日記

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駆けつける


荷造りをし、遺影にするための写真をアルバムからはがした。なぜか一枚「この写真がいい」というのが頭の中にあって、それを探し出した。とてもいい写真だった。息子の入学式にとったもの。息子をひざに乗せてまぶしそうな顔をしている主人。

私にとってのそのときの最難関の時が来た。それは寝ている息子を起こすこと。真実を知らせなくてはならない。どんな顔をするんだろう、どんなに悲しい思いをさせてしまうんだろう。知らせたくなかった。

寝ぼけ眼の息子に、「パパが死んじゃったの。だから今からパパに会いに行くの。」って報告した。そのときの息子のことはなぜか思い出せない。泣いたのかさえも。覚えていない。

手配してもらったタクシーで最寄の飛行場まで行った。空港はもうクリスマスのかざりがきれいにほどこされていた。もう一生忘れないだろうなあってその時感じた。クリスマスの飾りがこんなに悲しいものに見えるなんて事なかった。空港のなかにいる親子連れの姿を見るのが本当につらかった。

泣けて泣けてしょうがなかった。

会社の人がつきそってくれたのでその人がしてくださるまま、ただついていった。

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