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2010.07.10
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「だから、私は何も知らないんだ・・・!」
「MWは今どこにある?」
「知らん・・・! 俺はただあの島の事故について、一切口外しないよう口止めされただけだ・・・!」

昨年は、マンガ家・手塚治虫生誕80周年ということで、本作が公開された。
本作「MW」は、原作が手塚氏のマンガ作品なのだ。
吟遊映人の不勉強のせいで、残念ながら原作はいまだ読んだことがない。
しかし作品のコピーによると、原作では主人公の二人が同性愛者という設定になっており、肉体関係もあるとのこと。
なるほど、そういう事情が根底にあるならば、本作における二人の異常な親密度にも納得がいく。

まるで21世紀を予測したかのように、混沌とした現代社会なら決してあり得ないとも言えない事象なのだから。
もちろん、当時この作品のモチーフになった事故あるいは事件が存在したであろうことは想像に難くはないが、マンガの世界でこれだけの社会派ドラマを構築するのは、大変難しい。
そんなところからも、“マンガの神様”と謳われた手塚治虫氏の偉業は、さすがに並々ならぬ才能を感じさせるのだ。

現在は教会の神父となって神に仕える身となった賀来には、忌わしい過去があった。
それは16年前、故郷の島が一夜にして全滅するという惨劇に見舞われたのだ。
島民は、賀来の他に結城というもう一人を除けば全員が死亡。
だが、政府によって隠蔽され何事もなかったかのように闇に葬り去られてしまった。
事件の発端となったMWという猛毒ガスを探し続ける結城は、エリート銀行員を装いながら当時の関係者を次々と殺害していくのだった。20100710b

猟奇殺人を繰り返していく結城役に扮したのは玉木宏であるが、役柄に近付けるため、かなり体重を落としての役作りであった。
神経質さと鋭角さを兼ね備えたエリート銀行員という表の顔と、冷酷非情な殺人鬼という裏の顔が、玉木のスリムでシャープな演技で巧妙に表現されていた。
さらに、過去に囚われながらも教会の神父として慈善活動を続ける賀来役の山田孝之も、憂いのある演技が実に冴えていた。


2009年公開
【監督】岩本仁志
【出演】玉木宏、山田孝之、石橋凌

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2010.07.11 16:17:23 コメントを書く
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