信用してる。しかし彼女は……、」

矢樹 「なに、彼らは”物”だよ。そんなに心配しなくてもいい。
使えるなら使う。バルク品と変わりは無い。使ってみて大丈夫ならそれで良いというだけだ。」

郷田指令「そんな言い方は止めてくれ。人を物扱いするのは!
もしその少女が使えなかった場合はどうする?
[スポルティー・ファイブ]の機密を教えてしまう事になるんだぞ!」

矢樹 「そんなに先の事ばかり考えても仕方ない。とにかく可能性のある人間からテストしてみよう。」







 校舎が潰れてしまい、自宅のインターネットで授業を受けることになった青葉ガーナ学園の生徒達。もちろんクリスや委員長もそうである。
彼らスポルティー・ファイブのメンバー達のために[ノアボックス]基地内には『教室』のように作られた部屋が用意されていた。
彼らはそこで授業を受ける事になった。

その教室に入って、授業が始まるのを前に委員長が教壇に立ってクリスを皆に紹介した。

委員長「皆!新しいメンバーを紹介するわ!」

教室には机がかなり置いてあったが、座っているのはたった2名だけ。
1人は短くカットして髪の毛を逆立てたヘアースタイルで、”いかにも問題児風”の[神田 司郎]。
いつも少し反抗的な態度を取る。彼も青葉ガーナ学園の生徒。

もう1人は[羽山 豪]。小柄。いかにも少年ぽい感じだ。
彼は身長も低く、早生まれで歳も1つ下だ。大人しそうで清潔感漂う感じ。彼も青葉ガーナ学園の生徒だった。

神田 「委員長!紹介の仕方がなんかおかしいで!いつもの口調と違う!妙に嬉しそうや!」

委員長「別に!普段と変わりありません!」

神田 「いいや、違うで!なんか怪しそうやな!」

委員長「違わないって言ってるでしょう!」

委員長は強く否定した。顔を真っ赤にしながら。

委員長「とにかく新メンバーを紹介します。[マギ クリス]君、16歳。同じ青葉ガーナ学園の2年です。」

クリス「[マギ クリス]です。よろしく。」

神田 「よっしゃーーーーー!
まあ、顔が真っ赤なリンゴ状態になってる委員長の事はいったん置いとこう!
俺から自己紹介始めるわ!
俺は[神田 司郎]。委員長の”彼氏”や!よろしくな!」

委員長「違ーーーーーーーーーーーう!彼氏じゃない!!
今のは違います!」

委員長はクリスの方を向いてこれも強く否定した。

その後、キチンと落ち着いて席を立った[羽山 豪]が挨拶をした。

豪 「僕は[羽山 豪]。よろしく!クリス君!」

クリス「よろしく!羽山君。」

豪 「”豪(ごう)”でいいよ。」

神田 「あーーーーーーーーーー!俺の時は”よろしく”って返さなかったぞ!」

委員長「それは貴方が変な事言ったからでしょ!」

神田 「”変な事”?言ってくれるぜ委員長!委員長には近頃愛が足りんのとちゃうか?俺に対する愛が。」

委員長「……………………。
はいはい。そこまで。そこまで。」

委員長、軽く神田をあしらう。

神田 「くーーーーーーー!!!皆の前で男のプライドを傷付けやがってーーーーー!!!」

どうも委員長と神田のこのやり取りはいつもの事のようである。

委員長「とにかく皆仲良くね。私達は”チーム”なんだから。皆の心が1つにならないといけないのよ。
そうしないと有効な攻撃力は発揮できないわ。スポルティー・ファイブはそのように設計されているマシンですから。」

神田 「はいはい。”郷田指令の受け売り”ね。もう100回以上も聞いたわ!」

委員長「くーーーー!」

神田 「でもメンバーは5人の予定だろ?あと1人必要なんとちゃうか?」

委員長「確か、マッドサイエンティストさんが”もう1人見つかった”って言ってたわ。」

神田 「おーーーーー!ホントか?!見つかったんか!
マッドサイエンティスト矢樹がそう言ってたんやな?!ならホンマや!
でっ、もう1人はどんなヤツや?
俺はもう男は遠慮するわ!来るなら美少女がええ!
俺の言う事ならなんでも素直に聞いてくれる心優しい美少女が!」

委員長「なんか………、話が違うわね。」









郷田指令「最近敵が頻繁に現れるようになった。有効な攻撃方法は今の所無い。
だからスポルティー・ファイブによる攻撃に期待している。
あれを一刻も早く動くようにせねば。補充メンバー方はその後どうなった?」

矢樹 「呼びつけた。今日ここへ”届く”。」






スポルティー・ファイブ [act.12]


その後……、[マギ クリス][小川 飛鳥][神田 司郎][羽山 豪]の4名はシミュレーションルームに入った。
ここはスポルティー・ファイブの各機のコクピットを正確に再現したシミュレーターがあった。
4名は決められたシートに座った。

教官[ナターシャ]。28歳。女性。金髪で優美な美人。階級は少佐。普段はオペレーションルームで作戦指揮の補佐をする。 

神田 「わあ、ナターシャちゃん、ひさしぶり!」

ナターシャ 「私は教官です!そんな風に言わないで!」

委員長「……………………。」

委員長はあきれ返って言葉が出ない。でもこれは毎度の事なのだ。

ナターシャ 「ではシミュレーション訓練に入ります。
今日は『ドッキング』を行います。」

クリス「ドッキング?」

ナターシャ 「5機が空中で合体してヒューマノイド形態に移行します。
つまりロボットに変形するのです。」

神田 「えーーーーーーーー!!」

ナターシャ 「私の指示通りやればできます。今日はロボットの操縦はクリス君がやってみて。」

クリス「はい。」

神田 「俺は?それは俺がしたいんですが?!」

ナターシャ 「…………。(無視)

5機で合体しないとヒューマノイド形態にはなれません。
今日は空席の一機はコンピューターが担当します。
では、シミュレーションスタート!」

コクピットのモニター画面上にはCGで作られた景色が映った。

神田 「わお!もう始まった!」

ナターシャから訓練用の模擬の通信が入る。

ナターシャ 「敵が近くの都市に侵攻してきたわ。レイドのザーク1体の存在を確認!
貴方達は現場近くの空域まで飛行後、空中で合体してください。合体はフルオートです。
しかし、全員の心が1つにならないと合体後スポルティー・ファイブは動きません。」

神田 「それはどういう事?ナターシャちゃん。」

ナターシャ 「……………………。

スポルティー・ファイブは貴方達の超能力のパワーに反応します。貴方達が心を1つにすれば、スポルティー・ファイブは設計以上のパワーを引き出せる筈です。」

神田 「なるほど!委員長!俺達の心も1つになろうぜ!」

委員長「変な言い方は止めて!」

豪 「そうです。今、心を乱すような事を言ってはいけません。」

神田 「なんだと?豪!俺に注意する気か?!」

委員長「いいからもう止めて!」

神田 「男がここで引き下がってられるかっつーーーーーの!」

ナターシャ 「皆!もう現場上空よ!ドッキングして!」

クリス「では各機ドッキング体制!」

神田 「おい、お前!いつからリーダーになったんだ?!
リーダーはこの俺だ!」

ナターシャ 「スポルティー・ファイブ、各機ドッキングシークエンススタート!」

クリス「全機同調!」

委員長「シンクロスタンバイ!オートパイロットへ切り替え。
全機、姿勢制御エンジン噴射。」

ナターシャ 「ドッキング直前にシールドを張って。気休めだけど…、少しぐらいの攻撃なら跳ね返すわ!」

委員長「了解。シールドオン!」

ナターシャ 「合体時には全機のシールドが1つにまとまるわ!」

各機体が接近。
空中で変形を開始。見る見る内に各機の形状が変わっていく。
そして5機はそのままドッキングしてヒューマノイド形態への変形を完了した。

クリス「合体成功!」

神田 「あちゃーーーーーー!!
まるでロボットアニメみたいやな!今どきこんな事をチンタラポンタラやってて敵に勝てるんかいな?」

ナターシャ 「よくやったわ!そのまま地上に降下して!」

クリス「了解!
はっ?!スポルティー・ファイブの操縦があまり効かない!」

ナターシャ 「戦闘機の時とはワケが違うのよ。操縦は難しいわ!それに皆の心が1つになってないと、上手く操れないの!」

クリス「難しいと言うより…、まったく反応が無い感じだ。」

委員長「皆!集中して!心を1つにするの!」

神田 「なら、今度デートしてくれるか?!」

委員長「くくく……………………!!」

豪 「今は大事な時です。真剣に!」

神田 「なんだと?!豪!言うようになったな!これ降りたら覚えとけよ!」

委員長「もぉーーーーー!」

クリス「操縦が、ほとんど効きません。」

ナターシャ 「シンクロメーターを見て!指数は5パーセントにも達して無いわよ。」

委員長「地上に接近!あと300メートル!」

クリス「よし、オートで逆噴射!ヒューマノイド形態なら着陸のショックを柔らげる事も可能だが、今は手足が動かない!噴射の力だけで着陸する!」

ナターシャ「燃料を節約してね!でないと、帰れなくなるわ!」

フォーーーーン!フォーーーーン!フォーーーーン!

委員長「警報よ!」

クリス「スポルティー・ファイブがまったく動かない。噴射による軌道修正も思うように効かない!このままでは地上に激突する。」

委員長「皆、心を1つに!」

神田 「なら今度いっしょに映画観に行ってくれる?」

委員長「う~~~~~~!帰れーーーーーーーーーーーー!!!」

クリス「突風だ!機体が傾く!傾斜が復元できない!ぶつかるぞ!」





ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!




全員のモニター画面が真っ赤になった。

ナターシャ 「残念ね。GAME OVERだわ。」

豪 「地上に激突か……。」

神田 「あれ、今日はハイスコア狙いだったのに。」

委員長「もーーーーーーーーーーーー!貴方のせいよ!!」








スポルティー・ファイブ [act.13]


 その日の午後。
新メンバー[神津 アンナ]が補充された。


矢樹 「くくくく………。”神津 アンナ”。いい人材だ。
超能力レベルは6だが彼女は大人しい。あのぐらいの能力があれば、もっと他に対して自己主張する性格だと思っていたが……。
何を考えているのかよくわからん。神秘性はあるがね。」

郷田指令「そんな少女に大事な機体を託すのかね?
私は反対だ。あのスポルティー・ファイブの開発にいったいどのくらいの時間と手間がかかったのか君にはよくわかっている筈だ。
万が一あれが失われでもしたら…。」

矢樹 「使えなければただの鉄くずと同じだよ。使うんだな。どんな高価な兵器といえど消耗品に過ぎんのだから。」

郷田指令「言うなれば、あれは地球の未来を託す最終兵器だ。使用は慎重にならなければ。」

矢樹 「だが、使わなければ意味がない。今は実戦だ。飾っておく物とは違うのだよ。威圧だけの兵器はいらん。」

郷田指令「くっ…………。」




その後、オペレーションルームに[神津 アンナ]が通された。
それは内に何かを秘めた趣のある少女で、一目で他と違う雰囲気があるとわかる。
小柄で、日本人離れした顔立ちの美しい少女だった。
常に冷たい感じのポーカーフェイスで、普段は笑わない。

矢樹はニヤリと笑いながら、その身長の低い少女を見下ろした。
それはいつも矢樹がいい実験材料を見つけた時にする笑い方だった。
それを察知したのかアンナは前髪の奥から矢樹を睨み付けた。

矢樹 「くくくく………。私に敵意を持つか。ますます気に入った。
君に決めよう。正規メンバーに入ってくれ。直ちに訓練を受けろ。」

郷田指令「なんだって!まだ適正テストもしてないんだぞ!」



矢樹はナターシャを呼んで、アンナをひとまず自室になる部屋に連れて行くように頼んだ。
オペレーションルームからアンナとナターシャが退室するなり、郷田指令は矢樹に言った。

郷田指令「正式採用するのは、せめて彼女の適正テストが終わってからにしてくれ!」

矢樹 「いや、もういい。その必要は無い。
敵がすぐそこまで来ているのに、そんな悠長な事は言ってられない。
彼女は道具なんだ。
それに、訓練こそ最大のテストだ。」

郷田指令「くっ!」

郷田指令は思わず矢樹を睨んだ。

矢樹 「君まで私を睨むのか?」

郷田指令「”もう少し慎重にすべきだ”と言いたいだけだ。」

矢樹 「くくく………、まあいい。それなら明日は私がメンバーのシミュレーションを直に監督しよう。」







 次の日。
ナターシャ教官が新メンバーの[神津 アンナ]を連れて『教室』に入ってきた。

ナターシャ 「新しく入った[神津 アンナ]さんです。皆さんと同じ青葉ガーナ学園の生徒です。仲良くしてあげてね。」

神田 「ヒョーーーーーーーーーーーーー!!すごい”美少女”ジャン!」

委員長「こら!そこ!うるさい!」

神田 「これはやる気が出て来たぜーーー!!まずは俺、自己紹介するわ!」

ナターシャ 「あっ、それは順番に。まずは小川さんから……。」

神田 「俺、[神田 司郎]!もちろんガールフレンドは今おれへんで!
俺の好みのタイプはやな……。」

委員長「次!私が自己紹介します!」

神田 「あれ?俺の自己紹介まだ終わってへんで。これからが重要なとこなんや!」

委員長「私![小川 飛鳥]!
貴方と同じ青葉ガーナ学園の生徒です。向こうでは”委員長”やってます!こちらでも”委員長”です。あだ名も”委員長”です!」

それだけ言うと委員長は怒って席に座った。

神田 「フーーーー。何怒ってんだか?
話が前後しちまったようだが……、俺は今恋人募集中で………、」

ガタン!

今度は豪が勢いよく立ち上がった

豪 「僕は[羽山 豪]。青葉ガーナ学園の生徒です。よろしく。君を歓迎します。」

アンナは豪を見つめた。そして少し頷いた。

神田 「あーーーーー!俺の時は頷きよらへんかったでーーーー!
どういうことや?!俺は………。」

今度はクリスが席を立ち上がった。

クリス「僕は[マギ クリス]。よろしく。」

クリスが自己紹介すると、アンナはじっとクリスの目を見つめた。
クリスもその少女の吸い込まれそうな美しい瞳を見つめ返した。
そのまま2人はしばらく見つめ合った。
尋常ではなさそうな2人の出会い………。委員長はその様子を驚きの表情で見つめていた。

神田 「なんや!その2人のラブラブモードみたいな”見つめ合い”は?
2人だけの世界に入りやがって!
俺を差し置いてーーーー、このーーーーーー!!」



ナターシャ 「では、昨日失敗した『ロボットの操縦』のシミュレーション訓練を今日も引き続き行います。」







スポルティー・ファイブ [act.14]


シミュレーションルームに行くと、そこで矢樹が待っていた。

神田 「げっ!」

アンナはまた矢樹を睨んだ。

矢樹 「諸君、久しぶりだな。私のかわいい実験体達よ。
合体後のヒューマノイド形態の操縦が出来ないだって?
くくく……、もともと子供には操縦は無理なんだよ。
完全に心を通わす事など出来んからな。」

神田 「なっ!なんだと?!」

矢樹 「まあ、せいぜい同じ失敗を2度しないように気を付ける事だな。今日は私が見ててやる。しくじるなよ。」

神田は小声でつぶやいた。

神田 「けっ!言いたい事言いやがって!」

こうして全員がシミュレーターのシートに座った。
全部のシートが埋まるのはこれが初めてである。

矢樹 「いいか。心を1つにするんだ。簡単だろ?」

神田 「くっ!今日はアンナちゃんがいるんだ。彼女の為にもがんばってやるぜ!」

委員長「なにか違う……………………。」

矢樹 「スポルティー・ファイブとは唯一この世界で戦える兵器なのだ。本当はお前達にはもったいないマシンだ。」

クリス 「…………。」

神田 「けっ!」

矢樹 「では、シミュレーションスタートだ!」








 テレビモニター上には昨日までとは違い、嵐の中を飛行している光景が映った。
それはどんよりとして真っ暗に近い映像。吹き付ける多量の雨が描写されていた。
なんというか、昨日までの美しいCG映像とはうって変わって、見ているだけで嫌な感じになる。

神田 「なんや?これは?前が見えへんで!」

クリス「赤外線モニターオン!」

神田 「おっ!赤外線モニターに切り替えたら、見えよるで!」

ナターシャ 「敵が都市を襲っています。ザーク3機の存在を確認。」

神田 「ナターシャちゃ~~~~ん!いつも一機の筈だろ?どうして今日は3機もいるの?
俺達は初心者なんやでーーーーーー!」

ナターシャ 「都市に多数の犠牲者が出ています。急いで!」

クリス「よし!ドッキングだ!」

神田 「おい!俺がリーダーや言うたやろ!
アンナちゃんの前やからゆうて、えーーーかっこすんなよな!」

クリス「スポルティー・ファイブ、全機ドッキングシークエンススタート!」

神田 「だーーーーー!俺がリーダーや言うとるやろ?!」

委員長「全機同調開始!精神を集中して!」

神田 「よっしゃあーーーーー!!任せんかい!精神集中は得意中の得意や!
アンナちゃん、見ててくれよぉーーーー!!」

委員長「シンクロスタンバイ!オートパイロットに切り替え。
全機、姿勢制御エンジン噴射。シールドオン!」

クリス「シールド展開確認!」

空中で飛行中の各機体が接近。オートパイロットでドッキングに成功した。

クリス「ドッキング完了!」

神田 「さーーーーーー!これからが俺の腕の見せ所や!
今日は俺がスポルティー・ファイブを操縦するでえ!」

委員長「貴方は黙ってなさいよ!操縦はクリス君に任せなさい!」

神田 「嫌だあーーーーー!アンナちゃんにいい所を見せるんだーーーーーーー!」

委員長「黙りなさい!」

クリス「操縦が効かない!シンクロメーターがまったく上がらない!」

委員長「え?また?!」






スポルティー・ファイブ [act.15]


神田 「なら俺にやらせてみろ!」

委員長「操縦を代わったって、動かないものは動かないの!神田!貴方が集中しないせいよ」

神田 「なんだい、呼び捨てかよ?!」

豪 「地上まで後300メートル!」

クリス「噴射だ!それでなんとしても着陸する!」 

委員長「緊急噴射モードに移行!」

噴射によりスポルティー・ファイブは地上に軟着陸した。
コクピットはその時の揺れを正確に再現した。
それはいつもと違い激しい揺れだった。

委員長「きゃーーーーーーーーーーーーー!!」

神田 「うわたたたたた!頭ぶつけた。」

クリス「なんとか着陸した!しかし、反応が無い。スポルティー・ファイブが動かない!」

ブーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

委員長「警告表示よ!敵にロックオンされたわ。攻撃が来る!」

クリス「シールドを前面に集中して張ってくれ!」

委員長「シールド展開!敵からレーザーが来るわ!」

モニター上に閃光が一瞬再現されたが、すぐにスモークが下りた。

神田 「ぐわ!目が、目が見えへんで!」

委員長「まともに画面を見るからよ!
レーザーは跳ね返したわ!
でも、今度は敵がミサイルを発射したわ。
……待って!軌道が変よ。こっちに向かって来るのではなくて上昇してる!」

豪 「誘導ミサイルなんだ。シールドの張られてない背面を狙っているんだろう。
こちらもホーミングミサイルで応戦する。
迎撃用バルカンは使えないからね。スポルティー・ファイブが動かないから!」

豪はミサイルを発射。
すぐ近くで敵とこちらのミサイル同士が爆発。またもや大きな衝撃がコクピットに走る。

神田 「ぐわーーーーーー!」

委員長「きゃーーーーーーーー!」

神田 「再現性が凄すぎる!ゲームセンターの筐体もここまではいかんで!!まるで絶叫マシンに乗ってるみたいや!」

これまで直立していたスポルティー・ファイブだったが、不意に傾き始めた。

クリス「機体が倒れる!」

委員長「え?」

クリス「姿勢制御エンジン噴射!」

クリスは倒れる方向にエンジンを噴射してなんとかしのいだ。

委員長「姿勢制御用の燃料がかなり減っているわ!
はっ?敵からまたミサイルがたくさん来てる!」

神田 「何機や!数を言わなきゃわからへんで!」

ミサイル数を表すデジタル表示が高速で変化する。

委員長「多すぎて特定できない!」

豪 「多弾頭ミサイルで応戦する!」

スポルティー・ファイブからミサイルが発射された。
それは空中でさらに小さな無数のミサイルに分離し、それぞれが敵ミサイルに向かって飛んで行った。そして、命中。かろうじて敵の攻撃をかわした。
しかし、その後も次々と敵ミサイルは増えていく。




豪 「もう迎撃ミサイルの残弾数は0だよ!」

委員長「なんですって?!」

クリス「攻撃は無理だな。退却しよう!
空中でドッキングリリースする!噴射で空中へリフトアップ!!」

通常エンジンを使って空中に舞い上がるものの…………、そこへまた敵のミサイルが迫る。

クリス「よし!ドッキングリリース!」

空中で各機体はドッキングを解除した。そしてそれぞれが戦闘機形態に変形。そのまま飛行した。
その頃、ミサイルが各機に追いつく。

クリス「各機!シールドを張れ!」

ミサイル命中!
まず神田機の画面が真っ赤になった。

神田 「げっ、GAME OVERやあ~~~~!」

そして、委員長の画面も。

委員長「…………。」

何とか逃げる豪だが、ミサイルに追いつかれ、ついに画面が真っ赤になる。

豪 「やられた!くそっ!」

クリスはアンナの機体をカバーして自分からミサイルに当った。
クリスの画面は真っ赤に。
しかし、アンナだけはそのおかげで逃げおおせた。

神田 「ああーーー!俺がアンナちゃんを守りたかったのにぃーーーー!」

委員長「もーーーーーーーーーー!!
今日はサイアク!
神田君、貴方のせいよ!精神集中できなかったのは!」

神田 「へっ?俺のせい?なんで?」




矢樹 「くくくく………。ぶざまだな。これでは実戦でまったく役に立たんだろう。」

神田 「なんだと?!」

矢樹 「パイロットを全員交代させる事も視野に入れておかなくてはな。」

神田 「くく…………!」






スポルティー・ファイブ [act.16]

午前中のシミュレーション訓練はそれで終わった。
午後も同じように訓練が行われたが……、矢樹はもう参加していなかった。
そして今度は”雨の中を飛行するプログラム”も、”たくさんの敵機が現れるプログラム”も無かった。
だが………、結局その日のシミュレーション上では1度もスポルティー・ファイブは動かなかった。






矢樹はオペレーションルームに帰って郷田指令に話した。

矢樹 「彼らは使えんね。チームとしては最低だ。もっと他のメンバーを探してみよう。」

郷田指令「なんだって?!使えるという話では無かったかね?!」

矢樹 「個人では使える人材でも、チームでは無理だったのだ。」

郷田指令「いまからまた探し直すのかね?大変だぞ。もう超能力レベルの高い者はそうそういない筈だ。」

矢樹 「低くてもいい。今の彼らよりはマシだ。
それとも……、彼ら自身がなんとかしてくれればいいのだが……。」

郷田指令「彼ら自身が?」






 今日の訓練は全て終了していた。稀に見るハードな訓練だった。
夕方、皆は『教室』に帰って来て休んだ。そこは矢樹やナターシャ教官はおらず、青葉ガーナ学園の生徒達だけの空間だった。
神田は机の上に上半身を伏せた。

神田 「それにしても、あったまくるなあ、マッドサイエンティスト矢樹!
誰だって最初は上手くいかないモンだよ。それを……。」

委員長「貴方が……、皆の集中力をそいでいるからいけないのよ!」

神田 「俺のせいだって言うのか?!」

委員長「ええ、そうよ!貴方のせいだわ!貴方さえ乗らなければ…………。」

神田 「なんだよ!その言い方!”乗らなければ”だって?
俺は除け者扱いかよ?!」

委員長「違うわ!”もっとしっかり集中しなさい”と言ってるだけよ!」

神田 「集中してるって!なあ、アンナちゃ~~~~ん!」

そう言って神田は後ろの席にいるアンナの方を振り向いた。
一瞬引くアンナ。




クリス「とにかく練習を重ねないと……。
そうだ。皆、自主的に練習しないか?シミュレーションルームを使わせてもらおう!」

神田は大きく口を開けて固まってしまった。

委員長「賛成!皆でやりましょう!」

豪 「僕も賛成だ。」

神田 「俺、パス。」

委員長「え?何を言ってるの!」

神田 「疲れた、疲れた、疲れた。
それに、そんな事しても給料に入んないから。」

委員長「確かに私達はここからアルバイト代のお給料をもらっているわ!
でも、訓練メニューに入ってないからと言って、訓練しないでいいわけ?
あのスポルティー・ファイブを一日でも早く操縦できるようになる事が大事だわ。私達にはその責任がある!」

神田 「いいジャン、別に。そんなに慌てなくても。ゆっくり慣れていけばいいのさ。とにかく俺はパスね。」

委員長「……………………。」

委員長は「見損なったわ」という目線を神田に投げかけた。

アンナ「悪いけど、私も疲れた。今日は休みたいわ。」

委員長「そうね。貴方はシミュレーション訓練も今日が始めてだったわね。いいわ。自室に戻って休んでいてください。」







スポルティー・ファイブ [act.17]


こうして、軽く夕食を済ませた後、[マギ クリス][小川 飛鳥][羽山 豪]の3名だけがシミュレーションルームに入った。
時刻は午後9時。消灯まで後一時間たらず。
1日で一番ホッとする時間を全て訓練に費やす事になった。



3名はシートに着いた。

クリス「では神田機とアンナ機の代わりはコンピューターが担当する。それでは各機発進!」

さっそく敵が現れた。

委員長「敵をレーダーで捕らえたわ!
数は1機よ。都市を攻撃しているわ。」

クリス「よし、ドッキングするぞ。ドッキングシークエンススタート!
全機同調開始!精神を集中してくれ!」

委員長と豪は瞑想にも似た感じで精神集中を始めた。そしてクリスも……。
シンクロメーターが上昇する。

委員長「シンクロメーター、40パーセント!」

各機は空中で接近。今回は寸分の狂いも無い。ドッキングはスムーズに決まった。

クリス「ドッキング完了!」

委員長「うわあ、すごい!ドッキング時のショックが全然無かったわ!」

クリス「よし!動くぞ!スポルティー・ファイブが操縦できる!
このまま着陸態勢に入る。」

スポルティー・ファイブはクリスの思い通りに操縦でき、見事に地表に着地した。
今日は噴射は最小限しか使わなかった。この前の時と燃料消費量が全然違う。

クリス「初めて動かせたんだ!」

ビーーーーーーーーー!

委員長「敵に発見されたわ!シールドオン!前面のみに集中するわ!」

クリス「シールド展開確認!」

豪 「攻撃準備する!まずはどこか遮蔽物に身を隠してくれ。」

委員長「ビル群の後ろに回り込めば良いのよ。」

クリスはスポルティー・ファイブを素早くビルの後ろに回り込ませた。

豪 「上手い!
よし!ここからだと長距離ライフルを使った方がいい。」

長距離ライフルを構えるスポルティー・ファイブ。
瞬間的にスコープ上に敵を捕らえ、攻撃する。
弾は見事に敵に命中。撃破に成功した。

委員長「やった!やったわ!初めて私達が敵に勝ったのよ!やれば出来るんだわ!」

委員長は少し涙目になっていた。これまで攻撃成功は無かったからだ。
今日は敵はレーダー上から完全に消滅していた。

クリス「そうだな。
でも、スポルティー・ファイブに身を託す時は本当に精神集中が必要だと分かった。」

その後、皆は解散してそれぞれの自室に帰った。
疲れてはいたが、充実感を味わっていた。









 ベッドに身を横たえるクリス。
今日はシミュレーションを合計3セットもこなした。さすがに余力は無い。
ベッドの上で休んだ。しかしなかなか眠りにつけなかった。
1時間ほど経って、まだ眠れぬクリスは矢樹から言われた言葉を思い出した。

矢樹 「スポルティー・ファイブとは唯一この世界で戦える兵器なのだ。本当はお前達にはもったいないマシンだ。」

不意にクリスはその事を調べてみる気になった。







スポルティー・ファイブ [act.18]


クリスは起き上がって自室に備え付けられたコンピューターから軍のデーターベースへアクセスした。
特に軍の最重要機密が置いてある『部屋』に進入してみた。
そして質問文を入力した。

クリス「”スポルティー・ファイブ”とはなにか?」

するとデータベースの人工知能が質問に答える。

AI「その質問に答えるには貴方のIDナンバーとパスワード、そして軍のキーカードが必要です。
その後、眼球の虹彩認証を受けてください。
なお、この質問・返答内容は絶対に他者に口外しない事。またコピーやメモを取らない事。」

クリスは軍からもらったスポルティー・ファイブのカードキーを取り出して、パソコンのカードリーダーに読み込ませた。
そして与えられたIDナンバーとパスワードを入力した。さらに眼球で認証を行った。
すると人工知能は質問に答えた。

AI「スポルティー・ファイブとはこの世界で唯一効果的に戦える兵器。
それはこの世界で戦う事を前提に造られた兵器。」

説明はこれだけしか無かった。よくわからない説明だった。
さらに兵器閲覧の際に必ず出る『詳細説明』が付いていなかった。
クリスはさらに質問を続ける。

クリス「スポルティー・ファイブにはどのような能力があるのか?」

AI「この世界の規律と規則の間に割って入る事が出来る。
理論的にはそのパワーや能力は成長していく物とされている。MAXパワーについては不明。」

クリス「”この世界”とは?また”規律や規則”とはなにか?」

AI「”この世界”についての質問にはそのIDやカードキーでは答えられない。

”規律や規則”はこの世界では絶対的な物。
それ以上はこのIDやカードキーでは答えられない。

なお、この質問をした事は記録される。また上官に通知される。」

クリス「この質問内容は機密に触れるのか?」

AI「そうだ。」






クリスは検索をして”以前の世界”という項目を見つけた。
ここのコンピュターに記録された”以前の世界”。それは今のような綺麗な世界ではなかった。
ゴミ・リサイクル問題、環境汚染、戦争……。

一方今の”この世界”は……、
空には美しい鳥が絶えず飛び回り、ゴミの埋立地や汚い河川はほとんど見当たらない。
自然は美しく広がっており、災害が起こっても人命が失われる事は少なくなっていた。
地球温暖化は徐々に回復の方向に向かい、病気や飢餓に苦しむ人々は世界中で激減していた。

人口が増えた人類は、地球軌道上にスペースコロニーを建設して、そこに人々を住まわせた。
コロニーの建設はある時期を境に飛躍的に伸びていた。どこからそんな大金が出ているのだろう?
以前は確か資金調達が出来なくて宇宙開発は遅れていたのに。

コロニーは実に上手く作られていて、美しい自然環境も存在した。一度入居した人々は満足して、2度と地球の地表に自分の家を建てようとはしなかった。

クリス「これはいったいどういう事だ?
地球上にあったさまざまな問題がいっきに解決に向かって行くような感じだ。
確かにそれは喜ばしい事ではあるが……。
いままではそれらの問題と戦うために数々の苦労や難題があった筈だが、それがいとも簡単に解決されて行った気がする。」

緩やかではあったが地球は変化していた。それも良い方向にばかりに。
少しは悪い方向に進んだ項目もあったが、それは意図的な物のように思えた。

クリス「こんな事がある筈がない!」

つい、クリスはそう漏らしてしまった。






クリスは再び人工知能にスポルティー・ファイブについて聞いてみた。
誰がどのような目的で開発した物かわからないからだ。
今はまだ正規の兵器リストにも載っておらず、軍の中でもこの兵器の存在を知るものは少数である。

クリス「ではスポルティー・ファイブの搭乗者はどのような選択基準で選ばれたのか?」

AI「健康的で、協調性が有る人物。
特殊な超能力を持つ者である事が必須条件。
超能力がスポルティー・ファイブの持つ機能とシンクロする事が望ましい。
搭乗者全員の意思が1つになれば、この兵器は秘めたるパワーが発揮出来る。」

クリス「”秘めたるパワー”とは?」

AI「強大な力の事。
まだそれは未知数。今後研究を進めなくてはならない。

なお、それ以上はこのIDやカードキーでは答えられない。」

クリス「それではよくわからないな……。」

クリスは一度そこからログアウトした。眠りにつく為だ。







スポルティー・ファイブ [act.19]


次の日、オペレーションルームに緊張が走った。

オペレーター「”空間の歪み”が始まりました。かなり近い場所です。
また青葉ガーナ学園の存在するエリア内、この間の出現場所の近くです。」

郷田指令「”歪み”だと?空間が歪んでいると言うのか?」

矢樹 「やはりここが”虚構の世界”だったという証明のようなものだ。」

郷田指令「これだけで断言できるのか?」

矢樹 「いいや。見たままを言っただけだ。はっきりした事は詳細に調べて見ないとわからん。」

レイドのザーク1機が現れ、都市への攻撃を始めた。
ナパームのような兵器で焼かれるビル群。たちまち辺りは火の海になった。

郷田指令「本格的な攻撃だな。」

オペレーター「このままではかなりの犠牲者が出ます。」

郷田指令「直ちに部隊を出動させろ!全部隊を!」

矢樹 「見かけに釣られて、慌てて全部隊をぶつけてもレイドの作戦に乗ってしまうだけた。
甘く見てはいけない。本当の戦いはこれからなのだ。」

郷田指令「では、どうしろと言うのだ?」

矢樹 「まずはスポルティー・ファイブをぶつけてみよう。
空中ドッキングをさせ、敵から離れた地点に着陸させるのだ。危険になれば引き返させる。
なあに、時間稼ぎにはなる。」

郷田指令「いきなりそんな事を?!
確か今のメンバーでは実戦は無理だと言っていたのではなかったか?」

矢樹 「だから”離れた”所に着陸させるのだ。」

郷田指令「いったいそれに何の意味があるんだ?あれは本来温存しておく兵器の筈だ!」

矢樹 「だが、どうせ捨て駒さ。」

郷田指令「なんだって?!」

矢樹 「何を驚いている。
どんな兵士も戦争の道具である以上は駒の一つに過ぎない。
我々も含めて、全て[ブラックガバメント]の操り人形に過ぎんのだ。」

郷田指令「そんな事はない!」

矢樹 「オペレーター!とにかく出撃させるのだ。」

ナターシャ「待ってください!彼らはまだヒューマノイド形態のスポルティー・ファイブを動かせないんですよ!」

矢樹 「今、使わなくてどうする?実戦も訓練の内の1つだ!」

ザークは[ノアボックス]の基地目指して前進していた。
都市は大火災に見舞われ、消防の車輛は周辺の都市からも全車出動していた。
しかし敵の攻撃は激しく、消防の車輛も次々に破壊されていく。

郷田指令は[ノアボックス]の通常兵器を順次出撃させて、ザークと戦わせたが……、あまり効果は無かった。武器による攻撃がほとんど効かないのだ。
逆にザークの攻撃によって、[ノアボックス]の戦闘機は次々と落とされていった。

オペレーター「敵に攻撃が当っても、ダメージをほとんど与えていません!」

郷田指令「このままでは犠牲が増える……。止むをえん。
スポルティー・ファイブを出撃させろ!」

ナターシャ「でも!」

郷田指令「敵から離れた所に降下させるんだ!それで時間をかせげ!」

ナターシャ「しかし、もし攻撃を受けたら……!」

郷田指令「その時は……、空母[レッドノア]で捨て身の攻撃に出る。」






スポルティー・ファイブ [act.20]




空中を飛行できる空母[レッドノア]は、まだノアボックス基地に係留されていた。
そこからスポルティー・ファイブの戦闘機形態が発進する。

[マギ クリス]
[小川 飛鳥] 
[神田 司郎]
[羽山 豪]
[神津 アンナ]
の5名は各機体に搭乗した。

ナターシャ「各機、発進準備はいいわね?!」

クリス「OK!」

ナターシャ「ではクリス機から発進します。空母レッドノア、フロントベイオープン!カタパルト準備!」

オペレーター「フロントベイオープン!カタパルト接続よし!」

ナターシャ「オールグリーンです。クリス機、発進どうぞ!」

クリス「了解。発進する!」

スロットルレバーを引く。
クリス機はカタパルトに押し出されながら発進した。

クリス「物凄いGだ。シミュレーターとは較べ物にならない。」

それでもクリスの機体は[レッドノア]の艦首から一直線に空へ飛び立った。
綺麗な白い排気炎を残しながら。







その後小川機が発進の為にカタパルトに乗った。

委員長「小川機、行きますーーーー!」

カタパルトが動く!

委員長「きゃーーーーーーーーーーーーーー!!!」

あまりの衝撃に委員長は驚いて身を小さくする。がたがたと震えている。
カタパルトは重量のあるスポルティー・ファイブの機体を軽々と前に押し出す。
小川機は空中に舞った。

ナターシャ「小川さん、大丈夫?」

委員長「はい。なんとか……。」

小川機、発進に成功。だが機体は多少ふらついていた。





神田 「なんや?委員長のヤツ!普段は威張っとるクセに。なさけないのーーーーー!」

ナターシャ「神田機、発進どうぞ!」

神田 「はいはい。こんなカタパルトのGぐらい楽勝だぜ!」

ガタン。プシューーーーーー!

神田 「うわああああああああああああああああ!!!」

絶叫!
神田機は最初コントロールレバーを引き過ぎて、急上昇した!それをナターシャに注意され、やっと機体を通常の上昇角度まで戻した。

神田機も発進に成功!ただ、何か力無く飛行して行く感じだ。





ナターシャ「続いて羽山機、発進どうぞ!」

豪 「はい!」

ガタン。プシューーーーーー!

豪 「くっ!」

豪は強力なGに耐えた。コントロールレバーを必死に握り締めている。
何としても飛行を成功させたいとの願いが滲み出ていた。

そのかいあって羽山機は比較的正常に発進できた。





ナターシャ「続いて神津機!
神津さん、貴方はまだシミュレーターさえ不慣れだけど………、こちらで精一杯サポートするから!頑張って!」

アンナ「わかりました。」

アンナは抑揚の無い声で答えた。顔はまったくの無表情である。

ナターシャ「神津機、発進!」

アンナ「はい。」

ガタン。プシューーーーーー!

アンナ「うっ…………。」

アンナはGに耐える。しかし小さな身体には大きな負担であった。
その後、レッドノアから出た後、アンナ機は上昇が遅れた。
機体は下がって行き、このままでは地面に激突する恐れが出てきた。
だが、ナターシャに注意され、しばらくしてからやっと機首を上げた。
アンア機も発進に成功!

なんとか無事に全機が発進した。
郷田指令は大いに肝を冷やした。



こうして5機は編隊を組んで大空へと舞い上がった。










続きます。

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