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【送料無料】黙示録 [ 池上 永一 ]池上永一角川書店 四六上製☆☆☆☆☆ 本文633頁の大作。江戸時代、七・八代将軍の頃のストーリーで、幕末が舞台だった「テンペスト」より100~150年くらい前の話だ。江戸に琉球王の即位を知らせる謝恩使の花形、踊童子に選ばれた蘇了泉の激動の人生を軸にした歴史物語。舞台は那覇・首里の他、薩摩・大阪・江戸に北京だ。巻末の参考文献によると、一部は実在の人物だ。 とにかく、主人公の了泉が野放図。業病に冒された母についていって最下層の被差別民になったものの、踊りの才能を見込まれて踊童子になるのだが、母のために江戸に行けば、将軍にした手に入らない、母の病気に効く薬が得られると言われてからの踊童子になろうとする執念がすごい。手段を選ばないのだ。そして、そのえげつなさは彼を踊童子として、士族にまでなったのに、また大罪を犯して被差別民に逆戻りさせてしまう。しかし、それでも彼は踊りから離れることができず、やがて、誰も到達しなかった境地へと彼を押し上げていく。また、それは太陽しろ(てだしろ)と呼ばれる琉球王の対の月しろとなることでもあったが、それは日向の太陽しろの対極にいる、人の世の穢れや悲しみを集めたような存在になることでもあった。 作中、踊りを極めようとする了泉のライバル雲胡、了泉の師、石羅吾と彼のライバル玉城朝薫この二組の師弟がいがみあいつつも互いに高めあっていくのがいい。また、彼らが展開する踊の芸術論、美学論は非常に興味深い。他にも了泉と訣別せざるを得なかった彼の母に親切にした、しかし若い頃は了泉真っ青のとんでもない跳ね返り娘だった音知戸(おとちと)や江戸の瓦版屋で了泉を格好のネタにしていた銀次、ちょっとオツムが足らないが皆に愛されるチョンダラー、また謝恩使の正使であり、この人の作品には良く出てくる怪物だった与那城王子などなど個性的な登場人物には事欠かない。 そして、最後に斎場御嶽の下で了泉が見出したものはとても印象的だった。私も斎場御嶽に行ったことがあるが、この場面を読んでから行きたかったかも。また、久高島も出てきたので、行った時の島の風景を思い出しながら読んでいた。 しかし、太陽しろだった琉球王、尚敬王の肖像画が描かれる場面があるのだが、その肖像画とおそらく同じ主旨であろう琉球王の絵を首里城で見たとき、全ての絵に「沖縄戦で原画は焼失」となっていたのを思い出してなんともいえない気分になった。
December 31, 2013
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【送料無料】菩提樹荘の殺人 [ 有栖川有栖 ]有栖川有栖文藝春秋 四六上製☆☆☆☆☆ 短編集。アポロンのナイフ、雛人形を笑え、探偵、青の時代、菩提樹荘の殺人、の四編。どれも若さがテーマとなっている。どの作品にもヒネリが効いていて、面白い。また、このシリーズの火村とアリスは年を取らないが、青の時代は火村の学生時代が、そして他の作品にもアリスの若き日が描かれている。この中のうちでは、雛人形が一番好きかも。そして、その中での「堕ちることもあります」のやりとりは本当に笑ってしまった。私は相当な嫌煙家だという自覚はあるので、作中出てきたスモーカー専用機は勘弁してほしいが。青の時代はタイトルからもカンタンに火村の学生時代だと想像がつくし、内容も想定内というえばそうなのだが、展開が凝っている。ここでも火村のちょっとした性向が出ていて面白い。この短編集の中では表題作が一番いつもの雰囲気だ。 このシリーズ、やっぱり好きだ。小説家アリスの前職が印刷会社の営業というのも、かなり親近感を覚える。
December 8, 2013
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祥伝社文庫 こ18-4【2500円以上送料無料】奈良いにしえ殺人事件 長編旅情ミステリー/木谷恭介【RCP】木谷恭介祥伝社文庫☆☆☆☆☆ タイトル通りほとんど二時間ミステリー。冒頭は奈良春日大社の万燈籠。東京から友人の久美子に誘われて見に来たヒロイン智乃は、その久美子に目の前で失踪されてしまう。その後、奈良県のダムで発見された遺体が久美子だという謎の電話があったりして、智乃は身寄りのない久美子を探し始める、というストーリー。この著者の定番名探偵宮之原警部が活躍する。初版は昭和62年。読んでいると、今ケーブルテレビで再放送されている往時の二時間ドラマの雰囲気だ。それが好きなので、とても読んでいて楽しい。また、冒頭の春日大社の万燈籠もいつか行ってみたいし、奈良県のダムもちょっと興味がある。ただし、このヒロインの言葉遣いが随分と時代がかっている。いくら昭和62年だっていったって、23歳で「わたくし」とか「ありますの」なんて、言わないって。 本格的なミステリも好きだけど、こういう小説が読んでいて一番の気晴らしになる。
December 8, 2013
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【送料無料】死者の部屋 [ フランク・ティリエ ]価格:820円(税込、送料込)フランク・ティリエ新潮文庫☆☆☆☆◎ 本を手に取ったのは、フランスのミステリが読んでみたかったのと、昔読んだ漫画にF.ティリエという小説家の女性が出てきていたから。でも「情熱的な恋愛小説」ではなかったけれど。 主人公はプロファイリングなどに興味深深で独学で勉強している警察官のシングルマザー。彼女の殺人事件への意欲が時として鼻につくが、それ以上にとにかく内容がグロテスク。剥製絡みの内容だから仕方ないのかもしれないが、私には少々刺激が強かった。もう少しおとなしい内容の方がいいなぁ。誘拐事件の犯人が身代金を持った人間を目の前でひき逃げされ、その身代金をネコババした犯人二人とそれに猟奇殺人が絡んでいく。こんな事件が現実に起こっていたら、フランスの事件であろうとも日本のワイドショーで大きく報道されそうなくらいショッキングな内容だ。でも、複雑なプロットはとても面白かった。ちょっと他の作品も読んでみたいが、覚悟か必要だろうなぁ。
December 1, 2013
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