吟遊映人 【創作室 Y】
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【刀剣乱舞~虚伝 燃ゆる本能寺~】スマホは持たず、相変わらずガラケーで用が足りる私はゲームもやったことのない流行遅れの人間である。なので『刀剣乱舞』のことも、学生時代からの友人(筋金入りのオタク姫)に勧められなければ、DVDを見たり、その図録を眺めたりすることはまずなかったであろう。私は彼女からたくさんのDVDや資料を貸してもらい、その世界観を垣間見ることができた。 まず、『刀剣乱舞』ってなに?と、そこから分からない人のために、ざっくり説明させていただこう。そもそも『刀剣乱舞』とは、日本刀をイケメンに擬人化した刀剣育成シミュレーションゲームである。(ウィキペディア参照)昭和のインベーダーゲームと違って、今どきのゲームはちゃんとストーリー性を伴うことから、臨場感もあるし、達成感もあるし、何よりゲームとの一体感を味わえるらしい。この『刀剣乱舞』が大ブレイクし、2015年にミュージカル化、2016年に舞台化、さらにはアニメ化もされているのだから驚きは隠せない。恐るべし、バーチャルゲームの世界である。 私が今回視聴したのは、2016年5月に上演された舞台『刀剣乱舞』~虚伝 燃ゆる本能寺~のDVDである。私のつまらない感想を言う前に、あらすじと主な登場キャラクターを紹介しておこう。 【主な登場キャラクター】 三ヶ月宗近(みかづき むねちか)・・・平安時代の刀工、三条宗近の太刀。天下五剣のひとつで、その中でも最も美しいと評される。山姥切国広(やまんばぎり くにひろ)・・・霊剣「山姥切」を模して造られたとされる打刀。宗三左文字(そうざ さもんじ)・・・筑前の刀工、左文字の作とされる打刀。江雪左文字(こうせつ さもんじ)・・・筑前の刀工、左文字の太刀。小夜左文字(さよ さもんじ)・・・筑前の刀工、左文字の短刀。へし切長谷部(へしきり はせべ)・・・長谷部国重作の打刀。名の由来は、信長が膳棚の下に隠れた茶坊主をその棚ごと圧し斬ったことから。不動行光(ふどう ゆきみつ)・・・織田信長の愛刀。信長は酔うと膝を叩いて「不動行光、つくも髪、人には五郎左御座候」と歌ったという。 【あらすじ】 物語は刀剣に宿りし刀剣男士たちの住まう本丸に、新しい刀剣男士が顕現するところから始まる。新入りは、織田信長の愛刀であった不動行光であるが、へし切長谷部らと折り合いが悪く、うまくかみ合わない。不動行光は信長の寵愛を受けた森蘭丸へと授けられることとなる一振りでもあるため、誇り高い。なかなか一筋縄ではいかない人間関係となる。そんな中、近侍に任命された山姥切国広は、本丸内のギクシャクした雰囲気を立て直そうと奔走する。そこへ、天正十年、織田信長が果てた歴史的事件「本能寺の変」への出陣の命が下るのだった。歴史改変をもくろむ「歴史修正主義者」が、過去への攻撃を開始したからである。 率直に言ってしまおう。私のような蚊帳の外にいる一般ピープルからすれば、物語は単純極まりないし、歴史やSFとも一線を画し、異様な世界観である。何かを擬人化して物語を生むという手法も、決して斬新ではないし、今に始まったことではない。「織田信長とは、一体何者だったのか?」という妙に哲学じみたセリフにも、取り立てて感じるものはなかった。「過去を変えてはならない」「振り返ってはならない」という物語のテーマとも言うべき文言にも、本来ならそのセリフの重みなどを噛みしめるべきなのであろう。だが、私はそういう深いところまで味わうことはなかった。とは言え、舞台演出、照明、効果音、そしてイケメンらが着こなす衣装は見事だった!殺陣も立ち居振る舞いが美しく、華やかで、目を奪われるものがあった。イケメンの俳優らが、ゲームの設定そのままに舞台を自由自在に操り、己の武器としての強さをアピールする・・・実際にはありえないことだが、日本刀の名刀が人間という器を与えられ、魂の息吹を吹き込まれる。そういう非日常の世界に魅了された私の友人を始めとする多くのゲームファンが作り上げる世界とは一体・・・?それはもう果てしない趣味の極みであり、だれも何も言うことはできない。一方でこのような世界観を否定し、嫌悪する者もいれば、他方で絶対的な信者として支持する者もいる。ひとえに、好みの問題としか言いようがない。 この『刀剣乱舞』を貸してくれた友人には感謝の気持ちしかないが、同時に、趣味嗜好の多種多様なことを改めて知るきっかけにもなった。(人の数だけ好みの違いはあるんだなぁ・・・) ※補足:『刀剣乱舞』~虚伝 燃ゆる本能寺~は、2016年12月から翌年1月に、数人のメンバーがチェンジされて再演されるという空前の大ブームとなった。
2018.06.10
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