わんこでちゅ

26 ヤマダくんの戦い











俺は喫茶店から帰ってから、頭を抱えてしまった。別段どこといって大仏という人物に問題はない。ただ、その存在感というか、、、、。年は俺より二つ上なだけなのだが、ハンサムではあるが(自分でいうか?)童顔の俺とでは、どうみてもナカオアキラ似の彼の方が院長という風情なのだ、、、。事実今までの病院を辞めた理由というのが、この大仏なる人物を院長と勘違いする患者がいて、わざわざ大仏に診療してくれと言うらしい、、で、次第にいずらくなるという訳だ。誰の医院かまったくもってわからなくなるというものだ。しかし、そうなってもなにほどのものか、、。要は、患者の命がすくえれば良いのだ。それが第一の命題なのだ。

「よっしゃ、やってやろうじゃないか!」

俺は誰もいない部屋で、大きな声とともにガッツポーズをとった。この高揚した気持ち、闘志のあふれる気分をぶつけるように、プロレスの番組にテレビのチャンネルをあわせた。


全国一千万、わんこでちゅ一家の犬ファンの皆様。今晩は。古舘です。
解説は山本さんです。さぁーいよいよやってまいりました。
わんこでちゅ一家実況生中継、ただいま発情中の女子プロ最強タッグ、チャニ&ルナをなんとかくみしかんとする、カーク、ジェットシン。
両者の間に激しい火花がちっております。さあ、今宵も戦いの開始を告げるゴングがなりひびきました。おおーっと、これはいきなり、競輪でいうところの、まくり狼戦法か?チャニ&ルナの背後から、かのアイルトン、セナあやつるところのF1もかくやという、疾風怒濤の走りで、逃げ回る二匹を追いまくるカーク。
これはうるさい、たまりません。母ちゃんがまさにアブドラザ、ブッチャーを彷彿とさせる、すさまじい形相で、ひきはなしにかかります。女子プロ軍団はすでに寝ている父ちゃんのいる二階の部屋に、ほうりこまれました。壮絶なバトルフィールドとかしたわんこでちゅ一家、このままですむわけがありません。おーっと早くもとんでもない異常事態の発生だーっ。
冬でもないのに空前絶後、阿鼻叫喚、支離滅裂、わんこでちゅ一家に雪がふっております。これはいったい、どうしたことだーっ。おおーっと、これはルナだ。戦いの途中でひきはなされ、力のあまったルナが、その煮えたぎる血潮が出口を求めあふれでるように、怒りの矛先を、父ちゃんの羽毛布団にむけている模様です。
かみつきです。反則です。羽毛布団の四隅をかみつきまくっています。これは劇画のような光景です。いゃー、こんなことが現実にあっていいのでしょうか。山本さん。
「はい、ぼくも、映画でしかみたことないですね。」
まさに部屋中を本当の雪のように羽がまっております。父ちゃんが目をさましたら、恐怖と絶望のどん底につきおとされることは、間違いありません。いやー本当にこの光景はすざましいですねー、山本さん。
「この攻撃はききますよー。」
はいたしかにききますね。しかもあの母ちゃんがこれをしった後がおそろしいのは、いうまでもありません。凶器を持ち込んでの、乱闘になる可能性が大であります。家族および客席のだれが、とばっちりをうけてもおかしくはありません。危険ですので、放送はここで終了させていただきます。
それではまた。  
「うわーっ!!危ない、凶器をもった母ちゃんがっ」
 どたがたたーっ、がちゃこん

注 獣医師ヤマダくんは実在の人物ではありませんが、羽毛布団で雪がふる事件は、実際の出来事です。






次へ


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: