わんこでちゅ

5 ヤマダくんの油断












「えーーっ、それでこれからデートっていうときに、カーク君がきたわけですね。」

「時間はなくなるし、それで食事キャンセルして、家にきてもらったんだ。彼女に、、、。それでくだらないことで喧嘩になったんだ!」

そのときのことを思いだしたら、なにかいらいらして、おれはかなりぶっきらぼうな口調になっていた。そしてこの話題を早くきりあげたくなってきた。

「あれ~、腐れ縁だけにさくってたって、さっきヤマダせ~んせいがいってたじゃないですか。まだなにかかくしてんでしょ?ねっねっ、かくしてんでしょ?」

へんなところでするどい女だ、、。

「彼女に頭から、消臭剤ぶっかけられた。まるで俺を捨て忘れて、一週間放置されてた生ごみみたいに、いやそうな顔でみて、そのあと、有無をもいわさず、しゅこしゅこ頭から、生ごみ用の消臭剤をスプレーしやがった。この俺にだぞ!」

「消臭剤?忙しさにかまけて、お風呂にはいってなかったんですかぁ?」

「おいっ、みかちゃん今のはきれい好きの俺としては、ききずてならないぞ!!」

俺は思い出したくない話をしていらついているのに、その上こんなことをいわれたのでは割りにあわないという怒りの気持ちに、肩をふるわせた。

「あっ、ごめんなさ~~い。失言でした。でもだったらなんで消臭剤なんですか?だいたいせ~んせいの話はいつもとびすぎなんですよう。順をおって話してくださいよう。」

怒っているのは俺なのに、なぜにいつも逆にこの女に意見されなきゃならないんだ?俺はなにかなさけなくなって、カーク君が来院したときの様子を話しはじめた、、。

「先生、まだ診療やってますか?」

カーク君のお母さんが血相をかえて、病院にとびこんできた。きてしまったものは、断れるわけがない。

「カークがちょっとからだが熱いし、食欲もないみたいなんです。私心配で、、、。」

このくらいなら、普通の犬の飼い主だったら、家でしばらく様子をみるところであろうが、湖のヘドロを食べても、人糞をたべても、腐って溶けた魚や鳩の死骸をたべても、下痢はしたものの、熱もないし、食欲もあったカーク君なのである。だからこそ俺もただごとではないと、直感した。しかも飼い主はなにも思い当たる原因もないという。俺はあわてて血液検査をしてみた、、。白血球の数値が異常に高い!!!これはどこか体内に炎症がある証拠だ。カーク君の全身をくまなく念入りにチェックした。、、、ここだ!俺はとりあえず簡単な処置と投薬ですみそうな結果に、心底ほっとした。デートの時間もせまってるしなぁ♪

「あ~カーク君のお母さん、肛門のう、ぱんぱんになってますよ。これは中でくさって、炎症おこしてますね。」

「えっ、でもここのとこしぼっても全然でないんですよ。」

「じゃ、出口のとこがつまってるのかな、、。うまくやれば、こう、ぴゅーーっとでるはずですよ。」

俺は自分の的確な診療に自身で酔いしれていた、軽い処置ですむ診療結果にほっとして、気が緩んでいた。デートの約束に浮かれていた。そうとしかいいようがなかった。ティッシュを押し当てながら、何回やってもなかなかでてこない。そこでおもいっきりきゅーーーっとカーク君の肛門のうをのぞきこむようにしぼり上げた瞬間、ティッシュの位置に気を配っていなかったのだ。出口のつまった部分がとれたのか、水をいれてぱんぱんにふくんだ風船に、針をさしたように、ぴゅーーーーーーっとカーク君の肛門のうの中味が、自身の圧力で、かなり遠くまでとびちった。もちろんのぞきこんでいた俺の肩、腕、髪にも、、、。カーク君の飼い主はあまりに毎度のことながら、俺にぺこぺこ、何十回もお辞儀をしてかえっていった、、。

カーク君のことを話終えると、みかちゃんは犬の肛門のうの臭いをおもいだすかのように、鼻をひくひくさせてこういった。

「せ~んせい、あの臭いって、一回や二回シャンプーしただけじゃ、とれませんよね、、、。」

俺はこの事態のひどさをみかちゃんにわかってもらいたくて、力をこめていった。

「しかも中でくさってたんだ!強烈だったんだ!だから消臭剤だったんだ!だから彼女と別れたんだ!腐ってただけに、腐れ縁だったんだぁーーーーーっ!!」

おれがいい終えると、みかちゃんの肩がかすかに震えだした。

「、、、せ~んせい、腐ってただけに、くされ縁って、つまらないだじゃれだけど、、、、でもでも、、、ぶあーーーーーっははははっ、ひーーーーひひっ、はっ話は面白い、あーーーーはははっ、しかもいつもえらそうに患者みてる先生が、くさった生ごみあつかい~?それってくさかったんだ、よっぽどくさかったんだ~。ぎぃーーひひひひっ。あっ、腹筋つったぁ~。いてぇーーーっへへへっ、あーーーはははっ!」

運動たりてないよみかちゃん。

注 カーク君の炎症をおこした肛門のうの中味を、これから外出するという女先生にぶっとばした事件は本当にあったお話ですが、ヤマダ先生は実在しておりません。

お詫び 聖夜の奇跡のなぞは、まだまだ先にならないと、解けません。ご容赦を。











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