七月の初め フランスの野の ひまわり畑にわけ入ると 陽に向かって咲く花たちが わたしの芯に火をつける “眼は燃えているか” “耳は燃えているか” “意(こころ)は燃えているか” 原始仏典 スッタニパータに出てくる 釈迦の言葉を思い出す 長いこと わたしは燃えなかった だれにも答えなかった だれにも声をかけなかった 娘として 母として 妻として ひとりの人間としても 忙事に流され 忘れすぎていた それら 炎いろの空気 大地の暖かい匂い 向こうで わたしを呼ぶのは誰 駆け出さないのは なぜ いま野に放たれたのに 「ひまわり畑」 馬場晴世 ~「ひまわり畑にわけ入って」(土曜美術社出版販売)より ~映画「茶の味」出口教頭、朝のポエムより