BLUE ODYSSEY

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第7話 委員長の恋 act.61~70




しかし委員長は朝になって、夢から覚めると、

委員長「なあんだ、あれはただの夢だったのかぁ?」

と考えた。
ただの夢。たまたま見た夢がそうだったというだけだ。
昨日、「空白時間の正体は恋だった。」と思った事が、実は夢の中だけで考えた事のように思えた。
夢ではよく途方も無い考えをめぐらす。夢の中ではそれが一見筋が通っているように思えても、目が覚めて見ると、まったく根拠の無い話だったり、繋がっていない話の時がよくある。
夢の中に出て来た男性に心当たりはない。
しかし、どこかであったような、そんな気はしていた。

朝起きて、その事を同じ部屋で寝ていたアンナに話すと、アンナも同じ男の子のイメージを夢で見たと言う。

委員長「同じ夢?貴方も同じ夢を見たと言うの?そして同じ男性が出て来た?」

その男性の顔はアンナの夢の中でも出て来なかったが、男性の仕草や特徴は委員長の見た印象と一致した。”控えめで丁寧。やさしい言葉をかける。”等も。

アンナ「貴方にも特殊能力があるという事だわ。予知夢が見れるんだわ。」

委員長「私にも特殊能力が……。」

だが委員長は半信半疑だった。女の子が真剣に「占いは当るのよ」と言っているようなものだと考えた。その根拠は薄いものだと。







次の日の日曜。委員長はアンナに連れられてあの火災が起こったビルに行く事になった。
アンナがどうしてもそこに行きたいと言い出したのだ。
委員長はついて行く事にした。

それから委員長の携帯はけたたましく何度も鳴った。
メールが来たのだ。発信人は全て[神田司郎]となっていた。

委員長「もーーーーーーう!ハンドルネームぐらい使いなさいよ!」

メールの内容は全て同じ物で「アンナちゃんをつれて街に行こう!」という物であった。

委員長は自分の携帯が何度も鳴る理由をアンナに説明した。
そして神田が誘っている事も。
アンナは「別にかまわない。」と言った。
そこで委員長は神田をさそう事にしてメールの返事を返した。
その返事はものの30秒で返って来た。
もちろん「今からそっちへ行く!」と言うものだった。





そしてそのビルにやって来た。神田もしっかりついて来ていた。
神田はしつこくアンナをエスコートしていた。
だが、アンナはあまり嫌がるでもない。ただ神田は軽くかわされているような感じはあった。
委員長が代わってその事を謝った。

委員長「ごめんなさいね。”この男”いつもこうなの。かわいい女の子を見るとこうなるのよ。」

神田 「おい!委員長!なっ、なんや!その言い方は?!」

委員長「他の女子にもこうするのよ、気にしないで。」

神田 「だーーーーーーーー!そんな言い方ってないやろ?!
”他の女子”ってどういうことや?俺は知らんで。

アンナちゃん。誤解せんといてや!俺は紳士や!こんな口の利き方するのはアンナちゃんだけや!」

委員長「この間出会ったばかりなのに、もう”ちゃん”呼ばわり?」

神田 「くくくくく……………………。」

神田は負けそうだった。
その様子を横で豪が見て笑っていた。
豪も委員長に呼ばれて来ていたのだ。





スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.62] 285



神田 「所で、何で君まで来たの?」

と神田は豪に言った。

委員長「私が呼んだんです。やっぱり”男の人”がいないと何かと無用心でしょう?」

神田 「なんやその言い方は?!俺も”男”なんやで!!」

委員長「だから!貴方が危ないんです!」

神田 「くくくく!」

豪がまた笑った。




委員長・アンナ・豪・神田の4人は目指すビルにやって来た。
アンナは何かに導かれるようにこのビルに来る事を望んだのだ。
なぜ導かれたのかは当のアンナ自身にもわからなかったが。


ビルの内部に入った。
このビル内の主な階は『博物館』や展示場だった。
もともとはいろんな物を展示するマルチ的な博物館がメインであり、ビル自身はビジネス街の中心に建っていてビジネスマンなどを主なお客としていたので、これまで展示内容は次々と変わっていた。今は『歴史博物館』となっている。

4人は展示の順路の入り口から入った。5階分ぐらいにわたって展示があるようだ。
あれほどの火災が起きたというのに、中は綺麗だった。
火災が起こったという痕跡は見当たらない。壁は白くて新しいままだし、展示物もきちんとされている。ショーケースのようなガラスの展示棚も火災の跡などない。

委員長「変ね?全然大丈夫みたいだわ。あれだけ燃えていたのに?」

豪 「それにもう開館しているなんて……。不思議です。何かあります。きっと。」

神田 「ここが開館を急いだのは……………、俺とアンナちゃんの仲を取り持つ為や。
今日のデートのためにわざわざ開館してくれたんや!」

委員長「……。」

他に比べて特に入館料が高いわけでもないのに、これほどまでに中は綺麗になっており、博物館は通常と変わらぬ感じで開いていた。

豪 「不思議ですね?ここまで綺麗に修復されていると、火事になったという事がわかりません。」

神田 「ほんまやな。不思議や。
でも、まあ、気にせんと行こか!」

神田はアンナの手を取った。

委員長「あっ!」

しかし、またアンナは嫌な表情はしなかった。






スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.63] 286


その博物館の展示内容は………、『コンピューターやIT関連の観点から歴史を見る』という展示がなされていた。

アンナ「……。」

委員長はこの展示内容には正直わくわくしなかった。それよりもファッションか、飲食店の変遷について展示してくれた方が興味を惹いただろう。
でも、豪は結構展示内容に注目していた。
そして、順番に歴史年表を見ていった。
アンナもそこに目を通していた。



[コンピューターの変遷。電気製品の進化]

等について簡単に書かれた年表があった。
それと合わせて人類の歴史が簡単に書かれている年表もあった。コンピューターの進化などと平行してその時代背景が簡単にわかるようになっていた。豪はそれらを詳しく見て、西暦2080年頃から歴史が”おかしくなって来ている”事を発見した。

豪 「西暦2080年代から”異星人や異次元人からの攻撃があった。”とあります。」

神田 「異次元人?何やそれは?」

豪 「”別の次元の人間の事”でしょう。」

普段から豪は物事をオーバーに言ったり嘘を付いたりする人間ではない。
神田はその話を素直に信じた。

神田 「そないなもんがあったなんて……。」

豪 「まだこの事は公には詳しく公開されていない筈です。
ネット上のマニアックなサイトに”不確定のゴシップ記事”としてはよく載っていますが……。」

神田 「”ゴシップ記事”って?」

豪 「まあ簡単に言うと、”宇宙人の死体を解剖した!”なんていう、世間を騒がせる嘘っぽい記事の事ですよ。」

神田 「なんや、テレビ番組の”脅威!!私は見た!宇宙人と格闘!”とか”カメラが捕らえた真実!墜落したUFO動画!”とかいうのと同じね。」

委員長「……………………。」





豪は展示物の中で、この時代にやり取りされたメールが展示されているのをみた。
恋人同士のメールや親子の間で交わされたメール等があった。代表的な物が100通ぐらい展示されていた。豪はその中で、自分達に届いた不思議なメールと同じ内容が書かれた物を発見した。

豪 「これは?!」



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”もし万が一、緊急な事態に陥り、歴史が変わってしまったら、故意に歴史を変える努力をせよ。そうすれば、連鎖作用により歴史は元の”流れ”に戻るかも知れない。

小さい事でもいいから、それを元の歴史に戻るような方向へ変える事だ。
歴史は意外に小さい事から大きな流れへとつながって行くものだ。
それに小さな事を変えると、”無理矢理変えられた歴史”が元に戻ろうとする力が働く。
それを利用すれば”本来の歴史”に戻す事が出来るかも知れない。

私は、ここにあえて自分の名前は書かない。もし書いたとすれば歴史の作用で文章その物が消されてしまうだろう。
そして、このように不確定要素が多い内容の文章ならおそらく消えないだろう。
だから私はあえてここには具体的な物は書かない。

そしてもしこの文章が君達の目にふれているという事は、元の歴史も”その存在が完全に消されていない”という事だ。
つまり、元に戻せる可能性が大きい。
後は、君達の健闘を祈る。




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豪 「……。」

委員長「これは……?」

豪 「まるで……、僕らに当てたメッセージのようですね。話しかけているような感じで書かれた文章です。差出人などは当然ありませんが…。」

アンナ「私の携帯の中にも、似たような文章のメールがあったわ。でも差出人の名前は空白なの。」

神田 「なんやあ!!アンナちゃんのとこにも行ってたんですか?それならやっぱりスパムメールの一種と違うかな?!」

豪 「こんなスパムメールはありませんよ!だって”他に送信しろ”とか書かれてないですよ!」

委員長「何かを語りかけようとして書いたみたいだわ。」

神田 「そんなことあらへんで。委員長はちいっと考えすぎや!気のせい。気のせい。」

委員長「……。」

アンナ「でも、私もそう思います。私達の事を知っている誰かがこうして私達にあててメッセージを残したのかも知れない。」

神田 「アンナちゃんが言うならその通りや。俺……、いや、僕もそう思います!」

それを聞いて、委員長はガクッと肩を滑らせた。

委員長「私が言うと”気のせい”で、アンナさんが言うと”その通り”?」





スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.64] 287



豪 「それにしても……、誰が書いたのでしょうか?そして何のために書かれたのでしょうか?」

神田「ほら、文章の中に書いてたやん。”歴史を変える”って……。」

豪 「でも、それは具体的に”どうしろと”言うんでしょうか?」

誰も答えが見つからなかった。
それでまた展示されている歴史年表の方に目を移した。
年表によると、地球はさまざまな外敵のような存在から攻撃され、それに対抗する専門機関は存在しておらず、苦労していた。

豪 「いまだ地球は戦争状態にあるんですね。」

神田 「へっ?戦争?どこの国とどこの国が?この日本がか?何も感じへんで?」

豪 「僕らの知らないところでは異星人や異次元人との戦闘が行われているんです。」





その時、別の階から委員長達がいる階へと上がって来た青年がいた。
歴史博物館はまだ午前中ということで全体的に入館者は少なかった。この階にいるのも委員長達4人とその青年1人だけだった。他の階では人に会っていなかった。

青年はその部屋の展示物を一つ一つ丁寧に見ていった。
委員長は思わずその青年に注目した。
端麗な顔立ち。細身の体。それでいて肩幅は広い。
その仕草はどうも委員長が見た夢の中の青年にそっくりである。
それで委員長はずっとその青年を見つめていた。
青年は立ち止まって展示物を見始めた。ちょうど、さっきの謎の文章の展示を見ているようである。

神田 「なんや委員長!いつも”男”なんかに全然興味無さそうな顔しとるくせに!
今ずっとあの男の方をみつめよったで!」

神田は必要以上に大きな声で言った。委員長は今のがその青年に聞かれはしないかと顔が真っ赤になった。

委員長「そんな事無い!!」

神田はなおもしつような攻撃を続行する。

神田 「いいや!そんな事あるで!怪しいなあ!」

神田とやり取りしている間に青年は委員長のすぐそばまで来た。
だが委員長はその青年に声をかけられなかった。青年は委員長達を抜かして、順路の先の方へ向かった。
青年が離れると小声でアンナが………、

アンナ「昨日、あの人がビルから転落する夢を見たわ。」

と言った。

委員長「え?」

驚く委員長。

委員長「それって、予知夢?」








その時、突然ビルに振動が走った。

神田 「うわああ!なんやこれは?」

振動は大きな物が、1つ、2つ、と固まりになって襲って来た。

豪 「爆破じゃないですか?」

神田 「爆発ぅー?!」






スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.65] 288



地震とは違い、その振動はグラグラとなってすぐに止み、またグラグラッと来た。
神田と豪は窓際に向かって走った。委員長とアンナもそれに続いた。
そして壁に身を隠して頭だけ窓ガラスの部分に突き出して、外の様子をのぞき見た。
それによると、このビルが巨大な赤いロボットから攻撃を受けていた。

委員長「何なの?あれは?」

神田 「でっかいロボットやな。しかも空中に浮いとるで!」

赤いロボットがミサイルのような物を発射している。それがビルに命中して爆発が起きている。周囲の都市の一部から火の手や黒煙が上がっていた。一部が崩壊したビルもあった。

豪 「あのロボットから攻撃を受けたようです。」

この階にいた青年も委員長達とは別の窓際に駆け寄っていた。そして同じく顔だけ出して外の様子をうかがっていた。
このビルの各所にも爆発が起き、特に上の方の階から大きな振動が来ていた。それはコンクリートの塊が天井に落ちるような感じの音だった。
青年は階段を使って上へと登って行こうとした。

委員長「上は危ないと思います!」

委員長が青年に向かって叫んだ。

青年 「上に逃げ遅れた人がいるかどうか見て来ます。」

だがその時一際大きな轟音が鳴り響いた。その音は連続して続いた。

青年 「ビルが崩れ始めたんだ!逃げなくては!」

青年は委員長達に向かって叫んだ。委員長はその青年に大声で返答した。

委員長「貴方も一緒に逃げましょう!」

窓際にいた神田がロボットに向かって指を指しながら、

神田 「見てみいや!こっちを攻撃しているように見えるで!」

と言った。そう言われて青年もロボットを見た。

青年 「ロボットの動きは明らかにこちらを狙っている!
この付近の階だけを狙っているんだ。今は向こうの狙いも少し外れているが、そのうち内ここも破壊される。」

青年は自分が”おとり”になって皆を逃がす事を提案した。
アンナはそれは嫌だとはっきり言った。

アンナ「危険だわ。貴方がやられてしまいます!」

青年 「いや、僕が行く!」




その時、空気を切り裂くような音が空から聞こえて来た。

神田 「おう!攻撃隊や!攻撃隊が来たで!」

それは”自衛軍”の攻撃ヘリの機体だった。多くの機体が飛んで来ていた。
その無数のローターが空気をつんざく音を発していた。

神田 「すげえ数や!」

青年は委員長らの所に来た。

神田 「やっぱ、こういう時は頼りになるで!自衛軍は!」

青年 「ここは戦場になる。危険だ!はやく下へ降りよう!」

それらの攻撃ヘリが赤いロボットを攻撃しようとその機首を向けた。
その直後、攻撃ヘリ群は委員長達の目の前で消えてしまう。

豪 「消えた?!」

神田 「どうなっとるんや?!」

あれだけの機体が全て消滅した。空はまた静寂を取り戻した。
赤いロボットは外部スピーカーを使って周囲に語りかけた。

クーガ「僕の名は”クーガ”!皆、僕の元にひざまずけ!!」

委員長「”クーガ”?!」





スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.66] 289


委員長はその名前には聞き覚えがあるような気がした。
嫌な記憶として、その名を覚えているように思えた。
だがそれはまるで夢の中で起きた出来事のようにはっきりとは思い出せないのだ。
それでもなおがんばって記憶を呼び覚まそうと試みたが、周りの混乱した状況のため気を落ちつかせる事が出来ず、それ以上はっきりした記憶は呼び起こせなかった。考え込む委員長の様子を見て神田が、

神田 「なんや委員長、アイツと知り合いか?」

と聞いた。

委員長「いいえ!」





クーガ「僕は地球を支配する。僕に逆らう者は全て抹消される。」

その声は都市上空に響き渡った。

クーガ「僕は”歴史”を自由にコントロールできる。
なぜなら…………、僕は神と等しい存在だから。
この世の誰も僕に逆らえない。
逆らえば……………、死より恐ろしいものが待っている。
”歴史からの抹消”だ!」

神田 「何言ってるんや?アイツは?言ってる意味がさっぱりわからへんで!」

豪 「そうですね。よくわかりません。」





青年 「やはり僕がおとりになる。その隙に君たちはビルから脱出しろ!」

アンナ 「行かないで、お願い!行くと、貴方はこのビルから転落するわ!」

青年 「どうして僕が落ちると?」

アンナ「夢で見たの。」

青年 「夢?」





クーガはロボットをビルの側面に持って行った。それでロボットはビルの壁面にへばりついた格好になった。
光が発生し、そのロボットの周りにシールドのような物がはられた。光るガラスのような感じだ。光は全体的に卵形を形成しており、ロボットの全身をすっぽり包み込んでいた。
そしてロボットの胸のみぞおち部分にあるハッチが開いた。
委員長らの前に強化スーツのような物を着て現れるクーガ。

神田 「宇宙人や!」

神田や豪はクーガを窓越しに覗く。

神田 「なんやアイツは?まるでSF映画に出てきそうなかっこうやな?」

豪 「よく出来た防弾チョッキのような物だと思います。あれでいろいろな攻撃から身を守れるのでしょう。」

委員長はなぜかそのクーガに恐怖心を覚えた。そして全身が震え始めた。

神田 「委員長、大丈夫?どうしたん?」

委員長「…………。」






クーガは青年達の隠れている方を向いて語りかけた。

クーガ「今の僕には銃も効かない。もっとも君達”ただの学生”が銃を持っていると思わんが。」

そのスピーカーからの声は窓ガラス越しでもよく聞こえた。ガラスは共鳴によってビリビリと震えて音を立てていた。

クーガ「”クリス”君、ひさしぶりだね?と言っても君にはわからないだろう。
君は僕とは始めて会った気でいる筈だ。」

アンナがその青年の名を”クリス”と聞いて、衝撃を受けた顔をした。
委員長もその名前にはなにか心の奥底をくすぐられる感じがした。
それはとても強い感覚だった。

委員長「”クリス”…………。」

クーガ「君らの様子を見に来たんだ。どんなに惨めな姿になっているか見たくてね。」

クリスは立ち上がった。そして自分の姿をクーガに見せた。






スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.67] 290


クリス「いや、僕はこれまでに君に会った事がある。
夢の中で。……君は僕の夢の中に出て来た。」

クーガ「ほう、夢にね。
すると……、僕とは初対面ではないと言うんだな?夢の中の僕は何を言っていた?」

クリス「”タイムマシンを作った。”と言った。」

クーガ「ほう。タイムマシンをね。それで、他にはなんと?」

クリス「それで世界制服をするつもりのようだ。」

クーガ「はははは!君の想像力は大したものだ。空想にたけた夢だね。」

クリス「空想ではない。僕は予知夢を見る事が出来る。
その夢で見たのは、おそらく現在のこの場面だろう。
夢の中で起こった事は全て本当だ。やはりあれは予知夢だったのだ。」

クーガ「言い切れるのか?」

クリス「こんな事は今すぐやめてもらおう!」

クーガ「ほう?口だけは勇ましいな。今は”ただの学生”のくせに!」







依然として神田・委員長・アンナ・豪は窓際に身を隠していた。

神田 「ただの?”ただの学生”とはどういう意味や?」

豪 「さあ?2人の会話はよくわかりませんね。」







クーガ「君達には消えてもらう。クリス君1人で消えるのはさびしいだろう。
仲間と共に消えるんだ。5人ともな。」

それを聞いた神田が叫んだ。

神田 「なんでやーーーー?!」

カッとなった神田は思わず立ち上がった。それで神田の姿はクーガから丸見えになる。

クーガ「理由など話しても仕方がない。何も知らずに消えていく方が幸せだろう?
今の君達には何の技術もないからな。」





豪も立ち上がった。

豪 「”技術”?いったい何の?」

クーガ「くくくく………。」

クーガが面白そうに笑った。一人で楽しんでいる感じだ。その様子に首をひねる神田。

神田 「なにを笑っとるんや?」

豪 「さあ?」




クリス「君にそんな事をする権利はない!」

クーガ「あるさ。僕は地球の支配者だ。
いわば”王”なのだ。僕の言う事は何でも”絶対”となる。
何をしても許されるのさ。」

クリス「そんな事をして何になる?!」

クーガ「何になるだと?
君達はまだ”世間知らず”だからわからないだろうが…、世間では”権力”こそ絶対的な物なのだ。それが無いと何をするのも苦しいだろう?
たとえばそれが無いと…………、”長年自分がしてきた研究成果”も他人に取り上げられる事があるのさ。
だが、いまでは”あれ”は…………、”僕1人のマシン”なのだ。」







スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.68] 291


神田は豪に話しかけた。

神田 「アイツは何の事を言っているんだ?」

豪 「……タイムマシンの事を言っているのかも知れません。
僕の夢の中に出て来ました。彼が僕の夢の中で詳しく喋っていました。
彼はタイムマシンを開発しましたが………、その功績を同じ研究室の上司に取られたんです。横取りですね。
それで、彼はタイムマシンをジャックしたんです。そして、手始めに自分の上司を消した。歴史上から。
その後、タイムマシン開発関係者の全てを消した。
それで歴史上はクーガ1人が”タイムマシンの開発者”という事になったんです。
彼はタイムマシンを使って自分の都合の良いように歴史を操作しようとしています。

それが僕の見た夢です。
でも、それは本当に予知夢なんでしょうか?」

神田 「あ!そういえば俺の所にも出て来ていた。今思い出した!
”タイマン・真”て言うからタイマンの一種かと思ったが、”タイムマシン”っ言ってたんやね?」

委員長「どう聞けば”タイムマシン”が”タイマン”になるの?」

豪 「とにかくクーガが”悪人”だという事は夢の中でわかりました。
彼はこの世界の人間全てを自分の支配下に置きたがっているんです。」

神田 「えっ、ホンマ?!」

豪 「僕の夢の中ではそう言ってました。」

アンナ 「私の夢の中でもそう言ってたわ。」






クリス「そんな事はさせない!」

クーガ「ははは!今の君にいったい何が出来ると言うのだ?僕を止められる者はもうこの世にはいない。」

アンナはその目でクーガを見るために立ち上がった。

委員長「危険だわ!」

委員長はアンナの手を引っ張ったがアンナはしゃがもうとせず、そのまま立っていた。
アンナは怒りに満ちた瞳でクーガをにらみつけた。
クーガはそのアンナに注目した。

クーガ「ほう。」

クーガはアンナをマジマジと見た。そして………、

クーガ「君、こっちに来たまえ。」と言って手招きした。

それに対してアンナは即答した。

アンナ「嫌!」

クーガ「来ればお前だけは助けてやるぞ!」

そう言ってクーガは自分の乗って来たロボットを手の平で指し示した。

アンナ「じゃあ、他の人は?」

クーガ「君しだいだ。」

クーガはロボットを操作してビルの壁面の一部を壊した。
そしてコクピットのハッチをビル壁面に開いた穴につけた。
それからハッチを伝って、ビルの内部へと入って来た。

クリスは皆に下がるように言った。
クーガがまたアンナに手招きした。






スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.69] 292


クーガ「こっちへ来るんだ。」

クリス 「いかない方がいい。」

クーガは近づいて来てアンナの腕を引っ張ろうとした。
クリスはスキを見てクーガに飛び掛ろうと一歩前に出たが、クーガは銃のような物を出してクリスに突きつけた。もちろん銃の形はしているが、はっきり銃だとはわからない。未来的な変わったデザインである。

クーガ「へたな真似はするなよ」

クリス 「…………。」

豪 「丸腰じゃ勝てない!」

クーガはアンナの手を引っ張って自分の方へ無理に引き寄せた。

クーガ「手出しをすれば撃つ!」

アンナは嫌がったが、”自分が行かなければ他の誰かが撃たれる”と考えた。

神田 「くくく!!」

神田が前に出ようとしたが、やはり銃を向けられた。
その隙に今度はクリスが一歩前へ出た。クーガはすばやくクリスの方に銃を向け直した。
どうやらクーガにつかみかかるのは無理のようだ。
このままではアンナが連れて行かれる。そこでクリスは………、

クリス「僕を今ここで殺せばパラドックスが起きて君は消滅する!」

クーガ「なんだって?!」

クーガの顔色が変わった。いままでの余裕の表情が少し崩れ始めた。
そしてクリスを疑うような目で見た。

クリス「なぜ疑うんだ?我々も実はタイムマシンを持っている。
宇宙空間で超高速で回る恒星の周りを宇宙船で光速の速度で周回すれば”タイムマシン”になる筈だ!」

それを聞いて、クーガが怯えている。
神田が豪に小声で話しかけた。

神田 「なんや?ヤツの顔色が変わったで?」

豪 「本で読んだ事があります。現実的なタイムマシンの作り方とは……、
宇宙空間で光速に近い速度で回転している星の周りを光速で周回すると、時間の逆行作用が起きます。それによりタイムトラベルが可能になると言われています。」



クーガ「だが、そんな飛行速度に耐えられる宇宙船は今の人類は持っていない!」

クリス 「ある!」

クーガ「はったりはよせ!」

クリス 「”スポルティーファイブ”にはその能力がある!」

クーガがいよいよ本気で驚いてきた。

クーガ「どうしてその名を?!」






スポルティーファイブ 第7話 委員長の恋. [act.70] 293


神田がまた豪に聞いた。

神田 「”スポルティーファイブ”?なんやそれ?
でも…、俺もどこかで聞いたような気がするわ。」

豪 「それも夢に出て来ませんでしたか?僕の夢の中には出て来ました。今はっきりと思い出しました。」

神田 「さあ?俺の夢の中では”スポーツドリンク・5”って聞こえた気がした。」

豪 「違います。”スポルティーファイブ”って言ってたんですよ!」

神田 「あーーーー、そうか!”スポルティーファイブ”って言ってたんか?!
で、それって何の事?」

豪 「今のクリス君の話だと……、光速で飛べる乗り物か何かのようですが…?」




クリス「彼女を放せ!なぜ彼女が必要なんだ?!」

クーガ「彼女を僕の生涯のパートナーにしたい。」

神田 「なんやと?!!」

それを聞いた神田が怒ってクーガの方を見る。

クリス「なんだって?!!そんな事はやめろ!」

神田 「やめろーーー!アンナちゃんは俺のパートナーになるんや!」

委員長「……………………。」







クリス「君の好きなようには出来ないぞ!実は我々も”タイムトラベラー”だ!
君の出世に関する”歴史”に細工を加えた。君は……、どのみち消滅する。」

クーガ「なんだって?!」

クリス「君が僕らの”仲間”を消したように、我々にもそれが出来る。
タイムマシンを操れるのは君だけじゃないんだ!!」

クーガは一度深呼吸をした。そして諦めたようにこう言った。

クーガ「………さすがスポルティーファイブのメンバーだ。僕は君たちをあなどっていた。
これほどまでに能力が高いとは。」

クリス「さあ、彼女を返せ!置いていくんだ。」

クーガ「……。」

クーガが迷い出した。アンナを置いていこうとも考えた。








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