ボヘミアンズ・ノート
プロローグ
「人生は旅」という。 誕生が出発で、死が終着か。だとしたらその終着点は、少なくとも自分にとっては最高のものでなければならない。思い残すことは何一つなく、あるのはただ溢れ出る感謝と、それを包みこむ静寂―。死ぬときはこうありたいものだ。 だが、僕にとっての旅には常に終着点がない。いわゆる「放浪」タイプの旅を好む。いうまでもなく、放浪はそれ自体が旅の目的であり、最終目的地をもたない。