吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.05.30
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カテゴリ: 映画/ヒューマン

「特殊って?」
「死人を撮る。・・・“撮影”だよ、“殺害”じゃない。」
「そう願うよ。」
「死体は面白いぜ。特に顔は見てると飽きない。見たことが(あるかい)?」
「ああ。」
「同情するよ。死はつらい。だが“自分は生きてる!”と思える。」

タイトルを目にした時、どれほど恐怖を煽られるものなのだろうかとドギマギした。
“破滅への道”とは、穏やかではないからだ。

極めて特殊で、複雑で、そして残酷だ。
だからこそそこにストーリーが生まれ、ドラマが育つ。
この作品に登場する二組の親子を比較してもらいたい。
一方は、マフィアのボスとその息子。
“蛙の子は蛙”だと言わんばかりに、父は己の姿を真正面からさらけ出す。
マフィアというアンダーグラウンドの世界観を植えつけられた息子は父に畏れを抱き、その反面、父を凌駕しようと歪んだ欲望に駆られる。
もう一方は、食べていくため、家族を支えるためにマフィアの道を選んだ父と、その息子。
父は己を否定し、息子に同じ道を歩ませまいとする。
だが、生活の糧のために借金の取立てを生業とし、はむかう者には制裁を下した。
息子はそんな父に反発を抱きつつも、その実、少年らしい甘えと愛情でいっぱいなのだ。

舞台は1931年のイリノイ州ロックアイランド。

ある時、マイケルは好奇心に駆られて車の後部座席の下に身を潜め、父親の外出に同行する。
そこで目にしたのは父親とコナーと、他に男が一人。
マイケルはドアの隙間から息を殺して覗いてみるが、なんとコナーが話し合いの途中で男を射殺してしまうのだった。
父サリヴァンは、アイルランド系ギャングのボスであるルーニーの側近であった。
そしてコナーはルーニーの息子だった。

サリヴァンの息子と知り、銃をしまうが、マイケルは茫然自失。
パンドラの箱を開けてしまった今、マイケルは父の真実の姿を直視しなければならなかった。

ギャング映画にもかかわらず、酷い惨殺シーンはなく、激しい撃ち合いのシーンもなかった。
これだけ暴力性を抑えた演出にもかかわらず、人の命の儚さを印象付けられたのは初めてかもしれない。
脇役で少ない出演だと言うのに、ジュード・ロウの変質的殺人者は強烈な印象を残した。

彼の登場がマフィアの本質を物語っていたのではなかろうか。
すでにお気づきのように、作品は親と子の絆をテーマにしている。
富豪の親子も、貧困の親子も、マフィアの親子もそれぞれに関係は成立し、自然な形で社会に存在する。
例えそれがどんなに歪んだ愛情でも・・・いつの世にも親と子の絆は永遠なのだ。

2002年公開
【監督】サム・メンデス
【出演】トム・ハンクス、ポール・ニューマン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.05.30 06:14:53 コメントを書く


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