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2014.07.10
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カテゴリ: 映画/SF
【クラウドアトラス】
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あらゆる垣根は幻想だ。必ず超越できる。乗り越えようと思う者には越えられるはずだ。今、この瞬間、君の鼓動を間近に感じる。僕らの距離も幻想なんだ。僕の魂は、時空を遥かに超える

『クラウドアトラス』は、上映時間3時間という長大作である。
6つの異なる時代に生きる人々を描いた作品で、テンポの良い場面切り替えのおかげか、だらけるということはなかった。
近未来の描写の仕方や絵面みたいなものが、どうも『 マトリックス 』に似ているなぁと漠然とした感想を持ったのだが、監督の名前を見て納得した。
ウォンシャウスキー姉弟だった。
そして残るもう一人の監督は、『 パフューム~ある人殺しの物語~ 』を手掛けた、トム・ティクヴァである。
つまり、3人の監督が6つの物語をそれぞれ分担してメガホンを取ったようだ。

この作品は、東洋の輪廻をテーマに扱ったものだが、どういうわけか、東洋人の意図する輪廻転生とは少し違う解釈のようだった。

6つの異なる時代が何かしらリンクしているのかと思いつつ見ていると、実はそうではなく、ちゃんと一つのストーリーとして完結している。
次世代につながっていくものではないのだ。
例えばトム・ハンクスが演じるキャラクターは、ある時代においては悪党であり、別の時代においては勇者である。
その一人の人物が生まれ変わりではないのだとすれば合点もいくが、生きとし生けるものが常に輪を描くように循環している、という東洋思想とはちょっと違う感覚に、新鮮味さえ覚えた。

ストーリーは次のとおり。
年老いたザックリーが、幼い子どもたちに昔話を聞かせるところから始まる。
ザックリーは、異なる時代に生きた“自分”の物語を話して聞かせたのだ。
1849年の太平洋諸島、弁護士のユーイングは奴隷売買の契約を終え、アメリカへの帰路についた。
その際、船にはたくさんの金貨が積まれていて、その箱のカギをユーイングは大切に首からぶらさげていた。
ところが金の盲者である医師のグースは、ユーイングの持ち物を片っ端から奪おうと、毒を盛って殺そうとする。
1936年、ユーイングの航海日記を愛読する若き音楽家フロビシャーは、同性の恋人・シックススミスのもとを離れ、スコットランドの大作曲家であるエアズの家へ身を寄せる。

1973年、すでにこの世の人ではないフロビシャーを、人知れず胸に秘めるシックススミスは、物理学者となっていた。
シックススミスはフロビシャーから届いた手紙を大事に持ち歩き、飽くことなく読んでいた。
そんな中、エレベーターで偶然知り合ったジャーナリストのルイサ・レイに、原発事故を引き起こし、石油企業の利権を守ろうとするフックスを告発するための報告書を託そうとする。
ところがその勇気と正義も虚しく、資料をルイサに手渡す直前に、ホテルの一室にてシックススミスは殺害されてしまうのだった。

私が注目したのは、E.M.フォースター原作『モーリス』を彷彿とさせるような、フロビシャーとシックススミスの禁断の恋だ。

2144年の近未来の物語は、ハリウッドの総力をあげての特殊メイクとCGで、視聴者に圧倒的な臨場感を堪能させてくれる。
内容は教訓的なものながら、見終わった後の満足感はこの上もない。
長時間作品なので、時間に拘束されることに抵抗のある人は、日を分けて鑑賞しても良いだろう。
一見の価値ある作品だ。
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2012年(米)、2013年(日)公開
【監督】ウォシャウスキー(姉、弟)、トム・ティクヴァ
【出演】トム・ハンクス、ハル・ベリー


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最終更新日  2014.07.10 08:55:06
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