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2007.07.18
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カテゴリ: カテゴリ未分類



タケルくんの娘は今年、小学校に入った。今週が終わると、もうはじめての夏休みである。はじめての夏休み。なんかいい響きだ。それで、学校からはいろんなプリントを持ち帰ってくるそうだ。いわく夏休みの過ごし方とか、夏休みに必ずやること、それからごていねいに見本つき絵日記帳なんかもある。
必ずやることのなかには、例えば作文があり、あわせていくつものコンクールとか、懸賞作文が紹介されている。それぞれにはテーマがあり、例えば「私と下水道」とか「トンボ」とか「お米とわたし」とか「非核平和」なんかが並んでいる。そうしたなかから「ひとつより多く」作文を書かなければならない。

なんといっても娘のはじめての夏休みである。ま、いちおうね、ということでそんなプリント群をいちいち眺めていた。そうしてタケルくんは次第に腹が立ってきたのである。
「なんかさ、うるさーいって言いたくなってさ。いちいち何から何まで余計なお世話だ! ていうか」

タケルくんは思った。怒濤のようにはじめての一学期が終わろうとしている。はたから見ていると、娘は十分に盛りだくさんの新しい規則やら勉強にぶつかってきたのである。これ以上、なにをやらせようというのだろう。なんと言っても夏「休み」なのである。なにをしようが勝手ではないだろうか。ていうか、学校のことなどパシッと忘れてぐたーっと過ごせばいいではないか。
ひたすら遊ぶか、ひたすら好きなことをする。もうこれ以上何をしていいかわからない。あるいは、たとえば「む」とか「を」の書き方なんて忘れてしまう。9-2=なんて、あれ? いくつだっけ? そんなんでいいではないか。
それでもやがてはじめての夏休みに終わりはくるのである。忘れてしまったことも思い出さなくてはならない。いつかは規則や決まり事だらけの世界にもどっていく。おかえり、われわれの世界へ。

タケルくんはわなわなと怒りに震え、やがて大きな溜息をついた。娘が不審そうにタケルくんを見ている。いけないいけない。ここは鎮まらなくては。間違っても「学校なんてくだらねーっ!」なんて感情にまかせて言ってはいけないのだ。娘は毎日たのしそーに学校に通っている。前の晩には、「あすがっこうへもっていくもの」なんかをいそいそと揃えている。それを大人が「くだらねー」なんて言ってはいけない。だっていま、大人であるタケルくんは娘に「学校」以上の世界を提示できないのだから。



(写真は本文に関係がありません、とか)










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Last updated  2007.07.19 04:05:09
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ウラガエル @ お久しぶりです。 suiさん どうされているのでしょう。 …
紫陽花ロック @ 鎧駅は 海に向かって断崖絶壁に駅のホームがあり…
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