蜂蜜くるみパン

蜂蜜くるみパン

 初めて南部小麦のパンを作ってみましたが、そのおいしさにびっくり。蜂蜜の甘さとくるみのコクのほかに、何か奥深い厚みのある味を感じます。ふわふわの食感は期待していなかったのでこねを抑えて仕込みましたが、かみ応えがあるのに不思議と口溶けがいいのです。噂どおり、ホシノ酵母との相性バッチリのおいしい粉です。まだ実態をつかんでいないので、なるべく作ったとおりに書き留めてみました。




 <材料> 12個分

南部小麦(無農薬・準強力粉) 280g


生種 大さじ1.8


蜂蜜 大さじ1強


塩 3g


水 150cc



くるみ 35g



 <作り方>

①ボールに材料を入れ、全体をざっと混ぜます。


大き目のボールにまずぬるま湯を入れ、酵母の負担にならない程度に冷めてから生種を加えます。冬は容器なども冷えていることがありますから、熱めのお湯を入れてから冷ますようにするといいでしょう。
酵母が全体に混ざったら蜂蜜を加えて混ぜます。水分と甘味が加わることで酵母が元気になるので、しばらくその状態を保つために粉の計量などをここから行います。

②粉を混ぜたら、水を吸収させるためにしばらく放置します。


南部小麦は水分の吸収が悪いために扱いにくいとされていますので、こねる前に少し放置してみました。まず粉と塩をよく混ぜたものの半量を酵母水に加え、全体をざっと混ぜてから残りも加えます。水の割合が少ないので硬めの生地になると思ったのですが、まるでゼラチン液にホイップクリームを混ぜ込む時のような感じでした。このボールをオーブンの中に置き、後片付けなどしながら10分ほど放置しました。発酵させるわけではないので、オーブンはもちろん温度調節などはしません。

③全体がなめらかにまとまる程度にこねます。


酵母でリーンなパンを作るともちもちの食感がおいしいので、今回はそれを狙ってみました。さて、10分ほど放置した生地ですが、表面は幾分乾燥しているものの、やはりぶよぶよと水分が多い感じは変わりません。ボールの向こう側から生地をすくい上げるようにして手前にかぶせることを何度か繰り返しましたが、いつまでも水枕に触っているような感じです。無理矢理こねるのが忍びなくて、比較的時間をかけて優しく作業を続けました。

④なめらかにまとまったら、刻んだくるみを混ぜ込みます。


だんだんと生地がなじんで付きたてのお餅のようになってきます。{クグロフ》を参照して《刻んでおいたくるみを混ぜ込みます。

⑤発泡スチロールに密封して1次発酵させます。


ボールの中で生地を丸くまとめ、大きなビニール袋をかぶせてから発泡スチロールに密封しました。以上、ここまでの作業は前日の夜に行いました。発酵開始は夜の10時頃です。

⑥2倍強になったら、取り出して分割します。


暖房を弱くしてドアを開けっ放しにしておくと、頭の高さでは12度くらいの温度になっているようです。発泡スチロールはそれより低い場所に置きました。6時半頃に様子を見ると1.5倍ほどになっていました。10時半頃にはドアを閉めたので、11時過ぎには通常の室温(頭の高さで27度)に。12時には2倍以上に膨らんで表面がベタベタになっていたので、1次発酵終了としました。

⑦分割して、ひとまわり大きくなるまでベンチタイムをとります。


発酵後の生地はイースト生地のようにふっくらではありませんが、弾力があってやわらかく、ぎゅうひ(うぐいす餅の皮)のような感触です。パンマットの上に出す時、ボールの底に接した部分が網目状にふかふかになっていました。くるみをよけながら12分割し、丸めてベンチタイムをとります。多少ベタつくのでパンマットをかぶせただけで放っておきましたが、30分たっても変わらないので濡れ布巾をかぶせました。トータルで、50分かかってふっくらしました。少しだれたような感じです。

⑧手粉をしながら、丸く成形します。


かなりベタつくので、手に粉をつけながら成形しました。小型の丸型の成形は手のひらですることが多いのですが、今回はパンマットの上で行いました。打ち粉をしなくてもマットにはつかないのでベタつく箇所をマットの上で転がしてから平らにし、指先に薄く粉をつけながら上下、左右と生地をつまみながらくっつけて丸く整えていきました。せっかくのガスを抜いてしまわないように、生地をいたわりながら作業します。

⑨ふっくらするまで2次発酵させます。


今回は、オーブン内で発酵させました。いつもの発酵時よりも中に入れる湯をぬるめにしたせいか、2時間ほどかかって1.5倍という経過です。表面はなめらかでしたが、くるみの周りだけベタつく感じでした。

⑩軽く霧を吹き、180度のオーブンで12分ほど焼きます。


オーブンを200度に予熱し、全体に霧を吹いた天板をオーブンに入れます。すぐに180度に温度を下げ、きれいな焼き色が付いてたたくと軽い音がするまで12~15分焼きます。

 それほど大きな釜伸びではありませんでしたが、表面がつやつやに仕上がりました。皮は薄くてパリッとし、もっちりした生地の中にコロコロとくるみが。この甘さはホシノ酵母と蜂蜜のせいばかりではないような気がします。もっともっと深く関わっていきたい粉です。



蜂蜜くるみパン

 ◎2003年1月13日製作


水種を使って

 100ccの水に大さじ1.5のホシノ元種を加えて作った水種。味や発酵の違いを比べるためにこのレシピで試してみました。



 <材料> 6個分
南部小麦 180g
蜂蜜 小さじ2強
塩 2g
水種 55cc
水 適量

くるみ 25g

 作り方は上とほとんど同じです。今回は粉に水分を全部吸収させてからこねる直前に塩を加えました。


 1次発酵は3時間半。オーブン内を少し温めただけですから、これは短時間での発酵と言えるのでは?


 ベンチタイムは1時間でした。実は30分くらいで完了していたようなのですが、オーブンがふさがっていたのでやむなくベンチタイムを長引かせていました。結果、ふた回りほど膨らんで少しだれ気味な感じに。


 2次発酵は1時間半。これもオーブン内の温度調節などで頻繁に扉を開閉したのでこんなにかかってしまいました。室温がそれなりに高ければ下手な小細工などせずに済んだのですが。


 焼成は200度予熱のあとすぐに180度に下げて12分。これはなかなかの釜伸びでした。



 味は生種を使ったものよりも淡白な感じです。上に書いたような甘さもコクもありましたが、味の奥行きの点ではやや物足りないかもしれません。


 こねている時からホシノ酵母独特の香りが薄く、出来上がったものにもあまり感じられないので、あっさりしたものがお好みの方にはぴったりだと思います。ホシノ酵母のパンを作り始めた頃は私もこの風味になかなかなじめなかったので、初心者の方にはいいのかも。種起こしもとても簡単です。



水種の作り方

①よく洗って熱湯消毒した瓶を冷まして、100ccの水を入れます。


②ここに大さじ1.5の元種を加え、竹串でよくかき混ぜてから発泡スチロールの箱に入れます。


③瓶の蓋をきっちり閉めずに上にちょんと乗せるだけにし、発泡スチロールの箱は密封して温かい所に置いておきます。


④目安は40~42時間との事。24時間後では変化なしでしたが、36時間後には激しく発泡していて、その泡もキメの細かいものでした。


⑤発泡がおさまって味にピリッとしたものが感じられれば出来上がり。蓋をきっちりして冷蔵庫で保存します。3~4日くらいしか持たないそうなので、あらかじめ計画を立てて試してみてください。



 ◎2003年7月20日製作

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